大切な誰かへ   作:刹那の奏

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どうも作者その二のかまぼこです。
前回のキャラクターの中に原作で見覚えのないキャラがいたな~と思ったそこのあなた!正解です、私のオリジナルキャラクターです、因みにとあるキャラと関係があったりなかったり。詳しいことは後々明かされるのでお楽しみに~!
では本編をどーぞ。


三羽

あの事件から数十年経って喜助のことも真子達のことも知るものが少なくなった。あのあと、欠けた二、三、五、七、九、十二番隊隊長と副官、席官に新しい人が入った。あと白哉が六番隊隊長になった。

 

私もまた副隊長の話とか隊内の昇進の話があったりしたんだけど全部蹴ったので七席のままだ。ここまで着任拒否権を行使してるのって私くらいだろうな。行くとこ行くとこ理由を聞かれるんだけど、今のところ十一番隊の書類の大半を捌いてるのが私だからとしか言いようがないのだ。

 

この隊は、良くも悪くも好戦的な人が多いと同時に書類仕事が苦手な人が多い。なのに修繕関係の書類が多いから量は他の隊よりも多い。だから、私が抜けるとたちまち書類が溜まる。何年か前、霊術院の現世実習で(ホロウ)と鉢合わせて大怪我した生徒がいて、それに付き添い二日ほど隊を休んだのだが、帰ってきたら……自室が書類で埋まっていた。

 

時期も悪かった。通常の書類と院生の筆記テストの採点も重なっていて、五日完徹したところで卯の花隊長にストップをかけられて、春水と海燕が書類を引き受けてくれた。その時も、一部の隊士しか手伝ってくれなかった。他の隊士は私がろくに戦わないのに七席に居るのが不満らしくほぼ毎日、斬りかかってくる隊士から書類を守りながら処理する。本当に何で、七席に居るのか不思議でならない。

 

とにかく今でさえ処理しきれて無くて滞っている時のある書類をこれ以上滞らせる訳にもいかないので他の隊の副隊長はやれない。えっ、じゃあなんで隊内の昇進も蹴ったのかって?

昇進すると今以上に書類が増えるからが半分、若い人に席を譲りたいのが半分だ。それにまだ………。

 

今日、明日、明後日は、珍しく非番なので流魂街に出ている。たまたま私の年単位で休みのない出勤簿を見た十四朗が顔色変えて、更木隊長に直談判したらしい。私も休みがなかったなんて言われてからはじめて気づいた。

 

ポッカリ出来てしまった休日に行く宛もなく歩いている…走っているに近いかもしれない…と78地区戌吊まで来てしまった。目の前では大男が鎌を持って少年四人を追いかけ回している。子供達が持っているものは、採ったものか盗ったものか。大男が物騒なことを言い出したのでとりあえず止めに行くか。と思っているといつの間にか裏路地から出てきた少女が男を転ばしてしまった。それに安心して子供達の動きが止まる。

男は跳ね起き鎌を子供の首に押し付けようとした。子供達は気づいてない。でも、そんなことはさせない。

 

『塞』

 

動きを止めて鎌を手から払い落とし、一瞬で意識を刈り取る。道の真ん中に転がしてても邪魔なので、道の端に寄せる。

 

そこまでやると少年達のリーダーなのであろう赤毛の子が出て来て言う。

 

「乱入者と……死神様か?お前ら誰だよ」

 

どうやら割って入った少女も知らない子だったらしい。周囲の視線の数が増えてる。聞きたいことは沢山あるが、移動するのが先のようだ。

 

「とにかく移動しよう

ここじゃ落ち着いて話もできない」

 

そう言うと少女がこっちだついてこいと言って走り出す。ついたのは見晴らしのよい崖だった。彼女はこの辺を拠点にしていると話していた。落ち着いたところで自己紹介をしていく。

 

「私は一条とき

姿を見れば分かると思うけど死神だ

ついでに霊術院の先生もやってる

ここへはたまたま通りかかっただけなんだけど…

これも何かの縁 よろしくね」

 

「ルキアだ よろしくたのむ」

 

「レンジだ さっきはありがとよ」

「カンだよ 危ないところをありがとう」

「俺はユウってんだ 礼を言うぜ」

「ツキだ ありがとう」

 

上から順に私、少女、赤毛の子、おっきい子、細身の子、テンパの子だ。後で水は大男が盗んだものを盗んだのだと聞いた。基本的に流魂街では地区の番号が大きくなるほど治安が悪くなる。盗まなければ生きて行けない、そんななかで生きてきたのだと彼らは話してくれた。私は聞いてみる。

 

「ねぇ君達護身術覚えてみない?

