「んー…。ここは…病院か?」
1日に3度も経験すればさすがに慣れる。
今度はすぐに場所を理解した。点滴の機械に周りに複数のベットがあるのがその証拠だ。
「あ、気がついた?」
隣には玲奈が座っていた。
時計をみるともう22時を過ぎていた。
「あ…玲奈か。もしかしてずっとそこにいたのか?」
「うん。そうだよ。」
「そうか。こんな遅くまですまなかった。」
「ううん、私の方こそ今日助けてくれてありがとう。」
2人きりの空間で沈黙が続く。
さっきキスされたことを思いだすと余計に気まずい…。
(「みてたぞさっきの。お2人さんさっそくお熱いことで。」)
(「う…、うるさいっ!!少し黙ってろっ!!」)
俺の心の中でテオこと闇の帝王が冷やかしてきた。
しかしお陰で少し話題を切り出す気が出た。
「あの夢の中での話、本当にいいんだな?」
「うん。いいも何ももう契約結んじゃったし。それに…。」
「私、信じてるから。一夜君のこと。」
「玲奈…。」
俺にやれることはただ一つ。
俺が玲奈を守る為に戦うこと。
玲奈のライフアクセプターとしてだけではなく、大切な人として。
「あ、そういえば今日言いそびれちゃったことがあったでしょ?」
玲奈が思い出したかのように相槌をうち言った。
「あー。確か俺が車に轢かれる直前のか。」
「そうそう!もう一回ちゃんと言っておきたくて。」
あの流れで完全に死ぬフラグが立っていたとはいえ、確かにあれ(恐らく、デートしない?とかお茶でもしない?とかっていう健全な男子高校には有難い誘い)を聞かずに昇天してしまうのは未練ありすぎる。という訳で訂正だ。
この黒下 一夜、この世にまだ未練があります。
「未練あるんならなおさらだね〜何度でも言ってあげるから感謝してね♪」
「何で俺の心の声聞こえるんだよっ!」
「ん〜命共有してるからかなー。シンパシーってやつ。とは言っても半分程度しか聞き取れない時の方が多いんだけどね。多分私の心の声も聞こえるよ。」
「あ…なんてことだ…。今のを聞こえてしまっただけでなくこれからやましい事や隠し事も聞こえるってわけだ…。」
「そういうこと♪」
「ちなみに今のは…」
「丸聞こえよ♪」
「プライバシーの権利は…?」
「ない♪」
「あー!!!俺の人権がぁー!!!」
「ハーフアンデットなんだからないわよ?人権♪そ・れ・に、誰かな〜?『俺の命はお前のものだ』なーんてくっさ〜い台詞吐いてたのは〜?」
「あああああ!!聞こえない聞こえなーい!!!」
玲奈のドS発言に俺は耳を塞ぎ子供のようにそう言った。
「んじゃあ言ってみろよ…。言いそびれたこと。」
「うんっ。じゃあ言うね。」
「お、おう。」
俺はゴクリと唾を丸呑みした。
「気が変わったわ。今から私とお茶しない?」
…思っていた通りだったわ。まぁ当時の俺が聞いたらびっくりするだろうけど。
「って思ったけど、また気が変わったわ。 」
「…は?」
ここでまさかのフェイント。
そして彼女はとんでもないことを口にする。
「私たち、結婚しましょ?」
「…は?」
一瞬にして背筋が凍りついた。
俺はこれもフェイントであってほしいと願うばかりだった。
少し短かかったでしょうか?3話に入れようと思ったので尺の関係上、別話にしました。