黒の暴牛側も金色の夜明け側も、それぞれの通路でモンスターと交戦中。
「このっ!このっ!」
何度もアスタは大剣で斬りかかったが、ガス状のスモゴラに効いてなかった。
「クソっ!相手がガスだから、全然斬れねぇ!」
「でも…そうとは限らないかもね」
するとさっきまで1人で戦っていたラックはあることに気づく。
「なんか、アイツには核みたいなのがあるみたいだよ。何度もやったから分かるんだ」
「そうか!じゃあ、その核を潰すまで斬り続ければいいんだな!」
さっそくアスタはやる気満々に大剣を振り続けた。しかしスモゴラはさっきの話を聞いたみたいで、アスタ達を包むように広がると目がたくさん出現。
「今度は、なんだ!?」
「恐らく…核を攻撃されないようにしたみたいだね」
「目の分身を作るって事は、目の辺りに核があるみたいですね」
トマが冷静に敵の行動を把握した。
「それで…この状況をどうするの?」
その時、ノエルも復活。けれども、スモゴラがさまざまな色のガスを噴射して攻撃。
「うわっ!あぶね!?」
「これはマズイですよ!?」
「この!」
「それそれ!」
アスタはトマを守るようにして大剣を盾代わりにしたり、ノエルはむちゃくちゃに水弾を撃ったりラックも迅雷の崩玉を発射。
しかしスモゴラになんのダメージもなかった。
「やっぱり、核を狙わないと…」
「そんな事を言っても、こんな状態で本物を見つけるなんて」
ガス攻撃をよけながら急所を探すが、アスタは後ろで何かしらの気配を察知。
「ん?」
振り向いてみると殺気が強い目でトマの後ろからガスを吹き込むところを目にした。
「止めろぉぉぉぉぉ!」
アスタはそのまま大きくトマで睨む目を向けて斬りつけた。
「おっ!?」
「スモモォォォォォォ!」
すると斬りごたえがある感触な上に、スモゴラは大きく叫びながらも消滅した。
「消えましたね…」
「つまり倒したの?」
「たぶんな。さっき、斬った感触があったんだ…きっと核があったんだな」
「何はともあれ先に進めるね」
そのままアスタ達はスモゴラを倒したので歩き出した。
一方、ユノはトゲトギクを相手に風の刃を纏わせた星屑の剣を構える。
「シャアァァァァ!」
「はっ!」
トゲトギクは背中を向いてトゲを飛ばした。だが、ユノは星屑の剣を振るうと、大きな風圧が起きてトゲを薙ぎ払う。
「ギケケ!」
今度は体を丸めると回転しながら突進。しかし交わして横に剣を振って風と一緒に斬撃が飛ぶと、トゲトギクのトゲの大半を斬り裂く。
[まさか…ここまであの剣を使いこなすとは…]
クラウスは初めて使う星屑の剣を、見事に使いこなしているユノにまた驚いていた。だが、それでもユノにとって初めての剣なので少し疲れてきた。
[く…剣を振るのがこんなに疲れるなんてな…なんだかアスタが羨ましいぜ]
息切れしている様子を確認したトゲトギクは、そのままユノ目掛けて転がって突進。
「危ない!鋼創造魔法、鋼城の鎧壁!」
しかしクラウスはすぐに鋼の壁を出してユノを守り、その壁に激突したトゲトギクは打ち所が悪かったのか目を回して仰向けになる。
「今だ!モンスターは腹を出している!」
「分かりました!とおっ!」
ユノはジャンプすると星屑の剣でトゲトギクの腹部を深々と突き刺した。
「キエェェェェ!?」
そして大きく叫び声をあげてトゲトギクは消滅。同時にユノも疲労で、地面に座り込んだ。
「はぁ…はぁ…本当に剣を使うのって大変なんだな」
するとクラウスがユノに近づくと手を差し伸べる。
「ほら」
「え?」
「立てるか?」
