ハンドルネームも何だったか覚えてないですね。
11月までにまとめたかったのですが、今度は体を悪くしてしまいまして、
まぁ、随分前から悪かったんですよ。生まれつき、気管支が弱いので、
バイトも、進路も、色々と定めないといけなかったんです。
すいません...。
あと、ここから本格的に第二章です。
そろそろあるキャラを本格的に出そうと思っています。
みなさん、来月か再来月には出せたらいいなと考えています。
ちょっと待っててください。
「深くんって何食べても、顔が変わらないよね。」
休日の朝、
朝食を食べていると、突然、ココアがそんなことを言い出した。
唐突にどうしたのかと思ったがどうやら、自分のことだとわかると、
ココアの方に視線を向け、ココアの顔を見て、今度はチノの反応を見ようと思い、
チノの方を見ると、何やら考え込んでいた。
「...言われてみればそうかもしれません。」
どうやら、今回に関してはココアと同意見であるようだ。
しかし、チノはそれほど気にしていないのか、ココアが言い出さなければ
全く気付かなかっただろう。
「そうか?っていうか、ココアもチノも飯食ってるときにそんなに俺の顔見る?」
当人にその自覚はなく、さらには顔を見られているという感覚もなかった。
そもそも、同じ食卓を囲んでいるとはいえ、
その相手の顔を食事中にまじまじをみることもないので、
まさかそういわれること自体が新鮮だった。
「そういうわけじゃないけど、何食べても、表情の変化がないから、
どんな味なら顔が変わるのかがすこし気になるよ。」
「苦手なものとかないんですか?」
「ないんじゃなくて、ただ、食ったことないから
思い浮かばないだけだと思うけど...。まあいいや。」
確かに、最近、何かを食べて特に感じることはない。
同じような食事を続けていると、慣れでそうなってしまうようなもの。
まして、最近、新しい種類の食物は口にしていない。
もしかしたら飽きているのかもしれない。
「あっ、深君の分のパン焦がしちゃった...ごめんね、別のパン焼くから...。」
「...それ、もらうよ。」
「え、この焦げちゃったパンでいいの?苦いよ?」
「苦いのは慣れてるし、何よりもったいない。」
ココアも深も、トーストをオーブンレンジで焼いていることを忘れていた。
その上、レンジのつまみを回しすぎていたようで、
気づかぬうちに表面が墨のように黒く焦げてしまっていた。
普通なら焦がしたところを削るなり、新しくパンを焼き直すのだが、
深はそのパンを受取り、何の抵抗もなく、そのまま口に運んだ。
そして、また表情を変えないまま普通に咀嚼し、飲み込んだ。
ココアもチノも、その行動に面食らっていたが、ココアはそれを見て、
気を遣ってくれていると思ったのか、「焦がしちゃったのに...ごめんね」
と言って、深にとても申し訳なさそうに謝っていたが、
その様子を見ていたチノにとって、その行動はあまりにも異様すぎた。
(やっぱり、何か変です。)
「あの、コーヒーきき、してみませんか?」
「突然どうした?チノからそういう提案するのは珍しいな。」
チノが突然、何かしようと提案してくることは珍しい。
何か目的があってのことなのか、それとも意外と気まぐれなのか。
深にはそれがわからなかった。
「...ココアさんが、初めてここに来てから、どれくらいコーヒーの味がわかるようになったのか試したいんです。」
「確かに、それはやっといた方がよさそうだな。」
深はそのチノの提案の理由を聞いて納得し、頷いた。
なるほど、なぜコーヒー利きを今やってみようとしたのかはともかく、
ココアが味がわかるようになっているかは少し気になる。
「あれ?意外と乗り気なんだね?」
「そりゃあ...コーヒーの品種はともかく、オリジナルをインスタントと間違えたときはちょっとひやひやしたんだぞ。」
「え!?あれ見てたの!?」
「だって、俺の方が先についてて、チノが接客しに行ったお客がココアだからさ。」
「そうなんだ。」
ココアにしたら、何かをしようといわれて、深が首を縦に振ることはあまりない。
しかし、今回は確認しておいたほうがよいかもしれない。
初めてラビットハウスに来てコーヒーを飲んでいたココアのことを思いだすと、
どうしてあんな間違い方になったのかが、今でも不思議で仕方ない。
ココアは見られていたことを知り、少し恥ずかしそうにしていたが、
まさか、今回も大きく間違えてしまうのではないか、とココアの味覚が不安になった。
朝からの仕事が、昼過ぎに終わり、リゼが「私も参加しよう。」
と言い出したので、断る理由もないので、リゼも参加した。
しかし、コーヒー利きを始めようとしたところ、チノがリゼを連れて、
カウンターの裏の部屋へ行ってしまった。
「つまり、ココアがコーヒーの味がわかるかどうかというのは建前で、
深の味覚を確認したいと?...どうして?」
「そういうことです。やっぱり、深さんがココアさんが焦がした、
真っ黒こげのパンを、普通に食べていたのは
ココアさんに気を使っているだけにしては何か違和感を感じたので...。」
