Villain 〜その男、極悪につき〜   作:桒田レオ

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第十三章「死神伝」
一話「鎌の少女」


 

 

 世界は何時もそうだ。

 平和の裏には必ず闇が蠢いている。完璧な世界などありはしない。

 そう見えたとしても、見えない何処かで必ず泣いている者がいる。絶望している者がいる。

 悪──小さなものであれば、例えば苛め。大きいものであれば犯罪。

 

 大自然の法則に「悪」という言葉は無い。

 が、なまじ脳が発達した人間は余計な事を考え始める。

 正義か悪かで物事を判断し、大衆の総意を「正しい事」と可決する。

 爪牙を持たない変わりに知恵を持つが、その知恵が世界そのものを腐らせるとは気付かない。

 

 人間とは浅ましい生き物である。

 大多数の生命──いいや、同じ人間すらも食い潰さなければ生きていけないのだ。

 頂点捕食者は、あまりにその頭数を増やし過ぎた。

 本来であれば、地球という星をとっくの昔に食い潰している。

 

 そうならないのは、ある都市で総清算が行われているからだ。

 

 何故、フィクションの存在がこうも明確に世界で認知されているのか。

 何故、人類の成長が世間がこれほどまでに緩やかなのか。

 

 何故──世界はこうも平和なのか。

 

 全ての答えはこの都市にある。

 人類にとって都合の悪い種族と技術が詰め込まれ、同時に莫大な利益と資源を無尽蔵に生み出すサイクルが完成した闇の理想郷。

 

 超犯罪都市、デスシティ。

 

『魔界都市』『裏側』『矛盾の坩堝』『悪鬼の巣窟』『世界の果て』『ソドムとゴモラ』

 様々な異名で知られているものの、現代では都市伝説として完結されている。

 世界政府を始めとした組織が必死に隠蔽しているのだ。

 何せ、都合が悪いから──

 

 この世界に治安という概念は存在しない。あらゆる重犯罪、違法売買が横行している。民間警察も存在しない。その区画を統一する犯罪組織や人外達が仮初の治安を維持しているのだ。

 半ば世界政府公認の違法都市は、人道に反する方法で日々莫大な金を稼いでいた。

 それで得をするのは誰でもない、世界政府を始めとした表世界の住民達である。

 

 世界は良くも悪くも歯車の上で回っていた。

 

 しかしデスシティの本来の姿は別にある。

 人智を逸脱した存在や超高等技術の溜まり場──豊富な資金源はコレ等の副産物に過ぎない。

 

 人外であれば妖精、魔族、妖怪、獣人、亜人、吸血鬼から宇宙人、アンドロイドから邪神まで。

 人間にも、容易に地球や太陽系を破壊できる馬鹿げた存在が居る。

 

 長くこの都市に住んでいる者は、デスシティを超犯罪都市では無く魔界都市と呼ぶ。

 その理由は、この都市が荒唐無稽の人外魔境だからだ。

 

 狂気と混沌を煮詰め、悲哀と絶望をスパイスに──この都市は更に味わい深くなっていく。

 そして今宵も、表世界から子羊達が紛れ込んだ。

 

 表世界の強者など、この都市の住民にとってはゴミ同然の存在。

 ソレが半端に神秘の知識を携えた者なら尚更である。

 

 

 ◆◆

 

 

 中央区の摩天楼が一層煌きを増す。その煌きが不浄の輝きである事を皆知っている。

 それでも酔い痴れているのだ。ここは悪徳の都だから。

 

 賑やかな喧騒から逃げる様に伸びる裏通りの道沿いで。

 何かしらの組織の制服を着た若い男女達が、息も絶え絶えに肩を寄せ合っていた。

 彼等の表情は絶望色に染まっている。

 

 通信を取っている青年隊員が恐怖を押し殺す様に訴えた。

 

