Villain 〜その男、極悪につき〜   作:桒田レオ

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二話「人間の業」

 

 

 ネメアは新聞を畳むと、険しい面持ちで言う。

 

「異端審問官には明確な欠点がある。霊子型ナノマシンを体内に注入すれば確かに莫大な力を得られる。だが諸刃の剣だ。天使病の発症率が極めて高くなる。そのため、異端審問官は普段から独自の血清を打って霊子型ナノマシンの暴走を抑えているというが──」

 

 ネメアは頬杖を付き、銀髪の少女──サイスを見つめる。

 

「それでも発症率の高さは否めない。故に「同胞殺し」の咎を背負う特殊部隊が存在すると聞いた。天使病が発症した同胞達を処分する異端審問官。──第ゼロ部隊だったか?」

「…………」

 

 ネメアの問いにサイスは黙秘を貫く。

 彼はやれやれと溜息を吐くと、大和に告げた。

 

「最近、見慣れない布切れを纏った天使病の患者が中央区に複数出没しているという。この子はソレに関わっている筈だ。……依頼でも無いのに、何故関わろうとする。大和」

「面白そうだから」

「……お前の趣味はロクでも無い。この子の何が気に入った」

「コイツ、自分の本性を知らねぇのさ。仲間を殺しておいて「悲しんだフリ」をしてやがる。見た時は滑稽過ぎて笑いを堪えきれなかったぜ」

 

 大和の嘲笑を含めた物言いにサイスは片眉を跳ね上げた。

 

「……それはどういう事? 私が、同胞を殺して悲しまない冷酷な女だとでも言いたいの?」

「その通りだ。やっぱり自覚無ぇのか」

「……ふざけないで。幾らなんでも許せないわ」

 

 大和の真紅色のマントに掴みかかったその時、サイスに異変が起こる。

 唐突に口元を押え震え始めたのだ。白磁色の肌が青く染まり、じっとりと嫌な汗をかき出す。

 

「……報告で聞いてたけど、早いわね」

 

 彼女は紫に染まった唇で苦笑すると、大和に言った。

 

「この際、何処でもいいわ。人目につかない所へ連れて行って」

「我が儘な奴だなァ、しゃあねぇ。俺の家に案内してやるよ」

「何でもいいわ。お願い、時間が無いの」

 

 既に自力で立てなくなっているサイスを抱きかかえ、大和は立ち上がる。

 店内から出ようと踵を返した大和に、ネメアは言う。

 

「最近、少女の姿をした神々しいアンドロイドが出没しているという。もしかしたら本物の天使かもしれない」

「ンなワケあるか。堕天使なら兎も角、純粋天使は殆ど破壊した筈だ。少数もお前が封印しただろ?」

「ああ、だが目撃者が多い。実際に目撃された場所の地形が完全に変わっている。馬鹿げた戦闘力だ。可能性は高い」

「……成程、頭の隅に入れておくぜ」

「あと」

「?」

 

 ネメアは複雑な表情で忠告した。

 

「あまり……言及してやるな。例えソレが本性だったとしても、知らないほうが良い場合がある」

「いいや、コイツは知らねぇと駄目だ。何時か壊れる」

「……」

「まぁ、知って壊れる様ならそれまでだったって事だ」

 

 大和は鼻歌交じりに店を出ていく。

 

(趣味半分、悪意半分といったところか──)

 

 それでも、大和の観察眼は世界最高レベルだ。

 何せ、歴史に名を刻んだ英雄偉人達の師を務めてきたのだから。

 

「……」

 

 ネメアは必要以上に関わらない事にした。

 サイスは知り合いでも無いし、客人でも無い。

 

 それに──既に手遅れな気がする。

 彼女は大和にしか救えない。

 

 そう思ったのだ。

 

 

 ◆◆

 

 

 場所は変わって。真世界聖公教会本部にて。

 天使殺戮士に割り当てられる事務室で、書類の山に埋もれている絶世の美青年が居た。

 赤茶色の短髪に漆黒のロングコートが似合う──斬魔。

 その隣には青き死美人、えりあが居た。

 

