同時刻、大衆酒場ゲートは完全に包囲されていた。
中央区を拠点にしている殺し屋、傭兵、賞金稼ぎがこれでもかと顔を揃えている。
その数、おおよそ300人。中にはそこそこ名の売れているAクラスも混じっている。
見えているだけでコレなのだ。隠れている、もしくは様子を伺っている者たちを併せれば500は優に越えるだろう。
現に、即興で立てられた魔界都市専用の掲示板はお祭騒ぎになっていた。コレはそのまま事の大きさを物語っている。
この場にいる面々は全員賞金目当てだった。『とある組織』が右乃助たちA級四天王、並びにニーナ・イスラエルとクレフに莫大な懸賞金をかけたのだ。
個人ごとの金額が既に掲示されており、総額はなんと100億を越えている。中でも右乃助とニーナには他メンバーより倍近くの懸賞金がかけられていた。
魔界都市において、Aクラスは大したものではない。
なんならそれ以上の化け物が平然とウロウロしている。
Aクラスはあくまで人間の常識に当てはまる程度の強さであり、本来なら狩ったところで多額の報酬は貰えない。
だが、今回は違う。
古参とは言え、Aクラスの用心棒とその一同を殺すだけで100億も貰えるのだ。この場にいる全員で山分けしてもお釣りが出てしまうほどの金額である。
前線に出ている者たちの士気は高かった。
皆一様に「まだか」「まだか」とウズウズしている。
しかし、情報収集組は情報屋ともども苦慮していた。
最低限の情報しか仕入れられない。
今のところわかっているのは各々の人種と容姿、性別くらいか……。
今欲しいのはニーナ・イスラエルに関する情報と右乃助たちのこれからの動向なのだが……全くわからない。
デスシティでも指折りの情報屋の力が求められていた。
しかし一人は「有給」休暇で異世界旅行中、もう一人は大和が直接「甘い言葉」でストップをかけている。
最後の一人、ミケは右乃助側についた。
実に手際のいい事である。
攻めはじめは右乃助なので、襲撃者たちはどうしても後手に回ってしまう。
少しでも隙があれば付け入る事ができるのがデスシティの住民なのだが……今回はできないでいた。
右乃助もまたデスシティの住民だ。下手は打たない。
このあたり、プロの意識の高さが伺える。
一方、魔術師や魔法使い達も大衆酒場ゲートに展開されている結界にお手上げ状態だった。
ゲート周辺は最早神域の顕現……神々の領土そのもの。
現世の者たちでは干渉できない。結界の強度、加護の密度、全てが段違いだった。
悪戦苦闘している魔術師や魔法使いたち。
その中から一人の女性? が手を挙げる。紺色の厚めのローブを着ている彼女は、マイペースに告げた。
「ちょっと席を外すけど、いい?」
「……この場面で、どういうつもりだ?」
一人の魔法使いが怒気を滲ませるものの、彼女は呆れた風に両手を広げた。
「お手洗いよ。全く、デリカシーがないわね」
「……さっさと済ませてこい」
「はーい」
適当にその場を離れる。
暫くして、彼女は監視の目がないかを確認した。ないとわがった瞬間、迷う事なく迷彩魔法を発動して現場を離れる。
「あーあー、馬鹿らしい。あの時点で気付きなさいよ。アイツら全員死んだわね……もう顔を見ることもないでしょう」
彼女は魔女らしい箒に横乗りになると、魔界都市の摩天楼を横断した。
冷たくも血生臭い風が頬を撫でる。
「森羅万象の流れを感じて、読み取るのが私達魔法使い……なのに何ででしょうね? アイツらがあの場の流れを読み取れないのは」
フードが風で取れる。
紺色と水色の入り交じった特徴的なミディアムヘア、そして幼さの残る美少女の顔が現れた。
