Villain 〜その男、極悪につき〜   作:桒田レオ

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十話「託す」

 

 

 右之助達を取り巻く妖魔達の包囲網がぐぅと縮まる。

 数え切れないほどの無数の眼球がグルリグルリとあらゆる方向に回る。

 何十本という腕がガサガサと蠢き、蛇体や触手が辺りを這いずり回る。

 数百の女の顔が微笑を浮かべ、腐敗した巨人が全身から瘴気を噴き出す。

 ギィともグォォともつかぬ異様な奇声が発せられた。

 

 強大でおぞましい妖魔など、デスシティにはいくらでもいる。

 だが、那羅柯山脈の妖魔たちは格が違った。

 

 皮膚の下を無数の蛇が這う様な不快感……『邪視』とも言える腐敗毒を纏った視線。

 見つめられただけでこれなのだ。

 もしも直接触れられでもしたら……

 

 香月が片膝をつく。

 腰の刀に手をかけようとしているが、全身が金縛りにあい動けない。

 平衡感覚も狂わされており、立ち上がる事すらできないでいた。

 

 アモールは乱杭歯を剥き出しにしていた。自らの血と葛藤しているのだ。

 目の前の右之助の喉笛を食い破り、熱い血潮を舐め取りたいという吸血欲が刺激されている。

 

 血が、真っ赤な血が欲しい──

 絶対にダメ!! と、握り締めた拳から血がふき出る。

 

 周囲の妖魔達は何もしていない。

 ただ三名を見つめているだけだ。

 超越者たるもの、身に纏う気だけで相手を圧倒できてしまう。

 姿形は違えど、彼等もまた理を超越した存在……

 

 右之助はサングラスの下で固く目を閉じていた。

 右手首の切断面は闘気で止血できているものの、先程の投擲のせいで回復までできていない。

 

 頬に冷や汗が伝う。

 

 何もできない。打つ手がない。

 万事休すか…………

 

 右乃助は香月とアモールを抱き寄せた。

 アモールは反発したが、右乃助は彼女に血を吸われる覚悟で胸元に寄せる。

 

 右乃助は最期に周囲の妖魔たちを睨み付けた。

 それが、今できる最後の抵抗だった。

 

 そんな時である。何処からともなく声が響いたのは……

 

「静まれ。礼儀を失するでない。……仮にも英雄だった者達、品位まで損うつもりか」

 

 その声には確かな気品があった。

 同時に途轍もない圧力が込められている。

 さしもの那羅柯山脈の妖魔達も邪気を潜めた。

 

 右乃助は目を見開く。

 

「まさか……アンタが助けてくれるのか」

「意外か? 人の用心棒」

「いや……助かったよ。ありがとう」

 

 右乃助は心の底から礼を言う。

 彼女は、那羅柯山脈の支配者だった。

 

 

 ◆◆

 

 

 ロングシガレットケースを優美に蒸している、妖艶な美女。

 びしょ濡れの和服姿が扇情的だ。

 肩を大きく露出させており、濡れた長髪が肌に纏わり付いている。

 しかしその半顔はケロイド状で、額からは透明な角……否、触角が生えている。

 内部で膨れたり萎んだりと脈動を繰り返していた。

 着物の隙間からは百足や蛸の触手、ナメクジ、蛭がゾロゾロと溢れ出てきている。

 なんと、これら全てが美女の身体から発生しているのだ。

 

 奈落姫(ならくひめ)

 死にもできず名前すら忘れられた英雄偉人たちを統べる、神話の時代から生きる生粋の魔王。

 

 彼女の顕現は、即ち右乃助たちの今後の生死が決まるという事だった。

 

 右乃助はまず謝罪する。

 

「すまねぇ、本来なら静かに此処を通るつもりだったんだ。アンタ達に迷惑をかけるつもりはなかった」

「知っておる。先程の爆発……アレはソロモンの指輪だろう? 全く、あの糞餓鬼め……」

 

