アスタとククリが黒の暴牛に入って次の日に、マグナがアジトの部屋とかを案内した。
「ところで、マグナ先輩。他にも団員はいるの?」
「ああ、じつはお前らと同じように此処に入ったのが…あっ!」
「ん?」
「あっ!?」
すると3人の目の前にノエルが現れた。
「ノエルちゃん!」
「ククリ…さん」
ククリはまさかここでノエルに再会とは思わなかったので喜んで駆け寄った。
「ノエルちゃんも、この団に入ったのね!」
「えっと…その…」
「なんだ?ククリの知り合い?」
顔なじみみたいなので尋ねてみる。
「うん、入団試験の時に知り合ったの!たしか王族で、銀翼の大鷲の団長さんの妹だよね?」
「そ…そうよ!王族のノエル・シルヴァ。アンタ達魔力の乏しい平民とは立場が違うの!」
大きな態度で強気に宣言した。この態度にはアスタと、それからククリも驚きが走る。
「ノ…ノエルちゃん?」
「なんて…強気な…いや、今は俺達と同期で魔法騎士団に入っているから、平民とか王族は関係ないだろ!」
けれど、アスタは負けずに反論する。
「関係大ありよ。分からないなら実力で」
「お…おい…」
「ノエルちゃん待って!」
ノエルは掌から水の塊を出しアスタに向けて発射。かと思ったら、曲がってマグナに直撃。
「あれ?」
「テメェ…いい度胸じゃねぇか」
マグナは強い怒りを出してノエルを睨みつける。
「…じゃ、そういうことで」
「コラっ!逃げんな!誰に頼まれて此処に入れたと!」
「こんな所、こっちから願え下げよ」
ローブを捨ててスタスタと逃げ出したノエル。
「なんだったんだ…なぁ、ククリってあれ!?」
いつの間にかククリの姿が無くて驚くアスタ。早歩きで廊下を歩くノエルだけど
「ノエルちゃん!」
「ん?」
ローブを持ったククリが走って追いかけてきた。
「ノエルちゃんって、歩くの早いね。はいこれ!」
「…どうも」
思わずさっき捨てたローブを受け取って羽織った。そっきまでピリピリしてたノエルだったけど、ククリの純粋な目とやさしさに気持ちが穏やかになる。なので口を開いてククリに話し始める。
「さっきのあれ。私…魔法と魔力のコントロールが出来ないのよ」
「え?コントロールが…」
「そう、だから父様と兄様から半分勘当の形でここに入れられたのよ…」
すると入団試験の時に、ノゼルがノエルを試験会場から追い出されたことを思い出した。
「もしかしてノエルちゃん…本当はお兄さんの団に入りたかったの?」
「別に…兄様の所じゃなくても、ただ自分の実力で魔法騎士団に入りたかっただけ」
大きくため息を吐くノエルに、なんだか自分に似たような雰囲気を感じる。そこでククリは提案した。
「だったら、明日。私と一緒に魔法の特訓しよう!」
「え?」
「じつは、私もよく失敗しちゃうの。だから今後の為にね!」
ククリもグルグルを失敗することが多いのでノエルと魔法特訓をしようと誘った。
「そうね。でも私は王族だから、生半可な特訓だと許さないから覚悟してよね!」
素直になれないけどノエルは誘ってくれたことに少し嬉しくなる。
「良かった。じゃあ、ノエルちゃん。明日の朝ね♪」
「……ねぇ、これからは呼び捨てで呼んでも良い?」
「うん!別に良いよ。友達だからね♪」
2人はお互い笑いながら握手をした。
そして次の日の朝。さっそくククリとノエルの魔法特訓が始まった。
「じゃあ、まず私が」
ククリはグルグルのトーラを発動して炎を出す。
「まさか、本当にグルグルって魔導書を使わずに魔法陣だけで魔法を使えるのね」
「うん、私だけの魔法。とりあえず、この炎を的にね」
「分かった」
さっそくノエルは掌に魔力を溜めて水の塊を出すと、それを水流弾にして発射したが的の炎を外してしまう。
「ん……」
「初めはそんなものだよ!」
「当然よ!」
それから何度も何度も水流弾を撃ち続けたが、外し続けて辺り一面は水浸しの穴ぼこだらけ。
「なんで思った通りに…当たらないの…」
「ノエルちゃん…」
体力を消耗したが、全くちゃんと狙ったところに当たらなくて悔しがるノエル。ククリはただそんなノエルを心配そうに見つめる。
しかしトーラの炎が消えてしまった。
「あっ、消えちゃったけど…今新しいの出すからね」
「そうして」
すぐにトーラを発動しようと魔法陣を描き始める。でも改めてククリはノエルの顔を見て確認。
[なんだろう…お友達が出来るって、この事かな?]
今までククリは外の世界を知らずに1人でグルグルの特訓をしてきたので、同世代の友達が出来て魔法特訓するのになんだか新鮮な気がしてきた。少し心がウキウキとワクワクでいっぱいになる程に。
「ねぇ、ククリ。それ…何を描いて?」
「え?」
ノエルに呼びかけられると同時に、魔法陣から巨大な植物型のモンスターを出してしまった。
「きゃーーー!失敗しちゃった!!」
「えぇぇぇぇぇぇ!?」
どうやら少し気が緩んだまま魔法陣を描いたので見事にグルグルが失敗。
「ゴギャギャギャギャ!」
モンスターは蔦を使って木を引っこ抜いて食べたり、根を足のように動かし移動する。このままだとアジトが破壊されるかもしれない。
「こうなったら私が!」
すぐにノエルもさっきまで以上に魔力を溜めて魔法を発動しようとした。
「んぐぐぐ…きゃっ!」
だが、暴発して水流と渦潮を出しまくる巨大の水球体を出して、モンスターと一緒に辺りの樹木をなぎ倒して暴走する。
「どうしよう!?」
「私に言っても仕方ないでしょ?!」
慌てる2人にアスタはもちろん、黒の暴牛のみんなが駆け付けた。
「ククリ!あれって、もしかして!?」
「ゴメンね勇者様。私とノエルちゃんの」
「こればっかりは…さすがに謝るわ」
2人はすぐに頭を下げて謝罪。するとヤミはアスタの頭を掴む。
「団長!?」
「あれをなんとかしろ」
「なんとかって、どうすれば!?」
「良いから、やってこい!」
ヤミは魔法の肉体強化でアスタをモンスターと水球体に目掛けて投げ飛ばした。
「うわぁぁぁ!だが、やってやる!」
アスタはそのまま大剣を出して水球体を斬り裂いてモンスターも殴りつける。すると2つは消滅したが、アスタは落下。でもフィンラルが空間魔法で助けてくれた。
「ふ~~~助かった…」
「勇者様!大丈夫!」
「あ?もちろんさ!」
ククリに抱き着かれながらも無事だと宣言。
だけど、ノエルはなんだか此処に居続けたらヤバいと感じて、ローブを置いて去ろうとした。
「ちょっと待って!」
「え?」
アスタはどこから行こうとしたノエルに声をかけた。
「お前、本当にスゲェ魔力なんだな!魔力が全然ない俺にはうらやましいぜ!」
「うらやましい…」
さらに続いてマグナも話しかけた。
「お前、魔法がコントロール出来なかっただけかよ?だがな、ここは落ちこぼれの黒の暴牛。あまり気にするな」
などと優しく励ましてくれた。さらにククリも再びローブを持ってノエルに渡す。
「ノエルちゃん。また特訓して、魔法がコントロールできるように頑張ろうね」
「もちろん、そのつもりよ!」
また2人は友情の握手をした。