彼女は魔界都市の情景を眺めながら囁く。
「そう……皆馬鹿になっちゃうのよ。この都市の瘴気にあてられて。……生き残るのは力が強い奴じゃない、心が強い奴。私は、自分の分相応を理解している」
彼女、マリンは中央区の大通りを迂回して今回の騒動とは正反対に位置しているだろう方向へと向かった。
ふと下を見ると同じ様な連中が何名もいたので、彼女は思わず苦笑をこぼした。
◆◆
焦りと不満が一帯を支配しはじめる。
そんな時だ。ウェスタンドアを開いてゲートから「ある男」が現れたのは……
「おー、スゲェな」
純白のスーツに厳の如き体躯、傷だらけの顔にサングラスをかけた男……右乃助である。
彼はゲートに張られた結界の境界線を見極めながら、周辺を見渡した。
「かなりの数が集まってるな……成る程、成る程」
右乃助は顎を擦りながら一歩踏み出す。
「しっかし、テメェらみてぇな雑魚に手間取っているようじゃあこの先生き残れねぇ。とっとと片付けちまうぜ」
青色の闘気を漲らせ、もう一歩踏み出す。
瞬間だ、無慈悲な業火が右乃助を包み込んだのは……
立て続けに現れる紅蓮の焔。周囲一帯を焼き尽くしながら天高くへと昇っていく。
魔法使い、魔術師たちによる対軍用魔法だ。
個人に使用するものではない。明らかにオーバーキルである。
魔法使いを代表して、壮年の男が吠えた。
「魔術師一同は対軍魔法を継続! 魔法使いは対象が消し炭になる前に脳から情報を盗み出せ! 前衛の者たちは襲撃に備えて待機! 狙撃、迎撃組も同じく! 協力してくれ! すぐに終わる!」
最初こそ渋い顔をしていた殺し屋や傭兵たちだが、一応納得して静観の姿勢をとる。
壮年の魔法使いは対軍魔法が継続されている事を確認しつつ、魔法使いたちに聞いた。
「どうだ? 情報を盗み出せたか……!?」
魔法使い達は発狂していた。
悲鳴を上げてのたうち回る者、泡を噴いて気絶する者、精神崩壊を起こして廃人と化す者など……皆一様に壊れてしまっている。
何故か? 魔術師の上位、魔法使いである彼等が何故、壊されてしまったのか?
その理由は、紅蓮の炎を掻い潜って出てきた「右乃助」にあった。
真紅のマントが靡く。
極限まで鍛え込まれた褐色の肉体には火傷一つない。
彼……「右乃助」はギザ歯を剥いて嗤った。
「どーも、右乃助です♪」
壮年の魔法使いは思わず叫ぶ。
「世界最強の殺し屋、大和……!! そうか、他の魔法使いはお前の深層心理を覗いたから……!!」
「最後まで俺だと気付かなかったな。流石、アラクネの変装術式だ……で? 俺の深層心理を覗いた奴等は全滅か……情けねぇ。お前ら本当に魔法使いかよ」
「っ」
「まぁ、此処で生計立ててる時点で二流か。わりぃわりぃ」
「この……っっ、舐めるなよ殺し屋風情がぁ!!」
その言葉に、大和は酷薄な笑みを浮かべた。
「舐めてるのはどっちだ? 馬鹿野郎が……」
赤柄巻きの大太刀にそっと手が添えられる。
『
それは戦国時代の大剣豪であり一刀流の開祖、伊東一刀斎の奥義を自己流に改良したもの。
本来は無念無想の魔剣……抜刀、斬撃、納刀の一工程を自他共に認識させずに行ってしまう絶技だが、大和はこれを己の技として昇華させていた。
その内容は意識のパスを通して放つ「殺意」の魔剣。
自身に敵意を向けた存在、自身の敵意に反応した存在……総じて殺気に関連づいた存在を一瞬で斬り捨てる。
本来なら放てるだけで天下五剣に認定されるような絶技を気軽に放てるからこそ、世界最強の武術家であり殺し屋なのだ。
「地獄に行ったら俺に殺されたって自慢しな」
