蝉が鳴いている真夏の昼時、倫泉高校は夏休みに入り、体育会系の部活動は暑い中練習に励んでいる。
ガラガラと体育館に通じる重い鉄のドアが開いた。ドアを開けたのは、身長は高く、いかにもスポーツ出来ますという体つきの男であった。その男の名前は岸本アンディという。岸本アンディはつくしのクラスメイトである橋本晴子と友達でバスケ部に所属している。また、晴子はバスケ部のマネージャーである。
岸本)あー疲れたー今日いつも以上に走ったなー
岸本はバスケ部の練習が終わったので、体育館廊下前で、タオルを使い体から出た汗を拭っていた。そうしていると、バスケ部で岸本と同じクラスの渡辺亮が体育館から出てきた。渡辺もまた汗をタオルで拭いている。
渡辺)疲れたな練習、アンディーお疲れ
岸本)おう
渡辺)おまえ、今日の練習で先生の標的だったもんな
岸本)あーアイツ俺にだけ走れって、鬼かよアイツ!
渡辺)俺らの代になったら、おまえがチームの中心になるって分かってるから、先生もおまえに力入れてるんじゃない?
岸本)はいはい、分かってるよ!てか、話変わるけど晴子に聞いたか?
渡辺)えっ?あー旭つくしのことか?
岸本)うん
渡辺)晴子から聞いたよ。何も聞けなかったんでしょ
岸本)そうらしいな
岸本と渡辺が旭つくしのことについて話していると、橋本が教室等の方から歩いてきた
橋本)今、2人のことを呼びに行くところだったの
岸本・渡辺)??
橋本が2人を連れてきたのは職員室前の廊下である。
岸本)なんで俺らのこと職員室につれてきたんだ?
渡辺)俺は何もしてない!したとすればアンディだろ!
岸本)えっ!?オレ?じゃーなんで亮もここにいるんだよ!
渡辺)そんなん知らない!
2人が職員室前の廊下で騒いでると、ガラガラと職員室の扉が開いた。
?)誰!職員室の前の廊下で大きい声でしゃべってるのは?
橋本)すみません。ふみ先生2人つれてきました!
橋本がふみ先生と言った、職員室の扉を開けた教師は、岸本と渡辺のクラスの担任の深川ふみである。深川は生徒から「天使」と呼ばれてるほど生徒思いで優しい先生である。
深川)もぉー2人共もう少し声小さくして話してね!
岸本)すみません天使様
渡辺)以後気をつけまーす
橋本)はぁー、先生なんでこのバカども呼んだんですか?
岸本)それは頼りにされてるから
渡辺)うん、そういうこと
橋本)はぁー
深川)岸本君たちは頼りにしてるよ!
岸本・渡辺)よっしゃー
深川)頼りにしてるから、これからする作業手伝って欲しいんだよね。
岸本・渡辺)なんでもします
深川)じゃー私の机の上にある奴教室に持っていって欲しいだよね
深川はそう言うと、岸本と渡辺に職員室の中の自分の机を指差した。岸本と渡辺は深川の机を見た瞬間、夏なのに体が固まってしまった。岸本と渡辺が見たものとは、机の上に山積みにされたプリントの山だった。
橋本)(ふみ先生って悪魔…)
深川)そのプリントを全部教室に運んでほしいんだけどいいかな?
橋本)(この量はバカどもでも無理だろ…)
岸本・渡辺)やります
橋本)(バカだ…はぁー)
岸本と渡辺はすぐにプリントを2階の職員室から1階の自分たちの教室に運び始めた。
30分後、岸本と渡辺はクタクタになりながら、深川と橋本がいる職員室に戻ってきた。
深川)お疲れ様2人とも
岸本・渡辺)はい!頑張りました
橋本)(バカだ…)
岸本)晴子は何やってたんだよ
渡辺)うん
橋本)ふみ先生と話してた
岸本・渡辺)・・・なっ!何だってーーー!
橋本)あっ…
岸本と渡辺の声が職員室に響き渡ったその次の瞬間、橋本は凍りついた。
岸本)おい、どうした?顔がこわばってるぞ橋本
渡辺)うん
?)あんたたち、まだそんな元気あるの?
岸本と渡辺も背後から聞こえてくる声を聞いた瞬間、固まった。
深川)麻衣先生!
