ご注文はゲーマーですか?   作:天翔blue

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お久しぶりです。
学生故にリアルが忙しくだいぶ期間がたちました...。

感想がきていたので見てみたところ...。
まぁ...うん、善処します。



第七話 かつて嫌った世界

ジリリリリリリリリリリリリリリリ ダン!

 

 

「今日から学校かぁ...。めんどくさいなぁ...。」

深は目覚まし時計を止め、ベッドから起き上がって嫌そうに呟く。

 

深はパジャマでリビングに向かい、部屋を出ると、

「おはようございます。深さんも起きてましたか。」

とチノが深の部屋の前を通りかかり、話しかける。

 

「おはよう、今から朝飯?」

 

「そうです、一緒に作りませんか?」

二人は朝ご飯を一緒に作ることになり、キッチンへ向かう。

 

「じゃあ、深さんはトマトを切ってください。」

 

「おう、わかった~。...包丁使うのは3~4年ぶりかなぁ。」

トントンとトマトを切りながら昔の事を思い出す。

 

「しばらくは親が使わせてくれなかったからなぁ...。」

 

「そんな危なっかしかったんですか...。」

チノが半目でこっちを見る。

 

「いやいや、だーいじょうぶだってば、包丁の使い方はしっかりしてるから。」

 

「今の発言から説得力ゼロなんですが...。」

不安そうにチノがトマトを切る深を見ている。

 

「確か引くように切るんだっけか。ホントに懐かしいな...。」

そう呟きながら順調にトマトを切っていく。

 

「あ、おはよー!」

ココアがいつの間にか起きてきてキッチンまで来ていたようだ。

 

「おはよ、朝飯一緒作るか?」

 

「うん!お姉ちゃんがんばっちゃうよ!」

そう言うなり、ココアはチノに何をすればいいのか聞きに行った。

 

そうして、数分、朝ごはんは完成した。

「「「いたただきます」」」

 

三人一斉にそれを言い、朝ご飯を食べる。

 

「チノちゃん...お願い」

 

「駄目です。トマトジュース飲んでください。」

 

「チノちゃんだってセロリ食べないじゃん!

ほらこっそり深君の皿に移してる!」

 

嫌いな物をお互い誰かに押し付けようとしている。

 

「嫌いなら入れなきゃいいじゃん...。」

 

呆れながら深は呟く。

そうこうしているうちに朝ごはんを食べ終わった。

ちなみにトマトジュースとセロリは深がおいしくいただきました。

 

部屋に戻り準備を終えた頃、

時計はもう七時半を指していた。

 

「そろそろ行くか...」

 

昔のことを思い出す、今となっては思い出したくもない。

そんな唾棄したくなる記憶。

 

深は学校が嫌いだ、いや、学校が嫌いというより、学校での『個性という存在への扱い』が嫌いだった。

もし、クラスの一人にとても特徴的な個性のある人間が一人いたとしよう。

「個性は大事だ」と言われ個性を伸ばしてきた人間は。

やがて学校で暮らしていくうちにこう言われるようになる、

「変わっている」「普通じゃない」と。

個性は受け入れられるものではなかったのか。個性はその人間の価値の一つではないのだろうか?

個性ゆえにその人間は他人から疎まれることになってしまう。

さて、そんな孤立した人間はどうなるか、

「気に食わない」だとか「腹が立つ」だとか

本当に気に食わない理由でいじめにあう例もある。

結局、個性は重んじられる世界は...存在しなかった。

見るべき現実は「周りと合わせる。目立たぬように。」...ただこれだけだった。

この考えは、古来からこの国において今日まであり続け、負の歴史を残した。

この同調圧力こそ...彼が最も学校を嫌う理由と、

あの奇妙な木箱にも大きく関係することになる。

 

「ど、どうしたんですか...?少し怖いですよ?」

部屋の前まで来ていたチノが少し怖がっている。

それもそのはずだろう、深はあの"木箱"を手に取り、

強く握り、呼吸は荒くなっていた。それは、そんな世界への理不尽に対する怒りによるものなのか、

それとはまた別のものなのか自身でも、もう、よくわかっていなかった。

 

「あっ...すまん。少し怖かったよな、すまんな、怖がらせて。」

チノの方へ向き直り、優しく笑う。

 

「大丈夫ですよ。あ、そろそろ学校行きますよ。」

 

「ああ、そうだね、行こうか。」

そう言われ、深は部屋を出て、ココアと合流し、

学校へあの[クロスバイク]で行こうとすると

 

「一緒に行こうよ~。」

 

とココアに言われたので、特に断る理由もなく、一緒に行くことになった。

 

「チノちゃーん!いってらっしゃーい!」

 

「すでに家出てるじゃないですか...行ってきます。」

ツッコミを入れつつちゃんと返事を返し、

チノはココアと深とは違う道に進んだ。

 

「そういやココアって自転車とかいらないのか?

