グルグル伝説 ブラッククローバー   作:ラルク・シェル

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召喚、魔神ベームベーム

カセギゴールドに苦戦するアスタとユノだが、星屑の剣の精霊が時間を止めて奇跡が起きると助言する。だが、それはレベルアップしたおやじだった。

 

「見てくだされ!この腰のキレと首の回り、斬新さが出ていますぞ!」

 

気分よく踊り続けるおやじだが、色々と期待外れな奇跡にガッカリするアスタとユノ。

 

「なんだよ…奇跡っておやじにとって都合の良い事だなんて」

「あの精霊は、なに期待した結果がこれだなんてな」

 

ぶつぶつと精霊に文句を吐いたりする。だが、アスタはおやじのキタキタ踊りを見ている内に何か気が付く。

 

「ん?あれ…まさか」

 

初めは気のせいだと思ったアスタだが、改めて見るとその疑問が確信に変わる。

 

「間違いない!おやじ!」

「はい?」

 

すぐにアスタはおやじに声をかけて肩を掴むと真剣な顔で頼んだ。

 

「今すぐ、その踊りをククリに見せろ!」

「ええっ!?」

「アスタ、いきなり何を!」

「いいから踊るんだ!ククリの前で!」

 

とにかく頼み続けるアスタ。そしておやじは初めて踊りを頼まれたので、感動と感激の涙を流す。

 

「喜んで一肌脱ぎますぞ!!」

 

そのまま全力でククリの元に向かったおやじ。しかもこれ以上脱ぐと危ない言い方をする。

 

「って、おいおいまだちゃんと話を聞けよ!」

 

慌ててアスタとユノもおやじの後を走る。

一方、止まった時間が動き出してククリ達が動き始めた。

 

「あれ?私達は今まで…勇者様とユノくんは?」

 

ククリは2人の姿が見えなくなったので辺りをキョロキョロする。

 

「ククリちゃん」

「え?」

 

キタキタおやじが現れた。

そのままアスタに頼まれたとおりに、ククリの前でキタキタ踊りを開始。

 

「いやぁぁぁぁぁぁ!!」

「ぐはっ!?」

 

当然、グーでおやじを思いっきりぶん殴る。

 

「だから…待てって言ったのに」

 

追い付いてボロボロになりながらも踊るおやじに呆れるアスタ。

 

「ククリ、嫌なのは分かるけど踊りを」

「おいおい、なんでククリにこんな変な踊りを見せようとするんだ?」

「それは…尻だ」

 

アスタは踊るおやじの尻に指を刺して言う。ちなみにその尻は円を描くように動いていた。

 

「つまり、尻の動きが魔法陣になっているんだ!」

「「「「「「そっ、そんなバカな…」」」」」」

 

とてつもない真実に全員信じられなかった。それでもアスタはまだ踊っているおやじに聞いてみる。

 

「おやじ!この踊りって昔から町に伝わっているんだろ?!」

「ええ、300年以上も昔から!」

「きっと、昔の人…ミグミグ族が踊りにグルグルを隠して保存したんだ!」

 

踊るおやじを見ながらもキタキタ踊りに魔法陣が隠してあったと強く宣言するアスタは、そのままククリに目を向けた。

 

「とにかくククリ!時間が無いから、おやじの踊りと尻を見ろ!」

「え!!?」

 

これにはククリは固まった。

 

「尻の動きを見て魔法陣を覚えるんだ!」

「いやぁぁぁぁぁ!それだけは、絶対にいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「だが、彼の言う事が本当なら!少しでも可能性に懸けるしかない!」

「俺からも頼むククリ!おやじの踊りを!」

「ククリ!」

「「ククリさん!」」

 

泣きながら思いっきり拒否するククリに、クラウスもユノもラックもザザもトマもお願いする。

 

「そっ、そんなこ!事を言った、て!」

「だいこんらん!だいこんらんですぞ!」

 

それでもやっぱり大きく抵抗するので混乱状態。当然の如く、ドサクサ妖精が横切る。

 

「ククリ!」

「ノエル…ちゃん」

「なにこんな時にわがまま言ってるの!町を救うんでしょ!」

 

だが、そこにノエルが真剣な目と王族としての空気でククリの説得に入る。

 

「だから、嫌なのは我慢しておやじのけ…け…ケツぅぅぅぅぅ!!」

 

