お姉ちゃんは0番改め機人長女リリカルハルナA's   作:Y.Sman

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前回の投稿以降初の☆1評価を受けてしまいました(´・ω・`)
今後はもっと精進するのでどうか生暖かく見守ってやってください。


第17話「カロリーメイトはフルーツ味が一番(作者の偏見)なの」

Sideなのは

あれから何時間経っただろう・・・。

大けがをしたハルナちゃんをアースラに連れていくと待っていたジェイル先生とお医者さんたちが大急ぎでハルナちゃんを医務室に運んで行った。

扉は今も固く閉ざされ、その上には赤く『手術中』とミッドチルダの文字で表示されている。

「なのはさん、さすがにもう休んだ方がいいわ・・・」

手術開始からずっとここにいた為かリンディさんが心配してきてくれました。

「リンディさん・・・ありがとうございます、でも・・・」

「・・・ハルナさんが心配?」

その問いに私は頷きます。

ハルナ・スカリエッティちゃん・・・。

元気溌剌でいつもはしゃいでいて、でも私よりもずっとお姉さんでいつも心配してくれている優しい女の子。

大家族の長女で暇があればいつも妹の事ばかり話している家族が大好きな子・・・。

そんな優しいハルナちゃんが何であんな大けがを負わなくちゃいけないんだろう?

それを考えた時、ふとハルナちゃんを撃った男の子の事も思い出す。

あの子は一体誰なんだろう?フェイトちゃんの仲間なのかな?どうしてあの男の子はあんなにハルナちゃんを憎んでいたんだろう?

今度会った時はあの子ともちゃんとお話ししなきゃ・・・。

私がそう心に決めた丁度その時、手術中の表示が消えて手術室の扉が開いた。

Side Out

 

機人長女リリカルハルナ

第17話「カロリーメイトはフルーツ味が一番(作者の偏見)なの」

 

目を開けると最初に見えたのは見知らぬ天井、ではなく何度かお世話になったアースラの医務室の天井でした。

「目が覚めたか・・・」

妙に懐かしく感じる声を耳にし顔を向けると妙にくたびれた格好の父さんがそこに居ました。

「父、さん・・・」

「君が撃たれてから一週間が過ぎたよ」

父さんが言うには手術で体に埋まった弾丸を摘出、破壊された脾臓をクローン培養したものと交換して傷口を塞いでから運び入れていた生体ポッドに放り込んだそうです。

それから五日、一応傷口が塞がったのでポッドから出し以降は自然治癒に任せることにしたとのこと。

「一時は本当にヤバかったが何とかもちなおしてね、外傷が癒えても意識が戻らなくてずっと心配してたよ」

「そっか、一週間か・・・結構長かったなぁ・・・って、一週間!?」

少しずつ調子を取り戻しかけていた意識はそれを聞いて一気に覚醒します。

「あれからどうなったの!?なのは達は無事!?・・・って、あれ?」

そう言って上半身を起こそうとしたところで体に力が入らないことに気づきます。

「あの戦いで筋肉を膨張させて止血しただろう?おかげで手術がしにくかったから筋肉弛緩剤をたんまり注射する羽目になったよ」

「それと・・・」と父さんは続けます。

「なのは君達については安心したまえ。クロノ執務官が付いているよ。最も効率は低下したがね・・・」

父さんが言うには私が襲撃され、フェイトさんに協力者がいることが判明した為、何より相手が殺人も厭わない危険な相手である為最初はなのはを捜査から外そうという話が出たそうです、しかしなのは本人がそれを頑なに拒否したのと、返した場合お家を襲撃される危険性があるのでアースラにいた方が安全という結論に至りました。

勿論ご家族にはリンディさんから報告済み、さすがに士郎さんも難色を示しましたが最終的になのはは残留することが決定。

彼女の安全を最優先にするため予定されていたローテーション方式ではなくなのは、ユーノ、クロノがひと纏まりで行動するようになり安全は確保できた代わりに捜索効率が低下、結果ジュエルシードのいくつかはフェイトさん達に持っていかれたそうです。