深川は麻衣先生と言ったのは、橋本とつくしのクラスの担任でバスケ部顧問の藤田麻衣である。藤田は容姿は整ってると生徒に評判が良い先生である。また、藤田と深川は仲が良い。しかし、バスケ部の者達からは裏で山姥や悪魔など呼ばれ、恐れられている。
藤田)そんなに元気あるならまだ走る?
岸本)すみませんでした。
渡辺)以後きをつけます!(怒ると顔が般若みたいになるんだよなー…こえー)
藤田)ふみ先生、こいつらが迷惑かけてごめんねー
深川)いや、私が岸本君たちに頼んで事やってもらってたので気にしないでよ!
藤田)そう、岸本たちもこれからはきをつけなさい
岸本・渡辺)はい(殺されるとこだった…)
岸本と渡辺が藤田に注意を受け、静かになったところで深川が藤田に質問をした。
深川)麻衣先生なんか様?
藤田)ふみ先生が渡したいものがあると言ってたから来たんだよ。
深川)あ、そうそう。これだよ。
深川はそう言うと、自分の机の引き出しを開けて何かを取り出し藤田に渡した。
橋本)ふみ先生、麻衣先生に何を渡したんですか?
深川)晴子ちゃんと同じクラスの旭つくし君の学生証よ。廊下に落ちてたから拾っておいたの。
藤田)ごめんねー、つくしに渡しとくね
藤田は深川に言うと、自分のジャージのズボンのポッケトにつくしの学生証をしまった。その時、つくしの学生証から1枚の写真が落ちてきた。晴子がその写真を拾い、写真を見た。
橋本)エッ!?
藤田)晴子、勝手に人の写真見ちゃダメでしょ!
橋本)すみません、先生聞きたいことがあるんですけど
藤田)なに?どうしたの?
橋本)つくし君って創真学園から来たんですか?
岸本・渡辺)!!
岸本)どういうことだよそれ!
藤田)まぁー生徒の出身中ぐらい担任は知ってるわよ。
岸本と渡辺は橋本が手に持っている写真を覗き込んで見た後、藤田の顔を見た。
藤田)なっ、何2人して私の顔見て…
岸本)先生、つくしをバスケ部に入れましょ!
藤田)どういうこと?
橋本)先生たちもこの写真見れば分かりますよ
橋本はそう言うと、藤田に写真を渡した。藤田と深川は一緒に写真を見た。
深川)この写真って部活の集合写真だよね。つくし君って8番のユニフォームの子だよね
橋本)そうです
藤田)…
深川)中学の時の方が髪型すっきりしてる、ユニフォームにSOUMAって書いてあるけどどこの中学なの?
岸本)東京の中学ですよ
深川)東京!!
藤田)創真学園中等部出身って事は知ってたけどバスケ部だったとは知らなかった
深川)麻衣先生、そこの中学のバスケ部がどうしたの?
藤田)すっごく有名、去年全中を準優勝してる
深川)つくし君ってそんな凄い中学にいたんだ!今の学校生活からは想像できないわね
橋本)つくし君ひっそりと過ごしてる感じします
藤田)はい、もーこの話は終わり!
藤田はそう言うと、写真をつくしの学生証の中に挟んだ。
藤田)ほら、3人は速やかに帰る。どうせ夏休みの課題に手を付けてないんでしょ?
渡辺)そ、それは…
岸本)…
藤田)夏休み明け、課題終わってないから部活いけませんとか言わせないからね!
岸本・渡辺)わ、わかりました。
岸本と渡辺は藤田に返事をすると、急いで職員室をでっていた。
深川)2人ともいっちゃった
橋本)つくし君ってなんでうちらの高校に来たんですかね?
藤田)さぁーその理由は分からないなー。じゃー晴子がつくしに聞いといてくれ!
橋本)な、なんでですか!?
藤田)先生は夏休みでもやることが多いから大変なの!じゃーよろしくね!
そう言うと、藤田は橋本につくしの学生証を渡し、無理やり職員室から出させた。
橋本)はぁー(あれじゃー麻衣先生に何言っても駄目だな…)
と、言うと橋本は帰りの支度のために教室へと向かった。
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岸本たちに続けて橋本も職員室からだされ、職員室はいつもの静かで落ち着いた空間にも戻った。
深川)なんで、晴子ちゃんに学生証渡したりなんかしたの?普通だったら、麻衣先生が自分でつくし君の家に私に行くのが普通じゃないの?
藤田)まぁーそういわれればそうだね
深川)他に理由があって渡したんでしょう?