 忌々しげに呟く奈落姫。

 しかし次に表情を和らげ、右乃助に礼を言った。

 

「感謝する。あんなものを展開されていたら負傷者が出ていたやもしれん。お主の気転で助かったぞ」

「いや、それは……」

「謙遜するでない。一部始終は見ていた」

「……」

 

 黙る右乃助。

 奈落姫は紫煙を吐き出し、車両の下を見つめる。

 

「イスラエルの末裔か……ふぅむ、難儀なものを護っているな」

「それが、今回の仕事なんだ」

「……ふむ」

 

 奈落姫は一考すると、右乃助たちを見つめる。

 そしてなんと、最上級の加護を付与してやった。

 

「これは……っ」

「我々の加護だ。まだ続くその旅のささやかな助けになるだろう……ついでに尽きかけていた加護も補填しておいたぞ」

「何で、そこまで……」

 

 奈落姫は微笑を浮かべる。

 

「お主らは我々を畏れず敬った。否……畏れはせど、礼を損なわなかった」

「…………」

「正しき対応だ。今人にしては珍しい。それに……」

 

 奈落姫は周囲を見渡す。

 右乃助たちも釣られて見渡した。

 

 先程まであれほど畏ろしかった妖魔たちが、今は大人しくなっている。

 否……喜んでいる?

 何に対して? 

 

 右乃助は車両の中の気配を探った。

 なんと、ニーナが祈りを捧げていたのだ。

 妖魔たちを想い、その安全を願っている。

 

 彼等の過去を知ったからこそ、その悲しみに共感しているのだ。

 

 驚いている右乃助に、奈落姫は笑いかける。

 

「心優しく、温かい祈りだ。久方振りだぞ、ここまで癒されたのは……」

「……」

「護り人よ。彼女を護ってやってくれ。……決して、此処にいる者達の様にならぬよう」

 

 右乃助は数瞬置いて、力強く頷く。

 その時、一瞬だけだが怪異たちの本来の姿が見れた気がした。

 凛々しく、逞しい英雄たち……

 誰よりも優しくて気高い、それ故に堕ちてしまった超越者たち……

 

「……わかった、約束する。今回は本当にありがとう」

「フフ……さぁ、ゆけ。次代を担う者達よ。背中は我々が押す」

 

 奇跡が起こった。

 右乃助一行は無事に那羅柯山脈を抜けれた。

 その土地に住まう、規格外の妖魔たちから祝福されながら……

 

 

 ◆◆

 

 

 那羅柯山脈を抜けて、魔道機関車の車内で。

 

「ほんっっっっと、マジで助かったわ右之助」

 

 魔道機関車の運転手である参碁は顔を真っ青にしながら礼を言った。

 パンジーとサーシュも苦笑いを浮かべている。

 

「よく頑張ったわねウノちゃん。正直、死を覚悟したわ」

「ウノちゃんの肝っ玉は特別製だね~♪」

 

 しかし、右乃助は首を横に振るう。

 

「今回は運が良かっただけだ。それに、俺だけじゃあどうしようもなかった」

 

 そう言って隣に寄り添うニーナの頭を撫でる。

 ニーナは子猫の様に目を細めた。

 

「ありがとうな。……お前を護るのが仕事なのに、護られちまった」

「っっ!」

 

 ニーナは両腕を上げる。

 そしてファイティングポーズを取り、シャドーボクシングをはじめた。

 拙い動きだが、見ていればわかる。

 

 自分も戦う、という意思表示だ。

 

 右乃助は付添人であるクレフと視線を合わせる。

 

「強いな、この子は」

「何を仰いますか、右乃助様のおかげですよ」

 

 ホホホと笑う彼を見て、右乃助はそうかと頷く。

 次に、休んでいる香月とアモールの肩を叩いた。

 

「迷惑をかけた。ありがとう、俺を護ってくれて」

「当然です。貴方は敬愛しているお人ですから」

「右乃助さんが死ぬ時は私も死ぬ時です」

 