「なんてこった、寝てる暇なんて無いじゃ、んぐっ!?」

無理やり起き上がろうとした瞬間、お腹に鈍い痛みが走りうずくまります。

「傷口が塞がったって言っても表層だけだよ、下手に動くとまた開くから暫く絶対安静だ、ちなみに医者命令の為拒否権は存在しないよ」

うぅ、こんな時に動けないなんて・・・。

「無様とか考えてるようだがね、むしろ一番しぶとい君だったから助かったんだ。なのは君やクロノ執務官だったら間違いなく死んでたよ」

言われてみれば確かにそうかもしれません。

何しろフィフティーキャリバー・・・12.7㎜なんて明らかに装甲車打つための弾丸で人なんて撃ったら間違いなくネギトロめいたサムシングに早変わりです。

バリアジャケット着こんでシールドで防いでもお腹にバカでっかい穴が開くでしょう。

「そんなわけだ、二人じゃなくてよかったと前向きに考えたまえ」

・・・どうやら父さんは私を励ましてくれているようです。

白衣とスーツがくたびれているのも着替えの時間すら惜しんで私に付いていてくれたんでしょう。

バカ、変態、マッドと三拍子そろっていますが本気で父さんは私の事を案じてくれていたみたいです。

「・・・うん、ありがとう父さん」

私がお礼を言うと父さんは照れくさそうに笑います。

「まあ、そう言う事だ。今は栄誉をたっぷり取って休むといい」

父さんはそう言って私を寝かせ、布団をかけます。

そうですね、今回は父さんの指示に従いましょう。

グッスリ寝て、栄養をたくさんとって・・・。

ん?栄養?

「それだぁっ!」

再びガバッと起き上がった私のお腹を再び激痛が襲いました。

 

 

Side なのは

「ハルナちゃんの目が覚めたの!?」

「うん、さっきリンディ提督から連絡が・・・って、なのは!?」

ユーノ君からそれを聞いた瞬間、私は走り出していました。

あの日、大けがを負ったハルナちゃん。

手術が終わってジェイル先生から峠は越えてもう大丈夫と説明されてたものの、一昨日までずっと面会謝絶でした。

面会許可がもらえるようになったもののずっと目を覚ますことは無く、もしかしたらずっとこのままなんじゃと不安で仕方がありませんでした。

目が覚めて嬉しいような、まだ心配なような・・・いろんな感情でいっぱいになった私はとにかく早く会いたい一心で病室に向かって走ります。

運動音痴なのがうその様にあっという間に病室に着いた私は走り過ぎて荒くなった呼吸を整える暇すらもどかしく、目の前の扉を開きます。

「ハルナちゃ・・・!」

「もがもが、ガブッ、ムシャムシャ・・・ごくん、あぐっ、モキュモキュ・・・ゴクゴク、ぷはっ、バリバリ、バクンっ、むぐっ・・・グビグビ・・・」

・・・えーと、大食い大会?

ベッドで上半身だけ起こしたハルナちゃんはベッドテーブルに置かれたたくさんの料理を手当たり次第に食べていきます。

わきには空っぽになったお皿がたくさん詰まれており、お見舞いに来ていた他の局員さんが片付けていました。

「そんなに慌てて食べるな。胃が受け付けないぞ?」

先に来ていたクロノ君がハルナちゃんの食べっぷりにドン引きしながら注意します。

「ゴクン、うるへー!12時間もありゃジェット機だって直らぁっ!」

対してハルナちゃんはよく分からない事を叫ぶと再び食事に専念します。

口から飛んだご飯粒がクロノ君の顔に着いていて、なんだかとてもバッチイです。

「あ、いらっしゃいなのはちゃん」

後ろから声がすると両手に料理を持ったエイミィさんがいました。

「エイミィさん、これは・・・」

「あ~、ハルナちゃんが『血が足りないから栄養たっぷりつけたい』って言うからさ、暇人総動員でご飯作ってるの」

そう言われてエイミィさんの後ろを見ると他にもお皿を持った局員さんが数人いました。

「でも、たくさんご飯食べてもすぐに怪我が治るわけじゃ・・・」

私がそう言うとエイミィさん達は苦笑します。

「あー、普通はそうなんだけどね・・・」

?どういう事でしょうか?

