「グ……(こ……ここは……? 僕は、何をしていたんだっけ……)」
意識を取り戻した結月は、うっすらと目を開ける。
まだ腹部に圧力をかけられた違和感と拳を当てられた顎が傷む中、周囲を確認。
周辺は真っ暗で何も見えなかった。
また結月ゆかり、彼自身四肢が拘束されていることを、感覚で知ることができた。
「とにかく……(ここからでないと……)」
身じろぎをすると、体に当たるはずの何かがないことに気づく。
「! 嘘だ。何で服が……」
結月は自身が全裸だということを、少し動いて知る。
後藤中将の好色、意識の刈り取り、司令本部。
これらの要素をひっくるめると、行われるのは……。
「まさか、後藤の奴!」
「はい、ご名答~」
そういって拍手をして、照明が薄暗くともされた。
それにより、中将と結月がその光の下さらされる。
「な!? 貴様っ!」
「何。今までの仕返しというのと、実際神子がどういう感じなのか、知りたいんだよ、俺はなあ!」
中将は結月に襲い掛かった。
結月は中将のやり口を目にして、今までの被害者もこのようにしてきたのかという怒りが湧いた。
攻勢に転じている中将は、女を喜ばす方法に富んでいるのか男勝りな結月に嬌声を出させる。
薄暗く、お互いが出す空気の振動しか耳に入らない密室。
おかしな程今の状況に合っている為か、結月は徐々にその状況に入り込んでしまっていく。
だからといって、意識を完全に移行させるわけにはいかない。
彼女や彼ら、満蒙二世代のためにも、ここから抜け出さなければならない。
「乗ってきたな」
「いいから、もっとして……」
中将はにやけながら、なおも行為を続ける。
実のこと中将は、結月に感応性を上昇させる薬を盛っているのだ。
麻薬ではなく、とある神に作り出させた強力な物。
よって、結月も自身の体の暑さや昂ぶりに、若干の不安を感じている。
薬によってもたらされる偽りの感情と感覚。
これは徐々に結月を、快楽の海へと沈めていく。
快楽は欲望と直結し、抑圧された環境下で育てられた結月の中の性を目覚めさせる。
人として、生物として、その本能を刺激させる。
彼は彼女となり、中将の望みを果たすことになる。
彼女は元に戻らないくらい、それに甘んじてしまう。
中将の手腕は、もっとそれを軍事に注げよと言わんばかりに高い。
「来て……」
「いいだろう……!」
一時間ほどくんずほぐれつの連結をしている。
抵抗はなく、今では快楽の餌食となり、感情も思考も欲望の海に解けてしまった。
中将は自身の肉体の昂ぶりを、結月にぶつけようと必死に揺する。
確実に命の素を命の種へ届けようと、肉体を密接にさせた。
結月もそれに従い、手足を使って逃さないようにする。
最後は接吻をした。
そして、中将は満足……していなかった。
この肉欲の宴は、3時間ほど続けられた。
そしてその最後。その時に、喜劇は起こる。
「う……グッ!?」
中将に乗っかって、魅惑の舞を踊ろうと体位を変更する。
この時、結月は中将の首をしめ、体を転げさせ頸椎にダメージを与える。
そして最後は結月……彼女が座っていた台座にぶつけ、意識を刈り取りながら首を抑圧する。
「オゴッ……」
何かが砕けた音がした。
結月はしばらく首を強く締め付けた後、自身の汚れた下着を中将の口に突っ込み
この中将だったモノから抜け出す。
「ふぅ……」
発汗作用や激しい運動によって、成分がさっさと抜けたことにより結月は正気を取り戻したのだ。
彼女はお腹に力を入れて、内部に溜まった不要な粘着物を外部へ捨てる。
また遺体の腰から鍵を手に入れて、この薄暗いところから出る。
出た後、周囲を探って自身の神の力を使う。
『縁』。
これにより、どこにだれがいるかわかってしまう。
神人、イデオロギー、左右、急進穏健、善悪、死生、男女……。
これを使って、自分の衣服を探し出し着用。
後は脱出するだけ。
「『姉』さん……」
「あかり。逃げるよ」
「うん。案内は任せて」
紲あかり。彼もまた、彼女であった。
あかりは周囲にいる中将派の人間を、格闘術にて殺してゆかりの逃走を助ける。
本来ならば何かしら問題があるはずだ。
しかしそれはなかった。
なぜなら……。
「支那の空挺だ! 全員退避しろ!
おい、お前ら中将はどこへ行った!?」
「わからない。我等も探しているが、検討がつかん」
「ちっ」
中将派ではないが、関東軍の中で顔を利かせている人間。
彼はすぐに要塞内通路を走っていった。
この緊急事態に、一部の者は混乱している。
指揮系統も上手くいっていない。
そんな中まだ体を清潔にしていない結月は、紲の案内をへて小隊の下へたどり着く。
すでに全員撤退準備ができているようだ。
「皆、逃げるよ。ついてきて」
「「「はいっ!」」」
司令本部からすぐに撤退にこぎつける。
それは伍長らとあかりの支援あってのものだった。
今日もまた、前線が退いていく。
それでも確実に勝利に近づいていくものなのだ。
あえてこのような場面は淡泊にしました。
あまりこんな描写は使いたくないです。
ただ戦争系であれば、入れておきたい要素であります。