オラリオに暴獣が来るのは間違っているだろうか   作:チミチャンガ

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「そして」とか「そうして」とかって使いやすいから、書くときに使いすぎないようにしないと


ダンジョンへ

朝方、ベルと次郎はスヤスヤと寝ているヘスティアを起こさぬよう、静かにホームを出た。

 

そして、二人は冒険者登録をするためギルドへと向かっていた。

 

 

「これで僕たちも冒険者の第一歩ですね、ジロウさん!僕ワクワクしますよ!」

 

「確かにな、ダンジョンにどんなモンスターがいるのか気になるしのう」

 

 

話しているうちにギルドへ着いた二人は、そこらじゅうにいる人や亜人に感嘆した。

 

 

「うわぁ! 凄い、これってほとんどの人が冒険者なんですかね!? ジロウさん」

 

「確かに武器や防具を装備しているし、そうかもしれんな」

 

 

それぞれ感想を言い合った二人は取り敢えず冒険者登録をするためギルドスタッフへ話しかけた。

 

 

「そこのお嬢さんや、ちょっとええかい? 冒険者登録とやらをしたいんじゃが」

 

「はい! ようこそ迷宮都市オラリオへ、冒険者登録の方ですね? ではこちらへ所属ファミリアを.......ってジロウさん!」

 

 

「おお、エイナちゃんか! 昨日ぶりじゃのう」

 

 

「ジロウさんこそ、ここに来たってことは無事ファミリアに所属できたんですね 良かったです!......ところで隣の方は?」

 

 

エイナは次郎との再開とファミリアへ所属できたことに喜ぶが、同時に隣の白髪の少年が誰かを問う。

 

 

「うむ、この子が昨日言った連れでな 名前はベルと言うんじゃ」

 

「あぁ! この方がそうなんですね、初めまして!...ギルドアドバイザーを勤めています、エイナ・チュールです、よろしくねベル君」

 

「は、初めまして! ジロウさんと同じファミリアのベル・クラネルと言います!」

 

 

エイナような美少女と話したことがないベルは、つい声が上ずってしまう。

 

 

「ふふ、ベル君って面白い子だね♪」

 

 

エイナはベルのてんぱり具合に笑みをもらす。

 

 

「ところでエイナちゃんや、さっそくじゃが冒険者登録したいんだがいいかい?」

 

「はい! ではこちらに所属ファミリアと必要事項をご記入ください」

 

 

エイナに渡された契約書的な紙に次郎とベルは自分達のファミリア名と必要事項を記入していく。

 

 

「えっと....はい、確認しました! では改めましてお二人の担当アドバイザーをさせて頂きます、エイナ・チュールです」

 

 

「うむ、そんじゃあよろしくたのむ」

 

「お願いします!」

 

 

次郎は自分達のアドバイザーをエイナが担当してくれることを改めてお願いする。

 

 

「はい! ではまずお二人にダンジョンに入るための注意事項を伝えさせて頂きます!」

 

「「注意事項?」」

 

「ええ、冒険者は常に危険と隣り合わせです ですから私たちアドバイザーが責任を持ってダンジョンにて必要な知識をお教えて、冒険者の方々が命を落とさぬようにするんです」

 

 

エイナはダンジョンに必要な知識を冒険者に伝えることもアドバイザー大切な仕事だと二人に説明する。

 

 

「ほう、そりゃためになりそうじゃのう どちらにしろダンジョンについてはほとんどわかっとらんし教えて貰うとするか」

 

「そうですね! 僕も聞きたいです」

 

「よし! じゃあベル君もジロウさんも奥の部屋で説明しますので一緒にきてください」

 

 

そう言ったエイナの後を次郎とベルはついていったが、のちに二人は後悔することになる........。

 

 

 

 

 

「........というわけで、説明は以上です!....... あれ?二人ともどうしました?」

 

 

約一時間にわたるエイナのマシンガントークに次郎とベルは精神的にまいっていた。

 

 

「き、聞いてるだけでこんなに疲れるなんて....」

 

「よくあれだけ喋れるもんじゃのう......」

 

 

ベルはともかく、あの次郎を精神的にここまで(無自覚に)追い詰めたエイナはある意味最強かもしれない。

 

そんな二人の様子を見て疑問に思ったエイナだったがすぐに切り替え二人に質問する。

 

 

「では、私からの説明は以上ですけど 二人ともなにか最後に聞きたいことはありませんか?」

 

「特にはないのう」

 

「僕も大丈夫です!」

 

 

二人は問題がないと告げる。

 

 