「そうか、君はまだ知らなかったね。ちょうどいい機会だし説明しておこうか」

私たちの会話を聞いていたジェイル先生はそう言うとハルナちゃんに声をかけます。

「ハルナ」

「モグ?ふぁふぃとふふぁん?」

「うん、飲み込んでから話そうね。この艦で食事語が分かるの父さんだけで皆解読できないから」

ジェイル先生に言われてゴクリとご飯を飲み込んだハルナちゃんは改めて喋ります。

「んで?何父さん?」

「さっき修理が終わったからね、交換するから両手を出してくれないか?」

「そうなの?ほい」

それに従ってハルナちゃんが両手をジェイル先生の前に出します、何が始まるんでしょうか?

「じゃ左腕からいこうか。よっこいせと・・・」

先生が肘の辺りを弄るとハルナちゃんの左腕がスポっと外れて、外れて・・・。

「ふぇえぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!?」

Side Out

 

父さんがスペアに持ってきていた日常生活用の義手を外すとなのはがスゴイ声を上げます。

てかなのはいつの間に病室にはいったの?

ご飯食べてて分かんなかったよ。

「なのは!?大きな声が聞こえたけど一体何が・・・!」

なのはの声を聞きつけてユーノが慌てて部屋に入ってきましたが当のなのははそれどころではないようです。

「ハルナちゃんっ!?手が!腕がっ!」

こちらに人差し指を向けながらブンブン腕を振るなのは、彼女の表情は正に(((○Д○;)))な状態です。

「あー、うん。ビックルしたのは分かるけど落ち着いて。ちゃんと説明するから、ね?」

私とクロノ、エイミィや後からお見舞いにやってきたリンディさんに宥められてようやくなのはは落ち着きました。

「いや~、予想以上のリアクションだったよ」

とりあえずふざけた事言ってる父さん(しょあくのこんげん)は取り外した左腕で思いっきりブン殴っておきました。

「さて、どこから説明しようか・・・」

気絶した父さんを部屋の隅にどかしてから私に関する説明会が開かれました。

「まず私自身の事なんだけどね、私普通の人間じゃないんだ」

「えっと、普通じゃないって・・・」

頭に『?』を浮かべたなのはに変わり、隣できいてたユーノが質問します。

「うん、戦闘機人って言ってね、クローン技術で造られたサイボーグなの」

「サイボーグって、あの身体が機械で出来ている・・・」

困惑しながら聞いてくるなのはに私は頷きました。

「次元世界では旧暦の頃から人型兵器の研究がされていてな、その中には人と機械の融合・・・人体の機械化も含まれていた。しかし人体が拒絶反応を起こしてうまくいかなかったらしい」

「そこで誰かが考えた、適合する人が見つからないなら造ってしまえばいいってね。で、クローン技術で拒絶反応の出ない人間を作って改造したのが戦闘機人」

「そんな、ひどい・・・」

クロノと私の説明になのはは顔を青くします。

「そう、人道的に許される研究ではない、だから管理局はそう言った研究を禁止していたの。しかし・・・」

リンディさんが沈痛な面持ちでそう言っていた所で・・・。

「そう、あれは私がまだ世界征服を企む悪の科学者だった頃の話だ・・・」

復活した父さんが割り込みます。

「んにゃ!?」

驚くなのは、カワイイ・・・。

「人手不足が深刻過ぎて頭がおかしくなっていた管理局のお偉いさんから手っ取り早く局員を増やしたいと依頼が来てね、優秀な魔導士のクローンを生み出す人造魔導士技術と並行して戦闘機人の研究をしていたんだ。もっとも、野心家だった当時の私は戦闘機人が完成したら管理局に反旗を翻す気満々だったがね・・・」

語尾にwwwとつきそうな笑い交じりの口調で父さんは続けます。

「で、満を持して完成した戦闘機人の零号機、それがハルナだったんだ。生まれたばかりのハルナを見た瞬間衝撃を受けたよ、この小さな命を野望の道具にしようとしている自分にね・・・。結局叛逆は止めてハルナと自由に生きる道を選んだんだ。偉いさんしか知らない秘密の研究所だから通報したら正義感溢れる管理局の捜査官たちが押し寄せてきてね、どさくさに紛れてとんずらしようとしたんだが失敗してハルナだけ逃がしたんだ」

