いつからだろう。
俺が深海よりも深く真っ暗な闇夜を歩き始めたのは。
いつからだろう。
お前がその小さな手で高嶺の花よりも美しく気高い光を手に取ったのは。
でもこれは偶然ではない。
必然、運命だったのかもしれない。
雲間差し込むレンブラントの光は、闇夜に月の光を照らす。
光と闇…時折交わりをみせるがそれは刹那の時のみ。結局最後は相反するものとなる。
俺もお前もそんな光と闇のようだった。
しかし不思議なことに俺は闇の中で、雪の舞い散る丘で世界が真っ白に染まる光景が目に映った。俺はその美しさに惹かれるかのように、その光景が記憶から消えることはなかった。
「きっとお前も同じ雪を…」
ん〜…。朝か…。
いつものように憎たらしいほどに眩しい朝日を浴びて今日を迎える。
俺 黒下 一夜 は都内某所の高校に通うどこにでもいそうな高校1年生である。
まぁ強いて言えば剣道を中学までやっていたくらいか。
でも高校に入ったら何もやらないと決めていた。何故なら疲れるしめんどくさいから。
そういった単純な理由である。
しかし後々部活に入らなかったことに俺は後悔することになる。
「行ってきまーす。」
ただでさえ学校もめんどくさいというのに…これからは疲れることはなるべく避けて生きていきたいものだ。
「よ!一夜!」
朝から元気の良い挨拶とともに腕を俺の肩に乗せたのは、俺の中学からの悪友 国吉 和弥である。
「おはよ、和弥。」
「いやぁ〜どうしんだよテンション低いなぁ一夜!『棒振り大将』が聞いて呆れるぞ〜」
棒振り大将。中学の頃俺はそう呼ばれていた。 剣道の大会で3年連続全国大会に出場したことに加え、喧嘩を売りにきた相手や自分を陥れようとする相手は必ずコテンパンにしてしまうという噂が学校中で噂になっていたからである。
「朝から無駄にテンション高いお前こそなんだよ。あとその呼び方やめろ。」
「別に悪いあだ名じゃないしいいじゃねーかよ。かっこいいぜ?」
「いやいやダサいだろ。というかもうほっといてくれ。俺はもう剣道はやめたし喧嘩もやらん。」
「またまたご冗談を〜。」
「冗談なんかじゃない。俺は普通の男子高校生になるって決めたんだよ。」
「えーもったいねーなぁ。お前中学ん時女子にはモテモテだったのになぁ。」
「あー別に興味なかったし」
「はぁ…お前って奴は。こう、好きな女子とか!せめてきになる子はなかったのかよ!」
「ああ、全く。」
「ああああ!!これがモテる野郎の余裕ってヤツかよおおお!」
「ちょっ!おまっ…!声大きいぞ!!」
「お前が悪いんじゃあああ!無自覚は罪なんだよおおお!なんで肝心な時に棒振らねんだよおおお!!」
「んなもん知らねーよ!てか最後のどういう意味だテメー!」
確かに剣道に夢中だった頃はそういうものには全く興味がなかった。
しかし剣を捨て、普通の高校生活を送ることで普通の恋愛もできるのではないかと少しは期待していた。
午後の授業も終わり、ようやく帰宅時間となった。
「はやく家帰ってゲームでもすっかー」
時が心地よい風とともに流れていきとても気持ちいい。何にも縛られていないと風がこんなに気持ちいいものだとは知らなかった。
今日は気分良く帰宅できそう。
そう思った矢先…
「おー君かわいいね〜!お嬢ちゃんいまから俺らとお茶しない?」
ガラの悪そうな男性3人が女子を囲んでナンパしていたのをみかけた。しかもウチの制服だし、あれ。
「いえ…私これから用事があるから…。」
「いーじゃん、少しくらい遅れたって。」
「俺らと楽しいことしようぜ〜」
あんな奴らをみていると心底虫唾が走る。
しかし俺には関係のないことだ。
哀れだなJKよ。俺ははやく家に帰ってゲームを…。
「あん?なんだオメー。」
来てしまった…。
気がつくとナンパ男3人の目の前に立っていた。
「俺の女だけどなにか?」
「はぁ?ナニ言ってるんだ?」
「ウソに決まってんだろうが!痛い目見る前にそこをどきやがれ!」
はぁ…。帰ってゲームをするつもりが。
「まさかここでゲームすることになるとはな…。」
コーンに引っかかっている立ち位置禁止棒が近くにあったのでそれを手に取り、
ーーパシィィィン!!
