お姉ちゃんは0番改め機人長女リリカルハルナA's   作:Y.Sman

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お久しぶりです、今回も遅くなってすみません。
で、でも今回は前よりは早かったからいいよNE!
嘘ですごめんなさい、ちゃんと更新していきます。
と言う訳で機人長女リリカルハルナ最終話、始まります。


第22話「2期までちょっとのお別れなの」

Side なのは

ようやく戻って来たアースラ、その医務室・・・。

時の庭園にいたのは2~3時間くらいの筈なのに数日ぶりに戻ったような安心感を感じる。

最後の最後で悲しいお別れを迎えることになったけれど、私達は大きな怪我もなく無事戻って来ることが出来ました。

「はーい、関節くっつけるぞハルナー、とりゃ」

「ぎゃぴぃぃ~~っっ!!」

ハルナちゃんを除いて・・・。

Side Out

 

機人長女リリカルハルナ

第22話「2期までちょっとのお別れなの」

痛い痛いっ!

超痛い、マジ痛い、ぼっけえ(岡山弁)痛いっ!

体中傷だらけだし内臓もISの酷使でボドボドダ!

両脚はスラスターを限界以上に吹かしたからミディアムレアだし何より今一番痛いのが左肩!

「あー、だめか・・・も一回行こうか。君、ハルナを抑えといてくれ」

「分かりました。失礼しますよ、執務官・・・!」

父さんの指示で艦の医務官が私をガッチリ押さえます。

「それじゃあ行こうか・・・1、2、さーんっ!」

直後爆発する私の左肩(比喩)。

「ぎょへぇぇぇぇぇぇええええっっ!!!」

痛みに暴れますが医務官がバインドまで使って抑えているから殆ど動けません。

そのまま5分くらい押し込んだり諦めたりを繰り返してようやく「ゴキンッ!」という大丈夫じゃない音と共に痛みが治まりました。

「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ・・・」

「ふぅ、ようやくはまったか・・・じゃあ今度は脚の治療に移ろうか」

そう言って父さんがパチンと指を鳴らすと補佐していた医務官が私の足元にバケツを・・・膝から下がすっぽり入りそうな底の深~いバケツを置きます。

「・・・ね、ねぇ父さん?それって、それってまさか・・・」

私が尋ねても父さんは答えてくれません。

代わりに医務官さんがこれが答えだとばかりに消毒用アルコールをバケツになみなみと注いでいきます。

「ねぇ、待って・・・それおかしくない?もっとこう穏当な治療の方法があるんじゃないかな?ねぇ聞いて。お願いだから、ちょっ、まって!それ絶対痛いからっ!!」

泣いて命乞いする私の懇願は非常にも無視され、簀巻きにされた私の両脚は盛大にバケツの中に突っ込まれた。

「ぎぃゃあああああああああああああああっっっ!!!」

 

Side リンディ

医務室に盛大に響くハルナさんの悲鳴・・・。

さすがにやり過ぎではと思うけれどそれを止めることは私には出来なかった。

あの普段は剽軽なドクターがうっすらと笑みを浮かべながらも淡々と、しかも怒りのオーラ全開で行われる拷問染みた治療を誰が止められるだろうか?

いや、誰も居ない。

「あ、あの・・・フェイトちゃんは・・・?」

ハルナさんが気になるのか時たまチラチラと視線を向けながらなのはさんが私とクロノに聞いてくる。

「彼女は今回の事件の重要参考人だ、悪いが拘束させてもらった」

クロノが言う通り、フェイトさんはアースラに転送後検査を行い、怪我が無いことを確認後デバイスを没収の上で独房に入って貰っている。

「・・・これから、どうなっちゃうんですか?」

不安そうに尋ねるなのはさん。

他でもない、フェイトさんの事だろう。

「管理外世界での魔法行使に無許可での危険なロストロギアの収集活動、一部には公務執行妨害も適用される。本来なら厳罰に処されるんだが・・・」

「そ、そんな・・・!」

クロノの説明に蒼白になるなのはさん。

もぅ、クロノも言葉が足りないんだから。

「な・ん・だ・がっ!」

まだ説明の途中だと言いたいのか、その部分を強調しながらクロノは続ける。

「彼女が未成年である事、親から虐待を交えた強要があった事などから情状酌量の余地がある。おそらく数年間の社会奉仕処分が妥当な所だろう。何も知らされず母親の為に必死になっている子を不当に罰するほど管理局は落ちぶれてはいないさ」