藤田)そうだねー、別に私がつくしに直接渡しても良かったんだけど、晴子たちからつくしに渡させた方が色々な面でいいと思ってね!
深川)やっぱり考えがあるんだね
藤田)うん、あの3人ならつくしが友達になってくれそうな感じがしたんだよね!それと、
深川)バスケ部の勧誘もしてくれるからでしょ?違う?
藤田)ゆみちゃんには全部わかちゃうかー
深川)中学からの付き合いだからね!ゆみちゃんは学校では言わないって約束でしょう?
藤田)ごめんごめん、速く仕事終わして食事行こう!
深川)そうね!
2人は話すのをやめ、パソコンに向かい合って自分たちの仕事をするのだった。
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旭)あれーどこにいったんだ?
店長)どうしたのつくし君?鞄の荷物なんか全部出して?
旭)学生証が見当たらなくて…
店長)それは大変だ!服のポッケトとか探した?
旭)探しました、でも、なかったです?
店長)じゃーお店開けるまでもう少し時間あるから外探してきていいよ!僕がお店の中探しとくから
旭)いいんですか!?
店長)いいよ!お店開ける5分前には戻ってきてね
旭)分かりました。ありがとうございます!
旭はそう言うと、喫茶店を出て行った。
旭はバイト先の喫茶店までに来る道をくまなく探したが、学生証らしきものは見当たらなかった。
旭)バイト終わりに交番によってみるか…
旭が落ち込みながらバイト先の喫茶店に向かっていると、旭の横を1台の自転車が横切った。
旭)ウワッ!!(全然気づかなかった)
ポトッ
旭の横を通り過ぎた自転車に乗っている人のリュックから何かが落ちた。旭は落ちたものを拾った。
旭)財布じゃん!(なんで自分のじゃなくて、他人の落とし物を拾っちゃうんだろー)
旭は財布を落とした自転車に乗っている人を探すと、目の前の十字路の交差点で信号が青になるのを待っていた。旭は走って交差点に向かった。
旭)すみません
?)あ、はい。
旭)財布落としませんでした?
?)エッ?あっ!
旭が交差点で話しかけたのは、髪の毛が肩ぐらいまである制服を着た旭と同じくらいの年の女の子だった。その女の子のリュックのチャック全開に空いていた。
女?)すみません。その財布私のです
旭)やっぱり。落とさないように気をつけて。これで失礼します。
旭が女の子から離れようとしたとき、女の子の方から旭に話しかけてきた。
女?)あのーすみません人違いかもしれませんが、旭つくし君ですか?
旭)えっなんで俺の名前知ってるんですか?
女?)やっぱり!私のこと覚えてないかな?長峰めるだよ!
旭)えっ!?星丘小学校…
長峰)そうそう!思い出した?
旭)えっ!?ほんとにめる?小学校の卒業式以来じゃない?
長峰)そうだよ!たぶんそうかも!
旭)久しぶりに会えて嬉しいよ!
長峰)私もだよ!
旭)でも、なんで山形にいるの?
長峰)親の転勤で中1の夏から山形にいるんだ。
旭)そうなんだ
長峰)つくし君はいつから山形に来たの?
旭)今年の春から
長峰)そうなんだ!今もバスケ続けてるの?私は中学からバスケ始めたんだ!
旭)今はやってないや!あっ!
長峰)どうしたの?
旭)バイトのこと忘れてた!
長峰)それは大変!速く行かないと!
旭)うん、久しぶりに会えてよかったよ!ありがとね!
長峰)こちらこそだよ!財布拾ってもらってありがとう、バイト頑張って!
旭)おう!
旭はそう言うと、走って喫茶店に戻っていった。
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ガラガラ
つくし)ただいま!
七海)おかえりー
つくしはバイトが終わり家に帰ると、いつものように七海が出迎えた。
七海)なんか、お兄ちゃんいつもより明るいね。いいことでもあった?
つくし)久しぶりに小学校の女の子の同級生にあったんだ
七海)女の子…
つくし)ん?七海なんか言った?
七海)言ってないよ!!おやすみ!!
七海はそう言うと、リビングのドアをおもいっきり閉めて2階に駆け上がっていった。
つくし)いつもと違うのはそっちの方だろうが…
つくしは風呂に入り終わり自分の部屋に戻った。
つくし)める、久しぶりに会ったら大人っぽくなってたなー。あいつがバスケしてるんや。バスケ…。ごめん、忘れてたよおまえのことを・・・
そう言うと、つくしは心を閉めたかのように眠りについた。