大切な誰かへ   作:刹那の奏

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とうとう十羽到達しました!
三羽ぶりの漆黒のフヨウでーす
つい最近まで涼しかったのにじめじめと蒸し暑くなってきましたね、とても過ごしにくいです(真顔)
汗がベタベタして嫌になりますよね…
それはともかく!今回はルキアたちの現世魂葬実習のお話です
引率で檜佐木さんたちも出てきますよ!
それでは、どうぞ!!


十羽

とうとう、この日が来た。対策は考えうる限りこの三日間で立ててきたつもりだ。あとは柔軟に対応していくだけ。

 

「おはようございます 先生」

「おはよう 海燕副隊長」

 

これで全員揃った。引率リーダーの修兵に始めるように促す。

 

「まずは簡単に自己紹介しとくぞ

六回生の檜佐木だ

後ろの小さいのが蟹沢 でかいのが青鹿

一条七席と志波副隊長

この五人で今日のお前らの先導にあたる

向こうについたら即散開してもらう

何かあれば手元にあるブザーを鳴らせ

五人のうちの誰かが現場に駆けつける」

 

手際よく説明していってくれた。確認するように振り返った彼に頷く。補足説明は要らない。

六年前の虚襲撃事件を境に彼は更に成長した。誰よりも努力して、今の地位を築いていった。

 

一回生がざわついてる。無理もない。修兵は数年ぶりに卒業前に護廷十三隊に入隊が決定してる。それが、一回生にも伝わっているのだろう。しかも副隊長もいるからな。

 

「ざわつくな

私語の多いやつは置いてくぞ!」

 

静かになったところでほたるが次の説明を始める。こちらも手際がいい。

 

「それじゃ

ここからは三人一組で行動してもらうわ

予め教室で引いてもらったクジを見て

記号が書いてあるわね?

同じ記号の人を探して組を作って頂戴」

 

皆、もう少し時間かかるかと思ったけど、すんなり組んでいく。全員が組終わったところで再び指示が飛ぶ。

 

「各自地獄蝶は持ったな?行くぞ!解錠!」

 

穿界門を生徒達とくぐり抜け、散開していく一回生を上から見る。早いところはもう魂葬の指導を受けているようだ。痛がってる霊の悲鳴がここまで聞こえる。今回は少し多めかな。ちょっとうるさい。それ以外は皆順調に魂葬していっている。今年は少し早めに終わりそうだ。

逃げ回る霊を追いかける生徒達を見て苦笑する。隣に居た海燕も同じ光景を見ていたようで、笑っている。生徒の一人が縛道で捕らえ、斬魄刀の柄を霊の額に当てる。その霊は、一際大きい声で絶叫しながら昇ってきた。力を入れすぎたようだ。少しかわいそうだな。

 

伝令神機が鳴る。

 

「先生 虚が出ます

場所は南西の方角

生徒達からは離れてますけど行きますか?」

「そうだね 行こう」

 

反応が大きかったこともあり、少しその場を離れることにした。生徒達を危険から出来る限り遠ざけておきたい。先に通信機で六回生に連絡をいれておく。

 

「六回生

虚が出現したため現場に向かう

ここを離れるので少しの間よろしく」

〈了解〉

〈わかりました〉

〈了解です〉

 

三人からそれぞれ返信を確認して、瞬歩で現場に向かう。出現場所に着く。気配は上からか。

………えっ嘘でしょ。

 

「メノスグランデ!」

 

メノスグランデ、私が生きてきた中で二、三回しか会ったことがない。攻撃を始めるようだ。さっさと追い返すべきだな。

 

「どうします?」

「とりあえず退ける

霊印解除申請しとく」

「了解っす

水天逆巻け 捩花」

 

海燕が始解した。戦闘開始だ。

 

「居合二の型 燕尾」

 

仮面を目掛けて一閃する。硬い。私の太刀筋じゃ傷つけられない。なら鬼道を使うまでだ。倒すことは考えない。退けるだけ。

 

「海燕 上手く避けて」

「はい?」

 

『破道の九十一 千手皎天汰炮』

 

「危な!」

 

あたりいったいに響くように言う。詠唱破棄だけど九十番台の鬼道だ。言霊の力も借りてる。それなりに威力はあるはず。煙が晴れていく。海燕は上手く避けてくれたようだ。メノスの姿が確認できた。仮面にひびを入れられたようだ。これで退いて……くれるわけないか。

 

そこで伝令神機が再び鳴る。表示された文字を見て叫ぶ。

 

「海燕 許可降りた」

「了解 限定解除」

 

これで彼は全力で戦える。生徒達は大丈夫だろうか。六回生が引率についているからある程度までは大丈夫だと信じたい。でも、三日前見たのは、こいつじゃない。だとしたら、別の虚が生徒の近くに出現する可能性があるかもしれない。隊長格を呼ぶべきか。正直、メノスが出た以上私たちだけではきつい。

 

海燕の体勢が崩れた。標的にならないように援護に入る。

 

『君臨者よ 血肉の仮面 万象 羽搏き ヒトの名を冠す者よ 蒼火の壁に双蓮を刻む 大火の淵を遠天にて待つ 破道の七十三 双蓮蒼火墜」

 

完全詠唱の双蓮蒼火墜でもひびを広げる程度でしかない。やっぱり硬いな。鬼道もあまり効かないようだ。援護を呼ぶ前に開放するしかないか。あまり戦闘には向かないけど時間稼ぎくらいは出来る。

 

「伊吹 伊…「ここで開放するべきじゃないよ」

 

誰かが降りてくる。この声は、この霊圧は……。

 

「来ちゃった」

「春水!」

「限定解除の申請があったって聞いたからねぇもしかしてと来てみて良かったよ

限定解除なんてよっぽどじゃなきゃしないからねぇ」

「ありがとう」

 

「それじゃやりますか

花風紊れて花神啼き 天風紊れて天魔嗤う

花天狂骨 艶鬼 」

 

花天狂骨、能力は童の遊びを現実にすること。

艶鬼は色鬼とも書く。

 

「持ってて一撃で決めるつもりだから」

 

羽織を投げ渡してきた。慌てて掴む。艶鬼のルールは交互に色を口にしその色が付いている部位のみを斬れる。そして自身が多く身に纏っている色を選べば、相手に与えるダメージは大きくなる。

 

「白」

 

指定した色は白。春水は今、黒い死覇装を、白い隊長羽織で覆うようにして着ている。対するメノスグランデは仮面は白、体は黒だ。春水の方が白の面積は大きい。そのまま仮面を斜めに切り上げる。

 

仮面を割ることは出来なかったが、ダメージが大きかったようで帰っていく。追い返せた。ひとまず、安し……嫌な予感がする。制止を振り切り、なりふり構わず瞬歩で生徒の所へ向かう。

 

「一条」

「先生!」

 

 

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