そう言ってのけるクロノの声には誇らしさに隠れ、小さな悔しさが感じられた。

無理も無いわね、近年の管理局の組織的腐敗は目に余るものがあるから・・・。

高ランク魔導師を優遇する身内人事などは可愛いもの・・・中には現地での局員の犯罪を隠ぺいしたという事例すらある。

最高評議会のお三方や三提督が辣腕を振るっていた頃は浄化作用もあったが、彼らも人間だ。

老齢の域に入り刃の切れ味が鈍り始めると今まで大人しくしていた連中が脈動を開始したのだ。

(でも、まだ間に合う・・・。)

腐敗した局員は上層部とは言えまだ一部の人間だ。

大多数は清廉で実直、彼らと共に一丸となれば管理局の立て直しも不可能ではない。

「大丈夫!いざとなれば私がコネと権力で押し通すから!」

とりあえずまずは目の前の不正から正すことにしましょう。

お説教は長くなりそうだし、エイミィにお茶を用意するよう言っておかないと・・・。

そう心に決めた私は痛みから復活して公文書に残せなさそうな発言をするハルナさんを連れて艦長室に向かった。

Side Out

 

どうも皆さん、ハルナ・スカリエッティです。

あれから数日経つのに、まだお腹がもたれてます、ウプッ・・・さすが「リンディ茶濃い味」、すさまじい破壊力です。

次元震も順調に鎮静化し、もう数日したらアースラも本局に向けて出発です。

だからお別れ前になのはと少し話すことにしました。

「うぷ・・・そう言えばユーノは一緒に帰らないの?」

胃薬を処方しながら私はユーノに尋ねます。

「うん、なのはにもっとレイジングハートを使いこなせるようになって欲しいから」

ミッドチルダに帰るにあたりユーノとしてはなのはに助けてもらったお礼をちゃんとしたいとの事。

しかし着の身着のままで地球にやって来たユーノに渡せるものと言えばレイジングハートのみ・・・。

その為なのはを正式にレイジングハートのマスターとして登録するためにちゃんと魔法の基礎を勉強してもらうべく彼は地球への残留を希望した。

確かに、ジュエルシードやらフェイトやらガヤルドやらとのドンパチばっかりでなのはの魔法はよく言って戦闘特化、悪く言えば脳筋仕様です。

その為きちんとした基礎を教えるためにユーノは先生としてしばらく地球に残ることを決めたそうです。

「それに、高町家やお世話になった人たちにお礼と謝罪もちゃんとしたいし。主にお風呂とか温泉とか・・・」

「「「あぁ・・・」」」

ユーノの言葉に私達は一様に顔を引きつらせます。

件の一見は許してもらえたらしいですがあれ以来別の部屋を宛がわれ、なのはの部屋で寝泊まりすることを禁じられたそうです。

そりゃまあ健全な青少年を年頃の女の子と同衾させるわけにはいきませんわな。

もし私の妹が男連れてきたら速攻で撃ち殺す自信あるよ。

どこの馬の骨とも知れん輩に妹をやるもんか!

ん?馬の骨と言えば・・・。

「そう言えばガヤルド某はまだ見つからないの?」

「残念ながらな・・・」

そう、あれからガヤルド・チェンテナリオ・オプトーラの消息はつかめていません。

アースラも必死に探しましたが痕跡すら見つからず、ついに昨日で捜索は打ち切られました。

考えたくありませんが次元震に巻き込まれて・・・。

「・・・あ、そう言えばプレシアさんが探していたアルハザードって何なんですか?」

暗い雰囲気になりかけていた空気を払拭すべくなのはが話題を変えます。

「え?ああ、そうね・・・遥か昔に栄えたと言われている伝説の世界よ。高度な科学技術と魔法が発達してそこに行けば叶わない願いはないといわれているわ」

「しかし旧暦の昔に次元断層に飲み込まれ滅んだと言われている。今では名前しか残っていないおとぎの国さ」

何でも叶うおとぎの国か~、私だったら何を願うかなぁ・・・。

まず妹達が健やかに育つようお願いするでしょ?あとついでの父さんの変態が治りますように。それからあのマンガとあのゲームをアニメ化して欲しいし、あとそう!5000兆円ほしい!

