キタの町の任務を終えたアスタ達とユノ達。しかし、ある問題があるので全員道の真ん中で止まっていた。
「結局これ…どうしよう?」
アスタは風呂敷に包まれたものを見る。中身は町長から貰った聖なる鍋。さっきまで捨てないようにと見張っていたが、今は姿が見えない。
「もしもまた捨てたら、きっと現れるだろうな」
「でも、こんなの持って帰ったって…」
「じゃあオババにプレゼントするか?俺、ハージ村に寄り道していくから」
「だったら、俺も行く!シスターの顔見たいし!」
「私も良いかな…おばあちゃんに会いたいから」
こうしてアスタとユノとククリは一度、ハージ村に寄り道することになってノエル達とはここで別れる。
ユノの風創成魔法の天つ風の方舟でアスタとククリを乗せてハージ村に向かった。それからしばらくするとハージ村に帰って来たアスタとククリとユノ。
「本当に久しぶりだな。シスター元気かな」
そして教会に近づくと掃除しているリリーがいた。
「ヤッホー!シスター♪」
「あら、アスタ。それにユノにククリちゃんも」
「おひさしぶりです」
ダッシュして近づくアスタを片手で軽く止めるリリー。
「おや、アスタにユノにククリじゃないか?」
そこに教会を管理している神父のオルジが現れた。
「あっ、神父のおっちゃん。オッス!」
「どうも、オルジ神父」
「全く、相変わらず騒がしいなアスタは…ユノは本当に冷静でいい子だが」
2人の挨拶を見てとりあえず安心したオルジ。
「そうそうククリちゃん、オババさんが来てるわよ」
「おばあちゃんが!」
「ええ、今キッチンにいるんだけれど」
さっそく教会のキッチンに行ってみた3人。
「イーヒヒッ!イィーーヒッヒッヒッヒッヒッヒッ!」
そのキッチンではオババが鍋の前で何か不気味な顔で恐ろしい呪文をかけていた。この光景にはアスタとユノは勿論、教会に住んでいる他の孤児達も引いて怖がっている。
まさか教会で恐ろしい薬でも作っているのかと2人警戒。
「ふ~~~芋の煮物が出来たぞ」
恐ろしものだと思っていたが、ただ料理をしてただけなので全員が豪快に扱けた。
「普通に作ることは出来ないのか!?」
「ぬおっ!アスタとユノ、それにククリ来ていたのか?」
「そうだよ、おばあちゃん!」
すると何気にククリは床に魔法陣を描いて魔法を発動と、一緒に大きな爆発音。
「なっ、なんだ!?」
「どうしたの!?」
慌ててキッチンにやって来たオルジとリリー。そこで見たのは
「失敗しちゃった」
「相変わらずじゃの…そしてひさしぶりじゃな」
ククリが失敗で出したモンスターに噛まれながらも帰って来たと自覚するオババ。そしてアスタ達もオババの頑丈に驚きながらも離れる。
それから孤児達を除いて、食堂でアスタ達とオババ達か話をする。
「全く、本当にお前は」
「ごめんなさい」
オババに叱られるククリ。
「まぁ、お互いに手の付けられない奴がいると苦労しますな」
「ああ?それは俺の事か!」
その誰かさんを片目で見るオルジに抗議するアスタ。
「当たり前だろ?うるさいし、落ち着きがないお前以外にないだろ」
「だって、俺はじっとするのが嫌いなんだ!それに、魔法騎士団で勇者になった俺は日々成長すんだぜ!」
「だが、育ててやったのは私だろ。まっ、心配はしなかったが」
口論する2人にククリは少し慌てたり、ユノは呆れてリリーはひさしぶりだと軽く笑う。
「おやおや、アスタがいなくなって一番寂しそうになったお前が良く言うな」
ここでオババが笑いながら言う。しかも図星なのか、オルジは顔に汗を大量に出した、
「なっ、何を言っているんですか…私が寂しそうになっていたなんて、デタラメを」
「そんなこと言っていいのかな?」
「なに?」
するとオババは懐から手帳を取り出して読み始めた。
「〇月×日。晴れ、今日オルジ達に怖い話を聞かせてやったら、オルジが真っ先に大泣きしてお漏らしをした。本当にヘタレな奴だ。△月□日。雨、オルジが新しく買ったという服を自慢したが、雨な上に転んで服が泥まみれ。親に怒られて情けない」
「うわぁぁぁぁぁぁ!止めろ!いや、止めてください!?」
などと手帳を読み上げるオババを必死で止めに入るオルジだった。
「出た…オババの日記攻撃」
「本当に容赦ないな」
オババはオルジの子供の頃から大人までの弱みを手帳に書き込んでいた。なので、少しでもオルジが反抗的な態度を取ると、オババが手帳を読み聞かせをしたりする。言わば、オルジはオババの半分絶対服従の身。
それからしばらくして、ククリはノコギリ山で新しいグルグルの事を話した。
「では改めて…ククリよ。新しい魔法を覚えたいとな?」
「うん。新しいグルグルを手に入れたけど、これからの為にもっと覚えたいの。だから、経典に載っている魔法をもっと覚えたいの」