 彼女は黙々と事務作業に没頭しているが、斬魔は既に項垂れていた。

 えりあは情けない相棒を諫める。

 

「今夜中に終わらせないといけないの。真面目にして」

「もう無理……おっぱい。美少女のおっぱい揉みたい」

「二度は言わないわ」

「お尻でもいい。熟女の尻でもいい……」

 

 ジャキンと、斬魔の頬に特大の銃口が突き付けられる。

 薔薇のレリーフが刻まれた銀色の銃身は世界最大の自動拳銃、デザートイーグルより尚大きい。

 

 えりあの得物、対天使病拳銃「Danse Macabre」だ。

 

 斬魔は顔を真っ青にして羽根ペンを携える。

 

「OK、真面目にやる」

「わかればいいわ」

 

 えりあは無表情で得物をしまう。

 斬魔は唇を尖らせながらペンを奔らせた。

 しかし集中力が持たないのだろう。えりあに話題を投げかける。

 

「今回はあの死神姉妹がデスシティに行ったんだろ? 大丈夫なのかよ。特に妹」

「あの都市なら逆に大暴れしたほうがいいでしょう。でないと住民達が調子に乗るから」

「俺等が行った時、襲われたもんなぁ」

 

 以前の任務を思い出し、斬魔は苦笑する。

 

「そういえばアイツ──大和はあの都市の住民だったな。うはぁ、妹との相性最悪そう」

「確かにね。でも姉の方がどうにかするでしょう。それに、大和は話せばわかる男だわ」

「…………」

 

 斬魔はえりあに怪訝な視線を向ける。

 えりあは小首を傾げた。

 

「どうしたの?」

「いいや、お前が人を褒めるなんて珍しいと思ってよ」

「あら、意外かしら」

「めっちゃ意外」

「大和──彼は誰よりも聡明よ。あの馬鹿げた戦闘力で勘違いされがちだけど、力だけの馬鹿なら殺し屋なんて営めない。あんなに好き勝手暴れられるのは、下地に豊富な知識と経験があるから」

「な、成程……」

「それに、彼は人間の本質をよく理解しているわ……」

 

 悪い意味で、だけど──

 そう言うえりあは物憂げに窓の外を眺めた。

 

 斬魔は悪戯っぽく笑う。

 

「あれ~? まさか恋ですか? ラヴですか?」

「勘違いしないで。彼に同情しているだけよ」

 

 えりあは肩を竦め、羽ペンを奔らせる。

 斬魔は唇を尖らせると、渋々ペンを奔らせ始めた。

 

 

 ◆◆

 

 

 中央区、裏路地にある大和の仮部屋で。

 薄暗い部屋の片隅で、銀髪の少女が悲鳴を押し殺していた。

 注射器を三本鷲掴み、首筋に突き刺しているのだ。

 筋肉が勝手に躍動し、血脈が浮き出る。

 骨格が勝手に変形していく際に起こる激痛は想像を絶するものだろう。

 

 霊子型ナノマシンなどという神秘の異物を体内に注入した結果である。

 勝手に変形していく肉体を抑えるにはこの方法しか無いのだ。

 でなければ、本当の意味で手遅れになってしまう。

 

 のたうち回るのを必死に我慢している少女、サイスの有り様を、大和は嗤いながら眺めていた。

 

「可哀想になァ、ソレを打たなきゃ禄に生きていけねぇんだろ?」

「ッ、ハァ! ……ッ、……言葉だけの、同情なんて、必要無いわッ」

 

 何度も深呼吸を繰り返し、サイスは漸く落ち着く。

 彼女は額に溜まった冷や汗を拭うと、ベッドで寛いでいる大和の元まで歩み寄る。

 依然嗤っている彼に鋭い碧眼を向けた。

 

「教えて頂戴……貴方は、私に何を見たの?」

「その前に聞かせろ。お前は何故、異端審問官になった。その容姿だ。他にも色々成れただろう」

「……人の過去に容易に触れないで」

「ならこの話は無しだ。テメェは知りたいものを知れずにもがき続けろ」

「ッッ」

「知りてぇなら、まずテメェから話せ」

「…………」

 

