ククリと交流したアスタ達だったが、ボスのカセギゴールドは火を吐く能力を持ち。魔法ではない攻撃でアスタは苦戦。
すぐに助けようしたが逆にピンチになったククリだが、ザザが出てきた。
「なんだ、貴様は?」
「俺が誰かはどうでもいい…なぜなら俺の魔法の餌食になるのだからな」
ザザはカッコつけてカセギゴールドを挑発する。
「何やっているんだ彼は!?」
クラウスは勝手に出ているザザに驚愕して、ラックはトマとミグに質問をしてきた。
「1つ聞くけど、魔導書は?」
「まだに決まってますよ!」
「でも、お兄ちゃん…なにをする気だろう?」
ミグは心配しながら見守るしかない。そして肝心のザザは大きく右手拳に力を加え。
「行くぞ……ザムディン!!」
「む!!」
そのままカセギゴールドに向けて右手を出して呪文らしき言葉を発した。これにはカセギゴールドも警戒したが、何も起きなかった。
「おい…なんだ?ザムディンは?」
恐る恐るザムディンと言う呪文についてザザに質問してきたカセギゴールド。すると待っていたかのように口を開く。
「知らないのか…俺のじーさんの名前だ!」
ようするにただ自分の祖父の名をカッコよく叫んだもので、これにはアスタ達もモンスター側も関係なくズッコケた。
「骨まで燃えろぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「うわぁぁぁぁぁ!アチアチ!」
怒ったカセギゴールドは火を吐いたので慌てて逃げるザザ。だが、この隙にアスタはククリに近づく。
「ククリ、俺はザザを助けに行くから。魔法でアイツを!」
「えっと…あの…」
「他にも強いグルグルがあるだろ?それを使ってさ!」
期待の目でククリを見ながら大剣を構えてザザの救出に行こうとしたアスタ。しかしククリの口から出た言葉は
「ゴメンなさい…他は知らないの」
「えっ!?」
この言葉にアスタは衝撃が走りながら振り向いた。
「知ら…ない。まさか、使えるのって?」
「うん、トカゲのしっぽとツチヘビだけ」
「そんな……てっきり、もっと強力なのも使えると思ってたのに」
虫のいい話だった。
「ご…ゴメンなさい!」
「分かったから泣くなよ…とにかく行ってくる…」
涙目で謝るククリにアスタは心配無用と言いながらもフラフラと歩く。
「待った!」
「ん?」
「ほら来い~~~ヘロヘロにしてやるぞ~~~」
だが、今は自分がヘロヘロだった。
「アスタの奴…なんか少し調子に乗ってたのか?」
「たしかに…」
ユノとノエルはヘロヘロ状態のアスタを見て、完全に調子に乗ってたと気付いて呆れる。それからザザはなんとか合流した。
「どうしよう、トマくん!」
「そうは言っても、あの炎を何とかしないと……あっ!」
すると村長から貰ったアイテムを思い出したトマは、腰にかけていた袋からお香のようなものを取り出すと火をつけた。
「勇者さん、これを!」
「え?」
そのままアスタに向けて投げると、お香から出た煙が背中に集まってマントになった。
(スモークシールド。煙で出来たマントで、炎に強く様々な形状になる防御用魔法アイテム)
「それなら炎にも大丈夫です!多分!」
「多分?」
トマのなんだか気の利かない言い方にちょっと不安になるアスタ、だが、その隙にカセギゴールドは火を吹いたが、スモークシールドがアスタを包むようにして守った。
「なっ!炎が効かない」
「これって、スゴイな!」
最初は疑ったけど、効果がちゃんとあると驚く。それからせっかくだからアスタは隠し部屋で見つけた長剣を構える。
「とりあえずこの剣を、使わせてもらうぜ!」
「え~~~い、お前達さっさとやれ!」
「「「「「御意!!!」」」」」
カセギゴールドの命令でタテジワネズミ5体が襲い掛かった。
「この、あっち行け!」
