オラリオに暴獣が来るのは間違っているだろうか   作:チミチャンガ

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遅くなって申し訳ありません


最近仕事が忙しすぎて、いざ書こうと思っても寝ちゃってしまう日々.....




あとちょっとタイトル変えました


数秒の勝負

 

 

"ベートは弱者が嫌いだ"

 

 

何故か?とベートに聞いたとしても、

「弱えやつを見てるとイライラするんだよ!」という単純な答えしか返ってこないだろう。

 

今でこそベートは実力主義者だが、それにはれっきとした理由がある。

 

ベートは「平原の獣民」と呼ばれる部族の出身であり、そこの族長の息子で幼い頃から「弱肉強食」の教えに従い父親と鍛練を続けていたがベートが12歳の時、家族や幼なじみを含む全ての部族が「平原の主」により皆殺しにされた過去を持っている。

その出来事があってベートは悟ったのだ。理不尽に何かを奪われないためには強くならなければならないと。

 

 

"なぜ皆が殺されたのか?"

 

"決まっている。自分が弱いからだ"

 

"自分がもっと強ければ"

 

"強くならなくちゃいけない"

 

"弱くちゃ何も守れない"

 

"強さこそが全てだ"

 

"弱ければ死ぬ。強者こそが生き残れる"

 

 

そう考えを持つようになったベートはロキファミリアに入っても格下や弱者を見下すようになる。

 

"罵詈雑言を言わなければ弱者は成長しない"というのがベートの持論であり、他のファミリアの冒険者などに罵倒を浴びせるのもそれにより弱者を成長させるための奮起、あるいは不用意に初心者が深層に行って死んでしまわないようにするベートなりの優しさでもある。

 

普段、相手を見下すような発言を連発したりすぐに喧嘩を売ったりする粗暴さで勘違いされやすいが、

本人の根は意外と優しいもので前にも言ったがいわゆる「ツンデレ」である。

 

昔は弱く、弱いが故に大切なものを奪われたからベートは弱かった幼き自分も含めて弱者を嫌っている。

弱いやつは他にすがるしかできない。全てにおいて強くならなければならないと。

 

 

だからこそ、それを目の前にいる男にも教えてやろうと思った。

レベル1の分際でミノタウロスを倒した等というホラを吹いたこの男に、所詮弱者はどんなに足掻いた所で強者に勝てないということを第一級冒険者として教えてやろうと"思っていた"。

 

 

 

 

...勝負が開始すると同時、ベートはその強靭な脚力で一直線に次郎へと走った。

 

 

(すぐに終わらせてやるぜ雑魚野郎!)

 

 

ベートの速さはロキファミリアでも随一を誇る。

その速さはフィンやアイズ達でも簡単に捉えることは難しく、並みの冒険者では反応することすら出来ない。

 

一気に次郎の元に詰め寄ったベートは右足に力を込め

 

 

「ぶっ飛びやがれえぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 

そう叫ぶと同時に次郎の顔面に向けて蹴った。

タイミングは完璧。ギャラリーの殆ども「これで終わりか」と思っていた。

 

そして、次郎を吹き飛ばそうと放たれた蹴りは

 

 

 

何も捉えることなく空を切った。

 

 

「んな!?」

 

 

これには見ていたギャラリーの大半もベートも目を見開き驚く。

当然だ。多少酔っているとはいえレベル5の攻撃を、ましてや体に当たるまでの1秒にも満たない時間。

その間にまるで消えたかのように避けるなどレベル1の成せる芸当ではない。

 

 

(クソが!あの野郎、どこに消えやがった!?)

 

 

自慢の足技がからぶりに終わり一瞬焦ったが、すぐに体勢を立て直し狼人の特徴の一つである嗅覚で次郎の居場所を瞬時に特定し、背後にいることが分かったベートは回し蹴りを放とうとした。

 

 

そう...."放とうとした"のだ。

最初に攻撃した時とは違い今度は出来なかった。

 

何故か?

 

 

答えはベートの首もとに添えられた次郎の手刀にあった。

 

 

 

そもそも次郎はベートに対して怒ってはいない。自分も酔ったら色々とホイホイ言っちゃうと思うし、勝負を申し出たのもベルの勇気ある行動に感化され半分は仲間としてバカにされるのは見過ごせなかったから、もう半分はその場の勢いで言ったこと。

 

かといって何もしなければ勝てないしベルも信じてくれている以上、どうにかして勝たなければならない。

だが他ファミリアの、短時間話しただけだが仲良くなった知り合いがいるとこのメンバーを次郎は傷付けるつもりはなかった。

 

そんなことを考えているとベートが多少速いスピードで此方に迫ってきた。

足に自信があるようだし自分を蹴り飛ばすつもりなのだろう。

 

 

(ふむ...ノッキングしてもいいんじゃがそれだと解いた時に殴りかかってきそうじゃし...)

 

 

相手を傷つけずに、尚且つノッキング以外の方法で勝つ方法が何かないかと数秒模索した次郎は良いことを思い付いた。

 

ようは"相手の戦意を喪失させればいい"と

 

そうすればベートに怪我を負わせることなく勝つことができるし、闘う意思を無くしてしまえば突っ掛かれることはないだろうと考えた次郎は迫ってきた攻撃を避けベートの背後に回った。

そして、少しばかりの殺気を込めてベートの首に当たる直前で手刀を置いた。

 

肌に触れてはいない。寸止めしただけ。

だがそれを受けたベート本人は

 

 

 

己の明確な死を感じた。

 

 

 

 

 




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