ここ最近、天気が悪く傘が手放せませんでした。冠水した場所も多かったみたいですね。雷もすごかった。
皆さんはどうでしたか?
さて、久々の本編です。それではどうぞ!!
「……ここは…」
「一条!良かった
ここは救護詰所の奥にある個室だ」
そうやって満面の笑みで迎えてくれたのは十四郎だった。聞くとずっと誰か側にいてくれたらしい。十四郎や春水をはじめ、恋次、修兵、隊長、重國先生が主に来ていたが、いろいろな人が来ていたと話してくれた。一番気になっていたことを聞く。
「海燕とルキアは?」
「海燕はあれから戦闘は難しくなってな
休隊してるが元気だ
ルキアもなんとか乗り越えて人一倍努力してる二人とも大丈夫だ」
「そ…か……」
目の前の十四郎は少し老けたように見える。
「十四郎 少し老けた?」
聞いてみると十四郎が涙目になった。あれ、なんか変なこと聞いたかな。
「馬鹿野郎!!!!
何年寝てたと思ってるんだ!!
あれから十年以上昏睡状態だったんだぞ!」
「十年…以上……?」
「そうだ」
まさか、そんなに経ってるとは思わなかった。せいぜい二、三年だと思ってた。だいぶ心配させたんだろうな。
「ごめん 十四郎」
「それはルキアと海燕に言ってやれ
あのあと大変だったんだぞ」
「うん…………
二人には辛い思いをさせてしまったから…」
それから昏睡してた間にあったことを教えてくれた。恋次が六席になって今度六番隊の副隊長になること、修兵も九番隊の副隊長に、その他にも昇進したメンバーがいること。ルキアは現世駐在任務に出ること。講師は、別の人が代理をしていること。やっぱり十年ってこれまでの人生から考えると短く感じてたけど、皆その間にどんどん前に進んでるんだ。その成長を間近に見ていたかった。それが少し残念でならない……。
「皆前に進んでるんだ…」
「あぁ 自分なりに努力してな」
ふと思ったことを聞く。あの呪に関しては十四郎と春水、重國先生には話してある。その上で人前で使うのは危ないということになり今まで使ってこなかった。私の真似をして扱おうとする者がいたら危ないから。
「あの呪のことは二人にはなんて話したの?」
「あれか?元柳斎先生達と口裏を合わせて扱いが難しいために廃れた秘術と言ってある」
「ありがとう」
どたばたと複数の足音が近づいてきた。体を起こす。障子が左右に開く。目の前の紫水晶の瞳と視線が合う。
「ルキア」
「……一条…殿」
ぱっと駆けてきてルキアが私を抱き締める。それを抱き締め返す。視線を上げると海燕と目が合い、彼もこちらに来る。
「先生……」
「二人ともごめんね…ごめん……」
二人とも泣き出してしまった。どうしようと悩んでいると山本先生がたんと杖を床に打ち付けた。それで空気が変わる。
「馬鹿者!
また無理しよって!!」
「全くです」
「ごめんなさい 重國先生 卯ノ花隊長」
次々に皆から怒られる。卯ノ花隊長にも笑顔で怒られた。彼女の笑顔は怖い。一通りそれも終わって、春水が聞いてきた。
「体はきついとかないかい?」
「全然…霊力を使いきって冬眠みたいな状態になってただけだから
ただ暫くは鬼道とかを扱うのは難しいかも」
「そっか」
少し眠くなってきた。体力はやっぱり落ちてるみたいだ。それに気づいた十四郎が皆に声をかける。
「そろそろ仕事に戻ろうか」
皆ぞろぞろと仕事に戻っていく。私も布団に戻るとそのまますぐに眠ってしまった。
夢を見た。相変わらずなにを示しているのかわかりにくいけど今までにないほどはっきりと。
黒髪の少女、オレンジ色の髪の少年、二人を取り囲むようにとぐろを巻く蛇のようなもの、輝く無数の桜の花弁、鏡の破片。二人を別つ火の鳥。その光景は美しい、けれど不吉な何かを運んでくる、そんな気がした。
微睡みから覚めると春水が珍しく書類をやっていた。
「春水……」
「おや 起こしてしまったかな?」
その問いかけに私は首をふって否定する。彼が書類をやっているのを見て、書類はどうなってるのかと思った。
「そういえばうちの隊の書類はどうしてるの」
「弓親君や一角君辺りが頑張ってるよ」
「そう…迷惑かけちゃったな」
春水は笑って言う。
「たまにはさ 迷惑かけたっていいじゃない
君は頼ることを覚えた方がいいよ」
「たまにどころじゃなく迷惑かけてると思うんだけど…主にいつものあれで………
私がそう言うと春水は困り顔になった。
「君ねぇ…
あれは迷惑かけてるって言わないの 全く…」
もう日が暮れる。春水の影が伸びている。
誰か来る。これは一角と弓親、隊長と副隊長。
「先生」
「良かった」
「……」
「とっきー!」
皆それぞれ大騒ぎする。書類大変だったとか、皆心配してたとか。終いには大騒ぎし過ぎて卯の花隊長に追い出されてしまっていたけど、何だかやっと日常に戻ってきたって思えた。また私はうとうとして眠ってしまった。
再び夢を見る。
影より出者、赤、揺れる瀞霊廷、バラける髪、氷の姫、オレンジ色の髪の少年……。
再び目が覚めると十四郎と春水が本を読んでいた。ずっと居るような気がする。
「十四郎 春水……ずっと居なくても良いのに」
それに気づいた二人は同じような反応をする。
「たまにはいいだろう」
「こんなことがなければ同期で一緒に居るってことはなかなか出来ないんだからさ」
考えてみるとそうか。同期だけで集まるのはいつも十四郎の部屋だった。おのずと皆、十四郎のお見舞いに来ることで集まっていたから……。
「…夢を見たの
一つは…オレンジ色の髪の少年と黒髪の少女を取り巻く蛇のようなものと桜の花弁 鏡の破片もう一つは…影より出者 赤 揺れる瀞霊廷 バラける髪 氷の姫 オレンジ色の髪の少年……
きっと…オレンジ色の髪の少年が鍵になる……
もうじき大きな争いが起こるかもしれない」
「じゃあ準備しとかないとね」
「そうだな」
いつもそう言ってくれる彼らには感謝してる。ただ今回は……。
「二人ともわがまま言っていい?」
「構わないよ」
春水がそう言って、その隣で十四郎が頷く。
「…これから先……
斬魄刀も呪も使わねばならなくなる時が来る…
その時はどうか止めないで……」
「それはわがままというのか…?
…………仕方ないな
あのときもああ言ってしまったしな 」
「そうだね…わかったよ
ただし!自分が犠牲になって誰かを助けるようなことはしないこと!!間違っても身代わりなんかやらないでよ
今回も一歩間違えてたら命を落としてたかもしれない それされたほうはきついんだから」
「わかってる
皆で生きるために戦ってるんだからそれだけはしない
約束するよ……
置いていく方も置いていかれる方ももう嫌だから…」
本当に仕方ないというように言われた。
もう夜が明ける。
「…夜明け……」
「もうそんな時間か」
「いやぁ綺麗だね」
日が昇るのを三人で見たのはいつぶりだろう。もしかしたら学生の時以来かもしれない。いつまで三人で居られるのだろうか。学友とは死別してしまった人の方が多い。こうやって三人で居られること。それは奇蹟だ。いつまでそうしていられるだろうか?