黒の暴牛アジトの食堂は今日も色々と大騒ぎ。
けれども、アスタとククリは今いる団員の特徴が大分分かっていた。
[まずマグナ先輩は俺達と同じ田舎出身で、ラックはなんでも試験の時に相手を半殺しにした]
[バネッサさんは名門から追い出されて、ゴーシュさんは妹さんに会う為に刑務所から脱獄した]
[それから食いしん坊のチャーミーに、変身好きで本来の姿は謎のグレイさん(本名不明)]
[ついでに女の子好きなフィンラルさんと、顔は不気味だけど実はシャイなゴードンさん]
それなりに印象を把握していた。
だけど、しばらくするとマグナがアスタとククリとノエルを呼ぶ。
「お前達に初任務だ」
[ついに初任務。がんばってクリアして、魔法帝になるぞ]
アスタはどんな任務にも期待に応じてやろうとやる気満々。そしてククリもノエルも同じ。
「内容は…モンスター退治だ!」
「「「え?モンスター退治ぃぃぃぃぃ!」」」
初任務はまさかのモンスター退治に3人は驚く。
「モンスター退治って、いきなりの実戦!」
「そうだ。勇者のお前にピッタリだろ?」
「たしかに、モンスター退治って勇者様っぽいね。でも、モンスターはどこに?」
「それは俺が教えてやるよ」
するとそこにヤミがやって来て具体的な説明をし始めた。
「じつは、ある村から一攫千金を得るためにやって来たじーさんとマグナが賭けをしてな。見事にマグナがボロ負けして、なんでも言う事を聞くことになったんだ」
「じーさんと、賭けに負けた?」
「「ダサーい」」
「そんな目で見るなーーー!!」
凄く情けない理由に3人は見下すかのようにマグナを見る。
「とにかく、そのモンスターは村近くの森に住みついて人を襲ったりしているんだ」
「「「はーーーい」」」
それでも任務には違いないので返事をする。
「良し、じゃあ目的の村は箒で飛ばないといけないからな」
なんでもフィンラルは目で見て魔力でマーキングした場所にしか移動できない。なので、箒で行く事になった。
「けど、俺。魔力ないから箒飛べません」
「私も魔力コントロールできないから」
「えっと…私、グルグル以外さっぱりで」
「はぁっ!?」
「は~~~さっぱり、さっぱり」
3人共箒が飛べないのでマグナは驚きを通り越して呆れてしまう。さらに後ろをさっぱり妖精が通り過ぎる。
「しょうがねぇな。俺の愛箒で3人を乗せてやるか」
「愛箒って?」
「愛用の箒って意味だよな」
マグナが箒の保管庫から持ってきたのは、牛の頭蓋骨を装飾にして色々と改造した箒。
「うわぁぁぁぁ!カッケぇぇぇぇぇ!!」
「そうだろう!俺の紅零爾威災駆乱号は♪」
アスタは目を輝かせてマグナも自分の箒を自慢する。しかしノエルは汚物を見る目で一言。
「ダサっ」
「んだと?この芸術的フォルムが分からんのか?」
「そんなことよりも、早くこのカッコいい箒に乗って行きましょうよ!!」
「当然さ。さぁ、テメェら行くぞ!」
ノエルは気に入らなかったがアスタには大好評だったのでマグナの気分は満タン。
「イヤっ!!」
「「え?」」
するとククリは大きな声で拒否した。
「ククリ…どうしたんだ?」
「こんな箒に乗るのイヤ!」
「でも、マグナ先輩がせっかく乗せてくれるって言ってるし」
「ダサくて可愛くないデザインなんて絶対イヤ!」
ククリが頑固としてデザインを断固嫌がる。しかしこれでは行くことは出来ないので、そこでアスタはマグナに近づき。
「マグナ先輩。俺はカッコいいと思うけど…ククリが嫌がるから」
「え?」
それからしばらくアスタは必死にお願いをして。
「クソ…俺の紅零爾威災駆乱号…」
泣く泣くマグナは紅零爾威災駆乱号の装飾を全部外して箒を普通の形にする。
それでも準備は整ったので、マグナとククリとノエルは箒に乗り、アスタは箒にぶら下がっていた。
「準備は良いか?」
「勇者様、大丈夫?」
「平気平気。これぐらい」
「じゃあ、行くぞ!!」
マグナは大声と一緒に箒は空高く飛んだ。
「うおおぉぉぉぉ!スゲェぇぇぇぇ!」
「飛んでるよ!勇者様!」
「もう少しちゃんと飛んでよね!」
「うるせぇな!んな事、分かってるんだよ!」
ククリと箒にぶら下がったアスタは興奮して、ノエルはマグナに安全運転を強要したりと大騒ぎ。
「だいこんなん!だいこんなん!」
ここでさっぱり妖精と同じ立場のドサクサ妖精が横切った。
そんなこんなで、目的地のモンスターが住み着く森の中に突入。4人が降りて辺りを見回す。
「ここに、モンスターがいるんスか?」
「間違いねぇ。じーさんが言ってた所だ。ここで、モンスターが村人と旅人を襲っているんだ。気を付けろよな」
「あれ!ククリはっ!?」
「「えっ!?」」
いつのまにかククリの姿がなくなっていた。
「アイツ、浮かれていたからフラフラ行きやがったな?」
「ククリ!?」
「あっ!アイツ勝手に」