 右乃助は苦笑して、彼女たちの頭を撫でわます。

 

「嬉しいぜ、男冥利に尽きる」

「師匠……!」

「右乃助さん……!」

 

 感涙している二人に背を向けて、右乃助は参碁に告げた。

 

「よっしゃあ! 参碁! このまま那羅柯山脈と南区を繋いでる橋を渡りきってくれ! もう大丈夫だ!」

「はぁ!? 何なんだよその自信は!! まだ追っ手は残ってるだろう!?」

 

 そう、まだ安心はできない。

 山場を一つ越えただけだ。

 まだ那羅柯山脈を抜けただけ……

 なのに何故か、右乃助は強気だった。

 

「流れは掴んだ!! 後はこの波に乗るだけだ!! さっきまで苦労した分……大逆転といこうじゃねぇか!!」

 

 右乃助は啖呵をきった。

 それは、自分達に敵対するあらゆる存在に向けての挑発だった。

 

「……あんま調子に乗るんじゃねぇよ、右乃助の兄貴。俺達を退けられたのも、那羅柯山脈を抜けられたのも、全部偶然だ。アンタらの旅はここで終わる」

 

 遠くから語りかけてきたのはルプトゥラ・ギャングの武闘派筆頭、マイク。

 彼は眉間に特大の皺を寄せていた。

 傍らにはイフリートと狂十郎が控えている。

 

 彼等は長大な橋の先の対岸で待ち構えていた。

 このままでは接触してしまう……

 

 しかし、右乃助は動揺していない。

 それどころか語り返してみせる。

 

「ほざくな。今までの出来事が偶然だと? ……違うね。お前らの慢心と俺達の悪足掻きが重なって生れた、必然だ」

「OK、なら終わらせてやるよ……Fuck You!!!!」

 

 マイクは中指を立てて術式を展開する。

 その逞しい腕に刻まれた髑髏の刺繍が暗く輝き、おぞましい邪気と共に悪魔たちが召喚された。

 

 四桁は優に越える大軍勢……

 マイクの習得している禁術の中でも一番強力なものだ。

 

 マイクの禁術は悪魔との契約で成り立っている。

 

 悪魔は世界的に有名な魔族。

 神話の時代には天使との大戦争「ハルマゲトン」を繰り広げている。

 その実態は東洋の鬼神、西洋の吸血鬼と同じくらい優れた魔族の頂上種。

 現代になり鬼神や吸血鬼が衰えていく一方、悪魔は「魔界」と呼ばれる別世界で繁栄を続けていた。

 弱肉強食の貴族社会制度を敷き、トップには絶大な力を誇る七大魔王が君臨している。

 

 彼等と契約を結び、相応の対価を支払う事で一部の異能権能を行使できる。

 魔術士や魔法使いがよく使う手法だ。

 

 マイクはそこから更に一歩踏み込んだもの……莫大な対価を支払う代わりに莫大な恩恵を得るという、ハイリスクハイリターンな手法だった。

 正に禁術──

 

 マイクは相応の対価を支払って魔界から悪魔の軍勢を召喚した。

 その代償、数十万人分の人間の魂。都市一つ分に匹敵する量だ。

 マイクは髑髏の刺繍に予め魂をストックしているのだが、それを全て使いきってしまった。

 

 用心深いマイクは最後までこの禁術を使わなかったが、ここまで来ればもう使うしかない。

 

 イフリートは極大な魔力を練り上げており、狂十郎も全身から禍々しい刃を生やしている。

 

 正面衝突は避けられない。

 戦えば勝ち目はない。

 だが、右乃助ははじめから戦う気などなかった。

 

「今更遅ぇよ」

 

 失笑する。

 彼には既に勝ち筋が見えていた。

 

 車両上に何かが乗る音が聞こえる。

 瞬間、大海原を彷彿とさせる爽やかな闘気が一帯を包み込んだ。

 あまりに密度に、来るとわかっていた面々も目を丸める。

 それほど別次元の存在が車両の上に居た。

 

