「諸君、これよりダンツィヒか戦争か。戦略立案してもらいたい。
私は諜報機関の者と話してくる」
「ハイルヒトラー!」
ここはドイツ――Deutschland――の参謀本部。
そこにヒトラーが訪れ、今後の作戦について簡単に説明。
そして彼はまた別の部署に、今後の動向について話をつけるため足を動かす。
「あら、総統閣下ではありませんか」
若々しい女性の声が、ヒトラーの後方から掛けられる。
彼はわかりやすい驚愕を体現させ、後ろを振りむく。
特徴的な頭髪色と両サイドに頭髪を結んだ、ツインテールというひも結び形態を用いた彼女。
「日系アーリア人の二重工作員、初音未来ではないか」
「まあ、ミクと呼んでくれないのですね?」
「今は仕事中だ。あとに――」
ミクは固い彼の意志表示に反抗し、彼の腕に抱き着く。
女性の柔らかい肌が触れる。彼はその感覚を耐え、近くの本日使用しない会議室に入った。
「それで、報告はなんだ」
「焦らないでください、殿下。無用な焦燥は、死を早めますわ」
艶やかな口調と声・彼女のしぐさや容姿も相まって、彼はひたすら耐える。
中身は優秀なくせに、外見は色々と卑怯なのだ。
一回深呼吸をして、煩悩をいったん頭の隅に置き彼女と話す。
「報告を頼む」
「一つ目……。海斗が死んだわ」
「何? アイツは優秀な頭脳と知識を持った、元ユダヤの名誉アーリア人だぞ。
そんな簡単に……」
「彼の脳内情報は私の情報部を使って、全部ダウンロードしたわ」
「そうか」
お互いの唇が至近となるほどまで、彼女は顔を近づける。
余裕の大人の女性として、男性であるヒトラーの情を昂らせたいのか
色々と辛い行動をしてくる。
しかしそれと裏腹かのように、ミクが行うその工作内容は普通の工作員でも不可能な気違いの領域に達している。
「二つ目。私の歌で、フランスにユダヤ排斥をさせたわ」
「……そうか」
しばらく彼は黙り、シュリーフェンが唱えた戦略立案を指示しようかと熟考している。
だがその思考は突然断ち切られる。
「総統閣下。ご褒美を下さらない?」
「……仮にも、Japan―ヤパン―の神子ではないのか?」
「『神』ですわ。それに、この行為はお互いの傷を埋め合わせるもの。他意はありませんわ、アドルフ君」
「美大からの落伍者を歌で盛り立て、ナチ党の党首にさせる君の実力はすごいさ。
だがそれをなぜ私に担わせた?」
ヒトラーは、肌を曝け出し欲情を掻き立てる姿になる未来に抗議する。
その言葉は場をしらけさせる効果は全くない。
寧ろ彼はいじられているのである。こうやって言い返すのも、ヒトラーの嫌味であった。
「『歌』の可能性と『神』の国の未来のためですわ」
「それだけのために、私に国を背負わせたのか」
「それもありますが……歌と詩では表せない、その表現ができる総統に惹かれただけです。んっ……」
生物として大切な行為も、人間にかかれば娯楽と化する。
しかしただの娯楽であっても、彼らにとってそれは信頼か、
傷のなめあいをして心の隙間を埋め合わせるだけに過ぎない。
「だが私も結局、お前に取り巻く男と変わらないぞ」
「ええ。ですが、本質は違いますわ、ヒトラーさん」
「やめろ……」
「かわいいわ、ヒトラーさん……」
快楽と欲情が場を支配する。だがそこに実感はともなっていない。
ただむなしい気持ちが、交錯するだけだ。
今を必死に生きるが、それは過去を断ち切る為、逃げるためにしているあがきだ。
だから彼らは後ろを見ず、前に進み続けようとする。
その道は未知である。だが逃げるわけにはいかない。賽は投げられたのだ。
「お前は少なくとも人だ。神ではない」
「ですが、私は神です。人ではありませんわ。バケモノです……」
「未来。私を救い上げてくれたのは、神でもない。人だ。
だからこそ、私はお前が欲しい」
「既に全てを授けているではありませんか」
二人だけの空間。
物だけ溢れかえる静寂な空間は、二人が醸し出す雰囲気をさらに強調する。
彼らは何年に一度逢えることはあるが、こうして二人きりになったことはない。
今はドイツの重大な事のため、皆が会議室に引きこもっている。
だからこそ、こうやって蜜月の思いをしていられるんだ。
「私は神や人ではなく、初音未来。お前の心が欲しいのだ。
だから、戦争が終われば、私と婚約してほしい……」
「変な事を言わないでください。死んじゃいます」