私がそんなことを考えている間もクロノは続けます。

「プレシアはアリシア・テスタロッサの復活の為にあらゆる手を尽くした末に万策尽きた。だから彼女はそんなおとぎの国の奇跡に縋るしかなかったんだ・・・」

「・・・本当にそうなのかしら?」

クロノの意見にリンディさんが待ったをかけます。

「ふぇ?」

「どういうことですか艦長?」

「事件の時の彼女の言葉が真実なら、もしかしたらプレシアはアルハザードの存在を確信していたのかもしれないわ」

リンディさんの仮説に私を含めた一同は困惑を隠せません。

「そんな・・・」

馬鹿な、そう言おうとしたところで新たな闖入者の声が聞こえます。

「アルハザードは実在するよ」

「えっ?」

振り向けば父さんがコーヒー片手にこちらにやってきます。

白衣はヨレヨレ、目の下に隈が浮かんでいることから今までずっと重傷者の経過観察をしていたのでしょう。

「まぁもっとも、今どうなっているのかは分からんがね。あ、ハルナ。隣失礼するよ」

そう言って私の隣に座る父さん。

「ドクター、何故アルハザードが実在するって断言できるんですか?」

みんなが抱いていた疑問をエイミィが代表して質問する。

「そうだな、理由は二つあってね・・・ひとつはハルナを傷ものにしたあの間男の魔法陣さ」

「間男・・・ガヤルドなんとかの?」

確かに庭園で戦った時に見た彼の魔法陣は見たことが無い物でしたが・・・。

「あれはアルハザード式と言ってね、ミッド式やベルカ式に比べて汎用性や瞬間火力こそないが、順序だてて詠唱や術式を行使すれば圧倒的な射程と破壊力を有する魔法さ。旧暦よりはるか昔、アルハザードはその魔法で他の世界と核戦争染みた魔法の撃ち合いをしていたらしい」

つまり、ミッド式を銃、ベルカ式を剣に例えるならアルハザード式は大陸間弾道弾でしょうか?

何かすんげー使い勝手悪そうです。

射程と火力は凄いけど小規模戦闘ではオーバーキルだし何より接近されたら対処できないじゃないですか。

私がそう言うと父さんは当然だとばかりに頷きます。

「その通りだよ、実際常勝無敗だったアルハザード魔導師たちだが、対立していたベルカ騎士団の少数部隊に接近を許したとたんあっけなく壊滅したことも少なくなかったらしいし・・・」

ベルカとも戦争してたんですか?敵作り過ぎでしょう・・・。

そんなことを考えていた私ですが次の父さんの言葉に何もかも吹っ飛ばされました。

「そしてもう一つの理由だが・・・私自身がアルハザード人だからさ」

「「「「「「「・・・えぇぇ~~っっ!!?」」」」」

父さんの爆弾発言に驚きの声を上げる一同。

ちょ!?父さんがアルハザード人って・・・どういう事!?

あ・・・いや、待てよ。

確か父さんもおじいちゃんズがアルハザードの技術で生み出した人造生命の筈。

と言う事は・・・。

「ハルナは気づいたみたいだね。私はアルハザードの技術で造られた人造生命、そして・・・私の素体となった遺伝子こそ、アルハザード最高の頭脳と呼ばれた天才科学者、ジェイル・スカリエッティその人なんだよ」

