オラリオに暴獣が来るのは間違っているだろうか 作:チミチャンガ
酒場での話どーしよー...ベルをバカにする理由もないしなぁ
アイズと別れ、地上に戻った次郎は自分の帰りを待っているであろうベルのもとへ向かうことにした。
「さて、多分エイナちゃんのとこにいるじゃろうからな 早く迎えに行ってやらんと........それにしてもアイズと言ったか....少し危ういが面白い子じゃな、またどっかで会えたら酒でも酌み交わしたいのう、どこのファミリアか聞いておけばよかったわい」
次郎は、アイズとまた再会できたら一緒に酒を飲むのもいいなと思いながらギルドの方へ進んだ。
「おーい、ベル君待たせてすまんな エイナちゃんも話は聞いておるかもしれんが心配かけたの」
「ジロウさん! 良かったぁ....無事に帰ってきてくれて 僕ちゃんと戻ってきてくれるか不安で仕方なかったんですよ!」
「ワシならこの通り大丈夫じゃよ ミノタウロスから何とか無事に逃げ切れてのう」
次郎が五体満足で帰ってきてくれたことに嬉し泣きをするベル。
「良かったね、ベル君....それと次郎さん!」
エイナも次郎が帰ってきてくれたことに喜ぶが、すぐに怒ったような表情で次郎に言う。
「な、なんじゃ?」
エイナの見たことない"私、本気で怒ってます"と言いたげな顔を見て次郎はたじろぐ。
「ベル君から大方話は聞かせて貰いました、今回ミノタウロスがあんな上層に現れるなんて予想外ですから仕方なかったかもしれません......でも、もしかしたら本当に殺されててもおかしくなかったんですよ!」
「エ、エイナさん...」
ベルもあの温厚そうなエイナが、ここまで怒るとは思ってなかったのか驚いてるようだ。
「ジロウさんの判断は冒険者として、人として正しいのかもしれません、それで実際にベル君や他の冒険者の方々は助かったわけですから.........それでも、ジロウさんが死んじゃったら意味が無いんですよ? 冒険者を止めろとは言いません、でももっと自分の命を大切にしてください....ジロウさんは私の担当冒険者であり大切な友人なんですから..」
「エイナちゃん.......すまんかったの、これからは自分の命を危険にさらすような真似は出来るだけせんよ」
次郎もエイナの話を聞いて、反省する。
「分かってくれればいいんです! ベル君もあんまり自分を犠牲にするような真似はしちゃダメだよ? ベル君だって大切な私の担当冒険者で友人なんだから」
いつもの優しい表情に戻ったエイナは、ベルにも同じことを言い無茶はダメと念を押す。
「はい! 大丈夫です、無茶は絶対にしません!安心してください」
「本当~? 結構ベル君って厄介事に巻き込まれそうな感じだから、私心配だなぁ」
「ちょっ!? それはあんまりですよエイナさぁん!」
「ほっほ、言われちまったのうベル君」
意外と的を得ているエイナの発言に、ベルは叫び次郎も
からかうように言うのであった。
(.....まさかあのあとすぐにミノタウロスを倒して女の子と喋ってたなど、本気で心配してくれていたこの二人には言えんなぁ...)