「彼」は右乃助に問いかける。

 

「参上したぞ、兄弟子殿。俺が止めるべきは奴等か?」

「ああ、急な頼み事でわりい。……弱っちい兄弟子を助けてくれ」

「何を言う。貴殿の強さは心の強さ……俺は深く尊敬している」

 

 彼は黒帯を締め直す。

 そして鷹の様な鋭い眼を細めた。

 

「兄弟子殿が命を懸ける時は決まって誰かの為だ。……力を貸さぬ理由がない」

 

 厳かながらも温かい声音……

 

 遠くにいるマイクには「彼」が見えていた。

 だからこそ歯を噛み砕き、思いきり地面を蹴り飛ばす。

 

「クソッ!! クソクソッ!! クソがァッ!!!!」

「ちょ! どーしたのよマイク!? そんなにアイツがヤバいわけ!?」

 

 動揺しているイフリートに、マイクは忌々しげに告げる。

 

「アイツはカオル・ドオザカ……大和の旦那と対等に殴り合える、歴代でも最強クラスの四大魔拳だ」

「うっそぉ!!?」

 

 頓狂な声を上げるイフリート。

 

 年齢的には三十代前半ほどか……

 無駄な肉を一切削ぎ落した武術家として至高の肉体を青色の簡素な空手道着で包みこんでいる。

 綺麗な坊主頭に細い眉毛、鷹の目の様な鋭い眼。

 眉間にはヒビ割れているのではないかと思うほど深い皺が刻まれている。

 

 彼は名乗りを上げた。

 

堂坂薫(どうざか・かおる)、空手家だ。兄弟子にかわり、俺が相手をつとめよう」

 

 右乃助は参碁も連れて転移魔方陣で転移した。

 もぬけの殻になった魔道機関車……

 しかしマイクたちは見逃すしかない。

 

 大和と対等に殴り合える世界最強の空手家を、無視する事などできなかった。

 

 

 ◆◆

 

 

 一方、中央区と那羅柯山脈をわかつ黄泉の坂の前で。

 ネオナチスの歩兵師団は全戦力を投入していた。

 目の前の「怪物」を倒すために……

 

「成る程、闘気を極めた武術家たちによる部隊編成……アリだな」

 

 何がアリだ、とヴォルケンハインは内心悪態をつく。

 無敵と自負していた部隊編成がまるで通じていない。

 ……いいや、無効化されている。

 

 ありえない。

 あらゆる戦況を想定して編成した部隊の筈だ。

 対地、対空、対海、対異世界。

 対人、対軍、対魔、対霊、対獣、対神。

 どんな戦場でも、どんな相手でも、対応できる力を持っている筈だ。

 

 神や魔王が人間の軍勢を圧倒できるのは、隔絶した力の差があるから。

 格が違えば群は意味を無くす。

 逆を言えば、格が同じなら群は意味をなす。

 

 ならば……? 

 相手が圧倒的な格上だというのか? 

 

 それは無い。

 何故なら歩兵師団隊員は全員が闘気を極めた最高クラスの武術家だからだ。弱い者たちでもSSSクラスの実力を有する。

 

 魔王の率いる悪魔の大軍勢でも、神話群そのものでも、負ける気はしない。

 

 しかし今はどうだろうか? 

 負けてはいないが、勝ててもいない。

 

「足止めだけなら、テメェらくらい相手取れる」

 

 怪物は囁く。

 彼の言う通りだった。

 

 彼……大和は歩兵師団を一人で足止めしている。

 右手に十文字槍と脇差し四本を、左手に大太刀二本を、纏めて握っている。

 右肩には大弓を背負っていた。

 

 唯我独尊流。その真価……

 

 型に嵌まらず、武具兵器の性能を最大限発揮しながら、その相手にあった最善の戦い方を、その場で開発する。

 

 大和は既に歩兵師団に対する専用の武術を完成させていた。

 

 一見適当に見えるその武器選びが、全て歩兵師団を苦しませる要因となっている。

 