「駄目です。この都市に入っただけで既に三名、隊員が殺されています。任務以前の問題です。このままでは全滅します……ッ」

『了解しました。ただちに現場から離脱してください。救援は必要ですか?』

「頼みます。このままではいずれ──」

 

 青年が言い終える前に、その肩に何かが置かれた。

 ソレは手だった。しかし、鳥類の羽毛や猫科の爪を交えた異形のモノである。

 既に半分が怪物と化した少女隊員は泣きながら告げた。

 

「隊長……っ、アア、私……コレ……ッ」

「何で……投薬は何時もより多くしているのに!」

 

 少女隊員の口から肉塊が這い出る。目玉は飛び出て、顔面の形が変貌していく。

 他の隊員達もだ。この世の生物とは思えない異形へと成り変わっていく。

 

「aaaaaaa……ッ」

「GA、GA、GA……!」

 

 自分以外の全員が怪物へと転身した。青年は絶望で叫ぶ。

 

「この都市がおかしいのか……あまりに悪意の濃度が高すぎるのかッ!」

 

 ソレが最後の通信音声だった。

 青年の断末魔の悲鳴と共に骨肉が引き裂かれる音、臓物を引きずり出す音がノイズ越しに聞こえてくる。

 

 唯一神教が取り上げる人間の欲望の発露たる七つの項目に天使の残滓──霊子型ナノマシンが過剰反応する事で引き起こる奇病。

 天使病。

 感染された者は天使でも人間でもない、酷くグロテスクな怪物に変貌してしまう。

 

 今宵、超犯罪都市で一つの悲劇が生まれた。

 しかしこの程度のネタ、新聞の記事にもならない。

 殺人? 化物? そんなもの、この都市では日常に過ぎない。

 

 だが、この小さな事件から新たな物語が始まる。

 

 

 ◆◆

 

 

 血と臓物、汚物が齎す悪臭を強力な香水と雌の淫臭で上書きする。

 生温かい瘴気の風に乗って来るのは銃声と爆発音、そして断末魔の悲鳴。

 野次と罵声をサウンドに、どキツイネオンの海が揺らめく。

 

 空を見上げれば暗黒物質(ダークマター)を動力源に滑空する車体の数々があった。その合間を最新鋭のアンドロイドと10メートルを超える飛龍種が交互に飛び抜けていく。

 暗黒の入道雲は数多のテールライドで照らし出され、その禍々しさを一層際立たせていた。

 

 街道を歩くのは当然の如く武装した人間と人外達。

 種族など一々選別してられない。エルフにダークエルフ、オークにゴブリン。

 小豆洗いに火星人。果てには猫やゴリラの獣人など──もう滅茶苦茶だ。

 

 彼等は一見隙だらけに見えるが、実際隙など皆無。

 逆に虎視眈々と弱者を見定めている。

 弱者と判別された瞬間、出せる全ての賃金を吐き出され死体処理屋で換金される。

 この世界は金と暴力が全てなのだ。

 

 その他で言えば──快楽だろうか。

 男も女も肉の疼きを治めるために裸体で絡み合う。

 本能的欲求が尊ばれるこの都市に羞恥などという概念は無い。

 誘い、誘う。それで金が動く事も当たり前だ。

 

 この都市では色々な女が抱ける。容姿だけなら最高のエルフにダークエルフ。

 獣の色が濃い獣人に虫の色が濃い蟲人。その他、多様なモンスター娘。

 ハードなプレイも犯罪都市ならではで、当然の如く嗜まれている。

 

 色欲でこの都市に勝てる場所などありはしない。

 表世界の重鎮や大富豪達も夢中になっていた。

 

 カランカランと、下駄の音が鳴り響く。

 真紅のマントと共に「一夜百合」の香水の匂いが香れば、男は顔を真っ青にし、女は恍惚と立ち尽くす。

 

