林中の中での二ヶ月間 作:夜仙
ギラギラと光る太陽の下で林中を歩くが男いた。端正に整えられた髪をし、黒色の糊付きのスーツを着ているところを見ると、お坊っちゃんを連想させる容姿と服装だった。
男は眩しそうに目を細め、
「これだから日光は嫌なんだ」
と忌々しく言った。
彼の名前は小栗虫太郎。
表向きは何処にでもいる一般人だ。
だが、裏では犯罪者達の経歴や情報などを消したりする仕事をしている。所謂『隠滅屋』だ。小栗によって無罪になった犯罪者は多い。中にはかなり危険な奴もいた。そんな奴らを彼は軍警から逃していた。その手腕は業界でも高く評価されている。だが、それは彼の実力であって、実力ではない。何故なら、これらの業績は彼の異能によってなされたのだから。
彼の異能『完全犯罪』は犯罪の証拠を消す能力だからだ。しかも、一度消した証拠は小栗本人の任意によって蘇らせる事もできる、まさに犯罪に関しては万能のである異能を彼は持っていたのだ。
ただ、それが災いのもとになって彼はと或る組織に監禁されたのだ。今日までは。
今日から彼は二ヶ月間の間、と或る男の紹介でここの近くにある隠れ家に住むことになっていた。そこを目指して彼は道なき道を歩いているのだ。そして…
「ここが奴の言っていた場所か」
隠れ家に到着した。
「これは、隠れ家というより…お化け屋敷だな」
小栗はそう言って、建物をじっと見た。
彼の隠れ家となる建物はかなり大きく、その大きさは高級ホテル一つ分にあたいする程のうえ、建物もかなり頑丈そうにできている。ただ、何故かこの建物の見た目はすべて真っ黒に塗りつぶされており、元々の壁の色が分からなくなっていた。これは後になって、彼の知ることになるが、元々ここの建物はと或る裕福な家族の別荘で、その主人の命によって外面を真っ黒にさせたらしい。だが、その家族はもう居ない。十年程前にここに泊まっていた家族を或る異能者が襲撃し、皆殺しにしたのだ。そんな事が起きて以来この辺に住んでいる者は誰も近寄らなくなり、何時しか『黒死館』と呼ばれるようになったといういわく付きの建物であった。
「まぁ良い。とにかく中が肝心だ」
そう言って、小栗は黒死館へと入って行った。
(む、これは…)
玄関から入って、右側の方にあるドアを開くとそこは彼の頼んだ通りの書架があった。そして書架の上にはメモ帳が一つポツンと置かれており、ドアのすぐ右横には木製の本棚があり、その中にはこれまた彼が頼んでいた古代錬金術の本がずらりと並んでいた。
「これは……まだ読んだことがないな…これは……」
小栗は本を手に取り、一冊一冊をめくっては閉じ、めくっては閉じ、と本の内容がどんな物かを確かめている。これで彼自身の興味があるやつがあるかどうか確認するのだ。
「ふむ、なるほどな」
(ここにあるやつの大半は私が興味がある物ばかりだ。……さては奴め。私が好きそうなジャンルを調べたな)
フッと彼は笑った。彼のいう奴の自分への丁重な扱いに小栗は気を良くした。
(ここでの当分の楽しみはこれらに時間を費やすことだな)
そう言って彼は本棚にある大量の蔵書のうちの一つに目をつけ、手に取った。
いかがでしょうか。