 サイスは唇を噛み締めると、嫌々と、己の過去を振り返り始めた。

 

 家族が、大切な妹が不治の病にかかった。

 元々貧しい家系の出身だった。手術費用を出せる余裕などない。

 サイスは妹の生涯を護るために、アメリカ政府に魂を売った。

 

 アメリカ政府は表世界での権力こそ高いものの、対神秘の戦力が貧弱だった。

 日本政府は特務機関を抱え、他にも土御門家を始めとした退魔家系が数多く存在する。

 欧州は黄金祭壇を始めとした魔術結社にカトリック、プロテスタントの両宗教勢力が幅を利かせている。

 

 合衆国連邦は元々、その土地に在った神聖を完璧に否定して成り立った国家だ。

 神仏の加護は無に等しい。更に表世界での権力を重視するあまり対神秘の戦力を疎かにした。

 

 アメリカ政府は即興で『異端審問会』なる対神秘団体を結成した。

 現在、独自の勢力を築きつつある。

 しかし、その勢いの源が霊子型ナノマシン──天使病の元凶なのだ。

 

 真世界聖公教会を始めとした数多くの組織が注意を促しているが、アメリカ政府は一向に止める気配が無い。

 

 彼女──サイスは最初期の被験体の一人だった。

 無茶な実験を何度も繰り返された結果、他の異端審問官より天使病に近い存在になった。

 戦闘力は極めて高いが、天使病に発症する確率も倍近く高い。

 失敗作である彼女は第ゼロ部隊──通称『同胞殺し』への配属を余儀なくされた。

 

 そこからは惨めな人生である。

 後輩から「化物」「失敗作」と疎まれ、上層部からも死神扱いされる。

 天使病にかかった後輩達を殺していく事で溝は更に深まっていく。

 

 死んでいるも同然だった。

 魂が腐っているのだ。腐ってしまったのだ。

 

「成程……」

 

 サイスの身の上話を聞いた大和は、しかし冷酷な笑みを崩さなかった。

 

「ありきたりな不幸話だ」

「ッ」

「悲劇のヒロイン気取ってんじゃねぇよ。テメェはもっと強かな女だ」

「貴方に、私の何が……ッ!!」

 

 サイスはしかし、閉口する。

 激情が一瞬で冷めてしまう程の悪寒に襲われたのだ。

 大和の灰色の三白眼に見据えられる。それだけで心胆が凍えた。

 

 彼の背後に、悪徳なる鬼神を垣間見た。

 開いた窓から凍えるほど冷たい夜風が流れてくる。

 

 大和は低く甘い声で囁いた。

 

「いいや、わかるんだよ。俺ァ……同じ性根の歪んだ奴の本性が」

 

 悪魔の囁き。サイスは両耳を塞ぎたかった。

 何故だかわからない。それは予感だった。

 彼が今から告げる言葉は、己の浅ましい本性を的確に突いてくると──

 

 大和はギザ歯を剥きだす。

 

「お前は嬉しいんだ。この任務を誰よりも楽しんでいる」

「……何を、言って」

「自分を見下して調子に乗ってる後輩達を、大義名分の下に殺す事ができるからなァ」

「……違うッ」

「お前は俺と初めて会った時、口の端を歪めていたんだよ」

「違うっ……違う違う!!」

 

「お前は同胞を殺して悲しんでたんじゃない……笑顔になるのを必死に堪えてたんだ」

 

 サイスの表情が絶望色に染まる。

 己の浅ましい本性を暴露されて──

 言葉で否定できても、本心では否定できない。

 

 大和は堪えきれず、クツクツと喉を鳴らした。

 

 

 ◆◆

 

 

 絶望の余り硬直するサイス。

 その頬に一筋の涙が流れた。人間としての在り方を否定された。己の浅ましさを浮き彫りにされた。

 サイスは憤慨する気力すらも失っていた。

 

 大和はその頬に伝う涙を拭う。

 サイスが視線を上げると、不気味なほど優しく微笑む怪物が居た。

 