 日本生まれの筈なのに綺麗な褐色肌をしているのは、彼が怪物である証。

 誕生した瞬間から神を殺せる膂力を宿した肉体は、過酷過ぎる修行の果てに劇的な進化を遂げていた。

 骨格や筋肉繊維の密度が異常極まる。二メートルを超える肢体にギリギリで収まっている。

 

 灰色の三白眼は冷徹な殺意と莫大な欲望を宿して暗く輝く。

 鋭いギザ歯は彼の野性的な性質を極端に表していた。

 それでも薄れない神域の美貌は皇族出身だからか、それとも神の悪戯か、誰にもわからない。

 天上の女神すら魅了する顔立ちに欠点は一切無く、その屈強な肉体と共にあらゆる女を虜にする。

 

 幾多の牝共を引き寄せる理由は、何も容姿だけでは無い。

 その身に纏う危険で淫靡な香り。女達はスリルとエクスタシーを求めて彼に群がるのだ。

 

 フラフラと歩いているだけであらゆる種族の女に声をかけられる。

 褐色肌の美丈夫──大和は抱きついてきた蟷螂(かまきり)の蟲人の額にキスを被せた。

 蟲的な要素を含めつつもとびきり美人な彼女は、頬を朱に染め初心な反応をみせる。

 キチキチと歯を鳴らして、触覚を振り回していた。

 

「さぁて……今日は少し飲んでから女と寝るか」

 

 向かうは大衆酒場ゲート。

 他にも数店舗お気に入りがあるが、やはり友人の経営している店に足が向く。

 懐からラッキーストライクを取り出し慣れた手付きで火を点けると、紫煙をくゆらせながら歩き始めた。

 

 すると、真横にある裏通りからバケモノが躍り出て来た。

 青年らしき生首を愛おしそうに、少しずつ齧っている。

 元は少女だったのか──しかし薄っすらとしか面影が残っていない。

 それ程までに変貌していた。

 

 喧騒達が騒ぐ。

 

「天使病だ……」

「気持ワリィ……」

「しかし、運が悪いなアイツも」

「ああ、よりによって……」

 

 住民達は珍しく、バケモノに対し憐れみの視線を送っていた。

 理由は彼女が出てきたすぐ前に大和が佇んでいたからだ。

 大和は煙草を咥えながらバケモノに告げる。

 

「失せろブス」

「Gigigi……!!」

 

 バケモノは歯を鳴らして威嚇する。

 背中には人間の手足を何十本も生やし、顔面は魚類のパーツででグチャグチャに崩壊させている。

 しかし所々から生えている純白の翼から舞い落ちる羽根は美しくもあった。

 大和は再度、彼女に告げる。

 

「聞こえなかったか? 失せろブサイク」

「GAAAAAAAAAAA!!!!」

 

 全身を震わせ、襲い掛かろうとするバケモノ。

 しかし大和の三白眼を見て、ピタリと動きを止めた。

 

 垣間見てしまったのだ。

 悪鬼羅刹の本性を──

 

 暴力だけで総てを捻じ伏せて来た黒き鬼神に睥睨される。

 身に纏う幾千幾万の呪詛を生命力だけで掻き消し、怨嗟と憎悪の念を心地良いと嘲笑っている。

 

 まさしく格が違う。

 彼は人間でありながら絶対強者であり、頂点捕食者だった。

 

 怯えて指先一つ動かせないバケモノの頭上から、突如として何者かが飛来する。

 黒いローブを纏ったその者は手に持った機械式の大鎌でバケモノを両断した。

 

「GYAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!」

 

 聞くに堪えない悲鳴が木霊する。

 大量出血で瞬く間に動かなくなったバケモノを一瞥し、何者かは大和に振り返った。

 粘着性の高い濁った血液で汚れた顔は、しかし西洋人形の如く可憐。

 年の頃十代半ばほどか。小柄でスレンダーな肢体を何処かの組織の特殊制服で包み込んでいた。

 野暮ったい銀髪が靡けば、生気の無い碧眼が大和を見つめる。

 

 大和は嗤いながら問いかけた。

 