そう言って胸に手を当てる父さん。

しかしその表情は悲しそうです。

やはり自分を生み出し、自身が再び実用化した技術がプレシアを凶行に走らせたことに負い目を感じているのでしょう。

全く、悪の科学者気取ってるくせに変なところでお人よしなんだから・・・。

「・・・父さん」

「ん?なんだ・・・」

「うりゃっ!」

私の声に父さんが振り向いた瞬間を見計らい、口の中になのはにあげようと用意していたロシアンルーレットガム(当たりの超酸っぱいヤツ)を放り込みます。

「むぐっ!?うげぇっ・・・!おげぇ・・・」

どうやらそのまま気管支に飛び込んだのか激しくむせてます。

「げほっ・・・ハルナぁっ!てめぇ何してけつかるぅ!?」

完全にキャラ崩壊を起こしながら掴みかかってくる父さん。

でも・・・。

「そう、父さんはそれでいいの!」

「・・・何だって?」

私の言葉に父さんが唖然とし、他の皆がキレた父さんにたじろぐ中私は続けます。

「父さんが悩むことなんてない、父さんはいつも通り馬鹿でいいの!だって父さんは何も悪くないんだから!」

技術は技術、力は力にすぎません、それで悲劇が起ったとしてもそれは使った人間にこそ罪と責任があるんです。

ノーベルもライト兄弟もフォン・ブラウンもアインシュタインも、彼らの生み出した技術はたくさんの命を奪う兵器になりましたがそれだって生み出した彼らに罪はありません。

何時だって誰かを傷つけるのは道具を使う人間なんですから。

「だから父さんがプレシアの事で気に病む事なんてないの。それにプレジェクトFは確かに彼女を狂わせたかもしれない、でもあれが無ければフェイトだって生まれなかった・・・父さんの技術は誰かを不幸にするものじゃないんだよ!」

「ハルナ・・・やれやれ、娘に諭されるとはね。私も年を取ったのかな?」

私が励まそうとしているのに気づいたのか苦笑する父さん。

「そうだね、それじゃあお言葉に甘えてそうさせてもらうよ。プっ!」

そう言うや否や、先ほど私が口に放り込んだロシアンルーレットガム(当たりの超酸っぱいヤツ)を口から発射します。

狙いは開いていた私の口・・・。

「んぐっ?おえぇぇっ!!?」

吐き出されたガムは案の定先ほどの父さんの焼き直しのように気管支に飛び込み、私は激しくむせかえります。

「クックックッ・・・あーっはっはっはっはっは・・・www!!!」

そんな私を見て大爆笑する父さん、ご丁寧に私を指さして完全に「m9(^Д^)プギャー!!」状態です。

この後何が起こったのかは説明するまでも無いでしょう。

そう、NA☆GU☆RI☆A☆I・・・DATH!飛び交う拳とお皿、吹っ飛ぶ椅子とテーブル、しれっと避難するリンディさんとクロノとエイミィ、そしてディバインバスターに吹き飛ばされる私達親子・・・。

乱闘開始からわずか20秒で私達は魔王モードのナノハサンに鎮圧されました。

「納得いかない!私は父さんの被害者だよ!」

「はぁ?何言ってるんだいハルナ?それを言ったら最初にガムを飛ばしてきたのは君だろう?」

「父さんの唾液交じりだった分私の方が被害でかいんですっ!」

「二人とももうちょっと頭冷やそうか?」

「「ハイッ!ゴメンナサイ!」」

こうして今日もアースラではチャメシ・インシデントな光景が繰り広げられるのでした。

(ハルナ、ありがとう・・・)

(はて?何のことやら?)

叱られながら念話でやり取りする私と父さん。

まぁ、たまにはこういういい話も必要だよね。

「二人とも、お説教されてるのに念話なんてずいぶん余裕だね・・・?」

アー、イイハナシダッタノニナー・・・。

結局頭冷やされるところまでがチャメシ・インシデントでした。

 

Side なのは

ハルナちゃんたちにお仕置きしてた翌日、私とユーノ君は海鳴のお家に帰ってきました。

アースラでの生活も快適でしたがやっぱり家のベッドに横になると落ち着きます。

ホッと一息ついてからカレンダーに目を向ける。

「5月30日・・・まだあれから一か月ちょっとしかたってないんだ・・・」

私とユーノ君が出会ったのが4月の半ば、そして明日が5月の終わり。

それだけしか経っていないのに私にはもう一年くらい経ったように感じます。

「それだけ、色々あったってことかな・・・」

怪我をしていたユーノ君を助けて、託されたレイジングハートで暴走したジュエルシードと戦って、ジュエルシード集めをするって決意してしばらく経ったらフェイトちゃんと出会った。