傲慢不遜に嘯く。
300人弱を斬り殺した大和は、一度納刀した大太刀を再度抜き放ち、蜻蛉の構えをとった。
刀身に莫大な闘気を込めはじめる。
紅蓮の輝きを放つ生命エネルギーは有形無形関係なく一切合切消滅させる滅の絶剣……
『雷光剣』
極太の光柱が中央区を両断する。
同時に大衆酒場ゲートから右乃助たちが飛び出てきた。
大和は大太刀を担いで叫ぶ。
「行ってこいテメェら! この世界に、楔を打ってこい!」
大和からの声援を受け、右乃助たちは駆けていった。
もう見えなくなりそうな背中たちを、大和は柔らかい眼差しで見送った。
◆◆
一方その頃、北区の繁華街から逸れた空き道で……
「HAHAHA! そうかい! 大和の旦那たちが……予想通りだ! ……ああ、OK。当初の作戦通り、指定時刻まで時間を稼げ。なんなら下っ端の構成員どもを使い潰していい。……ふぅん、そうかい。いいねぇ……賞金目当ての馬鹿どもはとことん使い潰せ! どーせ皆死ぬんだ! MONEYも糞もねぇ! HAHAHA!!」
呵々大笑しているのは一目でギャングだとわかる厳つい大男。
サイドにそり込みを入れた金髪。欧米人らしい彫りの深い顔立ち。鍛え抜かれた肉体は二メートルを優に超え、漆黒のタンクトップから覗く屈強な腕には髑髏の刺繍が彫り込まれいた。背中にまで至っているだろう。
見るからに狂暴そうな男は、訛りのある英語で話し続ける。
「そう、今のところプランBだ。俺達も準備を整える。いいか? 絶対に目を離すなよ。追って連絡する」
どのような環境下、異世界でも機能する超高性トランシーバーをしまって彼……マイクは肩を竦めた。
「っと……時間も決まってるし、さっさと交渉するか」
そう言ってマイクはとある一軒家を見上げる。
北区の片隅にある豪勢な家だ。家主は中々の実力者なのだろう。こんなもの、本来デスシティの北区には建てられない。
マイクは家主の許可無く敷地に入り、インターホンを押さずに玄関を開けた。無礼極まりない行動だが、既に家主は「死んいる」ので無礼も糞もない。
異臭が鼻をつく。
血と糞と内臓が入り交じった、生の死体の臭いだ。
マイクは小棚に飾られている家族写真と、その横に磔にされている家主の男を見つめる。
彼はAクラスの用心棒。美しい妻を持ち、可愛い一人娘を溺愛し、ここ魔界都市で仁義を貫き通していた漢である。
それが今やこの有り様……全身の皮を剥がされ、腹から内臓を無理矢理抉り出されている。
マイクは血で汚れた家族写真を手に取った。
美しい奥さんと可愛らしい娘さんに抱きつかれ、精悍な男が柔らかい笑みをこぼしている。
マイクは鼻で笑ってソレを投げ捨てた。
ガラスケースは割れ、写真は床に散らばった内臓に浸っていく。
マイクは嫌悪感を露にして吐き捨てた。
「Mother Fucker……いい気味だぜ。前々から気に食わなかったんだ。なーにが仁義だ、くだらねぇ……ンなもん掲げんなら最初から表世界で働けっての」
ペッと、皮の剥げた顔に唾を吐きつける。
ふと、マイクは死体とは別の臭いを嗅ぎとった。
とんでもなく嫌そうな顔をすると、玄関を開けて換気する。
それでもまだ足りないのか、外に出て煙草を咥えた。
「HEY、カイン、アベル!! テメェら何時まで楽しんでんだ!! 返事しろ!! この鬼畜ペドフィリアに熟女好きのDV野郎共が!!」
これでもかと汚い言葉が炸裂した。先程のMother Fuckerが綺麗に思えるくらいだ。
マイクが二階の窓を睨み付けると、二人組の男が現れた。
二人とも同じメーカーの煙草を咥えていた。