「そんな私もリンディさんの旦那さんでクロノのパパのクライドさんに保護されて最終的に管理局のお世話になっちゃったけどね」

「しかし、一番笑えるのが私に研究をさせていた連中までハルナの事見て正気に戻っちゃったことだろうね。『この子はワシの孫にする!』だそうだ、ククッ・・・」

補足する父さんですが当時を思い出して笑っています。

まぁ、おじいちゃんたち根は善人だしね、支配とかじゃなくて本気で世界を守りたいって思ってた人たちだからね。

孫云々に関しては父さんと話し合ってください。

「そんなわけで私は鋼のボディに熱いハートの美少女サイボーグ戦士なのだよ。おかげで新陳代謝も早くてどこぞの伝説の段ボールエージェント(ネイキッド)の如く栄養とればすぐに傷も治っちゃうんだ」

「まぁ、美少女かどうかはともかく、ハルナが半分メカなのは事実だ」

・・・さて、後でクロノが変態だという事をなのはに教えてあげなければいけませんね。

「ふぇぇ・・・じゃあさっき腕が取れたのも?」

「そう。両腕とも義手でね、交換することでロケットパンチも指からビームも想いのままだよ」

「と、言うわけでだ。新しい腕を取り付けるとしようか・・・」

そう言って父さんは取り出したケースを開け、中身をとりだします。

何やら鉄パイプみたいに細い腕にお好み焼きを焼くときに使うヘラみたいな平べったい手・・・。

何故か取り付けるときに「ブッピガァン!」て効果音が聞こえた様な気がします。

「あ、ありがとね父さん・・・ニイハオっ!」

「アオラー!?」

父さんの頭に渾身の中華チョップを叩きこむと、ミサイルやビームライフルはおろか、ラスボスのメガフレア・キャノンすら跳ね返す謎のリフレクター機能で吹っ飛ばされた父さんは医務室の壁に車田落ちの要領で突っ込みました。

 

Side クロノ

「さて、それじゃあ現状の説明から始めようか」

「ふぇ!?ジェイル先生あのままでいいの!?」

そう言ってなのはは大の字で壁にめり込むドクターを指さす。

「放っておこう、どうせ死んじゃいないから」

「投げやり!?」

なのはもいつか分かるだろう、この親子を本気で相手にするのは時間と労力の無駄だと・・・。

「でだハルナ、もうドクターから聞いてるだろうが君が撃たれて以降当初のローテーションは変更になった。なのはとユーノは僕と共に対処に当たっているんだが、安全を確認してからのせいで即応性が低下してな、すでにフェイト・テスタロッサにジュエルシードを二つほど持って行かれてる」