心配になってアスタは1人でククリを探しに走った。2人も慌てて追いかけたが、すぐにはぐれてしまう。
「ククリ!ククリ!どこだ!」
必死になってククリと叫んだが返事はない。だけど、林からカサカサと音が聞こえた。
「まさか、ククリ!」
だが、林から出てきたのはククリじゃなく。頭に三本の角が生えて棍棒を持ったモンスター、人獣カセギが現れた。
「もっ、モンスター!?」
「人間だっシュ。人間を殺せばギリ様に褒められるっシュ!がんばるっシュ!」
ちなみにカセギは牙が邪魔で上手く発音できない。
「という訳で死んでもらうっシュ!」
「なに!そんなの…俺が一番困るけど…」
アスタは気の利いたセリフが言えなかった。けれども、一応依頼を達成しないといけないので、魔導書から大剣を出して構える。
「やる気っシュか?だったらこっちも、手加減はしないっシュ!」
カセギは棍棒を振り下ろして攻撃してきた。
すぐに避けてアスタは大剣を振り回してカセギを攻撃。だが、上手くかわさせた。だが、上手くかわさせた。だが、上手くかわさせた。だが、上手くかわさせた。
何度も何度もやってもかわされて
「喰らえっシュ!」
「ぐはっ!」
ついに棍棒がアスタの頭を殴ったので倒れる。
「うぐぐぐ…」
「せっかくだっシュ。お前のこの剣で止めを…あちっ!」
カセギが大剣を掴んだ瞬間、熱く感じたのか辺りを転がったりして手にやけどみたいな痕も出来た。
[この剣…モンスターにも有効なんだ]
大剣は魔法を斬るだけでなく、触れただけでモンスターに大きなダメージが与えられると発覚。それからしばらくして痛みが引いた。
「まさか…このボロ剣が危険な物だったシュか。だが、せっかくだから冥途のみやげにいい事を教えてやるっシュ」
じつは一度で良いから言ってみたかったらしい。
その頃、ククリは1人で森を進んでいた。
「どうしよう…初めての任務にドキドキして勝手にふらふら歩いちゃって…マグナさんに怒られないかな?」
急いでマグナの所に帰ろうとしたが、その時アスタの叫び声が聞こえる。
「勇者様!まさか、モンスターに会って…やられて…冥途のみやげを聞かされている段階じゃあ!!」
ククリの予想通りにカセギはアスタに冥途のみやげ話を語り始めてた。
「そもそも300年前にギリ様が世界征服しようと、こことは別の異世界からやって来たらしいっシュ」
丁度、カセギが話しているその後ろにククリが現れたのに気付くアスタ。
「しかしギリ様はある魔法使いに封印されたっシュ」
「ほぅ…それで?」
「ん?回復が早いっシュ!」
「んがは!」
見事に立ち直ったアスタに再び棍棒で頭を叩いたカセギ。
「全く、じゃあここで終わりっシュ!」
「待て待て!さっきの続きを!」
「え?たく、しょうがないっシュねぇ…その封印は不完全で300年しか効果がなく」
後ろのククリに気づかせないようにと冥途の話を再開させて時間稼ぎをした。そこですぐにククリは、体を使ってアスタにサインを送った。
[勇者様、大丈夫?マグナさんとノエルちゃんは?]
[ん?勇者様の神父さんは元気。なんでこんな時に、神父の事を?]
でも全く伝わっていなかった。とりあえずアスタもククリに体でサインして伝える。
「だけど、300年後の今封印が解けても…なんかまだ中途半端で、完全に復活したわけでは…ん?」
[神父は毎日、俺の愛するシスターの特製スープをお代わりするほど元気]
「聞いてるっシュか!?」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
しかしアスタのサインはあまりにも目立っていたので、聞いてない事に気づかれた。
「勇者様!?」
「また人間!」
おまけにアスタが襲われそうになったのでククリは思わず声を上げてしまった。
「ククリ!?」
「だったら、お前も死ねっシュ!」
「こっ、来ないで!」
ククリは無我夢中に魔法陣を描いて発動した。すると魔法陣から、トカゲかヘビの形をした炎が出来てカセギに直撃。
「なにっ、ぐわあぁぁぁぁぁ!」
(トカゲのしっぽ。グルグル・レベル1の魔法。トーラに飛び出すの印を加えた魔法陣で、トカゲ姿の炎が敵に向かって突っ込む)
「これも…グルグル。あっ、今だ!」
別のグルグルに驚いたアスタだったが、すぐに大剣を持って大きなダメージを受けたカセギを斬った。するとカセギは煙となって消滅。
2人は初めてモンスターを倒したので、思わず腰が抜けて地べたに座り込む。
「あっ!こんな所にいやがったのか!?」
「全く、探したのよ!」
丁度ここに、マグナとノエルが現れた。するとアスタは2人に向かって
「モンスターを倒したぜ…俺達で!」
「え?俺達って…」
「怖かったけど…がんばったんだよ、ノエルちゃん!」
「ええっ!?」
まさかの2人の活躍に信じられないノエルとマグナだった。