一人は長髪に眼鏡をかけた知的なイケメン。もう一人は短髪のワイルドなイケメン。
兄弟なのだろう、二人とも銀髪で、顔の造形も似通っている。
彼等は互いに煙草の火を付け合いながら返事をした。
「お疲れ、マイクさん。こっらも丁度、「楽しみ」を終えたところだ」
「中々イイ仕事だったぜ。やっぱりルプトゥラ・ギャングから貰う仕事にハズレはねぇな」
長髪で眼鏡をかけているのが兄、カイン。短髪で粗野な口調なのが弟アベル。
二人揃ってAクラスの殺し屋だ。そして、知る人ぞ知る変態である。
まるで魔界都市の業が擬人化したかの様な存在だった。
兄のカインは重度のロリコン……10代以上の女に性的興奮を抱けない。弟のアベルはサディストであり、女に暴力を振るいながらでないと性交できない。
どちらも異常性癖の持ち主だ。
今回の被害者は家主の美しい妻と可憐な娘……マイクからは見えないが、二階の部屋は酷い有り様だった。
ベッドには血塗れたスーツにくるまったまま息絶えている妻が、床には液まみれの状態で精神崩壊を起こしている娘が横たわっている。
マイクは眉ねをひそめながら告げた。
「スッキリしたかよ? ったく変態どもが……。仕事の時間だ、準備はできてるな?」
「勿論。しかしこう立て続けに依頼をこなすんだ、それなりに依頼料は弾ませて貰う」
「兄貴の言う通りだ。最低でも三千万×2の六千万……更に、俺達の性癖に合う女を準備して貰う」
「兄貴のほうはコレを好きにしていい。弟のほうは適当に見繕う」
そう言ってマイクはカインに写真を弾き飛ばした。
カインはそれを受け取り確認する。
すると、魔物の様な笑みを浮かべた。
ニーナ・イスラエルの顔写真である。
「素晴しい……極上の獲物だ。名前は?」
「ニーナ・イスラエル。今回の最重要抹殺対象だ。最終的には殺すが、捕まえられればお前の自由にしていい」
「受けるよ、マイクさん。……やっぱりアンタからの依頼にハズレはない……ククク、ニーナちゃんか。たまらんなァ」
カインはニーナの顔写真をベロリと舐め上げる。
マイクも、そして弟のアベルも、内心ドン引きしていた。
アベルは兄から視線を外すと、マイクに告げる。
「そんじゃ、俺達は指定されたポイントに向かう。何かあればまた連絡をくれ」
「OK。ターゲットの情報や戦況はリアルタイムで伝える。携帯端末から目を離すなよ?」
「あいよ」
「そんじゃ、期待してるぜ」
手を挙げて去っていくマイク。
彼は、着実に右乃助たちを追い詰める手札を揃えていた。
◆◆
マイク。本名「マイク・ベルナルド」。
五大犯罪シンジケートの一角、ルプトゥラ・ギャングの大幹部であり、武闘派集団を纏め上げているカリスマだ。
元々はアメリカ合衆国の陸軍少尉「兼」特殊暗殺部隊の隊長。しかしその殺しの腕前と狡猾さ、何より内に秘めた凶暴性をルプトゥラ・ギャングの頭目に見初められ、所属していた部隊ごと身元を買われた。
その後は魔界都市で才能を開花させ、今や知る人ぞ知るギャングの代表的人物になっている。武闘派でありながら政治・経済方面にも明るく、頭目からは絶大な信頼を寄せられていた。
武闘派なだけあり、戦闘力は折り紙つき。
推定ランクは驚異のSS……
表世界の住民では絶対に勝てない。彼は超越者であり、人智を逸脱した魔人だ。その気になれば悪魔だろうが鬼神だろうが倒せてしまう。
彼は「ルプトゥラ・ギャング」からの代表者だった。
数いる襲撃者の内の一人である。
マイクは煙草を咥えながら裏路地を出た。トランシーバーを耳に当てながら、紫煙を吐き出す。