しかし顔を真っ赤にして笑いをこらえようとするが

 

「あひゃひゃひゃひゃ!おやじの、おやじのケツってあははははははは!」

「…うう!」

 

そのままノエルは完全にキャラが崩壊して大笑いを始める。これには相当ショックなので、ククリはこの場から走って逃げた。

 

「あっ、ククリ!」

 

アスタも慌ててククリの後を追う。丁度その時、カセギゴールドの時間が動いた。

 

「ぬ!一体何が?!」

「どうやら、時間が止められていたみたいですが…なんかボスの方が止められた時間が長かったようです」

「おのれ…これも勇者の力か!!」

 

少し勘違いしながらもカセギゴールドはもっと殺意と怒りを上げる。

一方、アスタも泣きながら走るククリを追いかけた。

 

「なぜ…ククリは、おやじの尻を見ないんだ!」

 

周りから聞いてれば、他に言いようはないのかとツッコまれそうなことを言うアスタ。

 

「頼む!おやじの尻をって!」

「勇者様の…バカ!」

「うわぁぁぁぁぁぁ!ぐへ!?」

 

だが、ククリはどこからか巨大な岩を持ち上げて、アスタ目掛けて投げつける。そのままアスタは岩に潰されてククリは走り去った。

 

「なぜだ…なぜ尻を見ない!」

 

潰されてボロボロになりながらも嫌がる理由はまだ理解できてないアスタだった。

そしてしばらく走ったククリは疲れたので立ち止まる。

 

「も~~~、いくら勇者様のお願いだからって」

 

アスタの要望に不満を吐くククリだが、すると大きな影が出来たので振り向く。

 

「どうしたのか?お前、1人か!」

 

背後にはカセギゴールドが立っていて、容赦なくククリに火を吐いた。

 

「きゃあああああああああああ!!」

「あっ、ククリ!?」

「くそ!」

 

駆け付けたアスタとユノだったが、ククリは炎に包まれてしまった。だが、突然火が消えると花の形をしたシールドがククリを包んでいた。しかも中のククリは無傷。

 

「なっ、なに!?」

「ククリ、大丈夫か?」

「え…うん」

「良かった…ユノ、一緒にモンスターを!」

「分かってる!」

 

驚くカセギゴールドに、ククリが無事で安心するアスタとユノ。それからすぐに2人は、それぞれ断魔と宿魔の剣と星屑の剣を構えてカセギゴールドに立ち向かう。

するとノエル達がやって来た。

 

「ククリ!本当に火傷は?」

「うん、ないけど…どうして?」

「これのおかげですよ」

 

ミモザの手にあるのは砕け散ったリコの花飾り。アスタがプレゼントしてくれた、持ち主を1回だけ守ってくれるアイテム。

 

「なるほど…リコの花飾りが役に立ってくれたとはな」

「本当にラッキーね。クク…リ?」

 

ノエルはククリの顔を見て驚く。なぜならククリは目に涙を流して、本気で悲しそうに泣いていたから。

 

「勇者様からの…プレゼント……」

「あっ!」

 

ノエルは思い出した。自分の服装と髪型が地味と言うコンプレックスに気づいたククリを、バネッサの助言でアスタが買ってくれた初めてのプレゼントだと。

それからククリは涙を拭うと

 

「私…倒す」

「「「え?」」」

「ボスを…倒しまくる!」

 

ククリの中から強い闘志が燃えて走っていった。それからまだ踊っているおやじの前に来ると

 

「おやじさん!」

「ん?」

「お…お……踊って、ください!」

 

ガマンしながらも頼み込むククリ。

これには待ちに待ったとおやじは真剣な顔になり。

 

「分かりました。心を行くまで…たっぷりと!!」

 

さっそくおやじによる恐怖のキタキタ踊りが始まった。はっきり言って挿絵では絶対に見せられないもので、ククリは自分の頭の中のゲシュタルトが崩壊しかけながらも、必死にガマンして踊りを見続ける。

それから2人がカセギゴールドと剣で戦っていると、ふらふらと精神的に疲労したククリが登場。

 

「勇者様、ユノくん」

「「ククリ!?」」

「お…おっけぇぇぇぇぇ!」

 

嘔吐しかけながらも2人にそう言うと、さっそく魔法陣を描き始めた。しかも描いたところが光り出す。

 