「むぐぅ、そう言えば私を撃ったあん畜生は?やっぱりフェイトさんと一緒にいるの?」

トンカツにチキンカツ、ソーセージにエビフライにゆで卵と千切りキャベツ・・・とにかくトッピングがたんまり乗ったカレーを口にかき込みながら質するハルナ。

「いや、あれ以来姿を現していない。切り札として温存されているのか、それともやはりフェイト・テスタロッサとは仲間じゃないのか・・・」

「でもあの男の子も凄いんだよ。ハルナちゃんを撃つまで全然魔力が感じられなかったし、その後計測された魔力量はなのはちゃんよりもすごかったんだよ」

エイミィの言葉に先日観測されたあの魔導師の魔力量を思い出す。

平均魔力量226万・・・、なんとなのは以上の魔力を持った化け物だった。

「エイミィ、彼の身元は未だ分からないの?」

母さん、もといリンディ艦長の質問にエイミィは力なく首を横に振る。

「ダメでした。管理局にも各管理世界の住民登録にも、該当する魔力波長の人物は確認できませんでした」

つまり管理局に届けのない違法魔導士と言う事か・・・。

そんな強力な魔導師が未登録で、しかもロストロギアが飛散した管理外世界をうろついてるなど悪夢以外の何物でもない。

「奴もジュエルシードを探している、なら近いうちにまたぶつかるのは間違いないな・・・」

あんなのと戦う事になるなんて考えただけで頭が痛い。

自分はともかくなのはやユーノはやはりこの事件から外させた方がいいかもしれない。

「・・・本当にそうなのかしら」

「え?」

「艦長?」

艦長はあごに手を当て何かを熟考する。

「本当に彼の目的がジュエルシードならフェイトさんに持たせて逃がすのは不自然じゃないかしら?」

「それは、彼がフェイトちゃんと仲間だからでは?」

エイミィの言葉に艦長は更に深く思案する。

僕もその可能性は低いと思う。

彼がフェイト・テスタロッサの仲間ならばもっと早期に、それこそなのはとの遭遇戦があった時に現れていただろう。

戦力の温存が目的だとしても、それなら僕たちが介入した時点で姿を現したはずだ、そうしなければ最悪フェイトは僕たちに逮捕されていたのだから。

それが無かったという事はあの魔導師とフェイト・テスタロッサ達は別の勢力だと考えた方が妥当だろう。

フェイト達の黒幕が急遽雇ったフリーランスと言う可能性もあるが、それなら何故彼が現れた時フェイトは驚いていた?仮に急遽雇った存在だとしても顔合わせするくらいの時間的余裕はあったはずだ。

恐らく彼の登場、いや存在そのものがイレギュラーだったからだろう。

「なるほど、確かに謎だね。フェイトちゃんを助けたのも、ジュエルシードを持って行かなかったのも・・・」

上記の内容をエイミィに説明すると納得したように、しかし直ぐに深まった謎に難しそうな顔で首を傾げた。

「ハルナへの恨み・・・怨恨の可能性もあります」

「え?」

僕が口にした可能性に聞いていたなのはは少し驚いた顔をする。

「ハルナちゃんに、恨み?」

「彼女はベテランの執務官だ、解決した事件も数多い。以前彼女に逮捕された者が逆恨みしての犯行と言う可能性も十分あり得る」

「ハルナさん、なにか身に覚えはない?」

ラーメンのスープを飲んでいたハルナは艦長の問いに答えるためにドンブリから口を離す。

というか先ほどまでカレーを食べていたのにいつの間に食べ終わったんだ?

そのラーメンだってゆでたキャベツとモヤシが山と盛られていたのに・・・相変わらずこいつの胃袋はブラックホールだな。

「ゲフっ、身に覚えはいっぱいあるけど、アイツは初めて見る顔でした。あんな特徴的な・・・まるで『ぼくのかんがえたりそうのしゅじんこう』を形にしたようなビジュアル忘れたくても忘れられませんよ」

確かに、マンガの主人公かよと言いたくなる美少年だ、一度見たら忘れられないだろう。

それにハルナが逮捕した犯罪者なら裁判記録なりハルナの始末書なりが残るはずだから未登録なのはおかしい。

前の事件・・・紛争地帯を飛び回っていた時の因縁・・・ハルナが戦友や家族の仇だという可能性もあるがそれをカウントしてたらキリが無い。

なんせ彼女は『リボン付きの死神』なんて呼ばれるくらいには活躍・・・敵を『撃墜』しているのだから・・・。

「まぁいずれやり合うのは間違いないんだし、次にあったらブチのめして取調室で洗いざらいゲロらせてから豚箱にぶちこんでやればいいんです。だからそれまでに怪我を治しておかないと・・・!」

そう言ってハルナは最後の一皿・・・山と盛られたミートボール入りスパゲッティの攻略を開始した。

修理したばかりの両手でフォークとスプーンを器用に操り皿のスパゲッティを団子の様に丸めると大きく開けた口に押し込む。

「はむぅ、もぐ、むぐ・・・ぅうっ・・・!」

直後、見る見るうちに顔色が変わるハルナ。

色白な肌がマンガの様に暗い緑色に変わっていく。

どうやら戦闘機人の胃袋とは言え病み上がりだったのが祟ったようだ。

「全く、言わんこっちゃない。ほら、洗面器だ」

あらかじめ用意しておいた洗面器をベッドテーブルに置くがハルナは首を振って拒否。

両手を抑え、仰向けになりながら何かを言っている。

「何?何だって?」

「むっごごももむぅ・・・!」

嘔吐されるのを警戒しながら耳を使づけるとそんな言葉が聞こえる。

口いっぱいにスパゲッティを含み、両手で抑えながらの発言とは言えそれなりに長い付き合いだ、何を言ったかは大体わかった。

「ハァ、食ったから寝るそうだ・・・」

医務室がなんとも言えない空気で満たされた。

Side Out

 