それから何度もぶつかり合って、途中からハルナちゃんたち管理局の皆がやってきて・・・。

そう言えばその後ハルナちゃんが大けがをしたんだっけ・・・相手はガヤルド君、何でハルナちゃんを狙っているのか結局聞けなかった。

行方不明だけどハルナちゃんやジェイル先生はあの子はきっと生きているって言ってた。

なら、次に会った時は必ずお話ししよう。

そして、フェイトちゃんと二人で協力して残りのジュエルシードを封印して、その後はお互いのジュエルシードをかけて最初で最後の本気の勝負に挑んだ。

最後は、皆で時の庭園に乗り込んでまたフェイトちゃんと力を合わせて戦った。

結局プレシアさんを止めることも助けることも出来なかったけど、次元断層は防げた。

私達のやったことは決して無駄じゃなかった。

こうしてジュエルシードを巡る事件は一応の終わりを見せた、けど・・・。

「・・・フェイトちゃん」

やっぱり気になるのは、フェイトちゃんの事。

友達になりたくて何度も呼びかけ続けた、きれいな目をした女の子・・・。

リンディさんもクロノ君も大丈夫って言ってくれたけれど、やっぱり気になります。

「もう一度、会いたいな・・・」

そう呟きながら夢の世界に旅立った私は、まさかその願いが翌日叶うとは思ってみませんでした・・・。

Side Out

 

『プルルルル、プルルルル・・・』

通話ボタンを押して少し経ったけど、未だ繋がらずコール音が繰り返される。

「うーん、やっぱり朝早くは拙かったかなぁ・・・」

先日なのはが携帯を持っているというので番号とアドレスを交換したんですが・・・さすがに朝6時じゃあ小学生は寝てるでしょう、なのはが電話に出る気配が無いことに私はため息をつく。

実はここだけの話、携帯の電話帳に友達の番号が増えて嬉しかったりします。

家族とすずか達の携帯を除けば登録してあるのマリィ(ハルナの為にわざわざ購入した)のだけでしたから・・・そこ、ボッチ言うな!

「仕方ないだろう?時間が無かったんだ」

ため息をつく私を窘めるクロノ。

「そうは言うけどさぁ・・・」

次元振の余波が安全レベルまで収まったのが1時間前、その直後に「早く帰ってこい」と本局からお達しがありました。

全く、船も人も足りてないからって人使いが荒過ぎでしょうに・・・。

そんなわけで現在アースラでは慌ただしく出発の準備を始めました。

恐らく明日には本局に向けて出発します。

だからその前になのはに会いたいというフェイトのお願いを叶えるためにアースラメンバーは人肌脱ぐことにしました。

なのはとの面会許可の書類や重要参考人の外出許可書類を大急ぎで作成、リンディさんのハンコを貰って速攻で受理しました、出発準備そっちのけで・・・。

そんなこともあり現在アースラでは準備の遅れを取り戻すべく入稿前の作家先生が如き状態で作業を行っています。

なのでなのはとフェイトの面会に立ち会うのはアルフを除いて私、クロノ、父さんと現在仕事が無い面子がそろいました。

実際は報告書やら何やらで忙しいんですけどね、そんな事よりも絶対こっちが重要ですからほっぽって来ましたよ!

「あ、繋がった」

『ハイ・・・もしもしハルナちゃん?』

電話の向こうからちょっと寝ぼけた感じのなのはの声が聞こえてきます。

「ヒューヴェーフォメンタなのはー」

『ふぇ?ひゅ、ひゅーべー・・・?』

『ヒューヴェーフォメンタ、フィンランド語でおはようと言う意味ですマスター』

さすがに小学三年生にフィンランド語は難易度が高すぎたようです。

レイジングハートに説明され理解したなのはがおはようと返してきます。

『なるほど・・・おはようハルナちゃん、どうしたの?』

「うーん、実は残念なお知らせでね、私達明日には帰ることになっちゃったのさ」

私がそう言うとなのはは驚いたのか『ふぇぇっ!?』と声をあげます。

「そんなわけでお別れ前に何とかしてフェイトに会えるよう手配したの」

『ほ、本当!?』

聞き返してくるなのは、その声は喜びの為か若干上ずっています。

「ホントホント、だから朝早くで悪いんだけれど今から海鳴臨海公園に来てくれないかな?」

『うんっ!分かったっ!』

全く人を疑うと言う事をしないなのはが本当に心配になってきました。

これ、相手が私だからいいんですけど知らない人だったらどうするんでしょうね?

