林中の中での二ヶ月間   作:夜仙

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ここから、ちょっと本作品にリンクしていきます。


五十日目

 小栗はドストエフスキーに呼ばれ、例のアジトに来ている。空は晴れ晴れとしていて、ここ数日の雨が嘘のようだ。

 

 だが、それと引き換えにアジトの周囲は以前よりも増して物騒さが出てきていた。

 

(どうしたのだろう?)

 

 小栗は重武装をしているこの洞窟内の兵士達を見て、そう思った。

 

 すると、小栗を呼んだ当の本人であるドストエフスキーがこちらに来た。

 

 彼は小栗を見つけると、ニッコリと笑顔をして、

 

「お待ちしていました」

 

 と一声かけ、小栗を手招きする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドストエフスキーが行く先には、かつて彼と作戦について話した時に使われた洞穴のような部屋だった。 

 

「なんだ、ドストエフスキー。用があると聞いてきたが」

 

「はい。そのことです」

 

 ドストエフスキーは笑顔を浮かべ、こちらを見る。

 

「実は、これからの事を貴方に話さないといけないと思って呼んだのです」

 

 小栗は顎にないはずの髭をさすりながら、

 

「確かに。言われてみたらお前に作戦内容を聞いていなかったな」

 

「えぇ」

 

 ドストエフスキーはこくりと頷く。 

 

「ですから、今話します。よく聞いておいてください」

 

 ドストエフスキーは今からの作戦内容を小栗に分かりやすく手を使って説明し始める。一方の小栗はそれを平然に聞き澄ましていた。

 

 だが、彼の内心はかなり驚きの連続と言って過言ではなかった。

 

 この目の前にいる細長い男の頭の作戦はかなり緻密でまさに的を射た作戦である。そのため、三流策士である小栗は全くもって異論を口に出すことができずにいた。早い話、完璧な作戦だったのである。

 

「そういう訳で私はここを出ていきます。虫太郎さん、ご達者で」

 

 そう言って、魔神ドストエフスキーはアジトを出ていった。

 

……

 

………

 

…………

 

「虫太郎さん、こちらです!」

 

 『死の家の鼠』の一人が小栗を近くに停めてある装甲車に乗せようとする。これに小栗は応じ、装甲車に乗る。彼の他にも続けて四人乗り、車内にあるスペースというスペースが人で埋め尽くされた。

 

 彼は後ろを振り返った。ドストエフスキーとの対談の後、探偵社とマフィアによる二大勢力がアジトに向け、総攻撃を仕掛けてきた。これにプシュキンや侍従長を含めた何人かの者が迎え撃っているのだが、あの二大勢力だ。たとえ彼らのような世界で指名手配をされた凶悪犯罪者達でもやられるのは時間の問題だ。

 

 その前にドストエフスキーは小栗を含めた者達に予め逃走時刻とその手段を伝え、落ち延びさせようとその手の準備を完璧に揃えていたのだ。

 

(とはいえ……)

 

 小栗は窓から外をちらりと見る。そこにはヘリコプターが上空からこちらを監視するのが見える。きっと、ボスであるドストエフスキーを捕まえるためのものなのであろう。

 

(確かドストエフスキーが前に言っていたあの『太宰』と言う奴もあのヘリコプターの中にいるのかもしれない)

 

 彼は自分の運命がドストエフスキーとその『太宰』とかいう奴の手にかかっている、そう思うと何処か彼はぞっとした。ヘリコプターの音が喧しく鳴る。それは何かを自分に語っているのかもしれない。

 

 小栗の額から冷や汗がつうっと流れる。

 

 彼は車内の中でただ沈黙を守ることしかできなかった。

 

 そんな彼の耳にプルルル、と一つの着信音が聞こえてきた。




遅くなってすみませんでした。
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