結局、会議はそこでお開きになった。

謎の魔導師Aについては今後も警戒、現れた場合はクロノと武装隊に全快した私を加えた制圧部隊が対処、なのはとユーノは安全のために後方に退避する方針で決まった。

後ろに下げられることになのはは最初反対したが、復活した父さんに「皆があっちに集中するからフェイト君に専念できるよ」と諭され喜んで了承した、チョロカワイイ。

「で?実際どうなんだい?」

先ほど突っ込んだ壁を補修しながら父さんが聞いてきます。

「ん?何のこと?」

「安心したまえ、今確認したが誰も聞き耳は立ててない。あれは、君と同じ転生者なのかい?」

体が無意識のうちに強張る。

「分からない、でもかなりの確率で間違いないと思う」

あの時、飛び去っていくフェイトさんに向けていた笑み、喜びと憧れの混ざり合った・・・まるで間近でアイドルに出会ったファンの様な表情。

「と言う事は、フェイト君もアニメの登場人物とみて間違いないか・・・」

「そうだね、『なのは』もいるし・・・」

私が転生者として知っていることは3つ。

この世界が『魔法少女リリカルなのは』というアニメの世界だという事。

主人公が、『なのは』と言う名前の女の子と言う設定。

父さんがアニメ3期で起る事件の黒幕で私の妹達を使って事件を起こすという事。

物語りの終盤で露出過多な魔法少女にホームランされること・・・。

あ、間違い。4つだった。

「んで、実際なのはが魔法少女になって戦っているってことはもう物語が始まってるんだと思う。それで・・・」

「あの転生者(仮)はタイミングを見計らって出ていこうとしたらすでにハルナがいて憤っているという事か・・・逆恨みも甚だしいね」

全くです、自分の意志でこの世界に転生したわけじゃないんですから・・・そのことを根に持たれてもいい迷惑ですよ。

恨むんなら私じゃなくて神様か転生トラックを恨んでください、もっとも今の生活堪能してるのは間違いないですが・・・。

「でもまぁ、彼の気持ちも分からなくはないかな」

死んだはずが生まれ変わる、しかもアニメや漫画の世界に・・・。

いまいち前世の記憶があいまいですが、もし記憶が万全で、そこが自分の大好きな物語の世界だったら・・・間違いなく浮かれてはしゃぎまわるでしょう。

恐らく彼もそうなのでしょう・・・。

リリカルなのはが大好きで、その物語の登場人物も大好きで、その世界に転生して嬉しくて嬉しくてたまらない。

そして登場人物と会おう、一緒に物語に自分も参加しようと。

だというのになのはのそばにはストーリに影も形も無かった存在・・・私がいる。

もしかしたら私が気づかないだけで既にストーリを改変してしまったのかもしれません。

元より父さん達家族の為に原作ブレイクする積もり満々でしたが、彼にはそれが許せなかったのでしょう。

「で、理想をぶち壊してくれた君が許せなくて犯行に及んだ・・・こんなところか」

「多分ね、あの人からすれば私は大切な者を穢した諸悪の根源なんだと思う。そういう意味では悪いことしちゃったかな・・・まぁ次あったら本気でブッころばすけど」

理由がどうあれ殺人未遂に質量兵器所持、日本の法律なら銃砲刀剣類所持等取締法違反・・・どちらにしろ明確な犯罪です。

法の裁きと法に触れないレベルで私からの制裁を受けてもらいましょう。

「同感だね、彼にはハルナの父として色々と話さなきゃならないことがあるかね。あぁ、会うのが楽しみだなぁ・・・クックック」

そう笑みを浮かべる父さんから何やらドス黒いオーラがモワモワと立ち上っています。

「あのー、父さん?もしかして怒ってる?」

嫌な予感がして恐る恐る父さんに聞いてみます。

「・・・怒ってる?ハッハッハ、何を言ってるんだい?怒る訳無いだろう・・・」

ハハハ、だよね。いくら私が死にかけたってここで怒るのは父さんのキャラじゃないし・・・。