「何を悲しむ? むしろ喜ぶべきだ。お前は「本当の自分」を見つけたんだから」

「…………」

「確かに浅ましい欲望かもしれねぇ。でもそれがどうした? お前は天使病に感染した無能な同胞達を葬ってやっているんだ。上層部から命令されてな」

「…………あァ」

「その大義名分を利用して存分に愉しめばいいじゃねェか。いいんだよ……やるべき事をやっていれば」

「アアア……」

 

 サイスは己の心が浅ましい化物に変質していく事を察する。

 その生気の無い碧眼に宿ったのは、狂おしい程の憎悪と歓喜だった。

 

「何も後悔する事はねぇ。お前は正義だ、肯定される側だ。誰でも無い、俺が肯定してやる……お前は正しい」

 

 暗黒のメシア──彼が何故そう呼ばれるのかを、サイスは漸く理解した。

 彼は認めてやれるのだ。人間の浅ましさを。愚かしさを。

 何故なら、怪物だから。

 

 現に彼は世界そのものから肯定され続けられている。

 何故なら、彼の誇る暴力は世界にとって都合の良いものだからだ。

 大金で容易に雇う事ができる強大な暴力を、世界は、人間は、何時の時代も求めている。

 

 大和とサイスはある意味似た者同士だった。

 大和に銀髪を撫でられ、サイスは口角を緩める。

 ソレは本当に歪んだ笑みだった。

 

 

 ◆◆

 

 

 その頃、中央区の路地裏にて。

 問答無用でバラバラにした元・異端審問官を踏み躙り、金髪の美女が怒号を響かせた。

 

「……ったく。アァ~、もうムカつく!!」

 

 白いロングコートが似合う死神姉妹の妹、クイン・ギネヴィア。

 彼女は柳眉を吊り上げ右腕を振り払う。

 手首に鋭利過ぎる鎌刃が収納された。

 

「何が異端審問会だよ……本当ッ、ふざけんなよ!!」

 

 厚底ブーツで傍にあったダストボックスを蹴り上げる。

 派手な轟音と共に生ゴミと紙くず、そして得体の知れない肉塊がブチまけられた。

 ザワザワと裏通りから這い出てきた豚虫共がソレらにたかり始める。

 ソレを見たクインは更に胸糞悪そうに舌打ちした。

 

「落ち着きなさい、クイン。何をさっきから苛立っているの?」

 

 静謐で、まるで金鈴を鳴らしたかの様な美しい声が響き渡った。

 壁を背に立ち、聖書に目を落としている黒づくめの美女。

 くるぶしまで届くロングドレスに漆黒のケープ。背中まで流れる金髪に白磁の如き肌。

 

 実の姉に対し、クインは困った様に唇を尖らせる。

 

「だってお姉様! 合衆国連邦の奴等、あろう事か霊子型ナノマシンに手を出してるのよ!? 本当にアイツ等……馬鹿よ馬鹿!! 馬鹿は死んでも治らない!! アタシらの仕事ムダに増やしやがって!! 何時か絶対にタコ殴りにしてやる!!」

 

 激高するクインに対し、姉のジュリア・ギネヴィアは静かな微笑で応えた。

 

「いずれわかるでしょう。人間が天使の力に不用意に近づけば何が起こるのかを……」

 

 ジュリアはふと、街道から絶大なオーラを感じて振り返った。

 街道上を亜光速で飛翔していく神秘的なアンドロイドがいた。

 青髪と無機質な双眸がやけに印象に残る。

 その身に纏う純白の装備、そして神々しさに、ジュリアは表情を顰めて壁から背を離す。

 

「クイン。この仕事、早めに終わらせましょう。嫌な予感がするわ」

「……? うん! わかった!」

 

 ジュリアの何時になく冷たい表情を見て、クインも真面目に頷いた。

 

 

 ◆◆

 

 

「フフフッ……ハハハッ! ハハハハッ!!」

 

 薄暗い室内で、不気味な哄笑が木霊する。

 銀髪の少女、サイスは壊れてしまったのか──天井を見上げ嗤っていた。

 

「私が! まさか! そんな愚かな存在だと思わなかった! ええでも、少し自覚はしていたの。でも認めたくなかった! 認めたら、私が私で無くなってしまいそうだったから!」

