ココアさん&リゼさん
の登場になります。
さて、どんなシーンかは大体想像できると思います。
チノは接客をしに戻り、彼はひとりで暇を持て余してしまっていた。
「うーん...待ってる間ゲームでも...」
と、ポケットから持ち運べる折り畳み式のゲーム機を取り出した。
働くための説明をさっきまで受けていたのにこれといった緊張感はなかった。...この先自分はこの家でどれだけの時間を過ごし、
そして、土産話をたくさん用意できるようになれるだろうか。
これから自分がこの場所でどんな日々を過ごしていけるのか、
この先の人生のビジョンが見えるようになるのだろうか、
またも不安に陥りそうな想像を中断し、
ゲーム機を広げ、いざ電源をつけようとしたとき、
「うさぎがいない、うさぎはどこ...!?」
何か、ここにうさぎを求めてきたのだろうか、
外にならたくさん見かけたが、ここにもいるのだろうか。
ラビットハウス、直訳すれば兎の家。
そんな如何にも「うさぎいますよ」と言わんばかりの名前をしているが、
残念だ。ここはいわゆる「兎カフェ」ではなかった。
残念ながら「一般的な喫茶店」だった。
聴いたところ自分と同じくらいの少女の声かと推察し、
さて自分と同じ思い違いをした少女はどんな人物だろうか、
特に期待はしていないが、どうせ今頃、呆気にとられているのだろう。
スタッフルーム入り口からその様子をコッソリ見てみると、
チノが「なんだこの客」と言わんばかりの顔をしていた。
ブロンドに少し赤みがかかったような髪色をした
女の子はチノの頭の上にある白いもの、というより
意外なことにあの丸い球体のフォルムをした生物もまた
兎なのだそう、イメージと違いすぎたのでなかなか理解に手間取ったが
スマホで検索エンジンから調べてみたところ、あれは
アンゴラうさぎという種類らしい。
なんでも、席に座るなり、そのうさぎらしいそれを「モフモフ」...
つまり、撫でさせろと要求していた。クレーマーか何かだろうか。
それとも無理やりオプションをつけさせようとする迷惑客だろうか。
それを『コーヒー1杯で一回』とするあたり
接客の経験が豊富なのか、面倒な要求をサラリと受け流すような機転の利かせ方。
それにまんまと乗って5杯も頼む少女。
余程、「モフモフ」したいのだろう。
コーヒーの豆を全く指定せず、そのままコーヒー5杯と言った。つまり、「コーヒーの豆はなんでもいいから
5回もふもふさせろ」ということだろう。
…それならうさぎカフェ探せとも思う。
そしてコーヒーを持ってきた時にすらモフモフという行為を優先させるぐらいにはうさぎが好きらしい。
…飲めよ。頼んだコーヒーを飲め。
チノが「早くコーヒー飲んでください」と言わなければ
ずっと「モフモフ」していたであろう。
ハッとしてコーヒーを飲み始めた。
そして、唐突にコーヒー利きを始めた。
これがまたひどいものだった。
全て間違った。
もう一度言おう。全て間違えた。
キリマンジャロとブルーマウンテンを間違える。
わからなくもない、知識もなくやればこうなるだろう。
まだわかる、次のに比べれば。
その次、インスタントと、ここのオリジナルブレンドを間違えた。
…あまりに失礼ではないだろうか?
安心するのはいいが、それは誰がブレンドしたかは
別に問題ではない、しかしこれは丹精込めてブレンドしたであろう
本人からしたら侮辱そのものでしかない。
このあまりの酷さにこちらも頭を抱えた。
正真正銘のポンコツだ。間違いない。
なぜ自信満々にコーヒー利きをしたのだろう。
それを考えていたところ、少女は驚きの一言を放った。
「香風っていう名字のお家を探しているんだけど
知らないかな?」
…聞き間違えただろうか?
