オラリオに暴獣が来るのは間違っているだろうか 作:チミチャンガ
短い間で結構仲良くなった次郎とエイナは通りのベンチに座り話していたが、そこでふとエイナは思い出したかのように次郎に質問した。
「ところでジロウさん?」
「ん? どうした」
「先程、お連れの方がいるって言ってましたけどその人のことはいいんですか?」
エイナに言われて初めて次郎は気づく。何か食べ物を買ってくると言って走って行った少年、ベルのことを。
そして、ベルに待ってるように言われた所から離れてそれなりの時間が経っているということを。
「おぉ!? こりゃ不味い!相当時間が経っとる....ちと長く離れすぎたのう」
「どこかで待ち合わせでもしていたんですか?...もしそうなら早く行ったほうがいいですよ」
「確かに待たせとると思うし、早く戻ってやらにゃあの子も困っとるじゃろう....」
「ジロウさんはそのお連れの方と一緒のファミリアに入るつもりなのですか?」
エイナはジロウが待たせてるという仲間と一緒のファミリアに入るのか問う。
「う~ん、まあそうなるじゃろうな.....あの子は少しトラブルに巻き込まれやすい感じじゃから自然と同じ所にするじゃろう」
「そうなんですか.....じゃあ、もし決まったら教えてくださいね! その時はわたしがしっかりとダンジョンに潜るときの注意事項をレクチャーするので!」
「ほっほ、そりゃ嬉しいのう!....まあその時は連れ共々宜しく頼むとするか、じゃあ、またの」
ジロウは冒険者になったとき、エイナに色々と教えて貰うことを約束して別れを告げた。
そして、駆け足で去っていった次郎を見送ったエイナは....
「あれ? そう言えばジロウさんのお連れの人って名前何て言うんだろう?......」
恐らく待ち合わせの場所に待たせてるであろうベルのもとに戻ってきた次郎が見たのは。
「すまんな! ベル君、突然いなくなっちまってすまんかったのう」
「あ、ジロウさん! やっと戻ってきた...もう、帰ってきたら居なくなっちゃってたから探してたんですよ!」
「ベル君、この人がベル君の言っていたジロウって人かい?」
「あっ、はい!、凄く強くて頼りになって優しいんですよ! だからぜひジロウさんも神様のファミリアに入れてほしくて」
「もちろん! ベル君の友達なら悪いやつじゃないだろうし、なにより入団したいっていうなら大歓迎さ!」
ベルと背が低いツインテールのロリ巨乳少女が仲良さげに喋っているところであった。
次郎は謎の少女に困惑するが、ベルが言った"神様"という言葉で少女が何者なのかを理解した。
(こやつが神か......なんか拍子抜けじゃのう、神というからもっとゴツいのを想像しとったんじゃが...)
目の前の明るい、おしり虫すら殺せなさそうな少女に次郎はこれがこの世界の神かと内心安堵する。
「ねえ、きみきみ!」
「ん?」
声をかけられた次郎は考え事を止め少女の方を見る。
「きみがベル君の言っていたジロウ君だろう? 僕はヘスティア!...ヘスティアファミリアの主神さ!」
ヘスティアと名乗った神に次郎も名乗り返す。
「随分と元気な神じゃのう、ベル君にも聞いたと思うがワシが次郎じゃ」
「ジロウさん! 僕、じゃが丸くんっていう食べ物を買いに行ったんですけどそれが売ってた屋台でバイトしてた神様と出会ったんですよ! それでファミリアを探してるって言ったらヘスティアファミリアに誘われたので入団することにしたんです、ジロウさんも良かったら一緒に入ってくれませんか?」
ヘスティアとの出会いの経緯を次郎に話したベルはここまで共にきたジロウに一緒に入らないかと誘う。
(神がバイトってどうなんじゃ......まあ、ベル君と意気投合してるとこを見ると別段悪い神でも無さそうじゃし大丈夫かの)
ヘスティアが悪い神ではないと判断した次郎は他に目をつけられて問題が起きないうちに決めることにした。
「そうじゃな、せっかくじゃしベル君も入るならワシも入団するとするかのう」
「本当ですか! やったぁ、良かったですね神様!」
「そうだねベル君! あぁやっと僕にも眷族ができたんだ!」
次郎が共にヘスティアファミリアに入ってくれるということにベルは喜び、ヘスティアも初めて自分の眷族が二人もできたことを喜ぶ。
「それじゃあ、さっそく僕たちのファミリアに向かおう!」
ヘスティアはベルと次郎にこれから自分達の家となる場所に案内する。
「はい!」
「ほいほい」
元気よく返事をしたベルは、これで念願の冒険者になれるとウキウキしながらヘスティアの後についていき、次郎もどんな所なんじゃろうなと内心思いながら二人の後をついていった。
そして、そんな二人をオラリオ最大の摩天楼施設"バベル"の最上階から見下ろしている一人の神とその傍らに立つ一人の男がいた。
「これは......」
「どうかなされましたか? フレイヤ様」
「あぁ! なんて透明で純粋な色をした魂を持つ子なのかしら....もう一人も表面は海のように静かな色で中身はまるで周りの全てを破壊する獣のような荒々しさ....実に手に入れたいわ、この二人を私の物にしてもっとこの輝きを間近で感じたい!.....」
フレイヤファミリアの主神であるフレイヤが、ベルと次郎を視て興奮していた。
次回タイトル
「神の恩恵」