ルドラサウム大陸に転生したが、双子の妹がヤバイ件について   作:ローカルランス

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オリ主の容姿はエール君(男1)


日記1・旅立ちの経緯について

久しぶりに『この状態』になったので、以前から『この状態』用に買っておいた日記を使い始めようと思う。

 

俺の名はビール・モフス。現在11歳。転生者、あるいは憑依者だ。

ネット小説でよく見るアレだと思ってもらえば概ね間違い無い。

 

詳しい理屈はわからないが、普段の俺は前世の事をあまり意識することが出来ない。

かつて日本という国で社会人をやっていた『俺』という意識と、この世界で生まれた『ビール』の魂が混ざっているとでも言えば良いのだろうか。

 

普段は2つが混ざりあった、前世の事は知っているが詳しく意識することが出来ない『ビール・モフス』として生きているが、ふとした時に『俺』が完全に表に出た丁度今の様な状態になる時があったり、はたまた前世など何も知らないこの世界の『ビール』の姿を『俺』という意識が後ろから見ている状態になったりと不安定極まりない。

 

とは言え『俺』が分離して思考する事ができる頻度は年々少なくなっているので、どうやら2つの魂の融合は進んでいるらしい。近い内に完全に溶け合って個々の意識は完全になくなると思われるので、この日記も使い切ることは無いだろう。

そんな状況だが不思議と恐怖は無い。というか、今の『俺』は混ざっている『ビール・モフス』としての記憶も自覚も持っている。溶け合ったとしても別物になるわけではなく、結局は同一人物だ。

 

そんな俺について少しだけ書いておこう。

 

物心ついたころには前世のことを思い出せたし、その影響なのか明らかに普通の子どもよりも早く喋れたり歩けるようになったりした。更には才能があったのか3歳になる前には魔法を使えるようになり、5歳の頃には既に剣を振るい岩を一刀両断にしたりと、当時は我ながら『俺TUEEEキタコレ!』と調子に乗っていたものだ。

 

そんな事をすれば今生の親から気味悪がられるのが普通だとも後から思ったのだが、幸か不幸か、母も妹も世間一般から見て変わり者という評価すら生温いほどぶっ飛んだ人だったので問題にはならなかった。

 

母親の名はクルックー・モフスで、AL教という世界的に信仰されている一大宗教の法王だ。最近はかなり勢力が落ちてきているが、それでも全世界の半数程度が信仰している宗教だといえば規模の大きさは想像できるだろう。

現在は自由都市帯西部のトリダシタ村で、双子の兄妹……つまり俺と妹を育てており、仕事の時だけAL教の本部がある川中島に行く。

 

 

ここまで書いたが、つまり俺が転生した世界というのはエロゲ『ランスシリーズ』の世界だ。最終作やってないんだよな……。

ちなみに先程才能がどうたらと書いたが、この世界に生きる人間はレベルなどのステータスを持っており、その中には『技能レベル』という物がある。つまり各分野における才能を数値化したものだ。

 

ちなみに俺の技能レベルは、神魔法LV2、魔法LV1、剣LV1。

技能レベルはLV1でその分野におけるプロ級、LV2でその分野における最高峰、LV3ともなれば伝説に名を残すような規格外だ。ちなみにその分野で努力すればある程度までは形になるLV0という段階があり、この世界の人はLV0を含めればだいたい20種類前後の技能レベルをもっているらしい。

つまり俺は客観的に見てもかなり恵まれた才能を持っていると言える。前述のアレコレもこの才能持ってるなら当然程度の所業だったらしい。チートとか無かった。

 

ちなみに現在の年号はRA13年。この世界の年号はその時の魔王の名前から付けられており、俺が知っているランスシリーズの時代は魔王リトルプリンセスの時代、LP歴だ。

聞いた所によるとLP歴は8年で終了しており、現在は魔王ランスの時代。

 

……そう、なんか原作主人公が魔王になってる。

というかウチの母親、原作の8あたりで登場したヒロインだったわ。道理で美人だと思った。この辺考えると、教えられた事は無いが俺の父親は魔王なのかもしらん。

 

どうやら俺が転生した時点で原作時系列は終了し、あとは魔王をどうするべきか……なんて転生者的な上から目線で考えていた事もあった。

今考えれば何いってんだお前というカンジである。

いや、魔王をどうにかしなけりゃいけないのは確かなのだが……。

 

 

 

さて、色々前置きが長くなったが、本題だ。

 