「「「「「ぎょいーーーーー!!!」」」」」
アスタは長剣を横に振ると雷の斬撃波が放たれてタテジワネズミ5体を倒した。
「え?今のって…」
「雷だね…」
長剣から雷が出てきたことに驚くノエル達。するとアスタは気づいた。
「もしかしてこの剣って、相手の魔力を吸収して放つ仕組みなのかな?」
この剣は周囲の人間から魔力を吸収して、それを斬撃として放つことが出来る仕組みを少しだけ理解したアスタ。さっきの雷も手を触れたラックから貰った事も。
「なんだか、スゲェ剣だな!!」
思いがけない拾い物をして大喜びするアスタ。だが、カセギゴールドは自分愛用の剣を持って構える。
「おのれ…訳の分からない剣だ!」
「とりあえず、剣で勝負だ!」
「私も踊りで勝負ですぞ!」
そのまま大剣と長剣を持ったアスタとカセギゴールドはお互い一歩も引かずに、剣を交わりながら戦った。それぞれ剣から火花が出る程に激しく。
その隣で、おやじが踊っていたが
「かんばれ勇者様!」
「フレーフレー!」
「てか、あのおやじ邪魔だな…」
「一体何をしているんだ」
応援するククリとミグの隣で、ひたすら踊るおやじに変な目で見るザザとクラウス。
しかし体格の差があって、逆に追い詰められる。
「クソ…こんなデカい相手なんてやったことないぜ」
「どうして息切れか?」
余裕の笑みを見せて剣を大きく振り下ろすカセギゴールド。しかしそこにユノが風を纏った星屑の剣で加勢してきた。
「ユノ!」
「む…貴様は?」
「1人がダメなら2人って手もあるぜ?」
そう言ってユノも星屑の剣から風の斬撃を放って攻撃。しかしカセギゴールドは大きく振って斬撃を打ち消す。
「残念だな…たとえ2人に増えようとも、俺様には勝てんよ」
「く…」
「さぁ、死ぬぇぇぇぇぇ!!」
「ユノ?!」
そのままユノに向けて振り下ろしたが、すぐにアスタが駆け寄ると大剣と長剣と星屑の剣が合わさった途端。
「う…あれ?」
「なに…」
なんとカセギゴールドの剣が2人の目の前で止まっていた。それだけではなく、ククリもノエル達。さらには他のモンスターも時が止まったかのように動かなくなっていた。
「どうしんだ?みんな動いてないぞ?」
「まさか時が止まったのか…」
この光景に2人は戸惑うしか出来ない。
「間に合ったようですね~~~♪」
「ん?」
すると星屑の剣から男の子の小人が声を上げながら出てきた。
「き…君は?」
「ぼくはこの剣の精霊です。でも驚きましたよ、断魔の剣と宿魔の剣を使える人が現れるなんて」
「断魔の剣と宿魔の剣?」
そうアスタの持っている大剣は断魔の剣、長剣の方は宿魔の剣という名前。
「とりあえず今は時間を止めて、手短に説明しますけど、ぼくは奇跡を起こしに来たんですよ!」
「奇跡!」
「この剣を使える者がピンチになった時に、1つだけ奇跡が起きるようにしているのです。そして今回は断魔と宿魔の使い手の人もいるので、特別に」
精霊は奇跡を起こす為に、こうして時間を止めて2人に説明しに現れたのだ。
「で、どんな奇跡なんだ?!」
「それは、後のお楽しみです!」
それからアスタは期待に目を輝かせて尋ねるが、精霊はそのまま消えてしまった。
「あ…消えちゃった」
「奇跡と言っても、何も起きないな?」
ユノの言う通り。周りの時間は止まったままで、とりあえず魔導書をめくってみても新しい魔法は載っていない。
「とりあえず、今のうちにボスを」
アスタはそう言って振り向いくと、なぜかおやじが動いていて踊っていた。
「なんかもう、めちゃくちゃ調子が良いですぞ!」
しかも突然、おやじの踊りがレベルアップした。素早さが3上がって逞しさが2上がったが、代わりに美しさ5下がる。
「ま…まさか……」
「これが、奇跡ぃぃぃぃぃぃ!!?」
冷や汗をかくユノに、とても嬉しくないアスタの叫び声が部屋に響き渡る。