「名は?」

「…………サイス。合衆国連邦、異端審問会第ゼロ部隊所属」

 

 抑揚の無い声音で告げ、大和を見上げる少女。

 鎌の名を持つ彼女と大和の出会いは、物語の開幕を告げる知らせであった。

 

 

 ◆◆

 

 

「ふぅん……見たところ表世界の住民の様だが、体内に色々と「仕込んでる」みてぇだな」

「ッ」

 

 銀髪の少女、サイスは眉を顰めた。

 初対面の相手に内部を覗かれて不快感を抱いていたのだ。

 大和は表情筋だけで相手の心を読んでしまう。

 

「……邪魔しないで。貴方には関係無い案件よ」

「あっそ、ならさっさと殺せよ。まだ息があるぜ」

 

 そう言われ、足元で痙攣する元・同僚を見下ろすサイス。

 その端正な顔立ちを苦渋で歪ませると、機械式の大鎌を振り上げた。

 

「さようなら……」

 

 脳を直接刺し抉られ、天使病患者は完全に死滅する。

 ドロドロと溶けていく肉体。辺りに猛烈な腐臭が漂った。

 サイスの憂鬱げな横顔を覗き見た大和は、何故か可笑しそうにクツクツ喉を鳴らす。

 

「可愛い奴。自分の本性を理解してねぇのか」

「……?」

 

 意味深な発言にサイスは訝し気に首を傾げた。

 そんな彼女の手を引き、大和は歩き始める。

 サイスは抵抗した。

 

「離して」

「表の住民風情が、調子乗ってこの都市を徘徊すんじゃねぇよ。死ぬぞ」

「……」

「奢ってやるからちょっと付き合え」

「嫌よ。私には任務がある」

「有益な情報を知ってるぞ、今から行く酒場の店主は」

「……」

「決まりだな」

 

 大和はサイスを無理やり引っ張って行く。

 目指すはゲート──傭兵王ネメアが経営する大衆酒場である。

 

 

 ◆◆

 

 

 大衆酒場ゲートは夜になると殆ど席が埋まってしまう。しかし正面のカウンター数席だけは何時も開いていた。大和の指定席なのだ。

 

 暴力団の組員達が愚痴りながら酒を呷り、その傷心を獣娘達が癒す。

 エルフの娘達は屈強なオークに擦り寄り、金をせびっていた。アンドロイドの傭兵は脚部のパーツを修繕している。

 

 喧嘩は起こる。当然だ。この都市の住民は異常なほど沸点が低い。

 だが実際に沙汰に及ぶ事はない。何故ならこの酒場は暴力沙汰厳禁だからだ。

 

 店主である金髪の偉丈夫、ネメアは万夫不当の傭兵王。

 あの大和と唯一対等と謳われる豪傑だ。彼の目が光る内は喧嘩など起こらない。

 

 乾いた音と共にウェスタンドアが開かれる。

 現れたのは褐色肌の美丈夫、大和だった。

 何時もと違い、見慣れない格好をした少女を引き連れている。

 

 店内が女共の黄色い悲鳴と男共の憎悪で満たされた。

 ネメアは大和が連れて来た少女を一瞥し、重い溜息を吐く。

 

「また余計な事に首を突っ込んだな」

 

 その予想は当たっていた。

 

 

 ◆◆

 

 

「合衆国の異端審問官なんぞ連れて、今夜は何を仕出かすつもりだ?」

「別に。てかコイツの所属してる組織を知ってんのか、ネメア」

「まぁな。異端審問会……合衆国が編成した対神秘組織。お前の連れている少女は異端審問官。天使を構成する霊子型ナノマシンを体内に注入する事で莫大な力を得ている半人外だ」

 

 ネメアの説明に、大和は「成程」と銀髪の少女──サイスに三白眼を向けた。

 サイスは視線を逸らし、漆黒のローブを揺らしながら大和の手を振り払う。

 