真実は決して言うまいと心に決めた次郎であった。
.....まあ、ベルにはすぐにバレる事になるのだが。
「じゃあ、今日はもうダンジョンには潜らないんだね?」
「はい、早く帰ってあげないと神様も心配してるかもしれないですし今日は予想外のことでちょっと疲れちゃったので....」
「そうじゃな、初めてのダンジョンだったし今日はこれくらいでええじゃろう」
無事に戻ってきた次郎とベルは、ヘスティアも帰りを待っているだろうということでひとまず自分達のホームへ帰ることにした。
「じゃあ、エイナさん、さようなら!」
「ほいじゃな、またダンジョンに潜るときはよろしく頼むぞい」
「はい、二人とも今日はお疲れさまでした!」
帰る前に今日集めた魔石を換金した二人はエイナに別れを言いホームへ帰還した。
その道中。
「今日は大変でしたけどダンジョンって凄いですよね! これからもっと強くなればミノタウロスも倒せるようになるのかなぁ」
「ベル君なら大丈夫じゃろう、きっと強くなれるさ」
「ほんとですか! ジロウさんに言ってもらえると嬉しいです!」
初ダンジョンのことで未だに熱く語っているベルと、次郎が喋っていると.....。
「あの~.....」
突然女性に呼び止められ、振り返ると銀髪の少女が笑顔で立っていた。
「えっ? な、なんでしょうか?」
「ワシらに何か用かい?」
明らかに初対面であろう少女に二人は困惑した。
「これ、落としましたよ?」
そう言った彼女は手のひら程の大きさのある魔石をベルと次郎に差し出す。
「あれ? これ魔石ですよね、換金し忘れたのかな」
「ええ、たまたま見ててポーチから落ちたのをお二人とも気付かない様子だったので」
「え!? ほんとですか、わざわざ届けてくれてありがとうございます!」
「いえいえ、お役にたったみたいで良かったです あ、紹介が遅れました...私シル・フローヴァって言います」
「助かりましたシルさん! いやぁ、危うく換金し忘れるところでしたねジロウさん」
「........」
「ジロウさん?」
ベルは無言でいるジロウを不思議に思ったのか、声をかける。
(この娘は嘘をついとるな....ワシらは全ての魔石を換金した、正確な数は覚えちゃいないが今日手に入れた魔石はそこまでの数じゃない....そもそも一つとはいえこんな魔石をポーチから落として気付かないはずがない)
次郎はシルが拾ったという魔石が自分達のものではないことに気付き、それを落としたと言って差し出してきたシルに不信感を抱く。
「できればお二人の名前を聞いてもいいですか?」
「あ、僕ベル・クラネルっていいます!」
「次郎じゃ、よろしくのシルちゃんや...(こやつ、どういうつもりだ?)」
ベルは、素直に自己紹介をし次郎はいまだシルにたいして警戒していたがそれが自分の杞憂だったことが分かる。
「あのベルさん、ジロウさん 今夜うちの店に来ませんか?」
「「店?」」
「ええ、すぐそこの酒場です 私そこで働いてるんですけどお料理もお酒も絶品なんですよ! お二人ともまだお夕食はまだでしょうしよかったら食べに来ませんか?」
(なるほどな、魔石を拾ったと言って渡してきたのはこういうことか.....可愛い顔して中々策士じゃのう)
シルの言葉を聞き、次郎はシルが自分の店に誘う理由として魔石を渡してきたことを察して変なことは考えてないと判断し安心する。
「ワシは構わんぞ、酒も飲めるなら是非とも行ってみたいしのう 魔石を拾ってもらった礼もかねてな....そんでベル君はどうする?」
「はい! 僕もどんなお料理があるのか楽しみですし行ってみたいです!」
次郎とベルはシルに拾ってもらった礼も含めて、シルの働いてるという店にお邪魔することを約束した。
「ありがとうございます!ではベルさん、ジロウさん 今夜お待ちしています!」
そう言ったシルは、ペコリと頭を下げて去っていった。
そうして残った二人はこの事をヘスティアにも話すためホームへと戻った。
「ただいま帰りました! 神様」
「おー ヘスティア君帰ってきたぞい」
「お帰りぃ! ベル君、ジロウ君...無事に帰ってきてくれてよかったよ! どうだった?初のダンジョンは」
「凄かったです! 改めて冒険者になったって感じでしたよ!」
ベルは初ダンジョンでの興奮をヘスティアに伝えた。
