お覚悟を。
炎使いレオンは黒下一夜にフルボッコされて消滅してしまった。ちなみに戦いで減り込んだ壁などはすべて闇の力で全て元通りになってしまった。闇の力どこまで便利なんだよ…。
(テオよ、レオンが最後に放った遺言があるんだが聞いてくれ。『ここまでレベル上げるのに2年かけたのに…、だそうだ。』)
(そ、そうか…。それな大層気の毒だったな…。それより俺も一つ君に伝えたいことがある。君のレベルが一気に底上げされたことについてだ。一つ推測するにその現象は、君が『メタモルフォーゼ』であるのが原因である踏んでいる。)
(メタモルフォーゼ?日本語で突然変異って意味か。)
(ああ。ハーフアンデットの中にごく稀にそれを持ち合わせている突然変異種がいるのだが、君はその1人にあたるのではないかと思ってな。)
(それで俺の場合はなんだって言うんだよ)
(君の場合はおそらく、『レベルの上がる条件をひどく簡単にしてしまう』メタモルフォーゼだ。君があの一戦でレベルの上がる条件をクリアしてしまった為だと思われる。)
(なるほどな。それでレベル10になるための条件はなんなんだ?)
(たわけ。それが分かれば苦労はしていない。第一、レベル9になるのでさえ極めて困難であると言われている。ちなみにレベル10は未だに誰一人として到達しておらず、その力は神話レベルだそうだ。)
どんだけだよ。てか初日でその一歩手前まで行った俺ってヤバくね?闇の帝王だし本気出せば世界征服も夢じゃないよな、これ…。
テオと会話しながら1人で壮大な妄想をしていると…、
「一夜君!なにぼけーっとしているのよ?」
玲奈が俺の肩を叩き呼びかけた。
「ああ、すまん。あ、そういえば玲奈の能力って何なんだ?」
「私?私は確か、光の神を宿した聖巫女の能力って言ってたわ…。言ってた…けど…」
そう言ってだんだんと玲奈が口籠もる。
「ん?なんかあったのか?あ、さては聖巫女と言っておきながら、実際は水鉄砲だとか風船しか出せない能力とかだったりしてな!あははは!」
と俺は冗談を言ってみた。しかし、
「えっ…!?えっと…そのぅ…あのぅ……」
と予想外にも玲奈が動揺していた。
え…?まさか…ね?
「あ、や、やだなぁ玲奈、俺のつまらん冗談を真に受けないでくれよ…っ!」
俺まで挙動不審になってしまいそうだ。
だって光の神を宿した巫女様だぜ?
もし本当に水鉄砲だったとしても多分俺のことをイチコロレベルの神武器に違いない。
しかし、そんな推測も虚しく…、
「え、えいっ!」
ーーピュー。
「………。」
水とともに流されて行ってしまった。
そしてそれは武器と呼ぶにはあまりにも可愛いらしいものだった。
「……玲奈よ。」
「は、はいっっ!?」
「そんな装備で大丈夫か?」
「……すぅ〜〜〜………、はぁ〜〜〜………。」
清閑なる真夜中の病院で玲奈は一旦深く深呼吸した。そして…、
「大丈夫だ、問題ない。(キリッ☆)」
神は言っている…。
ここで死ぬ、運命ではないと…。
2人ともしばらく世界が凍りついたかのように固まってしまう。
「ご…ごめんね…?」
とこの沈黙を壊し、申し訳なさそうに玲奈が両指先をツンツンと突いた。
「…玲奈は悪くない。ああ、悪くないとも。悪くはないが……、」
我慢してたが、もう限界だ…。
「ああああああああああああああああ!!!なんなんだよ!水鉄砲?!まじか!?光の神(笑)か!?キリッ☆じゃねーよ!!神様無能なの?!怠惰期なの?!退行してんの?!なんで人間の闇照らさないで人間の童心照らしてるの?!これじゃあ『児童保育園のおばあちゃんを宿した巫女さん』だよおおおおおおおお!!!ていうかテオもなんか言ってやれよおおおお!!!」
(…俺がこの世界を闇に染める日も近いな…。)
テオオオオオオオオオオオッ!!!
俺は怒涛の奇声をこの病院中に広がるくらいに出した。そして次に起こることは…いや、もうこの流れは闇なんか使わん人間でもわかってしまうな…、
ーーパチっ!
「あなたたち!!他の患者に迷惑でしょ!静かにしなさいっ!!」
「はい、すみませんでした…。」
闇の帝王すらも支配してしまう、鬼看護師のおばちゃん。その一言で静まりかえった。