「後藤中将、ご足労痛み入ります」
「それはいい。大事な将兵が大陸で待っている。要件を早くせよ」
「ええ、それでは……」
本土帝都にて、関東軍の怪しい人物を招集し、大規模ではないが中規模の集会をしていた。
流石にこの緊急事態にのんびりとした空気を放っている首相に、関東軍や関東軍よりの陸軍将校は苛立ちを覚える。
今回は牟田口という者が、率先して戦功を焦ったためこのようになったという事になる。
結果牟田口や周辺を取り巻く将校は、内部分裂の画策と混乱に乗じた露中米のスパイを招き入れたとして、国家保護法の観点から死刑となった。
「俺は悪くない! 全て、アイツがわるいんだ!」
「はいはい。全ては靖国か、ヴァルハラで聞いてやるよ」
こうして、浅慮で無礼な輩は四散した。
で、無駄な時間を過ごした将校は、多少の応援を要請し自身の師団が待機している場所へ戻っていった。
その時後藤中将は、少しでも結月に煮え湯を飲ませたいとして情報収集に明け暮れた。
これにより大切な時間が削られ、将来、前線が後退する要因となる。
「なあ、結月ゆかりと紲あかりについて、何か知らないか?」
「『現人神』で有名な、『縁』と『絆』の神子じゃないか。それがどうした?」
「あいつらは、男だよな」
「何言ってんだ、女に決まっているだろ」
「何?」
「何って、お前、知らねぇのか。ばっかだなぁ」
後藤はさも当然の事かのように言われ、少し頭にくる。
しかし情報を聞き出すため、ここは耐える。
「そもそも、『神子』は女だけだ。男は全員『神』になる。
もちろん天孫降臨後、神武天皇の領土の配下になっていた家族だけが、『神』の血筋を持っている。
そしてその『神』の血筋が途絶えようとすると、必ず女が生まれる。それが『神子』だ」
「つまり、血筋を途絶えさせない為か?」
「そういうこった。しかも、確実に生き、残すため、とある条件で若々しい肉体のまま子孫を残さないと老いるどころか死ねないらしい。
じっさい、『幻影の神子』『国作りの神子』が、幻・世界という苗字で生き続け現在300歳くらいになるって聞いたことがある」
そんなこんなで話を聞いた後藤は、頭の中で結月ゆかりを滅茶苦茶に穢す計画を立てる。
そして無駄に高速で仕立て上げたその作戦は、結月小隊どころか師団全てを巻き込んだものになる。
そう、蒙古国最大で最強の要塞を失うのは、要因だけでなく故意であったりする。
ちなみに馬鹿にしたやつには、微弱のヒロポン入り高級茶葉を渡した。
どうせラリって死ぬので、今後登場しないだろう。
「さあ、Show Timeだ」
「敵性言語に気をつけな」
「黙れ。朝日とかいう民意改竄会社の意のままに操られるな」
彼は通りすがりの若い将校に声をかけ、福岡から南朝鮮へ渡り大陸鉄道・満州鉄道に乗って蒙古国へ急いだ。