統学院を卒業し、護廷十三隊に入隊して少し経った頃のお話。
たまたま三人の休日が重なった日に十一番隊の道場を借りて模擬戦をしていた。鬼道あり、白打あり、始解ありの実戦に近い形のものだった。
『破道の三十一 赤火砲』
『反鬼相殺』
現在は京楽と一条が戦っている。
鬼道を放ったあと一度距離を取り、相手の出方を伺い間を詰める。一条は始解をしていない、一方で京楽は始解をしていて、どうやっても一条の方が力負けし押されていた。
「流石 けどこれはどうかな? 嶄鬼」
「……!」
京楽が一条の頭上から攻撃を仕掛ける。攻撃があたる直前に一条が弧を描いて舞い上がる。そのまま京楽の頭上を取り、切りかかると見せかけて鬼道を放つ。その反動で、体勢を立て直して着地した。
「うわぁ! 蒼火墜じゃないか!!」
「よく避けたね
無音無動作のやつだったんだけど」
「完成してたなんて そんなの聞いてないよ」
「今初めて言ったんだから当たり前だよ!」
再び距離を取る。先に動いたのは一条だった。
『塞』
一条が放った縛道によって京楽の動きが封じられる。
「やっぱり破れないんだよねぇ
どうなってるのさ」
「さぁ?言霊の力を借りてるだけだよ」
もう一度、一条は無音無動作での鬼道を放つ。それを京楽は縛道を破り、避ける。
「あっぶないなぁ お次は双連蒼火墜か
今 何番まで無音無動作発動出来るの?」
「えっと…双連蒼火墜まで………
それ以降はまだ……っ!」
しかし、放った鬼道の軌道上に人影が……。
「危ない樹七席!!!」
「へっ?」
樹七席と呼ばれた人物は抜けた声を返す。
そのまま双連蒼火墜は、その人影にあたる。
「痛ってー」
「大丈夫ですか?七竈七席」
「ごめんなさい!樹七席」
一条と浮竹がそう言うと七竈は笑って返す。一条は直ぐに駆け寄り回道で傷を治していく。
「大丈夫だ!気にすんな
一条は警告してくれてたのに俺の反応が遅れただけだ!実戦だったら月乃宮に油断しすぎだって怒られてる
それに模擬戦中に道場横切った俺が悪い!
やってるのは知ってたんだが近道だったもんでな」
「それでも私がもっと気を付けていれば……
ごめんなさい…」
「だーっ!!もうそれ無しだ!!!
……にしても凄いな一条 !
無音無動作の鬼道完成したのか!」
「はい」
七竈は一条の頭に手を置いて言う。
「十一番隊は鬼道関係苦手な奴が多いからお前が居ると助かるよ
皆のサポートしてやってくれ
何があっても挫けるなよ」
「はい」
後にその事件を知った月乃宮に七竈は怒られたとさ。