「それはなによりだよ! ジロウ君はどうだった?」
「ん~、それなりに貴重な体験したぞ...まあちょっと厄介な目にあったがのう」
「厄介? 何があったんだい」
「そうなんですよ!神様、僕たち上層でミノタウロスと遭遇しちゃって.......」
ベルはミノタウロスに遭遇したこと、次郎が囮となって自分を助けてくれたことなどをヘスティアに話し、ベルから事の詳細を聞いたヘスティアはというと....。
「へ、へぇ~!....そうなんだ、それは大変だったね! うん、まあ二人が無事に帰ってきてくれて安心したよ!」
次郎の"本来の力"を知っているヘスティアは、本当はミノタウロスを次郎が倒したんだと察した。
「あ、そういえば神様! 僕たちオラリオでも有名だっていうお店で夕食にしようかと思うんですけど」
「その店の娘に誘われてのう、せっかくだしヘスティア君もどうじゃ?」
ヘスティアに二人は、その酒場で働いてるという従業員に誘われたことを伝えた。
「う~ん、嬉しいけど遠慮しておくよ 今日はバイトが結構大変でね、僕はホームで夕食は済ませることにするよ」
「そうなんですか残念です....じゃあわかりました、次郎さんと行ってきますね」
「ああ、存分に楽しんできておくれ! その店にはもう行くのかい?」
「はい、もう少ししたら行こうかなと思ってるんですけど......その前に神様にステイタス更新をお願いしたくって」
「そうだのう、せっかくじゃしワシもやっとこうか」
ベルは店に行く前に、ステイタスの更新をヘスティアに頼み次郎はそういえばそんなのあったなと思いながら自分もお願いすることにした。
「あ、ああ勿論いいとも じゃあ、まずはベル君からやるから上着を脱いでくれるかい?」
「はい!」
上着を脱いだベルは恩恵を刻んだ時のようにベッドにうつ伏せになり更新をし、それを羊皮紙に写し終えたヘスティアはベルに渡した。
「はい、終わったよベル君! あまり変わってないかもしれないけど確認しておくれ」
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ベル・クラネル Lv,1
力:|3
耐久:|2
器用:
敏捷:|3
魔力:|1
《スキル》
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ベルは更新したステイタスを見て、最初からいきなり魔法やスキルが発現するわけないかと思ったがふと違和感に気付く。
「あの...神様? ここのスキルの欄に跡みたいなのがあるんですけど」
「ほんとじゃ、何か消したみたいだのう」
「ああ、残念だけど間違いさ ちょっと手元が狂ってしまってね」
「そうなんですか...ちょっと期待したんだけどなぁ」
ベルは、もしや何か発現してるのでは?と思ったがやはりそんなわけないと少しばかり落胆した。
「まぁまぁベル君、いきなり魔法やスキルが発現するなんてそうそう無いんだから気にすることないさ、これから頑張っていけばいいんだよ!」
"嘘"をついてしまったことに少し罪悪感が募るも、ヘスティアはベルに励ましの言葉を送る。
「神様.....そうですよね! 僕もっと頑張ります!」
「うんうん、その意気さ! じゃあ次はジロウ君の番だけど........ちょっと済まないがベル君は部屋から出てくれるかい?」
「...? はい分かりました」
ベルは、なぜ次郎のステイタス更新をするのに自分が出る必要があるんだろうと気になったが素直に部屋から退出した。
そして残った次郎はヘスティアに質問をした。
「どうしたヘスティア君、何故ベル君を部屋から出す必要があるんじゃ?」
「次郎君には言いたいことが二つある....それにそのうちの一つはベル君には聞かせられないからね」
「聞かせられないじゃと?」
「じゃあ一つ目だ.....今日、君はダンジョンでミノタウロスに遭遇して囮になって逃げたと言ってたけど、本当は倒したんだろう?」
「.....なに?」
次郎は内心驚いていた、ミノタウロスの件は誰にも話していないし見られてもいない...あのアイズという少女が言った可能性も考えたが、そもそも自分がどこのファミリアに所属してるかは教えてないから不可能だと。
「なぜ、お主が知っておる? 誰から聞いたんじゃ?」
