大切な誰かへ   作:刹那の奏

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お久しぶりです、漆黒のフヨウです~
こうやって前書きを書くのも何だか久しぶりな気がします(真顔)
皆さんは今年の夏休み、楽しんで過ごせましたか?
私は結構満喫してました(笑)絶叫系のアトラクションに乗って大泣きしたのはいい思い出(白目)

さて、今回のお話は白哉さんとときさんが『お話』するのがメインですね
ルキアのことをどう思っているか、っていう……
これは本編で語られるので、私からは以上でーす

では、どうぞ~


十九羽

尸魂界に戻ってすぐ十四郎の部屋に行く。分身をひとがたに戻し、斬魄刀を回収する。もうこっちは朝か、向こうとこっちで時間がずれるから感覚が狂う。

 

「十四郎 ごめんありがと」

「いきなりで驚いたぞ」

 

明るく言ってるつもりだろうけど悔しさが滲み出てる。十四郎も事情無くルキアがそんな事をするわけないと思っているのだろう。

 

「ごめん……」

「…もうルキアの処刑が決まった

減刑を求めているはずだが………」

 

火の鳥ってまさか双極のこと…。一隊士にそんな道具使うことはないはず、それ以前に………。

 

「…っ!力の譲渡と滞在超過でそんな罪になるはずは!」

 

十四郎に掴みかかってしまう。

 

「わかってる 落ち着け」

 

そう言われてようやく落ち着いた。

 

「ごめん…ルキアは?」

「六番隊隊舎の牢だ……俺達は入れない…」

「そう…」

 

オレンジ色の髪の少年を思い出す。彼が嵐をもたらす。あの日、喜助が話してくれた事が正しいなら惣右介はルキアの中に隠した物を何らかの手段を使って奪いに来るはずだ。嵐になる。

 

「十四郎…近々嵐が来ると思う」

「嵐だと」

「ええ 十四郎…いやなんでもない

今日はありがとう」

 

言いかけてやめた。まだ、決定的な材料が足りない。十四郎のところを出て自室に向かう。惣右介とルキアの極刑が関係してるとしたら四十六室はどうなってる?見に行きたいけどあそこは内側から呼ばれないと入れない。どうすればいい。

取り敢えず、今できることからやるしかない。

 

「おい 一条」

 

後ろから声をかけられた。ビックリした。いろいろ考えすぎて気づかなかった。

 

「冬獅朗隊長…」

「どうしたんだ?」

「いえなんでもない

何かあった?」

 

そう聞くと手に持っていた書類から一枚抜き出して渡してきた。

 

「これ十一番隊に回してくれ

隊長印が必要なやつだ

終わったら十二番隊に」

「わかった ありがとう」

「それと松本知らねぇか?」

 

あーまた脱走したんだ。一心が居なくなって、冬獅朗が隊長になってからたびたび乱菊が脱走するようになった。これだと葛籠も探し回ってるんだろうな。

 

「知らないなぁ………」

「ったくあいつ ありがとな」

 

そう言って走り去っていった。早く見つかるといいけど。根を詰めすぎるから休ませようとしてるんだろうけど乱菊、それじゃ逆効果だよ。

近いうちにお菓子持っていこう。

 

ルキアの極刑まであと一月…。それまでに一護がここに乗り込んでくる。それまでにできることはあまりない。

 

隊舎に戻ろうとしたところで白哉に会う。十四郎の話だと上に減刑を求めてたはず。

 

「…白哉」

「何だ?」

「ルキアは……」

「第一級重禍罪にてこれより二十五日の後に真央刑庭に於いて極刑に処すことになった」

 

その声はあまりにも冷たい響きを伴っていた。まるで、ルキアのことをなんとも思っていないように。目を見ても感情すら伝わってこない。彼がこんなにも感情がない筈がない。

 

「白哉……

……貴方何のためにルキアを養子にとったの?

貴方にとってのルキアは何だったの?」

「……あれは…………」

 

口を挟ませない。余計なこと言われたら何するかわからないから。

 

「貴族の遊び…とか言ったら許さない……

あの子がどれだけ苦しんでたか知ってる?

どれだけ悩んでいたか知ってる?」

「では聞こう 兄にとってのあれとは何だ」

 

ルキアの名前すら呼ばないのか。四十年以上共に暮らしてきたはずなのに…。けど、きっぱり言わせてもらう。私にとってのルキアは……。

 

「私にとってのルキアは娘であり 教え子」

「そうか…私にとってのあれは妹だ

例え死のうと殺されようと構わん関わるな」

 

その瞳は相変わらず…感情を映さない。

突き放された。何かが……切れた。別に今の位などどうでもいい。彼が、彼の心を押し潰すような事をしてたら彼も…彼に関わる人も辛いだけになる。

 

パンッ

 

乾いた音がする。白哉に平手打ちを食らわせた音だ。油断していたのか、わざとか綺麗に入った。羽織を掴む。

 

「……っ…貴方にルキアを妹と呼ぶ資格はない

その関係を家族とは言わせない……」

「…放せ」

 

あの日、ルキアと恋次を引き離し、友とも、家族と呼べる存在とも引き離してまで養子にしたのは一体何のためだったのか。手の届かない存在になってしまうことを分かっていて、幸せを願って送り出そうとしていた恋次の想いは何のために。

こんなことなら……

こんなことになるのだったら………。

 

「あの時信じて貴方に託した

こんなことならあの時無理やりにでも……

……止めておけばよかった……………」

「何故兄はそこまであれに肩入れする」

 

私は別にルキアにだけ肩入れしてる訳じゃない。教え子も、共に戦う皆も大切に思ってる。縁があるから出逢った。これが恋次でも、喜助でも同じ事をしてる。あの時、私が非番でなければ、流魂街に出ていなければ、手を伸ばしていなければ、ルキア達と出逢うことはなかった。白哉だって…山本先生が銀嶺を紹介してくれなければ、銀嶺が私を白哉の剣術の相手に選んでくれなければ、身分が違い過ぎて出逢うこと無くすれ違うだけの関係になっていたかもしれない。数々の奇跡が重なって縁を結んだ。歯車が一つでも違っていたらこの関係はがらりと変わっていただろう。

 

「ルキアだけじゃない…白哉も………………

皆大切に思ってる………幸せを願ってる……

あの子は貴方に歩み寄ろうとしてた

私や十四郎に貴方の好物や趣味を聞きに来たこともあった…

 

対称的に貴方はどんどん遠ざかっていった

それは何故だったのか私は知らない

掟に縛られてるのかもしれない

でももう考えるな…動け……動いてしまえ………

全て終わってから後悔するのは遅いから……

喪ってからでは遅いから………

心を圧し殺すな! 貴方の瞳はそんなにも感情を映さないものでは無いだろう!?」

「…」

 

白哉は何も言わぬまま私の手を振り払い、踵を返した。私はその場に立ち尽くし、日が暮れる様を見ていた。

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