「了解しました、では二人とも.......気を付けて行って来てくださいね?」

 

 

エイナは最後に二人に念を押す。

 

 

「はい!」

 

 

「うむ」

 

 

返事をした二人は立ち上がりダンジョンへと赴いていった。

 

 

 

 

二人を見送ったエイナは.....。

 

 

「無事に帰ってきてくださいね.....」

 

 

そして、そんな様子を見ていた同じアドバイザーであり友人のミイシャ・フロットがエイナに抱きつき言う。

 

 

「なになに どうしたのよエイナ! 暗い顔しちゃってぇ!.....もしかして今の二人のどっちかが好きすぎて心配とか~?」

 

「..もう、なに言ってるのよ そんな訳ないでしょう? それにベル君は弟的な感じだしジロウさんは......」

 

「ジロウさんは?」

 

「どっちかというとお爺ちゃんみたいな雰囲気なのよねぇ....」

 

「えぇー...あの人見た感じ、まだ二十代にしか見えないんだけど....」

 

 

意外と的を得ているエイナの発言にミイシャは自分の親友をジト目で見つめた。

 

 

 

 

ところかわってベルと次郎はダンジョンの中へ入って進んでいた。

 

外とは違う辺り一面の洞窟にベルは満面の笑みで、次郎は「意外と普通じゃのう」と思いながら歩いていた。

 

 

「さて、ベル君 念願のダンジョンに来た訳だが、さっそくじゃしモンスターを狩るとするかい?」

 

「はい!」

 

 

次郎はエイナの説明にあった魔石について思い出していた

 

 

(モンスターを倒すことで魔石が落ちる、そしてそれを換金することで金になるか......なるほどのう、ずいぶんとオーソドックスなシステムじゃ....それに魔石以外にも落ちるモンスターの素材は武器や防具の材料に使うとは、ワシらの世界とは結構ことなるのう)

 

 

次郎のいた世界でモンスターは、狩る=食うが主流だったため、こういったシステムに内心驚いていた。

 

そうして考え事をしているとベルが叫んだ。

 

 

「ジ、ジロウさん!あれって」

 

「ほぉ..... これが...」

 

 

 

「グギャアアア!!!」

 

 

現れたのはゴブリンというモンスター、主に上層の一階から十二階までの間で最初の上層辺りに出現する個体で主に、二~三匹で行動する。

 

一体、一体はそこまで強くは無いが、初心者冒険者にとっては中々のくせ者である。

 

 

ベルは初めてのモンスターという存在に、少したじろぐもこんなところで怯えてちゃ次郎のように強くはなれないと、ダンジョンにくる途中で買った安物のナイフでゴブリンに向かっていく。

 

ちなみに次郎は武器を買ってはいない.......というか必要ない。

 

 

「はあああああああ!!!!!」

 

 

掛け声と共にベルはゴブリンにナイフを降り下ろし一匹目を倒す。

 

殺られたゴブリンは灰となり魔石だけが残った。

 

そしてそれを見た次郎は。

 

 

「なるほど、これが魔石かい..中々に綺麗じゃのう....換金するのが勿体ないわい」

 

 

次郎は魔石を拾いあげ、ポーチに入れながらそう呟く。

 

そうこうしてるうちに四匹目のゴブリンを倒したベルは

次郎の方に向き直り笑顔で叫ぶ。

 

 

「やった! やりましたよジロウさん、僕初めてなのに、モンスターを自分でこんなに倒せましたよ!」

 

「ほっほ、そりゃ良かったのう 中々冒険者として様になっとるぞ?」

 

「そ、そうですかね? へへへ...」

 

 

最初に会ったときから憧れの対象である次郎に誉められ、ベルは照れる。

 

 

「さて...ワシも冒険者なんじゃしいっちょ稼ぐとするかのう」

 

 

すると次郎の前に、ゴブリンが今度は十匹ほど出現した。

 

 

「す、凄い数ですよジロウさん!...」

 

「ほー 沢山いるのう、これなら多く稼げそうじゃ」

 

 

そう言った次郎は取り敢えず多くいるゴブリン達の動きを止めるため前に立つと、少し威嚇した。

 

するとそれを受けたゴブリン達はというと....。

 

 

「「「「ギャアアアアアアアア!!?!?」」」」

 

 

一瞬で灰と化した......。

 

それもそのはず。 せいぜいフライデーモンキー程度の強さでしかないモンスターが次郎の威嚇を少しでも受けて無事であるはずがないのだ。

 

しかし、まさか睨みだけで死ぬとは思ってなかった次郎はなんとも言えない顔をし、ベルは「やっぱりジロウさん凄い!」と次郎を見つめた。

 