次郎は絶対に知り得ないはずの情報を言ってきたヘスティアに問うが、それに対しヘスティアは溜め息を吐いた。
「僕ら神は眷属が嘘をついてるかどうかが分かるんだけど...やっぱりそうなんだね」
「やっぱり? どういうことじゃ」
次郎は、嘘を見抜けるというヘスティアの言葉に驚いたがその前から確信を持った風な口ぶりに疑問を持つ。
「昨日は突然のことだったから言えなかったけど....ひとまずこれを見てほしい」
そう言うとヘスティアは、昨日恩恵を刻んだ時に写した次郎のステイタス洋紙を渡した。
「これはワシのステイタスか、これがどうしたと........これは..」
「分かったかい? これがきみ"本来"のステイタスさ 昨日見せたのはいわば偽の数値だよ」
次郎は目を見開いた。
なにも書かれてないはずのステイタス洋紙に、基本アビリティやスキル名が表示されていたのだから。
そして何よりも次郎が注目したのはスキルの欄に書かれた文字だった。
(二狼にノッキングマスターか......まさか前世での異名がスキル名に載るとはのう....ご丁寧に説明までされとる)
次郎は、基本アビリティに関してはそもそも強者のステイタスがどれくらいかを見たことがないので何とも言えないが、スキル名に関しては自分がもといた世界で名乗っていた名前だったため驚いていた。
「魔法やスキルは、初めて恩恵を刻んだ者でも発現することは稀にだけどあるからまだ納得できた.....でもこの基本アビリティに関しては正直驚いたよ」
「この数値がそんなに凄いんか?」
「凄いなんてもんじゃないよ! 普通基本アビリティは魔法やスキルと違ってみんな0から始まるものなんだ、それをきみはいきなりこんなデタラメな数値を叩き出してる.....昨日見たときは僕も混乱してたから伏せておいたんだけどね」
ヘスティアは、恐らくフレイヤファミリアに所属する都市最強の冒険者よりも強いかもしれない次郎のステイタスに今でも信じられないという様子だった。
「なるほどのう、このステイタスを知っていたからヘスティア君はワシが本来倒せないはずのミノタウロスを倒したんだろうと予想したんじゃな?」
「そういうことさ、それから二つ目だけど.....これはベル君のステイタスのことさ」
「ベル君のステイタスがどうかしたのか?」
「うん、さっきベル君のステイタスを更新したとき、スキルの欄に消したような跡があったのは知ってるだろう?」
「ああ、そういやあったのう......もしかしてほんとはなんか書いてあったんか?」
「そうなんだ、これを見てくれ」
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ベル・クラネル Lv,1
力:|3
耐久:|2
器用:
敏捷:|3
魔力:|1
《スキル》
【憧憬一途】
・早熟する。対象への憧れが続く限り効果持続。
憧れの丈により効果上昇。
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次郎はベルに発現していたスキルを見て、疑問に思った。
「書いてあることの意味はだいたい分かったが、この"対象への憧れ"の対象とは誰じゃ?」
「分からないかい? ベル君のこのスキルはきみへの憧れにより発現したものさ」
「ワシ?」
「正直、スキルの説明を見たときは変に納得してしまったよ.....だってベル君のきみに向ける視線はとても尊敬しているように見えた、それに初めて会ったときも、きみのことを話すベル君の目は凄いキラキラしていたからね」
「そうか.....」
ヘスティアの話を聞いた次郎は、まさかベルが自分に憧れているとは思いもしなかったが、よくよく考えたらカツアゲから助けたのがベルとの最初の出会いだった。
ゆえにベルから時折向けられる視線にそういったものが込められていることは気づいていたが、まさかこんなスキルが発現するほどとは思わなかった。
「そんで?....このスキルに関しては分かったが、ベル君に教えてやらない理由はなんじゃ? 別にベル君が知っていようと問題はないじゃろう」
次郎は疑問だった。自分のステイタスに関してはともかく、最初から中々出ないスキル発現は喜ばしいことだ。別にベルの憧憬が自分であろうと嫌な気はしないし教えてやっても問題はないと思った。