「がはぁ!!!」
一振りを入れた後、1人が勢いよい衝撃音と共に気絶した。
「あ!コイツもしかしてあの『棒振り大将』
じゃねーか!?」
「まじかよ…!ていうか女には棒は振らないんじゃねーのかよ!」
「っておい!テメー今なんて言った!」
「おい!お前ら引くぞ!」
俺のツッコミを華麗にスルーし、
ナンパ男3人はあっけなく逃げて行ってしまった。
全く…どいつもこいつも棒振り大将、棒振り大将って……。
「あの…、助けてくれてありがとう。
えっとぉ…女の子には腰を振らない大将君?」
「別に…礼は要らねーよ。…っておい!アンタまでそんなこと言うのかよ?!てか酷くなってるしっ!」
「あははっ!ごめんなさい。おもしろくてつい。」
謝りながら無邪気な笑顔が少し可愛かった。
なので、
「全く、勘弁してくれ。俺には黒下一夜っていうちゃんとした名前があるんだっ…!。」
と少し顔を赤らめて答えた。
「一夜君ね!改めてありがとう!
私は白石 玲奈、よろしくね!」
俺は彼女の制服についていたバッチに目がいき、
「あれ…もしかして白石さんって2年生…ですか…?」
「あ、うん。そうだけど。」
「あ…これは失礼しました。白石先輩…。俺タメで話してて…」
中学の頃から年上の先輩がいなかった上に自分で言うのもなんだが敬う対象が大人くらいしかいなかったこともあり、年上と話すのは慣れていない。しかも女子となればなおさらだ。
「え、いいよぉ〜普通にタメでも。助けてくれたんだし。それに一夜君が敬語ってなんか気持ち悪いわ。」
ガーン!
気を遣って謝ることまでしたのに気持ち悪いはさすがに心に響く。
「それと、私のことも玲奈でいいからね?」
「いやいや、初対面の相手に下の名前って…!しかも年上の女性だからなおさら…っ!」
「あははっ!もしかして照れちゃってる?
かわいー♡」
「んなわけないだろ…っ!」
「じゃあ私のこと、玲奈って呼べるでしょ?」
下の名前で呼んでほしいのは本当みたいだが…もしかして俺のことからかってるのか?しかもぐいぐい押す系の。
それに…、くそっ…!わざとらしい上目遣いが無駄に可愛いな…っ!
「わ…わかったよっ!呼べばいいんだろっ…!
…れ…、れな…っ!!」
「はーい!よくできましたぁ!あ、ちなみに今の録音しておいたから!ネットにもアップしておくね♪」
今さらっと恐ろしいこといったよ。しかも満面の笑みで。
なんなの?この仕打ち。罰ゲームかよ。
てかむしろ今俺の方が逆ナンされてる感じじゃね?この状況。
全く、助けなきゃよかったぜ…こんなドS女。
んー。と俺を散々からかってご機嫌上々のドS玲奈様は少しの間考え事をするように人差し指を口元に当て、
「気が変わったわ、一夜君。今から私と…。」
そう言いかけた途端、
「危ないっ!!」
ーーキキィィ!!!ドンッッ!!
ブレーキが効かなくなった車がこちら側に突っ込んできた。
「あいたたっ…!
一夜君だいじょ……、」
「…一夜君っ…!!!」
そして玲奈が目の当たりにしたのは血まみれになった俺の無残な姿であった。
どうも!ハイネ1021です!
純粋なバトル系のSSは初めて描くような気がします。
今回のテーマはタイトルの通り、「光と闇」です。
描き始めたきっかけは、新田恵海の「white eternity」という曲がとても好きでして曲を永久リピートしてるうちに歌詞とメロディーのイメージでなんか小説描けるんじゃね?みたいなノリで描き始めたのがきっかけです。なのでなんとなく思いつきで描いている為続くかどうかは正直不安ですが、描いてて結構おもしろいですし私なりに(他の作品の二の舞いにならないように…)精一杯頑張りたいと思っております。
あと…結構厨二臭い内容になると思うのでお覚悟の方お願い致します笑