あと狩りの仕方とか」

「やる!」

 

言った瞬間の少年達の食い付きが凄くて、驚いた。そこから二日間は、道具の使い方、弓の作り方、狩りの仕方、人体の急所とそれを狙う方法、急所を狙った攻撃を防ぐ方法も教えた。あと二人一組の組み手の練習方法もだったな。今は動く的を射ることが出来るように練習している。

 

「あーレンちゃんまたはずしたー」

「これも当てられんのか」

「うっせー」

 

どうやら獲物に掠めただけらしい。そう言うルキアも別の獲物を狙ってはずしてしまった。

 

「オメーも当てられてねぇーじゃんか」

「うるさい!」

 

この二人は弓は苦手なようで、組み手の方が得意なようだ。逆にカンとツキが弓は得意で組み手が苦手。意外だったのはユウがどちらも器用にこなすことだった。

 

彼らの吸収力は凄くて驚かされた。霊術院の一回生より筋がいい気がする。彼らと組み手をしていて、強くなりたいとかそんな感じのことが伝わってくる。命がけの日々がそうさせたのか、新しいことを覚えたことがそうさせたのか、分からないけどこの出会いは奇蹟だ。それだけは断言できる。

 

…とそろそろレンジとルキアの二人を止めないとな。このままじゃただの殴り合いになってしまう。

 

「そこまで

そろそろご飯にしようか」

 

捕った獲物は血を抜いて拠点に持っていく。手早く解体して、お湯に入れ簡単な汁を作る。本当はキノコとか入れたいけど、私は毒キノコかそうでないか判別出来ないから食べないように言ってある。せめて調味料が欲しい。今度来れる時があったら持ってこよう。

 

「いただきます」

 

皆揃って言う。食べながら私は、告げる。

 

「ルキア、レンジ、ツキ、ユウ、カン

私は今日瀞霊廷に帰らないといけない

だから…」

「帰っちゃうのか?」

「まだ教わりたいことがあるのに」

 

皆から袖を掴まれてしまった。うっ、その目で見られると弱い。かといって、あっちに連れてっても私は隊舎で寝泊まりしてるからなぁ。住まわせる場所がない。院生として霊術院に入れるというのも考えた。でも、現役の私が言うのもあれだが、あんな仕事をさせたくはない。彼らが、行きたいと言ったらそのための勉強は教えてあげよう。

 

「…じゃあこうしよう 次の休みがいつなのか分からないけど 休みの日にまた来る

だからそれまでの別れだ」

「わかったよ」

「約束だからな」

「必ずだからな」

 

皆から念押しされた。そんなに信用がないのか私は。

 

「ええ必ず会いに来るよ」

「ほんとだな」

「約束だ 私は約束は破らない」

 

そこまで言って漸く安心したのか袖を話してくれた。

 

「じゃあ皆も私に約束してくれる?

君達はこの辺の人を倒せるくらいの力を持った

 

力を持つとそれを振りかざしたくなるときがあるかもしれない…でも…

私は君達自身と………君達がいつか守りたい人が出来た時

その人も守れるように力の使い方を教えた

だから忘れないで…

力は命を簡単に奪うことが出来る

よく考えながら使いなさい

でも目の前で力なき人が危ない目にあっていたらその時は迷わず使いなさい」

「あのときのときさんみたいにだな

わかったぞ」

「約束する」

 

この二日間で更に皆逞しくなったな。私も頑張らないと。食事も終わり、別れを済ませて隊舎に戻る。

あー、十四朗とかが引き受けてくれてたんだろうけど書類たまってるんだろうな。

 

 


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