「おう、俺だ。……ああ、そうか、わかった。中央区の大衆酒場ゲートから魔道機関車の線路沿いだな。OK……大方予想通りだ。お前らはそのまま監視を継続しろ。5分後、標的と接触する。各々隊形を乱さず、些細な事でも即報告だ。以上」
軍人時代からの部下と情報共有し、マイクはトランシーバーを切る。
北区の繁華街へと出た彼の眼前に、二名の男女が現れた。
彼等は対照的な態度を見せる。
「ちょっと! 遅いわよ! 駒集めにどんだけ時間かかってんのよ!」
「…………」
騒いでいるのは癖のある金髪を腰まで伸ばしたロリっ子。
褐色肌にゴスロリ服を着ているので、真っ黒な容貌をしている。
しかし棘のある態度でも損なわない神域の美貌、時折覗かせる八重歯はどこか可愛らしい。
彼女はカツカツと苛立ち気にハイヒールを鳴らしていた。
もう片方は異様な雰囲気を醸し出す侍風の大男。
マイクと並んでも大差ない体躯。紫色の浴衣は何故か所々破けていた。まるで刃物にでも切り刻まれたかのような……。
侍風というだけあり、腰には刀どころか武器一つ帯びていない。
無精ひげを生やしている顔は厳かで、黒髪は乱雑に縛って後ろに流してある。
彼は生気のない瞳でマイクを一瞥した。
当のマイクは褐色ロリに対して嫌そうな顔をする。
「ギャーギャーうるせぇよ、イフリート。遅刻したわけじゃねぇだろう」
「誠意の問題よ! アンタ、アタシを呼んでおいてこの対応……何様のつもり!?」
「俺様のつもり」
「キーッ!! 憎たらしい!! ルプトゥラ・ギャングとの契約が無ければアンタなんて消し炭よ!! け・し・ず・み!!」
「うるせ、この面食い火の粉ロリが」
「はぁぁ!!? 面食いで何が悪いワケ!? いーじゃない面食いで!! 性格とかどーでもいいのよ!! 顔さえ良ければ全てよし!! ついでに体もイケメンでチ○コでかければ最高だわ!!」
「誰も聞いてねぇよンなこと……ほーれほれ、お前が懸想してる大和の旦那のプレミアム動画だぞ~。この間飲みに行った時の動画だ。酔った時の爽やかな笑顔つき~」
「ちょ!!? 何よそれ!! よこしなさいよ!! アンタほんといいご身分ね!? いいからよ・こ・し・な・さ・い・よ~!!」
飛び跳ねてマイクのスマホを取ろうとするイフリート。
しかし身長150センチではジャンプしても届かない。
いよいよ暴れだしそうになったイフリートに対して、マイクは冷たく告げた。
「この動画はそれ相応の働きをした時のBONUSだ。お前には月一で契約金を払ってて、プラス今回の報酬も前払いしてる。……これ以上はサービスできないね」
「……チッ、わかったわよ。でも約束は守りなさいよ」
納得しつつもフンと顔を背けるイフリート。
マイクはやれやれと肩を竦めつつ、もう片方の男に謝った。
「Sorry、
「…………」
狂十郎は軽く首を横に振って意思表示する。
マイクは彼の肩を叩きながら前へ出た。
「んじゃ、行くか。お前らには期待してるぜ。なにせ異端審問会と、第三帝国ネオナチスからの依頼だ。内容は右乃助の兄貴とニーナ・イスラエルの捕縛、ないし抹殺」
「はいはい、カッコつけてないでさっさと行くわよ」
「あークソ、FUCK。狂十郎だけ呼べばよかったぜ」
炎の精霊王、イフリート。推定ランクSS。
狂剣士、狂十郎。推定ランクSS。
右乃助たちを追う面子「だけ」でコレだ。
ルプトゥラ・ギャングに異端審問会、そして第三帝国ネオナチス……
大和たちが味方だから楽勝……とはいかない。
この案件に対して三つの勢力が本気になっていた。
右乃助の想い、そしてニーナの決意を、強大な悪意が蹂躙しようとしていた。