林中の中での二ヶ月間   作:夜仙

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妄想全開です。


四十日目①

 小栗は車に乗って、とある所に向かっている。

 

 今日は小栗の言う『奴』に呼ばれて、はるばるこんな山中に来た。

 

 周りには何もなく、木が自由においおいと茂っていた。

 

「もうすぐ、目的地になります」

 

「あぁ、分かった」

 

 

 小栗が運転手に連れられて来たのは、山中の廃トンネルだった。だが、そこは廃トンネルにしては異様な空気がただよっていた。なんと、廃トンネルの前には武装したいかつい見張りがおり、入り口からでも分かる位置に監視カメラがあったのだ。

 

 

 ここは『死の家の鼠』のアジトだ。アジトと言っても様々な種類があるが、その中でもここのアジトは何処とも違って、異様さがある。本来なら人通りの少ないビル、もしくは地下にある建物をアジトにするのが普通であるのだが、ここは人通りの少ない山中とは言え、廃トンネルにそれを構えるなんて論外に等しかったのだ。とうの小栗も沢山の秘密組織に出入りしたことはあるが、こういう所につくる組織は初めて見たため、かなり驚いている。

 

(本当に鼠のようだな)

 

 小栗は一人そう思って微笑した。

 

 

 

「ここが中だぜ」

 

 小栗は道案内役である男と共にアジトを見ていた。中は使われていた頃の趣きがしっかりと残されているが、全体的には鉱山と思えるような所で、ちょくちょく鼠の構成員達とすれ違う。誰も彼もが、重武装で物騒さが監視カメラの件も含めて強くなっていく。

 

「あんたの事は聞いてるぜ。小栗虫太郎…だっけ。あんた、すごいな」

 

 唐突に道案内役が小栗を褒める。だが、そんな声を小栗は無視して道案内役をまじまじと見ている。

 

 道案内役の男は温かそうな上着を着ていて、フードまで大きい頭にかぶせている。だが、太っているためか、腹辺りは山のように丸くなっていて、顔もその影響からか丸い。大きくて丸っこい鼻、小さくて濁っているその目。小栗はこの男を見て、心では不快さがこの上なくあった。何だか、『自分をとても誇らしく思っている人間』と見てしまう。そして、同時にこんな男の居る所でやるのか、という嫌悪感が湧いた。

 

 そんな小栗の観察には気づいていないのか道案内役は饒舌に語る。

 

「あんたのその異能、『完全犯罪』だっけ。すげぇよ、あんた!そんな異能があれば、弱者であるこの俺は世の中の恵まれた奴らの味方をする警察の意も介さず殺しまくれるんだもんなぁ!羨ましいぜ」

 

 道案内役はパッと小栗の方を振り向く。その顔は何事かを企んでいる三文小説の悪役のようだ。だが、道案内役は何かに気づいたのか、とある穴へと案内する。

 

「まぁ、ここでちょっとばかし待ってくれ。侍従長が来るから」

 

「そいつは待つ必要があるのか?」

 

「あぁ、あるね。あいつを会わないと、上の奴と会えねぇからな。まぁ、面接官と思ってくれたらいいさ」 

 

 小栗は「そうか」と言って、下を向いた。

 

「おつかれのご様子だから俺は行くぜ。じゃあな」

 

 そう言って男は去った。

 

 

 

 




ほのぼのではない。
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