香風の家を探している?それはここだ。
ということはそこの少女、やらかして早々、
ここに下宿すると言い出すのだろうか。
「香風はうちですが…ここに下宿される保登さんですか?」
聞き間違いではなかった。
聞き間違えであって欲しかった。
つまり、この少女と一緒の場所で暮らし、
一緒に登校して学校生活を送るということだろうか。
これは一般的な高校生なら喜んでここに下宿するだろう。しかし深の場合は…
(どうしようか…今更他の所にするとか無理だよなぁ…。どうしたものかなぁ…)
下宿先を変えてもらう方法を模索するぐらいの事態だった。
「私、ココアって言うの!お姉ちゃんって呼んで!」
ココア…?ココアとはあのココアだろうか?
飲料の名前と一緒の名前なのだろうか?
確かに自分もよく飲む。しかし、人の名前でココアは
意外だった。
「ココアさん仕事してください。」
「うん!」
やたらとチノにお姉ちゃんと呼ばせたがる、ココアという少女のしつこい要求を受け流して
とりあえず仕事をするように言う。
この子のこういうとろは信頼できるとみていいだろう。
しかもやたらチノにくっついている。そろそろ突き放してもいいのではないかとも思ったが離れてくれてよかったといったところだろうか。
当のココアはさっきまでニコニコしてその要求をしていたのに、すぐさまチノの言うことに従ってくれるあたり聞き分けはいいようだ。
「ところでさっきからずっと覗いてる子誰?」
様子をずっと見ていたらいつの間にか気づかれてしまった。
ふとこちらを見て気づいたらしく、こちらに近づいてきた。
それにチノも気づいたらしく、チノが思いだしたかのように
ココアの前に出て、扉の前で耳打ちした。
「深さん。あとで着替え渡すので着替えてきてください。」
「あ、うん。ありがとう。」
チノの機転のおかげで、
覗いてたのがチノを待ってたことになっていたので
(これはいいフォローだ、着替えてこよう)
とココアにチノがここでの業務内容の説明やココアの部屋の場所やらの説明をした後に
着替えを貰って着替え室まで行ってみると
...違和感を感じた、気のせいではない。
人の気配だ、すでに中に誰かがいたのだろうか。
誰かがこの部屋で有名ゲームの傭兵のように隠れているのか。
警戒しながら、気配のする方に近づく。
気配がする場所は、木製のロッカーだった。
人がまるまる入ることのできる大きさだ。つまりここに誰かがいるとみて間違いないだろう。
確証を得るため、ロッカーに耳を当てる。
微かに呼吸の音が聞こえる、息を殺そうとしても、聞こえるものは聞こえるのだ。
落ち着いて状況の整理、周辺環境の把握をしながら、ロッカーの戸の取っ手に手を掛ける。
腹はとっくに括っている。相手が敵意を向けているなら、即座に鎮静させるしかない。
そうでないにしろ、相手は好意的ではないだろう。
ノックぐらいするべきだったとも思う。そして、着替えている人がいるなら言ってくれればとも思う。
しかし、着替えているなら把握しているはず。となれば。
「不審人物とみるほかないか。」
無意識に声に低くなる、というよりドスが効いた声になっていた。
その言葉の直後、ロッカーを開いた。
中には
数秒間、思考が止まり、ようやく動き出したときに思ったことは一つだった。
『なんだこの女は』という疑問。それ以外、彼が目の前の女性に対する感情はなかった。
まず一つ、この女性、まさかの下着姿であること。しかも、上下でだ。
下からか、上からかはどうでもよいが、一気に両方を脱ぐのは初めて見た。
そしてこれは偏見かもしれないが、所持しているものが奇天烈ということ。
女性として、こういう場合は護身用となるが、そのために持ち歩くものとして、モデルガンは前代未聞だ。
ここは銃の所持が認められていない。つまり、実銃ではない可能性の方が当然ながら高い。
しかし、これは所詮、模型。実弾が撃てないのでは護身用としての役を成さない。
_本当になんなのだろう、と思いながら、この状況に対する策を考えていた。
これは主人公大ピンチですね...。
リゼさんのナイスバディを見てしまった深
果たしてどうなるのか!
次回「深死す」
ゲームスタンバイ!
※死にはしないけど、ちょっとしたトラブルに巻き込まれます