原題:茜の受難   作:名無しの権左衛門

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9:作戦結果

 全員撤退が完了したが、今は暗い雰囲気である。

 

 まずは結月が真っ先に司令本部に招集されて、声が聞けないということ。

 第二に漸減作戦はいいものの、追手に対して日本軍の苛烈な迫撃榴弾による鉄の雨が降ったこと。

これで撤退が遅れた仲間の四肢が吹っ飛んだ。

 第三に、城塞を爆発で吹き飛ばし、本隊を城塞前に撒いていた化学燃料で燃やしたが、

翌日立派な城塞に建て替えられていた事。

 第四に、撤退支援で戦術爆撃機や護衛が出てきたが、誘導する敵の対空砲のせいで次々と落ちたこと。

 

 第五に、茜が負傷したこと。

 

 

「お姉ちゃんっ! おねえちゃん!」

「邪魔だ葵。マキ、こいつを抑えとけ」

「おいまて、コウ。それ、ヒロポンじゃねぇか!」

「薄めて使えば、神経系を麻痺させる。いわゆる麻酔にできるんだよ。ミスればラリっちまうがな」

 

 そういって、葵をマキに羽交い締めにさせて野営地で待機と休息をさせた。

茜は腹を抑えて苦しく悶えている。しかし、動けば動くほど血がとめどなく溢れてしまうので、

早急に手当てをしなければならない。

 

「さて、茜。俺の軍医もとい、神医しての力、みせてやるよ。

華佗が末裔、『解剖学の神』。参る」

 

 彼は他の神の力を利用し、自身の解剖に利用できる。

例えば『縁』や『絆』は、糸や細胞結合に使用できる。『火』は焼き、『日』は温める。

色々と使えるのだが、その神が近くにいないといけない。

勿論、神子でも構わない。

 

「というわけで、紲さんはそこにいてください」

「うん。君の力、見せてもらうね」

 

 そういってコウは、敵の銃弾が純鉄性であることを鑑みて、

電磁石に大量の電気を送って強磁性を利用し弾丸を摘出した。

 

「……ええええ!!!?」

「これが、解剖学(化学)の力だ」

「そもそも電気って……」

 

 驚愕し大声を上げる紲が周囲を見渡すと、彼を見る軍医の方が多数。

そして彼らは口を開いた。

 

「どーも、『摩擦の神』でーす」

「どーも、『静電気の神』です」

「やあ、『負極の神』です」

「俺は『正極の神』だ」

「自分は『磁性の神』だ」

 

 自己主張の激しい神様たち。

 そもそも医療班に神様が集まっているのは、神の力が強大だからであるという事と

人的資源が貴重だからということ。

だから日本国は、医療関係に色々と神様を配属するのだ。

 しかも神であるという事は、他にも神がいることなので他の戦線にもそれぞれ彼らがいるということに他ならない。

たった一人なのは、『神子』だけである。

 

ちなみに、万物の神様がいるので、八百万以上の神様が存在していることになる。

これで人的資源が不足しているなんていえば、小国に怒られそうな感じだ。

しかし今現在日本帝国が相手している敵を、もう一度確認してほしい。

 

 敵は日本帝国より数世代先を行く国共合作をした、中国大陸全てである。

 いまだに1900年代であれど、黄河と長江によってもたらされる肥沃な大地は

多くの人口を産み落とした。

現状技術と兵力で負けているので、これに勝つには神様の力を存分に活用しなければならない。

 

 もしも敗北して、満蒙やほかの戦略的要衝が陥落すれば、本土まで攻め込まれるだろう。

 この時代、既に中国は複葉機を卒業し、単葉機を採用している。

更に屈強なファシズムドイツ勢力が、総統をして危険だといわしめるほど彼らは進んでいる。

 そしてドイツが選んだ友好国は、アブノーマルでなくクトゥルフ的神様の国。

 

 戦争に必要な物は全て揃っているといわれている国共合作軍。

 彼らに勝つことは不可能なのだろうか?

 

 さすがに全戦全敗はないだろう。

日本という国は、大きな列島にて構成されている精神の国。

昔からごく少数の採算が取れない資源が、大量に埋まっているだけだった。

 江戸時代には金銀銅を使って、外国の技術を買っていたようだが、それはほぼない。

よって日本は国の存亡を、人命を使いつぶして保全するようになった。

だから人的資源が少ないといえる。

 

 話を戻そう。日本は列島という観点から見てわかるように、海洋に囲まれている。

地政学的な事は話さないが、大昔から日本海バリアのおかげで様々な敵国の侵略を退けてきた。

 一番大きな出来事と言えば、元寇といわれるもの。

 二度にわたって敢行された、大規模上陸作戦。

 

 ――チンギスハンが東方異聞録を読んで、黄金の国ジパングとして興味を持った。

対馬から渡ってきたが、当時ぶっつぶされたばかりで大陸国の朝鮮・中国人が船になれておらず、簡単に荒波で転覆入水し戦闘にすらならなかった。

神風という、当時の台風が直撃した。

海賊や倭寇の対策・数々の水上戦をもって、上陸作戦など水際作戦に興味を抱いていた天皇や北条らが、山城や堤防・長距離にわたる石垣を作っていた――

 

 ――等、上記の理由が混ざって、結果的に勝利した歴史的大勝利のアレだ。

(尚、将軍様は活躍した兵士や将軍の恩賞を御恩と奉公に基づいて、苦渋の決断を迫られた模様。)

 

 

 つまるところ、海こそが最大の防壁である。

広大な海を制海権として手中に収めておくことで、気休め程度だが国防をすることは可能である。

流石に朝鮮半島を取られれば、福岡や対馬で徹底抗戦しなければならないが……。

 

 え、勝利方法?

 

 物量でなんとかすればいいんじゃないかな。

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