今度恭也さんとそのあたりについて話し合う必要がありそうです。

可愛い妹は何としても守らなければ・・・(使命感)

それから30分くらいでしょうか。

「フェイトちゃーんっ!」

公園の海辺付近で待っていたら入口の方からなのはが駆けてきました。

恐らく家から走ってきたのでしょう、運動音痴なのにがんばりましたねぇ・・・たどり着くと肩で息をしています。

「そんなに慌てないの、とりあえず深呼吸しよっか?はい、ひっひっふー、ひっひっふー・・・」

「ひっひ・・・って、それは赤ちゃんが生まれるときの呼吸だよっ!」

魔法戦で鍛えられたのかツッコミを入れるだけの余裕はありました。

「全く、馬鹿な事やってないで行くぞ」

その声と共に後ろから引っ張られる感触・・・。

振り返れば呆れた顔のクロノが私の襟首を引っ張ってるじゃないですか!

「やめろー!放せー!服が伸びる~!」

「どうせユニク○のセール品だろう、いいから来るんだ」

畜生、否定はしないけどなんか悔しい。

そうして引っ込められる私と後退でフェイトが前に出ます。

・・・まあ確かに、お邪魔虫は退散したほうがいいでしょうね。

だって今日は二人にとって、とても大切な日になるんでしょうから・・・。

 

Side フェイト

執務官たちがアルフと一緒に離れていく。

本来ならあの艦・・・アースラから出ること自体許されない筈なのに私の為に無理をしてここに連れてきてくれた。

本当に優しい人たちだ。

彼らも、そして目の前のこの子も・・・。

「・・・」

「・・・・・・」

無言で見つめ合う私と彼女・・・。

どうしよう、何を言ったらいいのかな?