これからもっと大変になると思ったので、オババにかつて修行の為に使っていた経典のグルグルを覚えたいとお願いする。
「やっと勉強不足が身に染みて、本気になったのか」
「うん、だから教えて」
「…だが、ダメじゃ」
しかしなぜか断られた。
「なぜならグルグルの経典には、そこまでしか無いんじゃ!!」
「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?」」」
経典には本当にツチヘビまでしかページが無くて後は真っ白。
「なんか最後のページには、グルグルは本にて教えられるものではないので、後は自分で発見して学ぶことって、書かれてるぞ」
「なんだその言い訳は!?」
ユノが最後のページに書かれている文字を読むが、あからさまな言い訳にアスタがツッコむ。
「まぁ、キタの町にもあったんじゃ。きっと他にも」
他人事のように言うオババをククリが殴る。
「いきなり何すんじゃ!このバカ娘!」
「とにかく教えてよ!モンスターババア!」
[また、始まった…]
レベルの低い喧嘩する2人を、ただ様子見るアスタ達。
「とにかく、これからは魔法は自分達が発見して学ぶ段階じゃ!聞けば、アスタもユノもキタの町のダンジョンで、新たに魔法を手にしたようじゃな。つまり居心地のいい場所を離れ、広い世界を見て触れよ。それが始まりじゃ!」
オババが威厳のある事を話すが、鼻血で全く頭に入ってこない3人だった。
「でも、実際はどうすれば…」
リリーはこれからの3人の事について改めて聞いてみる。
「……では、グルグル様の所に行くぞ」
それからみんなはハージ村の守り神、グルグル様の像の前にやって来た。
「これって、結局オババが立てたモノじゃないんだよな?」
「当たり前じゃ。これはわしが生まれる前から、この地に祭られていた。あの魔人の死骸と一緒にな」
オババは巨大なモンスターの素骸骨、魔人の死骸に指をさしながら説明。
「今まで気にしなかったが、ここにもグルグルのヒントがあるかもしれんじゃろ?」
グルグル像にヒントが隠してあるとオババがアイディアを言う。
「凄く強引な気がするな?」
[うっ…たしかに]
しかしユノはその考えは強引だとはっきり言われてしまう。
「と、とにかく!変なところはないのか探すんじゃ!」
自棄になったオババが大声で怒鳴るので、仕方なく探す。
[でも…探すって言っても何を…]
ククリは恐る恐る像に手を触れると、それがスポッと手が入った。
「ゆ、勇者様!ユノくん!」
「ククリ!どうしたんだ!?」
「吸い込まれている!?」
慌ててアスタとユノがククリの手を掴んで引っ張り出そうとしたが、それでも結局3人纏めてグルグル像に吸い込まれた。
「アスタ!ユノ!ククリちゃん!?」
「そっ、そんな!」
リリーもオルジもこの光景にただ見ているしか出来なかった。そしてオババはグルグル像に頭突きして入ろうとしたが、出来ずにたんこぶが出来る。
「……また、旅経ってしまったな」
ただ3人が無事だと見守るしか出来なかった。
「「「うわああああぁぁぁぁぁぁぁ!!?」」」
吸い込まれた3人だったが、しばらくすると放り出された。
「痛たたたたた…大丈夫か?」
「うん…なんとか」
「こっちもだ。だけど…一体何が」
とりあえず、立ち上がったアスタとユノは辺りを見回した。暗かったけど、そこはなにかの聖堂みたいな場所。
だが、ククリが地面を見ると驚いた。
「勇者様、ユノくん…これって?」
「え?これって…なっ!?」
「これは、まさか!?」
3人は信じられない顔になる。なぜなら、地面には大きな魔法陣が描かれて、しかもその魔法陣が少し光っていた。
「魔法陣!?」
「もしかして、グルグル?」
「なんで…こんな所に」
まさかグルグルがあるなんて信じられない3人。しかし、突然誰かが近づく気配を感じる。
「ん?誰かが来る!」
「たしかにな」
「えっ!それって」
2人はククリを守るようにして構えた。そして扉が開いて入って来たのは
「ん?ええっ!?」
「お前は、グリエル!?」
その人物にユノは驚いた。なぜなら入って来て、目の前にいるのはノコギリ山のダンジョンで、モンスターに捕まっていたグリエルだったから。
「なんで、アンタがこんなところに!?」
「それはこっちの台詞だ!せっかく助けてやったのに、菓子だけ置いて帰るなんて!」
「ああ…まぁ、こっちの事情があったから」
説明するのが面倒になって、あからさまな適当な言い訳をする。
「お前がユノが言ってた妖精か!」
「うわぁ、可愛い♪」
初めて見る妖精にアスタもククリも興奮気味。
「それで、此処は一体?」
「此処は私達、妖精の国の聖堂よ」
「「「よ…妖精の国!!?」」」
当然のように驚いた3人。
今アスタ達がいるのは、妖精の国だった。