「...いや、それはダメなんだ」
「何故じゃ?」
「このスキルはいわば"レアスキル"だ、もしこれを他の神に知られたらベル君が変なちょっかいを出されかねないからね.....もしこれのせいで変な冒険者に絡まれたりしたら抵抗するのは難しいと思うんだ....」
「確かにあの子は、厄介事に巻き込まれそうな感じじゃからのう....」
次郎はベルが変なことに巻き込まれる様子が悲しいながらも想像できてしまった。
「それに、これはジロウ君....きみにも言えることさ」
「ワシも?」
「レベル1でこんなバカげたステイタスを持ってるなんて他の神からしたらいい暇潰しのタネさ、それにベル君にこのステイタスを教えた場合、誰かに喋っちゃうということも考えた」
「.....一つええか?」
「なんだい?」
「なぜ、この事をワシにだけ教えたんじゃ? ベル君のスキルに関してもワシのステイタスに関しても黙っていれば誰にも知られることはないかもしれんぞ?」
何も言わなければ誰に知られることはないし狙われることもない、それをベルに話さず自分だけに話し理由が次郎は分からなかった。
「簡単なことだよ、ジロウ君のステイタスはいずれ教えなきゃいけないと思っていたしベル君のスキルに関しては、ジロウ君には知ったうえで彼を見守ってあげてほしいんだ......」
「ベル君を....ワシが守るじゃと?」
「ジロウ君....きみは強い 恐らくこのオラリオでも屈指の強さだろう....なぜ冒険者になりたてのきみがそこまでに至ったかは分からないけど、その強さがあるからこそこの件は話してもいいと思った......でもベル君は違う」
ヘスティアはそう言って一端目をつむると、真剣な表情を次郎に向けた。
「ベル君はとても素直で純粋でいい子さ、だからこそ色々な部分がまだまだ未熟なんだ.....もし、この事をベル君が他の誰かに話したりして変なやつらに狙われてしまったら、ベル君は自分の身を守れないかもしれない....相手が上級冒険者だったりしたら特にね」
「...........」
次郎は黙ってヘスティアの話を聞いていた。
「僕らは神といっても万能じゃない....ベル君にもしものことがあったら情けない話だけど、どうすることもできないかもしれない.....だからこそジロウ君には同じファミリアの家族として、ベル君のパートナーとして彼を守ってあげてほしい お願いだジロウ君!」
そう言うとヘスティアは次郎に頭を下げ、そんなヘスティアを見た次郎は優しく言った。
「ヘスティア君 主神が眷属に頭を下げちゃいかんよ......それにそんなことお願いされなくてもワシがちゃんとベル君をサポートするさ」
それを聞いたヘスティアは思い切り頭を上げ、次郎を見た。
「ほ、ほんとかい!? ジロウ君」
「あぁ、ベル君にこんなスキルが発現しちまって危険が生じる可能性が出ちまった以上見て見ぬふりはできんしのう......それに大切な仲間だからな、助けるのは当たり前じゃよ」
家族として、友人として次郎はベルを見守ることを約束する。
「あ、ありがとう! でもゴメンよ....なんかジロウ君だけに重荷みたいなのを背負わせてしまって...」
「ほっほ、こんなもの重荷のうちに入らんさ」
次郎は精神年齢的には植物の域なため、十代少年の面倒を見るなど孫の成長を見守るようなものである。
「ジロウ君......最後にいいかい?」
「ん? どうした」
またも真剣な表情になったヘスティアに次郎はなにごとかと聞く。
「ジロウ君がいったい何者で、どこでどのように育って、どうやって強くなったのか.....正直なところ気になるけど詮索はしないよ、でもこれだけは言わせてほしい.....たとえ何があってもきみやベル君は家族であり同じヘスティアファミリアの仲間だ、だからどんなときでも僕はきみたちの味方でいるから安心しておくれよ!」
笑顔でそう言ったヘスティアに、次郎は改めてベルと共にこのファミリアに入って良かったと心から思った。
(不思議じゃのう.....見た目も言動も全く違うというのにフローゼ様のような暖かさじゃ)
次郎の目には、ヘスティアが前世でいつも美味しい料理を作ってくれた母に重なって見えた。
次回タイトル
「豊穣の女主人」