オラリオに暴獣が来るのは間違っているだろうか   作:チミチャンガ

3 / 15
少し長くなるかも


迷宮都市オラリオ

次郎とベルはオラリオを目指し歩を進めていた。

 

 

 

 

「それにしても、僕驚きましたよ! まさかジロウさんがあんなに強いなんて、刺されるかと思ったらナイフを指一本で止めちゃうんですもん!」

 

「そうかのう?別に鍛えればあれくらい出来るようになるはずじゃがなー」

 

「いやいやいや!! そんなことできるの多分ジロウさんくらいですって!.......でもどうしてあんなに強いんですか?」

 

 

次郎にとってナイフを指で受け止めるなど造作もないことなのだがベルにとってはそうではなかった。(当然である)

 

そして同時になぜそんなにも強いのか素朴な疑問をぶつけた。

 

 

「ん~ワシの場合は育った環境が特殊だったからのう、普通に生活してたら勝手に強くなってただけの話じゃよ」

 

(環境だけで、ナイフを指で受け止めるくらいに強くなるって、一体ジロウさんを育てた親ってどんな人なんだろう.......)

 

 

 

人というか、獣である。

 

 

「まあ、それは追々話すことにするわい それよりホレ、ベル君見えてきたぞい」

 

「え.....うわーーー!!!!凄い」

 

「ほー! なんともデッカイのう、グルメタウンくらいありそうじゃ」

 

 

 

談笑しているうちに目的地へ到着した二人はオラリオの予想外の規模に感嘆していた。

 

 

迷宮都市オラリオ

そこには様々な種族の亜人たちが行き交い、交流する場所であり、沢山の人が色々な職業につき誰もが色々なところで活躍している街である。そしてそのなかで最も多い職業が"冒険者"である。

 

 

 

(なるほどのう......ワシのいた世界では色々な種類のモンスターは存在しておったが、耳が長かったり犬耳が生えてたり尻尾がある人間は存在しておらんかった....薄々気づいてはおったがここはワシの知ってる世界とは

違うようじゃ)

 

 

次郎は様々な亜人たちが行き交う様子を見て自分の世界とは異なる世界だということを確信する。

 

 

(まあ、別にそこまで危険は無さそうじゃし別にええか......旨い酒が飲めれば問題はないし、冒険者というものにもなってみたいしのう)

 

 

なんともマイペースな男である。

 

 

「あの~ジロウさん? どうしたんですか」

 

「おぉ、スマンスマン ちょっと考え事をな...それより冒険者ってなにするんかのう?」

 

「えっと冒険者というのはですね、武器や防具を装備してダンジョンに潜り、モンスターを倒したり未知なるものを目指すというものです、それでレベルを上げて有名になれば富や名声を手に入れられるんですよ!! 凄くないですか!? 僕もここで強くなれば有名になれるのかなぁ...」

 

「ほぅ、ダンジョン.....洞窟みたいなもんかのう、それにしてもモンスターを倒したり、未知を目指したりとは....やはり美食屋みたいな職業だのう」

 

 

 

ベルが興奮して語るなか、次郎は冒険者のおおよその情報を聞き、かつて自分もやっていた美食屋みたいなものだと認識することにした。

 

そもそも獣に育てられた次郎は難しいことを考えるのがあまり得意ではなく、何よりオラリオに来るまでの間なにも食べてなかったことを思いだしベルにたずねた。

 

 

 

「ところでベル君、少しばかり腹が減ったんじゃがな」

 

「あ! そう言えば何も食べてませんでしたね、僕なにか買ってきますよ!」

 

「いやいや、それは大事なお金じゃろう こんなことに使わんでも.....」

 

「大丈夫です! 結構入ってますし二人ぶんくらいどうってことないですよ、それにまだ助けて貰ったお礼もしてないですから」

 

「そうかい? じゃあお言葉に甘えるとしようかのう」

 

 

自分よりもはるか年下の少年に奢らせるのは少々気が引けたが、よく考えたら自分は無一文なのを思いだし素直にベルの言うことを聞くことにした。

 

 

「はい! じゃあジロウさんはここで待っていてくださいね、僕ちょっと買ってきます!」

 

「お~気を付けてのう」

 

 

 

見送った次郎は、ベルがなにか食べ物を買って戻ってくるまで噴水の縁に座って待つことにした。

 

 

 

「ねえ、あの人の髪型変じゃない?」

 

「何か入れてるのかな?」

 

「というより角か何かじゃないかな、真っ直ぐ伸びてるし」

 

 

 

賑わう街中で次郎は横道を行き交う様々な人達に奇異の視線を向けられていた。

 

というより次郎のヘアスタイルに向けられていた。

 

 

 

「この世界には色々な人種の人間がいるのにリーゼントはないみたいじゃのう.....このヘアスタイルを解ってくれるのはやはりセッちゃんしかおらんのぉ...」

 

 

自分のリーゼントを理解してくれるのは節乃しかいないなと、かつてのコンビを思いだしていると......