「なっ、あれは!?」

「えーーーい、止めさせろ!」

「御意!」

 

タテジワネズミはククリに飛び掛かったが、魔法陣のバリアにはじき返されてしまう。

そして魔法陣が完成。

 

「行くよ…それ!」

 

さっそく杖を叩いて魔法陣を発動。すると巨大な何かが地面からククリを乗せたまま出てきた。

 

「なんだ?」

「もしかして、召喚なのか?」

 

これにはアスタ達も驚くが、そして地面から巨大な姿で複数の目と角が生えたモンスターが出現した。

 

「うわぁぁぁぁぁ」

 

思わずモンスターの頭から下を見回すククリ。するとモンスターは目から雷を広範囲で放った。

 

「「「「「ぐわぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」

「「「「「ぎゃああああああ!!」」」」」

 

モンスター達は雷に打たれたり爆発に巻き込まれたりして次々とやられていく。

(ベームベーム召喚。グルグル・レベル15の魔法。地下から魔神ベームベームを召喚して、目から雷を放ち攻撃。グルグルの中ではかなり高度な魔法)

 

「無差別かよーーー!?」

「こりゃ確実にお陀仏になるぞ!?」

「早く逃げろ!?」

 

無差別攻撃だと気付いたアスタ達も慌てて雷から逃げ続けた。ククリもベームベームの上からその様子を眺めていた。これには流石に相手はモンスターでもやり過ぎだと感じる。

 

「待って、もういい!もういいから、止めて!」

 

慌ててククリはベームベームにストップと言うと、それに応じて雷は止めて地面に沈んで消えた。

 

「なんて威力だ…」

「めちゃくちゃだね…」

 

あまりの力には流石のラックも冷や汗をかく。

 

「勇者様!」

「あっ、ククリ」

 

ククリはさっそくアスタ達の所に行こうとしたその時。

 

「おのれぇぇぇぇ!!」

「え?」

「あ、アイツ!?」

 

なんとカセギゴールドは鎧がボロボロになっても。しぶとく生きていてククリに襲い掛かった。

 

「止めろ!」

 

魔力が少ししか残っていなくてもユノはククリを助けようと魔導書を開いた瞬間。

 

「は?」

 

突然、ユノの魔導書から小さな少女の姿をした精霊が出てきた。一度欠伸をすると、カセギゴールドが敵だと理解して、フーっと息を吹きかけた。

その瞬間、巨大な強風となってカセギゴールドに直撃。

 

「なっ、なんだ!これは!?」

 

いきなりの強風にカセギゴールドは戸惑うが粘り続けた。

 

「今だ!」

 

この一瞬の隙をアスタは見逃さず、カセギゴールドの背後に回ってジャンプ。

 

「喰らえ!」

「ぐわっ!!」

 

なんとアスタは宿魔の剣でカセギゴールドの弱点の、肩の後ろの2本の角の真ん中にあるトサカの下のウロコの右を突き刺した。

そのままカセギゴールドは倒れると

 

「最後の…台詞は…」

 

それでも台本に手を伸ばして最後のページをめくると、【ぐふっ!】の文字。

 

「ぐふっ!」

 

最後まで台本通りに台詞を言ってカセギゴールドは死んだ。

これにより、ノコギリ山のダンジョンは攻略完了。

 

「ヤッター!勝ったぞ!」

「やりましたね!」

「でも、よく弱点を覚えてましたね!」

「当然だよな♪」

 

笑いながら言うアスタだが、ただ偶然突き刺さっただけ。それからククリはユノに近づく。

 

「ありがとね、ユノくん」

「いや…まぁな」

 

照れ笑いするユノだが、先程の精霊は消えてしまった。

だが、その時。突然スポットライトとスモークが出て、ステージも上がり始める。

 

「ステージが動いている!」

「もしかして、真のボスが!」

 

真のボスが存在したのかと警戒するアスタ達。

けれども、せり上がって来たのはキタキタおやじだった。どうやらずっとこの華麗なステージを狙っていたらしい。

 

「さぁ、みなさん!とくとご覧くだされぇぇぇぇ!!」

 

そのまま激しく踊り続けるおやじだったが

 

「紛らわしい事しやがって!!」

「このクソおやじ!!」

 

この通りアスタ達を驚かせた罪は果てしなく重たくて袋叩きにされてしまった。

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