「傭兵王ネメアに黒鬼、大和。異端審問会でもその名はよく耳にするわ」

 

 サイスの千切って捨てた様な物言いに、大和は両手を広げた。

 

「ほぅ、そりゃ光栄だな」

「特に貴方は悪い意味で有名よ、大和」

「カッ、どうでもいい。まぁ、座れよ」

 

 大和がカウンター席に座る。その様子を見つめ、サイスは言った。

 

「何が目的? 真意を聞かせて」

「ん~、暇潰し?」

「……生憎、私はそこまで暇じゃないの」

「天使病に感染した同僚達を葬る──か?」

「!」

 

 大和は意地悪く喉を鳴らした。

 

「ポーカーフェイスが自慢らしいが、無駄無駄。表情と服装、言動で大概予想は付く」

「…………」

「座れやド素人。話を聞かせろ」

 

 サイスは生気の無い碧眼で大和を睨んだ。

 彼の真意が読めない。しかし、逆らえば何をされるかわからない。

 彼の気性の荒さを知識として保有しているサイスは、渋々従った。

 

「……あまり時間が無いの。アイツ等が来るから」

「アイツ等?」

「天使殺戮士──ギネヴィア姉妹よ」

「……ああ」

 

 天使殺戮士。

 プロテスタントが保有する唯一の教会、真世界聖公教会に所属する八名の魔人である。

 大和は以前、二名の天使殺戮士とコンビを組んだが、今回は別のコンビの様だ。

 

 ──面白くなってきた。

 

 大和の口角が静かに歪んだ。

 

 

 ◆◆

 

 

 矛盾の坩堝、魔界都市に二名の天使が舞い降りた。

 天使と見紛うばかりの美人姉妹。亜麻色の短髪と長髪を揺らす彼女達は、世にも珍しいオッドアイだった。

 

 短髪で右目が青色の美女は殺伐とした雰囲気を漂わせている。

 純白のロングコートに黒革の手袋。漆黒の厚底ブーツ。

 左腕には真紅の逆十字の腕章を巻いている。

 

 長髪の左目が青色の美女は逆に淑やかな雰囲気を纏っていた。

 くるぶしまである漆黒のロングドレスに同色のケープ、ピンヒールのロングブーツがスラリとした美脚を強調する。

 

 騒然とする喧騒達。

 彼女達の美貌は色欲を追求し続ける魔界都市でも頭一つ抜けていた。

 この世の者とは到底思えない。

 たまたま通りかかった暴力団の組員達が彼女達を見定め、上機嫌に口笛を鳴らす。

 早速口説きにかかった。

 

「なぁ姉ちゃん達、今夜暇か?」

「この都市は物騒だからよ。今夜は俺達の所に泊まっていきな。なぁに、悪い様には──」

 

 組員の一名の目と鼻の先に鋭利過ぎる鎌が寸止めされた。

 彼の背後に聳えていた高層ビルが横一文字に両断される。

 轟音を立てて倒壊するビル。土煙と共に発生した突風が組員の冷や汗を吹き飛ばした。

 

 手首から鎌刃を出した短髪の美女──妹であるクイン・ギネヴィアが怒気を一切隠さず吐き捨てる。

 

「失せな三下、次はバラバラに斬り刻むよ」

 

 組員達は情けない悲鳴を上げて退散した。

 フンと鼻を鳴らし得物を収める妹に対して、姉であるジュリア・ギネヴィアは微笑んでみせる。

 

「殺しては駄目よ、クイン」

「わかっているわ、お姉様。私達は天使殺戮士──天使を殺戮するのが仕事だもの」

「わかっているならいいわ」

 

 コツコツと靴底を鳴らして歩き始めるジュリア。

 クインはその傍を離れず追従した。

 

 ギネヴィア姉妹。

 天使殺戮士の中でも「ワケあり」の仕事を任される彼女達は、その容赦の無さから「死神姉妹」と畏れらていた。

 

 

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