 十文字槍で薙ぎ払い、突き刺し、脇差し四本で隙をカバーする。

 絶対に回避できない攻撃も、脇差しを口に咥えたり脇に挟んだりして捌ききる。

 大太刀二本は膝や足指など、至るところに移動させて振るっていた。

 

 武術の達人でも全く予測がつかない。

 

 極め付きは肩に背負った大弓。

 これで遠方から狙撃してくる後方支援部隊を無力化している。

 飛んできた矢をそのまま掴んで撃ち返したり、隊員から奪った剣や槍を矢代わりにして飛ばしている。

 

 部隊の編成が乱れる。

 思うように戦えない。否、戦わせてくれない。

 

 ヴォルケンハインは思わず呟いた。

 

「……怪物め」

 

 その言葉は、ここにいる者全員が思っている事だった。

 常識が通用しない理不尽の権化が、目の前にいた。

 

 当の大和は明後日の方向を向いていた。

 超常的な聴覚で右之助たちの現状を理解したのだ。

 

「第一陣は抜けたか……その調子だ」

 

 笑う大和とは対照的に、隊員から事の顛末を聞いたヴォルケンハインは盛大な舌打ちをする。

 

「ギャングは所詮ギャングか……糞ほど役にも立たねぇ」

「言ってやるな。相手が悪い」

「たかだかAクラスの用心棒相手に苦戦してるんだぞ?」

 

 大和は吹き出した。

 

「ハッ! アイツの強さはランクじゃ測れねぇよ! 」

 

 大和はヴォルケンハインの背後に視線を向ける。

 丁度、援軍が到着したところだった。

 

 合計10000機もの無人戦闘機を引き連れてきた、旧人類が生み出した無敵のサイボーグ。

 

 百戦練磨の上位ドラゴン3000体を従わせてきた、邪龍王ヒュドラと双璧をなす最強の龍王。

 

「救難要請に応じた」

「今回の相手は黒鬼か……」

 

 暗銀の短髪と黄金の長髪がそれぞれ光を吸い込んで輝く。

 

 対神仏用終極兵器、ゴグ・マゴグ。

 魔龍王、ニーズヘッグ。

 

 空挺師団と機甲師団の大隊長の登場だ。

 大和はわざとらしく口笛を鳴らす。

 

 ヴォルケンハインは隣に控えている隊員に告げた。

 

「隊列を組み直せ。他の師団と波長を合わせろ。……俺も前線に出る」

「か、かしこまりましたっ」

 

 十字型の禍々しい魔槍を顕現させ、ヴォルケンハインは大和を睨み付ける。

 

「ネオナチスの誇る三大派閥が相手だ。大隊長も揃ってる……流石のお前でもキツイだろ?」

 

 ヴォルケンハインは莫大な紫色のオーラを迸らせる。

 その禍々しい闘気は成る程、世界最強の槍術家なだけはある。

 彼は優れた指揮官である以上に、世界最強の槍使いなのだ。

 

 大和は何時もの笑みを浮かべると、真紅の闘気を解放する。

 周辺に村正特製の武具兵器を突き立てて両手を広げた。

 

「かかってきなァ!! 本気モードだ!! 全員纏めて相手してやる!!」

 

 対するは第三帝国の最高戦力たち。

 押し寄せてくる大軍を前にして、大和はうっすらと笑った。

 

「……走り抜けろ、右乃助。戦うのは俺達に任せておけ。お前は最後まで走り続けろ」

 

 ゴグ・マゴグが繰り出してきた鉄拳を肘鉄で潰し、ニーズヘッグのミドルキックに同じミドルキックを重ねる。

 そしてヴォルケンハインの放った神速の突きを咥えた大太刀で受け止めた。

 

 大和は右乃助たちを信じていた。

 だからこそ、全力でネオナチの軍勢を止めにかかっていた。

 

 物語は中盤にさしかかる。

 右乃助たちの逃走劇は、ここからが本番だった。

 

 

 

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