「は…はい」
ユノはクラウスの手を掴むと立たせて貰った。さらに怪我が治ったミモザがザザと一緒に近づく。
「お疲れさまでした。アナタ方も回復を」
「いや、このまま進むとしよう」
「たしかに…早く行かないとククリが心配…」
「ちょっと、ユノさん!?」
少しふらつくユノが壁に寄りかかると、なんと壁が扉のように開いた。
「うおって、これは」
「まさか、隠し部屋か!?」
まさかの隠し部屋に驚くが、一応は行ってみる。
そこには台と水晶玉が置かれていた。4人も覗き込むと、水晶玉の中にはふんわりとしたピンクの服を着た金髪の掌サイズの少女が眠っているのが分かる。
「これってもしかして…」
「妖精ですよね!?」
「よっ、妖精だと!」
「本当に実在したんだ」
まさか妖精が目の前にいるので信じられずにいたが、その妖精が目を覚ました。
「んん…あら?アナタ達、人間?」
妖精はユノ達を見て声をかけた。
「ああ…我々はクローバー王国の魔法騎士団。金色の夜明けの者だ」
「そうなんだ…わたしはグリエル。モンスターに捕まって、この中に閉じ込められちゃったの。ここ狭くていやだから、助けてくれない?」
妖精のグリエルは何の危機感がない態度で自分を助けてくれて、少し図々しい言い方で頼んだ。
「どうしますか?」
「助けるしかないな。妖精でも、我らは魔法騎士だ」
「それに、こんなガラス玉なんて簡単に」
「あっ!?」
さっそくユノが水晶に触れた途端、大きく光ると同時に痺れと熱を感じ。
「うわっ!」
ユノは驚いて声を上げて掌には火傷が出来ていた。
「これは、モンスターが張った魔法の結界なの」
「助けられないな」
ユノとクラウスとザザは妖精を諦めて部屋を出ようとした。
「あの、みなさん!?」
「ちょっと待たんかい!」
ミモザは出ようとする3人に戸惑ってグリエルも薄情な彼らに怒り出す。
「このダンジョンのボスを倒せば、結界が解けるの!わたし、弱点を知っているからボスを倒して!」
「「「ボスの弱点!!?」」」
グリエルの口から出た弱点という単語に3人は目の色を変える。
「そうよ…だから捕まったの。あれは、一年前…」
グリエルはユノ達に話した。一年前にグリエルがノコギリ山の山頂で本を読んでいると、ボスがやって来て夕日を見ていた。そしてボスは大きな声で
「俺の弱点は×××××だ~~~!!」
という感じで夕日に向かって叫んでいたらしい。
「なぜ、夕日に」
クラウスはここのボスの趣味に混乱した。
「ほんの100人ちょっとに言いふらしただけなのに…酷いわ!」
「そんだけ話したら、捕まるのも当然だよ」
泣き出すグリエルにザザは自業自得だと言い出す。しかしすぐに弱点を知ろうとユノはグリエルに顔を近づく。
「それで、ボスの弱点は?」
「肩の後ろの2本の角の真ん中にあるトサカの下のウロコの右よ」
「……もう1回」
「肩の後ろの2本の角の真ん中にあるトサカの下のウロコの右!」
あまりにも長い弱点に、ユノ達は覚えているかどうか心配になって来た。だが、ユノは別の台に置かれている1つの巻物を見つける。
「ん?なんだこれは」
不思議に思って手に取り広げてみると、そこには見た事のない字が書かれている。すると急に風が出たので思わず目を閉じると字が消えていた。
「なぁ…グリエル。これは?」
「さぁ?わたしにも分からない。モンスター達が来る前に置かれてたし、手に取ろうとすると弾かれたみたいだったの」
「そうなのか…」
とりあえずユノ達は、一応グリエルからボスの弱点を聞いたので部屋を出ることにした。