 

 

そうして進んでいくうちに、一通りポーチがゴブリンや道中で遭遇したコボルトなどを倒した際の魔石でいっぱいになったので、次郎とベルはそろそろ帰ろうかということで来た道を戻ろうとしたのだが......。

 

 

 

 

「ヴオオオオオオオオオ!!!!!」

 

 

後ろから突然、牛のような鳴き声が聞こえた二人は振り返ったがそこにいたのはミノタウロスというモンスターであった。

 

 

「ジ、ジロウさん.....このモンスターって!...」

 

「あぁ、エイナちゃんが説明した中にいたのう......ミノタウロスとか言ったか?」

 

 

エイナから聞いた話の中にあったモンスター情報を頭から引っ張り出した二人は、目の前の牛型モンスターがミノタウロスだということを理解する。

 

 

 

ミノタウロス

 

ダンジョンの中層辺りに出現するモンスターで強さはレベル2相当を誇る。 レベル1の冒険者ではまず太刀打ちできない相手であり、遭遇した場合は逃げることはほぼ不可能とされている。

 

そんなミノタウロスに運悪く遭遇した二人はというと....。

 

 

「....なっ、なんでこんなとこにミノタウロスがいるんですか!? だってエイナさんの話じゃ中層にしか出現しないって!......」

 

 

ベルは、どう足掻いたとして勝つことも逃げることもできない相手に足が震えていた。

 

そして様子を見た次郎は。

 

 

「ベル君、逃げなさい。ここはワシが相手をするから」

 

 

ベルにここを離れて逃げるよう伝える。

 

 

「何言ってるんですか!? ダメですよ、ジロウさんも一緒に逃げましょう!」

 

「ここで二人とも逃げたらコヤツは追ってくるじゃろう、そしたら上にいるワシら以外の初級冒険者くんたちに迷惑がかかってしまう」

 

 

「そ、それでもジロウさんが残らなくたって!...」

 

「ベル君はその魔石を持って早く行けい、そんでエイナちゃんのとこでワシの帰りを待ってなさい」

 

「でっ..でも!」

 

 

ベルは、次郎が普通より強いことは最初に会ったときから知っていたが、それでもミノタウロスに敵う程とは思ってないのだ。

 

動かず固まっているベルを見て次郎は少し思案し、こう言った。

 

 

「いいかいベル君、別に闘う訳じゃない 少し注意を引いて上手いこと撒くだけじゃよ安心せい」

 

 

自分が真っ正面からミノタウロスを相手にする気はないことをベルに伝えると、ベルは渋々納得する。

 

 

「......分かりました....でも絶対、絶対無事に戻って来てくださいね!!」

 

「大丈夫、わかっとるよ」

 

 

次郎の返事を聞いたベルは全速力で走っていった。

 

その場に残った次郎は.....。

 

 

「ふぅ....あの年頃の子は頑固だからなぁ 扱いが大変じゃ..............さて、待たせたのう牛くん」

 

「ヴォォォ......」

 

「お主みたいなのが何でこんな上層にいるのか分からんがこれ以上、上にいかせるわけにはいかん....ノッキングして放置するのもいかんしの....悪いが倒させて貰うぞ!」

 

 

「ヴオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」

 

 

次郎の言葉に反応したのかミノタウロスは持っていた棍棒を大きく振り上げた。

 

かくして、次郎とレベル1の冒険者にとっては悪魔であるミノタウロスの激しい闘いが始まる!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピンッ

 

 

 

 

ボッ!!

 

 

 

わけがなかった。

 

 

次郎がしたことは至極単純.....ミノタウロスの棍棒を避けて、胸元辺りに軽くデコピンしただけ。

 

それだけでミノタウロスの上半身は、体内の魔石ごと木っ端微塵に吹き飛んだ.....。 

そもそもレベル1だろうと2であろうと次郎にはそんなことは関係なく、ミノタウロス程度が相手になるはずもなかった。

 

 

「ありゃ、魔石も吹き飛ばしちまったっぽいのう......まあええ、ベル君も心配しとると思うし戻るとするか」

 

 

次郎は先にエイナの所に行ってるであろうベルのもとに戻ろうとするが.......。

 

 

 

「...ねえ」

 

「ん?」

 

 

声をかけられた次郎が振り返ると、そこには銀色のフルプレートを着用し、細長い剣を腰にさした金色の髪を持つ可憐な少女が次郎をじっと見つめていた.....。

 




次回タイトル

「次郎とアイズ」
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