 

 

 

 

 

 

「ちょっと、止めてください!!」

 

「いいじゃねぇか、少しデートしてもらうくらい こっちはダンジョンに行ってて疲れてるんだぜ?」

 

「そー、そー 俺たち冒険者の日頃の疲れを癒すのもアドバイザーの仕事だろ? 固いこと言わないでさ、少し付き合ってくれるだけでいいんだから」

 

 

 

なにやら女性が二人の男に絡まれてる様子である。次郎はあまり余計な事に首を突っ込み過ぎるとめんどくさいことになりそうだとも思ったが聞こえてしまった以上、見過ごすこともできず声のする方に向かうことにした。

 

 

 

「まあ、ベル君が戻ってくるまでもう少しかかるじゃろうし少しばかり離れても問題ないじゃろ」

 

 

そして声のする脇道の方に行ってみると、長い耳が特徴の.....俗にいうエルフという種族であり眼鏡をかけた少女が、武器や防具をしていることから見て冒険者と思わしき男二人に絡まれてる現場であった。

 

 

「おーい、そこのお二人さんや 彼女嫌がっとるじゃろう? ここはおとがめ無しにしといてやるから大人しく帰りなさい」

 

「あ、あなたは?」

 

 

エルフの少女は声のした方向を向くとそこには奇妙な髪型をした男性が立っていた。

 

 

 

「あん?誰だおっさん」

 

「別にあんたに関係ねぇだろ、こっちは忙しいんだ....それに俺たちはレベル2だぜ?痛い目に遭いたくなきゃ引っ込んでろよ」

 

 

 

冒険者の二人組は突然現れた次郎に文句を言い放つとナンパを再開しようとしたが........

 

 

 

 

 

 

 

 

「"帰れってのが聞こえねぇかバカども"」

 

 

 

 

 

 

 

次郎の少しばかりの怒気を含んだ一言により中断された。

いつもの次郎ならば飄々とした態度で優しく論するのだが、このときばかりはベルがカツアゲされていたときと似たような状況で少しウンザリしており、空腹だったために少しばかりイライラしていたのでつい感情が表に出てしまったのだ。

 

そして、少しとはいえ次郎の怒りを真っ正面から受けた冒険者二人はというと........

 

 

 

 

 

 

「「ひ、ひぃぃぃぃぃ!!!!!」」

 

 

 

一目散に逃げていった。

ちなみに二人の股下は何故か濡れていた。

 

 

 

 

 

「あらら、ちょっとやり過ぎたかのう....まあこれでもう絡まれる心配もないじゃろう、お嬢さん大丈夫かい?」

 

「え、えぇ!、お陰で助かりました ありがとうございます、失礼ですがお名前を伺っても?」

 

「ワシは次郎というものじゃ」

 

「ジロウさんですね....申し遅れました、私ギルドアドバイザーを務めておりますエイナ・チュールと申します」

 

「エイナちゃんか、可愛い名前じゃのう」

 

 

 

次郎からの突然の可愛い宣言にエイナは照れるが、それと同時にからかうように次郎に言う。

 

 

 

「もしかして、ジロウさんもナンパですか?」

 

「思ったことを口にしただけじゃが...なんか嫌だったかい?」

 

 

次郎は遠慮なくガンガン言うタイプなので、今のも純粋にエイナという名前を聞いて思ったことを言っただけなのだが、エイナからすれば男性に真顔で可愛いと言われたのは初めてだった。

 

 

 

「ち、違いますよ! 少し驚いただけですから...」

 

「そうかい? それならよかったがの」

 

「....次郎さんは意外とタラシなんですね....」

 

 

エイナはバカ正直に言う次郎に小声で言い、そんな様子を見た次郎はエイナに質問する。

 

 

「お~い、エイナちゃん 大丈夫かい?...風邪でも引いたか」

 

「え!?...あ、はい!大丈夫です」

 

 

我に返るといつもの調子に戻ったエイナは次郎に質問をした。

 

 

「と、ところでジロウさんは今日初めてオラリオにきたのですか?」

 

「うむ、連れが一人いてな....冒険者になりたくてきたんだがどうやったらなれるか分からんくてのう、エイナちゃん知っとるか?」

 

「あぁ!冒険者志望の方でしたか.....えっと冒険者はですね、神々が組織しているファミリアというギルドがこのオラリオには複数存在するのですが、これのどれかに所属し、そこの主神に恩恵を貰ってそのファミリアの眷族になることではれて冒険者としてダンジョンに潜って探索したりすることが可能となります」

 

 

冒険者になる方法をエイナから説明された次郎だったが、ここで一つ気になる単語に反応した。

 

 

「神? このオラリオには神がおるんか」

 

「えぇ、大昔前に天界から地上におりてきてこのオラリオの住人たちに神の恩恵を与えました、それで冒険者というものができたそうです」

 

「(なるほどのう....冒険者になるには神の眷族にならんといけないということか)ちなみに恩恵を受けずに冒険者になってダンジョンに入ったりすることはできんのか?」

 

 

神という存在にあまり良い印象を抱いてない次郎は神からの恩恵を受けずにダンジョンに潜れるか聞いてみた。

 

 

 

「なに言ってるんですか!? そんなことできるわけないでしょう!....神からの恩恵を受けずにダンジョンに潜るなんてただの自殺行為ですし、一階層で死んじゃいますよ!」

 

 

別に恩恵を貰わなくても次郎一人がダンジョンに入るのは何の問題もないのだが、神々の恩恵というものがあってこその冒険者なため、恩恵を受けずに冒険者をすれば色々と面倒なことになりそうだし何よりベルは自分とは違い一般人である。恩恵を持たせずダンジョンに入れるのはダメだと判断したのか次郎も断念した。

 

 

 

「冗談じゃよ!冗談!...そんなことしやせんよ」

 

「当たり前です! 冗談じゃすみませんよもう...」

 

 

 

 

 

 

 

 

(仕方ない、ファミリアに入るときは主神とやらを良い神かどうか判断しなきゃいかんのう....ベルくんの為にも治安の悪そうなファミリアは選べんし..........まあこの世界の神にワシの技が通用するかわからんが、もし敵対するようなことがあれば"封印"を解くことも視野に入れとくか......)




次回タイトル

「ヘスティアファミリア」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。