大切な誰かへ   作:刹那の奏

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刹那の奏です。全然関係ないのですが、私は撫で肩で、肩に物を掛けると全てが落ちていきます。この間は何もしてないのに羽織っていたパーカーがズレ落ちてしまいました。これって何かいい解決方法はあるのでしょうか。

閑話休題…それでは本編どうぞ!
人物紹介

【挿絵表示】



十一羽

私が生徒達との集合場所に着くと、生徒はほとんど集まっているのが見えた。ほたるが修兵に声をかけようとしているらしい。その背後に影が現れる。そんな…知覚出来なかった。虚の爪がほたるを捉えようとしてる。瞬歩の速度を上げて間合いを詰め、斬る。

 

「居合一の型 燕空」

 

しかし、一歩遅かったようで爪が当たったほたるの体は投げ出される。そのほたるを追い付いてきた春水が抱き止めていた。息はあるが傷が深く血だらけだ。青鹿が虚に突っ込んで行こうとするのを海燕が止める。

 

「いやぁ驚いたよ

いきなり行っちゃうんだもの」

「嫌な予感がして急いで良かった

傷塞ぎます」

 

ほたるを一度床に降ろし、治療を始める。そこで修兵が一回生に指示を飛ばす。海燕と青鹿はその補助にまわってくれてる。

 

「逃げろ 一年坊共!!

出来るだけ速く 出来るだけ遠くに」

 

生徒は混乱しながらも虚とは真逆に逃げる。そこへ、もう一体叫び声をあげながら虚が出現した。やっぱり、気配がない。この虚は霊圧を消せるのか。それは修兵に襲いかかる。唯一手の空いている春水が向かうが間に合わない。

 

修兵にあたると思っていた爪は、ルキア達七人によって止められた。勇気ある子達だな。

 

「申し訳ありません

命令違反です」

「すんません」

「助けに来てんだから見逃せよな 先パイ」

『君臨者よ 血肉の仮面 万象 羽ばたき 人の名を冠す者よ 焦熱と騒乱 海隔て逆巻き南へと歩を進めよ 破道の三十一 赤火砲』

『君臨者よ 血肉の仮面 万象 羽搏き ヒトの名を冠す者よ 心理と節制 罪知らぬ夢の壁に僅かに爪を立てよ 破道の三十三 蒼火墜』

 

ルキアと桃、弥生、ユキが破道を撃つ。撃破に成功したと思われたが、煙が晴れると彼らは複数の大虚に囲まれていた。その内の一体が大きく口をあける。まさに食らわんとしていた時、虚が二つに割れてその影から現れた影が二つ。

 

「ひゃあ こら大層な数やなぁ」

「遅れてすまない」

 

惣右助とギンだ。斬ったのは惣右助か。すっぱりと斬ったな。剣術はやっぱり彼の方が上だ。私はもっと苦戦するだろうな。

 

「先生! あとは我々に任せてください

砕けろ 鏡花水月」

「ぼくも残るから大丈夫」

 

二人と共に春水も残って戦うようだ。彼らなら大丈夫だろう。門をくぐる前に虚の攻撃に当たってしまっていたらしい修兵の手当てをする。ふと、後ろを見ると虚の大群は退いていて、春水の攻撃が虚空に消える。まるで何かと戦っているような動きだ。でも私には何も見えない。惣右助とギンはその場で突っ立ったまま動かない。なんだろうこれは昔、惣右助と手合わせした時に感じた違和感に近い。でも今はこの違和感をどうにかしてる場合じゃない。

 

一足早くほたるを抱えて尸魂界へ走る。後ろからは修兵達が来てるみたいだな。後の指示は修兵がやってくれるだろう。そのまま四番隊に行く。

 

「卯の花隊長 脇腹を抉るような形の傷です」

「わかりました あずかります」

「よろしくお願いします」

「この傷だったら命の心配はないと思います」

「ありがとうございます」

 

卯の花隊長に任せればあとは大丈夫。来た道を戻って修兵達の所へ向かう。

ルキア達は寮に戻ったのか既に居ないようだ。穿界門の前には修兵と青鹿が居た。

 

「修兵 青鹿 ほたるは命の心配は無いそうよ」

 

二人の表情がふっと和らいだ。死神は命がけの仕事だと解ってはいても、頭で理解するのと実際見るのは違う。助けられて良かった。

 

「今日はもう休みなさい

修兵は四番隊で治療を受けておいてね」

「はい」

「わかりました」

 

二人を見送ってある場所へ向かう。断崖絶壁の崖の上で独りになる。ここは瀞霊廷を一望できる場所だ。かつての上官とともにここで夕陽を見るのが好きだった。過ごした時間は少ないけど彼の隣にいると安心できた。まぁ、周りが荒くれ者ばかりだったからな。十一番隊の人にも慕われていた夕凪のような人だった。

 

懐から数枚の懐紙を取り出して、燕の形に折る。ふっと息を吹き込み空へ飛ばす。ここは強い風が吹く。ここに来たときは必ず彼らの冥福を祈ってこの折り燕を空へ送る。現世で死した者は尸魂界へ、ここで転生を待つことなく死した者は神様の住む高天原に逝くという。そこで神様の遣いになるのだと昔養父が話していた。

 

さて、本題はこっちだ。

今日の実習の時感じた違和感…あれは一体……。鏡花水月は流水系の斬魄刀で霧と水流の乱反射によって相手を撹乱させ同士討ちにさせる能力を持つと聞いている。しかし、惣右助は斬魄刀を開放しているにも関わらずそんな攻撃のそぶりはなかった。

 

もしも、その認識事態が違っているとしたら?幻覚を見せる類いのものだったり、催眠術の類いのものならば今日の春水の行動と繋がる。虚がそこにいると思わせればいいのだから。それを考えると喜助達のことも惣右助あるいは影にいるものが仕組んだことだった可能性がある。その能力があれば同時に二ヶ所に現れることができる。しかし、そのメリットはなんだろう。メリットは無いように思える。

 

それには虚化が関係している?

数十年前、虚化の実験を惣右助がしていたとする。何故、危険を侵してそんな実験をしていたのか。そして、虚化とは一体何なのか。

 

分からないことが多すぎる。ただひとつわかっているのは、今後の惣右助の動向に気を付けねばならないということだ。教え子だからあまり疑いたくは無いんだけどな。

 

あぁもう日が沈む。懐からもう二枚出して、書き付ける。それを鶴の形に折って飛ばす。これは、現世にいるだろう喜助達へ。現世での幸せと再会を願う。

願わくば彼らに届きますように……。

 

 

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