「久しぶりのキッカの町だ!」
「本当ににぎやかだね
任務が無事に終了して、アジトに戻ると任務達成の星が授与されたとヤミが嬉しそうに教えてくれた。ちなみにこれまで黒の暴牛は、任務放棄や無駄な破壊などで黒星の数が1番らしい。
初任務の3人には報酬が貰ったのでバネッサと一緒にキッカの町に遊びに来ていた。
「俺いつか、絶対にシスター達と一緒にここで買い物してやるぞ!」
「じゃあ、私もおばあちゃんとかな!」
はしゃぐ2人に町の人達に見られていたが気にしなかった。
「ねぇねぇ、ノエルちゃん。早く…」
ククリが目にしたのはなぜか注目されているノエルとバネッサ。
「あれって黒の暴牛一番の美女、バネッサだ!」
「相変わらずエロくてセクシーだな!」
「てか、となりのカワイイ子は誰だろう?」
「新入りかな?」
「でも、問題の多い黒の暴牛にはない気品を感じるような」
2人はルックスとスタイルはもちろん、着ている服も可愛くセクシーなので注目の的。それを目の当たりにしたククリ。
[…バネッサさんってセクシーだし、ノエルちゃんもそれなりに可愛い服…私って、地味かしら!!]
この時、ククリは初めて女の子が着飾るものだと気づく。
「うおぉぉぉぉ!色々ありすぎて、目移りが!」
「勇者様…」
「ん?」
「可愛い服を買って!この作品のヒロインとして、この服では!」
「ククリ…どうした?!」
大きな声でメタ発言に近いのを叫びながらも服をねだる。これにはアスタはもちろん、ノエルもバネッサも引く。
「ところで、それってメケメケの毛皮で出来たローブ?」
するとバネッサはククリの着ているローブを見ながら尋ねた。
「え?そうですけど…」
「メケメケのローブって、高級品じゃない!?」
ノエルもククリのローブがメケメケのローブだと気づいて驚く。
「高級品…これって、良いものなの?」
ククリは自分のローブが高級な物だと信じられずにいる。
じつはメケメケという動物の毛皮は、魔力の抵抗力がとても強い。アスタとククリとユノの故郷であるハージの特産で普段着としているけど、キッカの町や王都の辺りでは高級品として扱っていた。
「そんな…あのまぬけな顔のメケメケが、そんなにスゴイ動物で…この服もスゴイものだなんて…」
「ククリ、ちょっと!?」
あまりのショックでククリはふらふら辺りを歩いてしまう。慌てるアスタだったけど、様子を見ていたバネッサはあることを思いついた。
「ねぇねぇ、彼女にプレゼントをしたら」
「プレゼント?でも、なにを…」
「心配しないで。あの子にピッタリの物よ♪」
それからククリは少し離れた所でボーっと立っていた。
[真っ黒な服にただの三つ編み…本当に地味なのね…]
改めて自分が地味な姿で憂鬱になっていると、アスタが近づいてピンクの花の髪飾りをククリの頭に。
「え?これは…」
「リコの花飾り、持ち主を1回だけ守ってくれるらしいぜ」
少し照れくさそうにして言うアスタ。その影でバネッサとノエルが覗き中。
「あらあら、2人共いいムードね♪」
「うう…なんだかうらやましい」
バネッサは2人のムードに興奮してノエルは少し悔しがる。それからしばらくするとバネッサが3人を別な所に案内した。
「此処って、路地裏?」
「しかも行き止まり」
しかしバネッサは行き止まりの壁をすり抜けた。
「「「ええっ?!」」」
「魔法の壁よ。さぁ、通って♪」
3人は壁を通って追ってみるとそこは少し暗いけど市場のようだった。
「闇市よ」
「闇…市?」
「危険だけど、すごい魔法道具があったりするのよ」
バネッサが説明してるとククリには怖そうなでアスタの腕を掴む。
「勇者様…怖い」
「心配するなよ。俺が守ってやるから」
それからノエルはなんだか居心地が悪そうになって来た。
「あら?どうしたの」
「別に…」
しかしながらもやっぱり落ち着かない様子。
「まぁ、王族や貴族は毛嫌いしているけどね。でも、もしかしたらアナタの魔法コントロールを良くできる道具があるかもしれないわよ」
「えっ、本当!」
これを聞いて少し明るい顔になった。それから賭博場から1人の男が、ため息を吐いて出てきた。それは試験でアスタに敗北して翠緑の蟷螂に入ったセッケ。どうやら任務中だけど、少しサボってギャンブルをしたが負けてしまったらしい。
[は~~~俺って魔法騎士団に入ってから運が無くなってきたのかな…雑用ばっかりで囮にされて死にかけて…挙句の果てには変なあだ名が出来て]
じつは勇者適正でセッケがじゃんけんカードを出したことから、他の団員からはじゃんけんマンというあだ名で呼ばれていた。
[しかもこの任務は引ったくりを捕まえろ。地味で嫌だけど、団長は怖いし…たく、こんなことになったのもアスタの野郎だ!アイツに情けなくやられて、おまけに勇者の称号を貰いやがって!]
