つくしの夏休みはバイト先の喫茶店と家を行き来するのが日課となった。バイトの1時間前まで自分の部屋で寝て、起きたらシャワーをして、バイトに行く。バイトが終わったら家に帰って寝る。そのようなつまらない生活が旭の夏休みである。
しかし、時々、つくしがいつも眠っている時間の時に起こされることがある。そのような日が今日起きた。
階段を駆け上がる音が静まりかえっている2階に響き、つくしの部屋の前で止まり、次の瞬間、おもいっきりドアが開いた。
バタン!
七海)おきろー!
ドアが開いた瞬間、部屋に七海の声が響き、カーテンがおもいっきり開かれ、太陽の熱い日差しがつくしの部屋に入ってきた。また、つくしが体にかけていたタオルケットがはがされた。
つくし)ウワッマブ!
七海)ほら起きて!!
つくし)まだ、1時…
七海)いいから起きて!!
つくし)バイトは5時間からだから…
七海)ねぇ!起きて!お兄ちゃんの友達きてる!
つくし)友達なんていない…なんで怒ってるんだよ
七海)怒ってないし!いいから早く来てね!
バタン!
そう言うと、七海はおもいっきりドアを閉めて、つくしの部屋を出っていった。
つくし)アイツ最近機嫌悪すぎだろ
つくしは自分の部屋を出て、階段を降りて1階の玄関に向かった。七海が言う玄関に立っている友達を見た瞬間、つくしは固まった。立っていたのはつくしのクラスの橋本晴子であった。
橋本)こんにちは
つくし)どうも(なんで来たんだ?)
橋本)いきなり来てごめんね(寝起きなのかな?頭いつも以上にボサボサ)
つくし)立って話すの疲れるから上がって、俺の家ではないけど
そう言うと、つくしは橋本を家に上げ、客間に案内した。
橋本)(緊張するな~)
橋本が部屋の物をソワソワしながら見ていると、寝間着から私服に着替えてきたつくしが入ってきた。
つくし)待たせてごめん
橋本)いや、私もいきなり押しかけてごめん
つくし)で、話があるから来たんでしょ?
橋本)う、うん?
そう言うと、橋本は鞄の中をあさりだした。
つくし)ちょっとごめん
橋本が鞄から何かを出そうと瞬間、つくしは立ち、客間と廊下を結ぶ扉を開けた。七海は扉の前にしゃがみ、つくしと橋本の会話を聞こうとしていた。
つくし)七海、盗み聞きは良くねぇよ
七海)だって、お兄ちゃんが友達と何話すか気になるんだもん
つくし)友達ではない!はぁー冷蔵庫の中に飲み物なかったから七海の分も買っていいから2本買ってきて
ため息をつくと、つくしは財布を取り出し七海に千円札を渡した。
七海)え~
つくし)いいから
七海)分かったよ…
そう言うと、七海はふてくされて家を出て行った。
橋本)妹さん、かわいいね!
つくし)七海とは本当の兄妹じゃない
橋本)え?(どういうこと?)
つくし)で、話って何?
橋本)あ、麻衣先生がつくし君にこれ渡しって
そう言うと、橋本はつくしの学生証を机の上に出した。
つくし)ありがとう。どこに落ちてたの?
橋本)学校の廊下だって、ふみ先生が拾ってくれたんだって
つくし)そうなんだ。で、他に話すことは?
橋本)え?
つくし)見たんでしょ?学生証の中の写真
橋本)う、うん?ごめんなさい
つくし)別にいいけど
橋本)3枚写真あったよね
つくし)全部みたんだ…その写真について知りたい?
橋本)え?
つくし)知りたいから学生証に書いてある住所を見て来たんでしょ?違う?
橋本)そうだね
つくし)橋本ってバスケ部のマネージャーだよね?
橋本)うん
つくし)じゃー俺が東京の中学いたのは写真見て知ってるよね
橋本)うん。引っ越して来たの?
つくし)俺だけね
橋本)え!?それって…
つくし)俺の家族は全員死んだよ
橋本)!!
つくし)…
橋本)でも、さっき妹さんにお兄ちゃんって、呼ばれてたよね?
つくし)あー七海は俺のいとこ
橋本)…私勘違いしてて…
つくし)謝らなくていい。
そう言うと、つくしは学生証から3枚の写真を取り出した。
つくし)橋本が知りたいのは俺がなぜ倫泉高校にきたことだろ?
橋本)うん
つくし)簡単に言うと、俺は人を殺してしまった
橋本)えっ、意味が分からないよ
つくし)…
橋本)…
つくし)まぁー友達じゃない橋本に言えるのはこれぐらいかな(これでいいんだよな)
つくしがいつものように素っ気ない態度で言うと、橋本は立ち上がった。
橋本)急に来てごめんね。じゃー学校でね
そう言い、橋本はつくしに頭を下げ、何か心の中にあるものを押さえるような感じで、客間を後にし、つくしの家を出て行った。
橋本が家を出ていき、数分後七海が帰ってきた。
七海)あれ、友達帰ちゃったの?
つくし)うん
七海)せっかく暑い中買ってきたのー
つくし)ごめんな
七海)じゃー冷蔵庫に入れておくね
つくし)お願い
そう言うと、七海はつくしがいる部屋を出て行った。橋本と七海がいなくなった部屋にはつくしがただ1人残り、写真を見ている沈黙の時間が長く続いた。