「そんなレベルじゃ済まないとも、久しぶりに父さんキレちまったよ・・・っ!!」

・・・うん、もっとヤベぇことになっていました。

「嫁入り前の娘の身体に風穴開けてくれたんだ、もはや万死程度では生ぬるい!1億回殺してから無理やり蘇生してもう1兆回ぶっ殺してやるぅ!!」

普段の飄々とした姿はどこへやら、完全にキャラ崩壊した父さんが憤怒の表情で絶叫する姿にすっげービビってます。

なんかもう目の前にあの少年Aが現れたら本当にぶっ殺しかねない勢いです。

「父さん落ち着いて!ほら、私ちゃんと生きてるから!それにせっかく足洗ったのに殺人は拙いでしょ!」

父さんと妹たちに日の当たる世界で生きてほしいのに私の為に手を汚すなんて絶対だめです。何としても止めなければ・・・!

「ハッハッハ、もしかして私が前科持ちになるのを心配しているのかい?安心したまえハルナ」

優しく安心させるように言う父さん、どうやら分かってくれたみたいです。

「おあつらえ向きに君を大切にしているご老人たちは大勢いるからね、何かあっても彼らがもみ消すから心配はいらないよ」

訂正、全然わかってません。

「いやいやいやいや、ダメだからね!もみ消しても殺したって結果は残るからね!」

そこまで私の事を大切に思ってくれるのは嬉しいけれど同じくらい私が父さんたちの事を想っていることを忘れないでほしいです。

「あいつとのケリは私自身が付けるから父さんは手を出すの絶対禁止!わかった!?」

「むぅ、そこまで言うなら仕方ない。いいだろう、君に全部任せるよ」

釈然としないようですが何とか納得してくれた父さんにホッと一安心です。

まぁ、今あれこれ考えても答えは出ないんです。

結局あの魔導師ともう一度ぶつからなきゃ分からないなら今は万全の状態で戦えるようにしなければいけません。

「てなわけで今度こそ寝るよー」

「はいはい、夕飯の時間には起こすから、おやすみ」

私は「はーい」と返事をして布団の中で丸くなります。

やはりまだ体力が回復していなかったのかすぐさま襲ってきた睡魔に無条件降伏した私は速攻で夢の中へバカンスとしゃれこみました。

 

「ところでさ、父さん?」

その後夕飯の時間に起こされた私は食堂で父さんに聞きました。

「ん?何だい?」

「中華チョップがあるってことは『ドリル』とか『キャノン』もあったりするの?」

さっきの会議でネタとして父さんが出してきた義手、通称「中華チョップ」・・・。

あれは昔日本のネット界隈を賑わせた某中華ロボの武装の一つです。

そのロボにはほかにも近接用武器の「中華ドリル」と必殺技の「中華キャノン」が存在します。

詳しいことは中華キャノンで検索してください。

「ん~それなんだけどねぇ・・・」

おや?父さんにしては歯切れが悪いですね・・・。

「両方とも開発は難航しているんだ。ドリルの方は試作した義手、「ギムレット」は出来上がってるんだけど手首から先を高速回転させてるだけでドリルに変形する機能は作り出せていないんだ」

成程、どれだけ見た目がそれっぽくてもそれをドリルと言い張るのは確かに無理がありますね。

「で、中華キャノンの方は出力不足でね。魔力じゃ足りないから元ネタ通り台地からパワーを吸収させたいんだがそのメカニズムが解明できないんだ。今忍君に頼んで中国奥地から仙人をアドバイザーとして招く準備をしてるところさ」

何でこんなネタネタしいのをチョイスしたかと思えばあんたが原因か忍さん・・・。

「・・・てか、それを私に着けるつもりなの?」

「え?ほかにだれが使うんだい?」

・・・誰か父さんに最終攻撃機能を付けてください、速攻でキーボードのQキー押しますので。




中華キャノン・・・ちょうど作者が10代の頃に流行ったネタですが今の10代で知ってる人いるのでしょうか?
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