ぶっちゃけ歩いていくのめんどくさくない?」

 

めんどくさがり屋の深。歩くことすらめんどくさいらしい。

 

「...わたし、自転車乗れないの...」

 

「ああ~。自転車乗れないんだ~。...ん?乗れない?」

深は耳を疑った。

"乗らない"ではなく"乗れない"と言ったココアの発言に対し驚きを隠せなかった。

 

「乗れないってどういうことだよ。買ってもらえなかったのか?」

 

「買ってもらったけど...乗れなかった。」

目の前でココアは落ち込んでいるのに対し、

深は困惑しながら苦笑いをした。

 

そんなココアと話をしているうちに、高校に着いた

 

「もう歩き疲れた...。昨日もあんま寝てないし、

もう眠いなぁ...。ん~クラスはどこになったか...え。また一組...?」

深はこれで三年連続である。

 

「あ、クラス一緒だね、深君。」

 

「あ。ほんとだ。」

 

ココアと同じクラスになっている。

知っている人が一人いるだけでも安心感は大きい。

その事実に安心感を覚えていると、

「あ!ココアちゃーん!」

 

後ろから誰かココアを呼ぶ声がした。

 

「ん?あ!千夜ちゃ~ん!」

ココアが後ろを振り返るなり、手を振る。

 

「ん?ココア、あの子、知り合いの人?」

 

「うん、昨日会った子だよ。」

 

「ああ、そうなんだ。あ、行って話してきなよ。先に教室行っとくからさ。」

 

「そうなんだ。じゃ、私行ってくるね!」

 

「おう。行ってら~。」

 

そう言ってココアが千夜のもとに行ったのを確認した後、

深は自分のクラスの教室に向かった。

 

(あ、そうだ、ゲームの情報とか確認しとこ。)

 

教室に行く途中だったが、やっぱりゲーマー。気になってしまい、

 

スマホを取り出しゲームニュースアプリを開き、

近くの壁にもたれかかり、スマホを見ていると

 

(ゲームのアプデとか、カードゲームの今の環境とか、やっぱ便利だよなぁ...ん?)

 

(ステータスバランス修正か...確かによくあるよなぁ...)

 

基本的にステ振りとはSTR,DEX,VIT(DEF),AGI,INT,MDEF(MND),LUK,CRI

などと種類がある。

が、気づいた時には強いステ振りのパターンはすぐに見つけられ

他のプレイヤーと大きな差が生まれてしまうことが多い。

 

だからゲームバランスの調整がしばしば入る。

 

スマホの時計を見ると、教室集合の十分前になっていた

 

(そろそろ教室行くか...)

 

(人がいっぱいいるところは息苦しいし、堅苦しくなるし...帰りてぇ...。)

 

帰りたそうな顔をしながら歩いていると自分のクラスの教室が見えた。

教室に入ると、すでにクラスメイト同士で会話している人たちを少し見かけた。

みんなこれから楽しみなんだろうか。

クラスの殆どがソワソワしている。

 

そんな中明らかに眠そうな目で帰りたそうにしている深。

座席表を確認すると廊下傍窓側一番前の座席だった。

毎年出席番号一番なのでもう飽きつつある。

 

座席に座り、早速寝ようとすると、

後ろの席の人が肩を叩いて話しかけてくる。

 

「なぁ。なんか話しようぜ?」

 

クラスに一人はいる、すんごいいきなり馴れ馴れしく話してくる人

深はめんどくさそうに返事をする。

 

「ん?何?なんか用でもぉ...?」

 

「いや、だからなんか話しようぜって。」

 

「頼むから寝かせてくれ...

ゲームのレベリングとプログラムの勉強で二時まで起きてて、

眠くて仕方ねぇんだ...。」

 

今にも眠りそうな目で言う。

 

「おう...そうか...。」

相手は少し気遣ってくれたんだろうか、話しかけるのをやめた。

この後ろの席の人間は誰も話しかけてこない中、話しかけてきた。

これも「個性」ではあるが、こういう「人との好意的なコミュニケーションを主とする個性」は

リーダーなどが持つ、社会にとって理想的なもの。

故に周りから疎まれる事はない。

言い方を変えれば『都合がいい』と言える。

逆に「相手から良く思われないもの」なら?

