夜、満天の星空の下で。
大和は裸一貫で天然温泉にやってきていた。
鼻唄を交えており、上機嫌な事が伺える。
彼は頭から湯を浴びながら思う。
(一週間はかかると思っていたが……マジで天才だったな。将来「天下五剣」に必ず名を連ねるだろう。……師匠として、鼻が高い)
弟子に対して格別の愛情を注ぐのが彼の理念である。
敵対しない限り、これからも可愛がるつもりでいた。
「……俺も、もう少し修業の量を増やすか」
そうぼやきながら身体を洗っていると、背後から戸の開く音がした。
振り返ると……湯煙の中から銀杏が現れた。
裸体で、その豊満な肢体を辛うじてタオルで隠している。
彼女は真っ赤な顔で告げた。
「あの……師匠! お背中を流させてください!」
「…………」
大和は少し考えた後、彼女に背を向ける。
「じゃ、頼むわ」
大和は鈍感ではない。
彼女の想いを少なからず察していた。
◆◆
銀杏は大和の背中を懸命に洗っていた。
ふと、呟く。
「師匠の背中……大きいです。傷痕も多い」
武の天才である銀杏だからこそわかる。
傷痕の一つ一つが想像を絶する修羅場を潜り抜けた証だと。
思わず撫でてしまう。
大和は呟いた。
「くすぐってぇぞ」
「も、申し訳ありません!」
顔を真っ赤にして作業に没頭する銀杏。
程なくして、大和は言った。
「ありがとな、もう十分だ」
立ち上がり、湯を浴びて温泉に浸かる。
そして振り返らずに告げた。
「すぐ出るからそこで待ってろ」
銀杏は目を丸めた。
大和はあくまで己を「弟子」と見ていた。
「女」として見ていない。
「~ッッ」
銀杏は頬を膨らませ、立ち上がる。
「お隣失礼しますっ!」
大和の隣にザブンと浸かった。
大和はやれやれと肩を竦めた。
◆◆
あくまで銀杏を見ない。
頭上で煌めく天の川を眺めながら、大和は言った。
「銀杏。お前は俺がどういう男か……噂で聞いてるだろう」
「……はい」
「お前は可愛い弟子だ。だがこれ以上は……言わなくてもわかるよな?」
「……はいっ、師匠っ」
銀杏は大和の逞しい腕に豊満な乳房を押し付ける。
視線を合わせると、彼女は今にも蕩けそうな表情をしていた。
大和はその薄桃色の唇を奪う。
銀杏は嬉々として受け止めた。
舌を絡ませ合い、唾液をのみあう。
熱い吐息が重なる中、95センチの乳房を掴まれ彼女は喘ぎ声をあげた。
可憐な声だった。
大和は言う。
「俺の女にするぞ。いいな?」
「はい……この身も心も、師匠のモノにしてください♡」
二名はこの時より師弟ではなく、男と女になった。
◆◆
幾日も交じりあった。
銀杏は大和の要望に全て応えた。
望外の快楽を染みつけられ、何度も絶頂を刻み込まれる。
屈強過ぎる肉体に抱かれる度に、銀杏は己が女である事を自覚した。
自ら腰を揺すり、果てる。
彼の女であれる事が、何よりも嬉しかった。
日が昇った頃……銀杏は息を切らしながら大和に寄り添っていた。
蕩けきった表情で、厚い胸板にキスの雨を降らせている。
彼女は囁いた。
「雄々しかったです……もう、貴方無しじゃ生きていけない♡」
「お前は俺の女だ、銀杏」
「……はいっ、大和さん♡」
銀杏は本当に嬉しそうに笑った。
◆◆
翌日、深夜。
大衆酒場ゲートで大和は酒を飲んでいた。
ネメアは久方ぶりに出会った友人に修業の成果を聞く。
「早かったな、どうだった」
「本来なら二日で終わってた」
「……お前が二日で免許皆伝をやったのか? 末恐ろしいな」
「ククク、将来絶対名を上げるぜ。師匠としちゃあ誉れ高い」
本当に嬉しそうに笑っている大和に、ネメアは藪から棒に問う。
「……あの子を弟子にとったのは、容姿狙いか?」
親友だからこそ聞ける内容だった。
大和は嗤う。
「俺は女好きの悪人だからなァ。そうかもしれねぇ」
「……そうか」
ネメアは微笑む。
大和が「こういう言い回し」をする時は、違う時だった。
《完》