かなりアスタに逆恨みしていながらトボトボ歩いていると
「ねぇ、ねぇ」
「ん?」
「アナタ、たしか…セッケさん?」
「うわっ!お前はっ!?」
いきなりククリが顔を出したので驚く。
「ククリ、どうしたの?」
そこにノエルとバネッサもやってくると
「これはこれは、美しいお嬢さん達。もしかして彼女のお友達か何かですか♪」
すぐに態度を変えて2人を口説き始める。
「馴れ馴れしくしないでよ。王族の私に」
「ええ…」
あっという間にノエルの冷たい言葉に玉砕。
「あっ、お前試験の時の」
「ん?げっ!」
しかもアスタも顔を出したのでさっき以上に驚いてしまう。
「お前も合格して騎士団に入ったんだな。んで、どうだった任務は?」
「そ…そりゃあ、もちろんバッチリさ!この前のモンスター退治なんか俺の見事な活躍で、先輩を守ったほどだったぜ!」
つい見栄を張って嘘をつくセッケ。本当はモンスターから逃げ続けて先輩が倒してくれた。
「うわっ!?」
すると老婆の声かしたのでアスタ達は声をした方に行ってみる。そこには倒れた老婆がいた。
「婆さん!どうしたんだ!?」
「引ったくりが…アイツが私のお金を!」
老婆が雲の魔法を使って逃げる引ったくりに指を刺して言う。
「ククリ、魔法だ!」
「うん!」
さっそくククリが地面に魔法陣を描いて発動。だけど、なぜか地面に潜ってしまった。
「あれ?なんで?」
「失敗したの?」
「そんなはずじゃないけど…」
「しょうがない!」
仕方なくアスタは走って引ったくりを追いかけた。
「おっと、あれは俺のターゲットだ!青銅創成魔法、青銅の流星魔車輪!」
それからセッケも自分とペガサスをモチーフにした乗り物を作って追いかけた。アスタは自慢の体力と瞬発力で盗賊を追いかけ続ける。
「なっ、なんだアイツは!?」
当然、盗賊は驚くがアスタが大剣を投げつけて雲を斬り裂く。戸惑いながらも盗賊は走って逃げるとセッケが近づいてきた。
「さぁ、覚悟するんだな!」
「くそっ…!」
だが、その時。
「「てっ!うぎゃあああああああ!?」」
さっき地面を潜ったククリの炎が出てセッケと一緒にひったくり犯に直撃。
(ツチヘビ。グルグル・レベル1の魔法。地面に潜って敵の足音を感知する)
「あれって、まさかククリの?」
これにはアスタも驚いたりしてると、丁度ククリ達がやって来た。
「勇者様!」
「引ったくりは?」
「ああ、それならほれ」
「「「あっ」」」
そこで3人が見たのは黒焦げで倒れる2人の姿。とにかくお金を老婆に返した。
「はい、もう大丈夫よ」
「もう取られるなよ」
「ありがとう。じゃあね」
老婆が4人にお礼を言って別れた。それから誰もいない路地裏に来る。
「それにしても、あの2人は本当に面白い魔法を使うな」
すると老婆は金髪で少し気さくそうな中年になった。
「ヤミ、君もまた珍しいのを騎士団に入れたみたいだね」
じつは彼こそが現魔法帝のユリウス・ノヴァクロノ。こうして変身魔法で姿を変えて町に出かけている。