モンスターのカセギを倒したので、アスタ達は依頼を頼んだ村に報告しに行った。
「たくよ…せっかく俺の活躍をお前らに見せようと思ったのに」
「でも、ククリのおかげで助かったからな」
「そんなことないよ。勇者様が私を守ろうとしてたから」
[うう…どのタイミングで入れば]
3人が楽しく会話しているので、ノエルも会話に入ろうと考えているが、なかなかタイミングが掴めない。そうこうしている内に目的のソッシ村に到着。
「なっ、なんだこりゃ!?」
だが、そのソッシ村が濃い霧に包まれていた。
「この村って、霧が濃いの?」
「そんな訳ないだろ!」
「ええ、あれは魔法の霧よ」
ククリは恐る恐る村の入り口付近の霧に触ってみる。
「本当だ…なんか魔力を感じる」
「入ったらどこにも辿り着けないわね」
しばらく魔法の霧を見るとククリは何か思いついた。
「そうだ!勇者様の剣よ!」
「剣?いやいや、霧なんて切れる訳」
「大丈夫、この霧は魔法でしょ?だから」
「…ああっ!」
気付いたアスタはさっそく大剣で霧をバッサバッサと切って進んで行く。
「本当に便利だな?あの剣」
「えへへへへ♪良し、あともう少し」
ついに村の中に入ったアスタ達。
しかしそこで4人が見たのは、一か所に集まって怯えている村人と周りで立っている複数のローブを着た連中。そして村人たちの上空には複数の氷の槍が浮かんでいた。
だが、氷の槍は村人目掛けて落下。
「ヤバい!炎魔法、爆殺散弾魔球!」
すぐさまマグナが炎の球を複数飛ばして氷の槍を破壊して防いだ。
「大丈夫か!爺さんは?」
マグナは村人達に駆け寄って依頼人の老人はいないのか探してみると、そこで彼が目にしたのは。
「やったよ。祈りが通じたよ」
「魔法騎士団が来てくれたんだよ」
孫らしき子供2人に声をかけられているが、目を閉じて動こうとはしない老人の遺体。これにはマグナは勿論、アスタもククリもノエルも言葉を失う。
「処刑時間を10秒も邪魔したな?」
「…テメーが殺したのか!?」
マグナはリーダーらしき男を見つけると大声で怒鳴った。
「魔法騎士団で、異端中の異端とされた黒の暴牛…つまりカセギが倒されたのか?」
なんと男の口からさっきのモンスターの名前が出てきた。おまけに知り合いみたいなので、とりあえず聞いてみる。
「お前、あのモンスターを知っているのか!?」
「知っている。奴には村の周りを見張っていたからな」
「なっ、なんで…アイツはモンスターだぞ!?」
「簡単だ。魔王ギリ様に忠誠を持っているのはモンスターだけではない」
話しながらも懐から時計を出して時間を確認。
「ふむ…まさかこのヒース・グライスが、こんなに時間を無駄にしてしまったとは。貴様らには死を持って償ってもらう」
魔導書を構えるヒースが魔法で巨大な氷塊を作って村人に目掛けて発射した。だが、すぐにアスタが大剣で氷塊を斬って破壊。
「そうはさせるか」
そのまま大剣を構えるアスタの横にククリがやって来て
「どうして」
「ん?」
「どうして、この村を襲うの?モンスターと手を組んでまで」
ククリがヒースに声をかけて質問。人間の彼らがモンスターを使ってまで、この村を襲ったのか聞きたかった。
「簡単さ。この村の奴らなど死んでも構わない連中だ」
「えっ!?」
「ここは恵外界の端にある村。村人たちは、私生活するのが限界の魔法しか使えない下民。故に、我らとは格が違う」
説明にアスタは小さかったころのシスターの言葉を思い出す。クローバー王国は3段階の地域から成り立っていて、国王と貴族の住む王貴界と平民が住む平界と、そして下民の住む恵外界。その為に恵外界の住人は平界と王貴界から強い差別が生まれてくる。
「分かるか?コイツらはただの獣に近い連中。つまり死んでも文句は入れない存在…まさか、コイツらの為に命を張るバカな事は考えてはあるまい?」
とても傲慢で差別の強いヒースが4人に行ってみるとアスタの出した答えは
「だからなんだ!」
「ん?」
「俺はな。下民だろうが平民だろうが…とにかく誰でも関係なく守る!」
大剣を構えていつでも戦う用意を取るアスタ。
「そうか、ならば」
するとヒースが指を鳴らすと、オレンジのローブを纏って黒い顔に黄色い目と口に鋭い牙の生えたモンスター、人獣のクロコが何体か現れた。
「他にもモンスターが!?」
「ギギギ、そうだ!」
「お前達に俺達の恐ろしさを教えてやる!」
クロコ達が両手から鋭い爪を出しながら戦闘態勢に入る。これにはアスタだけでなく、マグナ達も構える。
「お前は親玉をやれ。俺は雑魚をやるぜ」
「ありがとうございますマグナ先輩。ククリ、ノエル!村人のみんなを頼む」
「うん!」
「言われなくても、分かってるわよ!」
アスタ達黒の暴牛とヒース率いる集団の戦いが始まろうとした。