Villain 〜その男、極悪につき〜   作:桒田レオ

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四話「師匠」

 

 

 夜、満天の星空の下で。

 大和は裸一貫で天然温泉にやってきていた。

 鼻唄を交えており、上機嫌な事が伺える。

 

 彼は頭から湯を浴びながら思う。

 

(一週間はかかると思っていたが……マジで天才だったな。将来「天下五剣」に必ず名を連ねるだろう。……師匠として、鼻が高い)

 

 弟子に対して格別の愛情を注ぐのが彼の理念である。

 敵対しない限り、これからも可愛がるつもりでいた。

 

「……俺も、もう少し修業の量を増やすか」

 

 そうぼやきながら身体を洗っていると、背後から戸の開く音がした。

 振り返ると……湯煙の中から銀杏が現れた。

 裸体で、その豊満な肢体を辛うじてタオルで隠している。

 

 彼女は真っ赤な顔で告げた。

 

「あの……師匠! お背中を流させてください!」

「…………」

 

 大和は少し考えた後、彼女に背を向ける。

 

「じゃ、頼むわ」

 

 大和は鈍感ではない。

 彼女の想いを少なからず察していた。

 

 

 ◆◆

 

 

 銀杏は大和の背中を懸命に洗っていた。

 ふと、呟く。

 

「師匠の背中……大きいです。傷痕も多い」

 

 武の天才である銀杏だからこそわかる。

 傷痕の一つ一つが想像を絶する修羅場を潜り抜けた証だと。

 思わず撫でてしまう。

 大和は呟いた。

 

「くすぐってぇぞ」

「も、申し訳ありません!」

 

 顔を真っ赤にして作業に没頭する銀杏。

 程なくして、大和は言った。

 

「ありがとな、もう十分だ」

 

 立ち上がり、湯を浴びて温泉に浸かる。

 そして振り返らずに告げた。

 

「すぐ出るからそこで待ってろ」

 

 銀杏は目を丸めた。

 大和はあくまで己を「弟子」と見ていた。

「女」として見ていない。

 

「~ッッ」

 

 銀杏は頬を膨らませ、立ち上がる。

 

「お隣失礼しますっ!」

 

 大和の隣にザブンと浸かった。

 大和はやれやれと肩を竦めた。

 

 

 ◆◆

 

 

 あくまで銀杏を見ない。

 頭上で煌めく天の川を眺めながら、大和は言った。

 

「銀杏。お前は俺がどういう男か……噂で聞いてるだろう」

「……はい」

「お前は可愛い弟子だ。だがこれ以上は……言わなくてもわかるよな?」

「……はいっ、師匠っ」

 

 銀杏は大和の逞しい腕に豊満な乳房を押し付ける。

 視線を合わせると、彼女は今にも蕩けそうな表情をしていた。

 

 大和はその薄桃色の唇を奪う。

 銀杏は嬉々として受け止めた。

 舌を絡ませ合い、唾液をのみあう。

 熱い吐息が重なる中、95センチの乳房を掴まれ彼女は喘ぎ声をあげた。

 可憐な声だった。

 

 大和は言う。

 

「俺の女にするぞ。いいな?」

「はい……この身も心も、師匠のモノにしてください♡」

 

 二名はこの時より師弟ではなく、男と女になった。

 

 

 ◆◆

 

 

 幾日も交じりあった。

 銀杏は大和の要望に全て応えた。

 望外の快楽を染みつけられ、何度も絶頂を刻み込まれる。

 屈強過ぎる肉体に抱かれる度に、銀杏は己が女である事を自覚した。

 

 自ら腰を揺すり、果てる。

 彼の女であれる事が、何よりも嬉しかった。

 

 日が昇った頃……銀杏は息を切らしながら大和に寄り添っていた。

 蕩けきった表情で、厚い胸板にキスの雨を降らせている。

 

 彼女は囁いた。

 

「雄々しかったです……もう、貴方無しじゃ生きていけない♡」

「お前は俺の女だ、銀杏」

「……はいっ、大和さん♡」

 

 銀杏は本当に嬉しそうに笑った。

 

 

 ◆◆

 

 

 翌日、深夜。

 大衆酒場ゲートで大和は酒を飲んでいた。

 

 ネメアは久方ぶりに出会った友人に修業の成果を聞く。

 

「早かったな、どうだった」

「本来なら二日で終わってた」

「……お前が二日で免許皆伝をやったのか? 末恐ろしいな」

「ククク、将来絶対名を上げるぜ。師匠としちゃあ誉れ高い」

 

 本当に嬉しそうに笑っている大和に、ネメアは藪から棒に問う。

 

「……あの子を弟子にとったのは、容姿狙いか?」

 

 親友だからこそ聞ける内容だった。

 大和は嗤う。

 

「俺は女好きの悪人だからなァ。そうかもしれねぇ」

「……そうか」

 

 ネメアは微笑む。

 大和が「こういう言い回し」をする時は、違う時だった。

 

 

《完》

 

 

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