 

 腹を抱えひとしきり笑った後、サイスは大和を見上げる。

 隣に座っているにも係わらず、やけに大きいその体躯は彼が怪物である最たる理由だった。

 その美貌も、邪気も、精神も、とてもでは無いが人間性を感じられない。

 

 だからこそだ。

 サイスは救われた。己の浅ましさを教えられ、理解し、受け止められた。

 

 サイスは改めて理解する。大和が羨ましかったのだ。

 蔑まれても笑顔を絶やさない彼の強かさに羨望と、それ以上の嫉妬を覚えていた。

 

 しかし、今はソレらが全て歪んだ愛情へと変貌していた。

 サイスは怪物の逞しい胸板に細い指を這わせる。

 

「素敵……アア、なんでこんな魅力的に見えるのかしら」

 

 サイスは碧眼を潤ませる。

 蠱惑的になった彼女を大和は抱き寄せ、目と鼻の先まで顔を寄せる。

 サイスは抗わなかった。

 その細い肢体を腕の中に収め、大和は甘く囁く。

 

「お楽しみは後でだ。まずはお前の仕事を全うしろ。殺せ、殺すんだ……自分を蔑んできた奴等を大義名分の下、グチャグチャにして踏み潰せ。その後のセッ〇スは、アア、最高だぜ。火照った身体を互いに貪り合うんだ。本能のままにな」

「アア……ッ」

「狂気に酔い痴れろ。正義を嘲笑え。人生なんざ楽しんだもん勝ちだ。現世という地獄の底で、一緒に踊ろうぜ」

「ええ……貴方と踊るのは、最高に刺激的だと思うわ……っ」

 

 表情を蕩けさせるサイス。

 その碧眼にはドス黒い輝きが爛々と灯っていた。

 大和は嗤う。

 

 その時──二名の居た仮部屋が眩い閃光に呑み込まれた。

 無慈悲の破壊光線が裏路地を一画ごと消し飛ばしたのだ。

 

「なんだァ……?」

 

 大和は右手を掲げる事で完封していた。

 しかしその手の平から漂う白煙は、肌を多少なりとも焦がされた証。

 

 大和は眉を顰める。

 己の肉体に干渉できる存在など、魔界都市と言えど数少ない。

 一体何者なのか──

 

 襲撃者は、大和達を上空から睥睨していた。

 森羅万象の源、超高密度エネルギーである純エーテルを纏いし可憐なる執行者。

 絶大なオーラを纏った神秘のアンドロイドに、大和は双眸を見開いた。

 

「純粋天使……いいや、違う世界の高位次元存在か。デスシティに迷い込んだのか? いいや……明確な敵意を向けてきてやがる。狙いは……コイツか」

 

 大和はサイスに視線を落とす。

 襲撃者は無機質な声音で告げた。

 

「第二危険種を発見。執行を開始します。神罰代行──総ては創造主の意のままに」

 

 その身に纏う純白の装甲は、未知の科学と神秘で形成された絶対防御。

 か細い手に携えられた斧槍は悪を穿つ必滅の神槍。

 

 異世界に座する超越神の意思に従い、濃紺色の純エーテルを纏う執行者。

 厳かな大口径ビームライフルを発現し、その銃口を大和達に向けた。

 

 大和は嗤ってサイスの背中を後押しする。

 

「ここは俺に任せろ。お前は成すべき事を成せ」

「でも……」

「言っただろ? 人生は楽しんだもん勝ちだ。窮地をパーティに見立てるんだよ。お互い、愉しもうぜ」

 

 大和は本当に嬉しそうに改造式火縄拳銃を二丁取り出す。

 その横顔を拝んだサイスは、同じ様に狂気の笑顔を作った。

 

「……そうね。お互い、楽しみましょう!」

「おうさ! 狂おしいパーティーの始まりだぜ!」

 

 大和はノリノリで超圧縮した闘気を放つ。

 サイスは駆けた。同胞達を嬲り殺すために──

 

 狂乱の宴の開幕だった。

 

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