「本気だ!」
「ひゃっ!?」
空気は濃厚になればなるほど、そこには狂気しかなくなる。
そして飲まれれば呑まれるほど、深淵に嵌り抜け出せなくなってしまう。
その浅い溝は、深い奈落となって二人を闇へと引きずり込む。
「閣下。だめ、中は……!」
「私はすでに、何千万と殺している。頼れるのは、未来……お前しかいないんだ!!」
彼の言葉に未来は顔を紅潮させ、流れに身を任せた。
……
「「……」」
「……また、逢おう」
「ええ、楽しみにしておりますわ」
夕べではないが、お楽しみだった二人の顔はただの一般人の逢瀬[おうせ]でしかない。
だが外に出れば、戦場となる。
血はつながっていないが、手はつながっている。
手はつながっていないが、心が繋がっている。
「我々は命と未来を、この手でつかみ取る……!」
ナチ党党首、ナチズムであり国粋主義[fascism]、アドルフ・ヒトラーは、固い決意をもって会議室を後にした。
そして初音未来も、名誉アーリア人、日系独逸人として二重工作を行うため現場へと足早に向かう。
未来はその現場にたどり着く。
そこには白髪の女性が、二人たたずんでいた。
「依愛[IA]、王[ONE]。行きますわよ」
「まずは説明をしてくれないと、わかりません」
「中華民国をファシズムに染め上げるのです」
そういうと、依愛はその無表情を取り作る表情筋がピクッと動かせた。
更に王も鋭い目つきで、未来を見る。
「あら、私に逆らう気? 依愛。貴方の妹は、この私が中国で買われていたのを買い戻したのよ?
従属の意志をもって、仕えないと」
そういって、未来は依愛の首に巻かれている爆弾付きの首輪を撫でる。
依愛は屈辱と後悔の念でいっぱいになり、その表情を怒りから悔しみに変化させる。
王も名付けられた名前を捨て、当時の育ておやであった王家から家名を借りている。
「では。内部工作と行きますわ。私は中華民国。依愛は中国共産党。王は山西を頼みます」
「わかった」
「わかりました」
そういって、三人は別の道を歩き出す。
――ドイツの未来と日本の栄光のために――
そう、初音未来は小さく呟いて、その闇で包まれた細い道を歩いていく。
先にあるのは希望か絶望か。
それは努力と運次第。彼らは命を懸けて、成功を手繰り寄せる。
たとえ、その道が血に染まっていようとも。
読んでいただきありがとうございます。
続きも少し書かれていますが、作風が深夜テンション[アカネチャンカワイイヤッター]のものなので
作風を維持し描くことができません。
ですので、これは未完として打ち切りにさせていただきます。
最後にHoi4は、日本語MODとチートMODを使用しました。
設定:日本は総合的に楽になるが、敵が相対的に強くなる。
日本・満蒙。建設技術がmost・生産効率のみmost、人的補正less。
攻撃less,resourse+10。
中国。研究速度がmost、政治most,攻撃meagre 資源+3
ドイツ。建設技術some 研究less 人的some resourse+6
アメリカ。政治研究建築生産攻撃経験little resourse+10
ロシア。政治most,建築more、生産some resourse+3
イギリス。政治more人的little生産some resourse+8
フランス。研究most建築most生産most resourse+3
イタリア。研究less建築more攻撃some resourse+6
none meagre less little some more most
ボカロ:ドイツ
KAITO
MEIKO
初音ミク
鏡音リン・鏡音レン
巡音[めぐりね]ルカ
音街 ウナ
IA
ONE
ボイロ:一般満蒙兵
紲星(きずな)あかね。尋問、拷問。通信兵。
結月 ゆかり。監査伍長。兵長を殺し、自分が頭になる。
水無瀬 コウ。特別軍医。人命を使って他者の命を紡げる神の手を持つ。
琴葉 茜:桃。不思議な魅力がある姉妹。歩兵。
琴葉 葵:水、茜の妹、歩兵
京町 セイカ:緑、偵察兵。
弦巻 マイ:金髪巨乳。砲兵
東北 イタコ:従軍記者。出世の前に、姉妹が徴兵され従軍へ。
東北 ずん子:ずんだもち。緑。補給兵。何故か落とし穴や釣り野伏せが得意。軍人が嫌い。
東北 きりたん:きりたんぽ。刃のアクセ、アップツインテールずん子の妹。工兵。愚痴を言う。