 

深はずっと個性や価値観に対する相違に悩まされてきた。

人の価値観には差があり、至極当然のこと…

その価値観をどう捉えるべきか、問題はそこなのだが、

他人と関わりを持たないようにすれば、当然、価値観の相違によるトラブルを避けられる。

 

深はそのために他人と最低限関わらないようにしている。ネットゲーム以外での彼は周りから見れば…

物言わぬ、人形のよう…

 

ああ。眠い。こんな場所よりベッドで眠っていたい。深は本能的な睡眠欲に駆られ、そのまま眠ってしまった。

 

一方ココアはというと...。

 

「千夜ちゃんもクラス一緒なんだ!」

 

「ココアちゃんと一緒のクラスじゃない!うれしいわ!これからよろしくね!」

 

「うん!」

二人はクラス表の前で大喜びしていた。

 

「あ、ココアちゃん。さっき、千夜ちゃん"も"って言ってたから

知り合いに同じクラスの子いるの?」

 

「うん、深君っていう同じ下宿先の子がいてね、その子も同じクラスなんだ。」

 

「え?男の子なの?」

 

「じゃあ、さっきココアちゃんと話してた男の子が...。」

 

「うん、その子が深君だよ。」

 

千夜はびっくりした。年頃の男女が同じ屋根の下にいることに。

千夜は、その子について聞いてみることにした。

 

「...ココアちゃんはその子の事好きだったりするの?」

 

「うーん...好きってわけではないかな...。なんていうか...友達みたいな感じかな。」

 

「友達みたい...ね。どんな子なの?」

 

「うーん...基本部屋にいて...ずっとノートパソコン触ってて、

ときどき本読んだり、ゲームしてたりする感じかな...。」

 

「そ、そうなの。割と変わった子...なのね...。」

 

聞いた限り、あまり明るそうでない子とはわかったらしい。

 

ココアはふと時計をみる。

時計は教室集合の五分前になっていた。

 

「千夜ちゃん!そろそろ行かないと遅れちゃうよ!」

 

「そうね、急ぎましょう!」

 

二人は急いで教室へ走る。

 

が、ココアが何度も道を間違え、その度に千夜に「そっちじゃない」と引っ張ぱられ、

二人が教室につく頃には時間ギリギリだった。

 

「ふぅ...遅れるかと思ったよ~...。」

 

ココアが教室に入り、一息ついた直後、遅れて千夜も入ってくる。

二人とも息を切らし、クタクタになりながらも座席表を確認する。

 

「席も前後で近い!やったね千夜ちゃん!」

 

「そ...そうね...。とりあえず座りましょう...。もうへとへと...。」

 

「そ、そうだね千夜ちゃん、いったん座ろっか...。」

 

二人が席に座った後に、またドアが開く。

 

「よーし、みんな揃ってるか~?じゃあホームルー...ム?」

 

担任の先生とおぼしき人が入ってくるなりホームルームを始めようとするが、

 

「スー…スー…」

 

睡魔(本能的な睡眠欲)に負けた深は自力で起きるとは思えない程熟睡していた。

顔をよく見れば、その目の下には墨の色をすこし薄くしたような隈ができていた。

 

「あー...。初日からぐっすり熟睡してるとこ悪いが...」

少し呆れ気味に先生が座席表を確認し、席に座る生徒の名前を確認する

 

「えーと...青野~?起きてくれ~。ホームルーム始められないんだが...。」

 

そう言いながら深の体を少し揺らす。

ピクリ、深の体が反応し、ようやく目を覚ます。

 

「あっ...ああ...。すいません。」

 

呆れている先生の顔をみて、深は状況を理解し、

先生に謝罪の言葉を述べる。

 

「...今後は気をつけろよ...?」

 

最後に注意の言葉をかけ、先生は教卓の後ろに立つ。

 

「えーと、まず自己紹介といこうか。...

 

 

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...というのが今日の予定だ。」

 

ふぅ...と息をつく先生、さっきの話で担任だとわかり、

深はその先生の癖や表情変化などを観察していた。

 

「ん~...。そうだなぁ...。とりあえず自己紹介でもするか?」

 

その発言の瞬間、深はどんなことになるのか。

 

(も、もう自己紹介ぃぃぃぃ!?)

 

ああ、哀れ。

人前に出て何かをしてここ数年うまくいった試しがない。

番号一番なら確実に最初。

 

 

いったいどうすりゃいいんだこれ?

 

深はこの状況に緊張のあまり上がりそうになっていた




感想をリア友に言われました。
簡潔に言うと
「シャロちゃんいないし、更新遅いし、おらあくしろよ。」

...学校とプログラミングの勉強させて?

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