題をつけるなら『俺の双子の妹がヤバイ奴だった件について』

 

俺の双子の妹、名前はエール。

母さんがどちらが兄とか姉とか明言しないため、常日頃からどっちが上だのと言い合いをする仲であるが、誰が何と言おうと俺の方が兄だ。

なんか名前の時点で順番付けられてる気がしないでも無いが、気にしないことにする。

 

この妹、身内贔屓抜きにしても見てくれは中々可愛い。俺とは違う茶色のロングヘア(余談だが俺は母と同じ黒髪、この茶髪は誰から遺伝したんだろうね?)、常にニンマリとした笑みを浮かべおり、どこか悪戯好きな小悪魔といった雰囲気だ。

 

そんな妹だがヤバイ。何がどうと言われると難しいがヤバイ。

割とエキセントリックな行動をするが、それに関しては母親の影響で済まされる範囲だ。

では何がヤバイかと言えば、この妹。明らかに『何か憑いてる』。

 

最初に気づいたのはまだ赤ん坊の時だ。同じベッドに纏めて寝かされていた俺は、ある時エールがこちらをじっと見つめていることに気づいた。

それだけならどうという事は無いが、この世界の『ビール』の影響か当時の俺は赤ん坊特有の超感覚とも言うべき敏感さを備えていた。その感覚がエールからエールとは別の視線を感じ取ったのだ。

その後も度々謎の視線をエールから感じる事は有ったし、決定的なのは『俺』と『ビール』が分離していた時だ。

 

その時『俺』は『ビール』を後ろから覗くような視点で存在していたのだが、『ビール』とお喋りしているエールの向こうに『ソレ』を見た。

 

白く巨大な、とてつもない存在を。

 

それがどんな姿だったのかはハッキリ認識できなかったが、ソレの前では自分など塵のようなものだと本能的に悟った。

ヤバイと思ったときには既に『ビール』と融合していたが、アレの存在は融合後でもハッキリと脳裏に刻まれており、思い出す度に背筋が寒くなる。気づかれた瞬間、俺という存在が跡形もなく消えてしまうという確信。本能的に俺は『異物』なのだと再認識させられたような、そんな感覚だ。

 

つまりエールから感じていた視線の正体はアレであり、常にアレに見られていると思うと気が気じゃない。幸いと言うべきか、この身体は母親からの遺伝なのか無表情がデフォのためそういった態度は悟られていないと思うが……。

 

そして今日。久しぶりに『俺』が表に出た状態で、エールの背後に『アレ』を直視してしまい、いよいよエールの近くにいるとヤバイと思ったため家を出ることにした。

一言でまとめると。俺は、妹から、逃げる。

 

唐突かと思われるが、何故か前々から母親によって冒険者としての訓練を受けていた俺は、いつか家を出て冒険の旅に行こうと思っていたのだ。

なんかエールからは「一緒に行こう」みたいな約束をされていた気がするが、この際忘れることにする。

 

 

母さんはは仕事で家を空けてるし、エールは昼寝中なので行くのなら今しかない。

決めたときには荷物をまとめ、既に村の出口まで来ていた。

 

荷物は数日分の食料や、テントなどを含めた冒険者セット。動きやすい服に、ゴーグル付きの帽子。服の上から軽装のアーマー。武器はALソード(神官が使う剣。母親が職場から横領してきた)、メイス(同様)、そしてヒロシ君(盾。近所のパン屋のねーちゃんからもらった)。

 

さて、後は村を出るだけなのだが……。

 

「どうしたの?早く行かないの?」

 

「……いや。お前何してんの?」

 

「あらひどい。幼馴染を置いて行くつもりなのかしら?」

 

などと宣うのは、何故か村の出口で待ち伏せしていた幼馴染(笑)のアム。

黒いゴシックドレスに草冠を被った少女で、隣の家に住んでいる。

ちなみに幼馴染を自称するだけ有って物心ついたころからの知り合いだが、初めて有った時からまったく容姿が変わっていない。

 

見た目だけは今の俺と近い歳に見えるのだが、実際は何歳なのやら。

……というかコイツ、元ラスボスだ。

 

 

そんな締まらない始まりでは有るが、余計な同行者も連れてこの俺、ビール・モフスの冒険は始まった。

既に色々と終わってしまったこの世界で何をするべきか。

 

それはこの旅の中で考えていこうと思う。

 

……とりあえずは、この幼馴染(笑)をどこかで振り切る所から始めなければ……。




エールちゃんの容姿は女1
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