Villain 〜その男、極悪につき〜   作:桒田レオ

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四話「闇、蠢く」

 

 歳不相応に豊満な乳房に、生々しい触手が伝った。

 まるで鰻の様に、ボディースーツの中で蠢き回る。

 

 薄暗い部屋の中で、百合は弄ばれていた。

 その形の良い尻を撫でる様に異物がのたうてば、彼女は顔を真っ赤にして震える。

 怒りと、それ以上の羞恥心を以て、百合は呟いた。

 

「クッ……殺せっ」

 

 その台詞を「甘美なり」と静聴する妖剣士が一名。

 全身から触手を生やした異形の男は、その奇顔を悦で歪ませた。

 

「好い、その反応が拙僧を昂らせる。もっと怒れ、恥じろ」

「ッッ」

 

 百合は唇を噛みしめる。

 そして舌に歯をかけた。

 自害しようとしたのだ。

 しかし妖剣士がソレを許さない。

 口に触手をねじ込み、舌をねぶる。

 

「……ッ、~~ッッ!!」

 

 深く口付けを交わされている様であり、百合は耐え難い悪寒を覚えた。

 触手の先端から、粘りのある液が溢れ出る。

 百合はソレを直に飲まされた。

 

 暴れるも、何十何百から成る触手の檻に体を拘束されている。

 恥辱と嫌悪で涙目になる百合の横顔を、妖剣士は本当に嬉しそうに眺めていた。

 彼は言う。

 

「拙僧の粘液は特別性でな、生存本能を直接刺激し、性欲を著しく高める。身体の感度も上がっている筈だ」

 

 妖剣士の眼前で、トロンと瞳を潤ませている百合がいた。

 しかし、その気概は未だ崩れていない。

 異常をきたした自身の肉体を必死に制御しようとしていた。

 

「無駄だ……ほぅれ」

 

 妖剣士の触手がボディースーツの中でのたうち回る。

 敏感になった乳房の先端を擦られ、百合は堪えきれず喘いだ。

 

「ひッ! あぅゥっ♪」

 

 百合は、驚愕で目を見開いた。

 今の声が自分の声だと到底信じられなかったのだ。

 妖剣士は涎を滴らせる。

 

「好い、好いぞ……その反応、余程自尊心が高いと見えた。じっくりねぶってやる」

「やめ、ろぉ!! んっ、あぁッ! アッ♪ やァァァァァ!!!」

 

 ボディースーツの中で触手が一斉に蠢く。

 百合は抗いきれず、総身を震わせて果ててしまった。

 

 

 ◆◆

 

 

 百合の痴態を存分に堪能した妖剣士は、月光が眩い屋上へとやって来た。

 背中に帯びた薙刀の如き太刀を右手に持つと、その場で深く一礼する。

 彼の目前には、それはそれは美しい人間が居た。

 

 ダブルスーツの上から純白のロングコートを羽織った絶世の美男。

 新雪の如き肌は触れれば崩れそうで、温和さを醸す糸目がその美貌を更に際立たせている。

 女にも見える絶世の美男は、月光を背に妖剣士に微笑んでみせた。

 

「愉しんでいる様で何より」

「ハッ」

 

 妖剣士は頭を下げ続ける。

 人外の剣客集団「斑鳩(いかるが)」を纏め上げる頭首、吹雪款月(ふぶき・かんげつ)

 彼に対し、妖剣士は心より忠誠を誓っていた。

 

 吹雪は微笑む。

 

「愛する──拙者達が成せるのはそれのみ。故に命を懸けて愉しむのだ。所詮、何時か果てる身……なれば、各々の方法で愛を紡ぐべき。──拙者は、貴殿の全てを許そう」

「勿体なきお言葉……ッ」

 

 吹雪款月──世界最強の剣士達『天下五剣』の一角を担う剣客である。

 

 彼が大和と対峙するような事があれば──互いに世界最強同士の戦いになる。

 しかし偶然が必然か──二人が合間見える時は刻一刻と近付いていた。

 

 

 ◆◆

 

 

 牡丹は淫らな舞を踊っていた。

 窓の外から流れてくる喧騒を、その可憐な喘ぎ声で打ち消す。

 薄暗い部屋の中で汗を弾かせ、男の上に跨っていた。

 

 最奥を貫かれると喘ぎ声が掠れる。

 熱で柔らかくなった肢体は、男の硬い筋肉によく馴染んだ。

 

 時に組み敷かれ、時に後ろから突かれ──

 濃密なキスを何度も交わられ、その顔は蕩けきっていた。

 

 彼女は女の悦びを刻み込まれてしまった。

 もう、この男無しでは生きていけない身体にされてしまった。

 

 日が上がり、また落ち──

 デスシティの喧騒が蘇った頃、牡丹は陶酔しきった表情で男の腕に抱きついていた。

 

 部屋に満ちる、汗と愛液の混じり合った淫靡な香り。

 それを男──大和が煙草の紫煙で塗り替える。

 

 布団で眠っている二人。

 牡丹は程よい大きさの胸を大和の腕に寄せ付け、囁いた。

 

「凄かったです……あんなの、初めて……っ」

「表世界じゃあ、あんなの味わえねぇだろう」

「はい……もう、貴方じゃなきゃ満足できない……っ♪」

 

 牡丹は甘い溜息を吐くと、大和に言う。

 

「ねぇ、大和様……一つ、お願いしてもいいですか?」

「何だ」

「……私の友人も、この都市に来ているんです。その子を是非、助けていただきたいんです」

「面倒くせぇな」

「顔も身体も優秀ですよ? それに……私とはまた違った性格の子です」

「……」

 

 大和は牡丹に三白眼を向ける。

 

「友達を売るのか?」

「人聞きが悪いですよぅ。命を助けて貰うのですから、身体で支払うのは当然です……百合ちゃんも、きっと満足してくれます。勿論、大和様も♪」

「……写真、あるか?」

「コレです」

 

 牡丹は準備していたのか、素早く写真を取り出す。

 大和は肩を竦めながら写真を見た。

 

 気の強そうな横顔。端正な顔立ちに歳不相応な肢体。

 大和はニタリと嗤った。

 

「……中々イイ女じゃねぇか」

「でしょう?」

「いいぜ。……でも、もう一度お前の身体を味わってからな」

「あっ♪ 大和様、駄目ですよぅ……百合ちゃんが、アぁんッ♡」

 

 大和は牡丹の首筋を甘噛みする。

 そうして彼女を味わい尽くした後、もう一人の魔忍──百合を捜しに行った。

 

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