提案の裏には、「ココアがコーヒーの味がわかるようになったか」を確認するのではなく、「深の味覚がどうなっているのか」が確認したかったがための提案だったと、
リゼにだけ伝えた。
「...そんなに変か?ココアのことを気遣った対応なだけだと思うぞ?」
「...本当にそうでしょうか。」
普通、気を遣う体で真っ黒に焦げたパンを、それも自然に、苦みに表情を歪ませることも
なく、そのまま食べて見せることができるだろうか。
そこだけが、のどに小骨がつっかえたように違和感を感じていた。
「チノ、どうしてそこまで疑うんだ?」
「深さんは、時々、おいしいって言ってくれるんですが...なんというか。」
「なんというか?」
「ただ、定型句を言っているだけのような...何もこもっていないような、そんな感じがするんです。」
人は基本、作ってくれた人においしいと伝えるとき、もしくは、
食べたものがおいしいと感じるとき、自然に口角があがったり、
笑顔になったりするものなのだが、深に限ってはそれがない。
つまり、何も感じていないのではないかと考えるのが自然であって。
しかし、味の感想を聞かれたとき、その状況を切り抜ける、
最も無難な答えは、ただ一言、おいしいと答えればそれでいい。
事実、深はおいしいという以上の感想を一度も述べたことがない。
「あいつが基本、無表情だから、そう感じるだけじゃないか?」
「かも...しれませんね。」
リゼがいうことも確かに事実だ。
深がずっと無表情である理由も気になるが、単にずっと無表情でいるために、
ただそういう印象を持ってみているだけなのかもしれない。
そう考えながら、リゼと一緒に表に戻った。
コーヒー利きにの一杯目、リゼが豆を選び、
チノがその豆を挽いて、二×二、合計四杯のコーヒーを淹れる。
淹れられたコーヒーを眺めるココアは、少し真剣そうに見えた。
一杯目が深とココアの前に置かれ、二人とも、同じタイミングで
コップを口に着け、ゆっくりと一口飲んで、少し考えたのち、
これが何の豆を挽いて淹れたコーヒーなのかを回答する。
「この味は...キリマンジャロ?」
「いや、キューバじゃないか?」
ココアはキリマンジャロ、深はキューバと答えた。
それを聞いた途端に淹れた側のチノたちは意外な結果に目を丸くしていた。
その様子をみて、「もしかして間違えちゃったのかな」と心配するココアと、
手の甲で頬杖をついて、二杯目が置かれるのを待っている深の様子で
対照的な二人。静と動、というような明らかな違いはそこにはあった。
二杯目が置かれ、また二人とも一口飲んで、
ココアが即回答、深は先ほどと同じ間隔の後に回答した。
「チノちゃん、これ、やっぱりキリマンジャロだよ、さっきと一緒だよ。」
「...そうか?これはトラジャだと思うけど...?」
ココアはまさか、連続で同じ内容の回答。深は今度はトラジャだと回答した。
リゼとチノは顔を見合わせて、何か確信を得たような様子だった。
そして、チノの口から答えが告げられた。
「ココアさん、それはグアテマラです。すこしわかるようになりましたね。」
「やったー!どう?チノちゃん、私、成長してるでしょ?」
_正解に近かったのは、意外にもココアだった。
深も、ココアが正解するとは思っていなかったのか、二口目のコーヒーも飲もうとして
いたところ、少し驚いていたのか、えづきかけながらコーヒーを飲んでいた。
ココアは、ドヤァ...と効果音がつきそうな見事な決め顔をしていた。
問題は、深の回答だった。二つともグアテマラだったのが、
深の回答では、キューバとトラジャだった。
キューバはともかく、トラジャに関しては、キリマンジャロとは違い、
酸味が全くない品種であるため、ココアより味の区別がついていないことになる。
「はい、しかし...。深さ...「いつから。」
「いつから気づいていた。」
チノが深に対して「深さんの方がわかってないじゃないですか」と言おうとしたところを
いつもの深からは想像のつかない鋭い目つきで、威圧するかのようにそれを聞いた。
「...深さん?」
「いつからだ?味覚のことをいつから気づいていた?」
深が珍しく、怒りを露わにしている。
それが深にとって知られたくないことの一端であり、
それがあまりにも多すぎる上、彼の無表情もそのひとつである。
その全てがある出来事をきっかけに生まれた忌むべきものだった。
「つい最近、気づきました...味音痴だったんですね...。」
「味音痴...ん?ああ、まあ、うんそれでいい...?や。
今まで言ってこなかったけど。」
困惑しながら、それを肯定する深。本来はそんなレベルではないのだが、
そう勘違いしてくれていた方が楽だった。
チノがそう勘違いしてくれていなかったら、どれほど面倒なことになっていたのか、
考えたくもないようなことになっていたと、そう思っていた。
そういえば、みなさんは、深君をどう思ってるんですかね。
だいたいは
「ココアにもチノにも心を開かない、
でもシャロを信用して、自分の過去を話したりする。
基準の不透明なキャラ」っていうのが、
皆さんにとっての印象だったりしそうですね
次回からも深君の異常性がどんどん出てきます。