アースラであれこれ考えてきたのに、いざ向かい合ったら全部吹き飛んでしまった。

「えへへ、色々お話ししよと思ってたのに・・・フェイトちゃんの顔見たら全部忘れちゃった」

どうやら彼女も私と同じらしい。

「うん、わたしも・・・上手く言葉にできない・・・」

そのことに同意した直後二人とも沈黙する。

どうしよう、何を話そう・・・。

私が話したいことは、私が今思っていることは・・・。

「でも、嬉しかった・・・」

「えっ?」

それを考えたら自然と言葉が出た。

「嬉しかった。まっすぐに、向き合ってくれて」

私のその言葉に彼女はまぶしいくらいの笑顔になる。

「うんっ、友達になれたらいいなっておもったの」

しかしそう言った直後、彼女の顔が曇る。

「でも、もうこれから行っちゃうんだよね?」

それを聞いた私も気分が重くなる。

「・・・うん、そうだね。少し長い旅になる」

そうだ、もうすぐこの子と別れなくちゃいけない。

それを考えるととても苦しい、とても悲しい。

「また、会えるよね?」

その言葉に私はハッとなる。

そうだ、これが永遠の別れになる訳じゃない。

またいつか必ず会える。

そう思い、心が軽くなった私は微笑みながら頷いた。

「少し悲しいけれど、やっと本当の自分を始められるから」

そのための最初の一歩、犯してしまった罪を償ってこれまでの自分にけじめをつける。

だからそれまで少しお別れ。

「あっ・・・うんっ」

また笑顔が戻ったところで私は何を伝えようとしていたのか思い出す。

「今日来てもらったのは、返事をするためなんだ」

「返事?」

聞き返す彼女に私は頷く。

「あの時君が言ってくれた言葉、友達になりたいって・・・」

「あっ・・・!」

「その、私でいいなら・・・私にできるならって・・・!でも、どうしたらいいか分からない」

今まで友達なんて作ったことが無かった。

だから友達になるには何をすればいいのか分からない。

「だから、教えて欲しいんだ。どうしたら友達になれるのか・・・」

我ながらひどいことを言っていると思う。

友達になりたいと言いながらそのためにどうしたらいいのか教えて欲しいと尋ねるなんて・・・。

そんな自己嫌悪と不安から俯いていると・・・。

「簡単だよ」

「え?」

「友達になる方法、すっごく簡単なんだよ」

そうしてこの後言った彼女の言葉を、私は生涯決して忘れないだろう。

「・・・名前を呼んで」

ただ一言、なのにその一言が私を胸にしみわたる。

「初めはそれだけでいいの。『君』とか『あなた』じゃなくってちゃんと相手の目を見てはっきり名前を呼ぶの。私、高町なのは・・・なのはだよ」

改めて自己紹介する彼女、ううん・・・なのは。

それは今行った言葉の通り名前を呼んで、友達になろうなのはから差し伸べられた手。

私に拒絶されても諦めなかった勇気の結晶。

だから、今度は私が勇気を見せる番だ。

「な・・・の、は?」

「うんっ、そうっ!」

恐る恐る、名前を呼ぶとなのはが嬉しそうに答える。

「なの、は・・・」

「うんっ」

もう一度呼ぶ、さっきより私達の距離が近づいた気がした。

「なのは・・・」

「うん・・・」

三度目、涙目で頷きながらなのはは私の手をそっと握る。

掌越しになのはの温もりを感じた。

「君の手は温かいね、なのは・・・」

「・・・!グスッ・・・」

私の言葉に、ようやく友達になれたことに感極まったのかボロボロと涙を流すなのは。

気付けば私の目からも涙が流れていた。

ああ、そうか・・・。

私、なのはと友達になれて嬉しいんだ。

でも、折角友達になれたなのはともうすぐ離れ離れになってしまう。

それがとても寂しくて、悲しくて・・・。

「少しわかったことがある・・・友達が泣いていると、自分まで悲しい気持ちになって来るんだって」

「っ!フェイトちゃんっ!!」

遂に涙を堪えきれなくなったなのはが泣きじゃくりながら私を抱きしめる。

「ありがとう、なのは」

そう言って私もなのはを抱きしめる。

身体に伝わってくる彼女の温もりが温かい。

叶うならずっとこうしていたい、なのはの温もりを感じていたい・・・。

でもそれは許されない。

私は行かなきゃいけないから、重ねた罪を償うために。

だから・・・。

「今は離れてしまうけれどきっとまた会える、そうしたらまた君の名前を呼んでもいい?」

「うん・・・うんっ!」

だから誓おう、また会おうと。

「会いたくなったら、きっと名前を呼ぶ。だからなのはも私を呼んで?なのはが困っていたら今度は私がなのはを助けるから」

「うんっ、フェイトちゃんっ・・・!」

私は生涯決して忘れないだろう。

本当の自分を始めた日を。

そのきっかけをくれた人を。

そして、そんな彼女と友達になったこの瞬間を・・・。

Side Out

 

「グスッ・・・あの子はさ、なのははさ・・・本当にいいこだよ・・・クスン、フェイトがあんなに笑ってる・・・」

公園のベンチに座り二人を見守っていた私達。

二人が泣いた辺りからアルフもボロボロと泣き始めた

ずっとフェイトっと一緒にいたからです、今までずっと辛い目に遭ってきたフェイトがようやく心から笑えたのが嬉しくてたまらないのでしょう。

クロノも父さんも、あとアルフの涙を拭うユーノ(フェレット形態)も優しそうに微笑んでいます。

え?私ですか?

「ヴぇぁああああああああああ~」

フェイトがなのはの名前を呼んだ辺りからすでに大号泣ですよ!

涙腺はおろか鼻の粘膜まで完全崩壊を起こして涙と鼻水がフタの空いたペットボトルをひっくり返したみたいに出てきます。

「ハルナ、顔がうるさいよ。今いいところなんだから静かにしてくれないかな?」

うっさいのは父さんです!

いいところだから泣いてるんじゃないですか!

ああ、また鼻水が・・・あれ?ティッシュ使い切っちゃってる。代わりに何か・・・涙で視界もにじんでよく分かんない・・・あ、なんかタオルっぽい物あった、これでいいや・・・ズビズバーっっ!!

「ぎゃぁぁぁっ!お約束ぅぅぅぅ!!!」

何かうるさい父さんの絶叫に紛れてクロノの足音が聞こえます。

涙を袖で拭うとなのはとフェイトに近づいていくクロノの姿・・・。

「すまないがそろそろ時間だ・・・」

どうやらアースラに帰る時間になったようです。

名残惜しそうになのはから離れるフェイト・・・。

「フェイトちゃんっ!」

そんな彼女を引き留めたなのはがおもむろに自分のツインテールに手を伸ばしました。

 

Side なのは

髪を結んでいたリボン・・・それを解いてフェイトちゃんに差し出します。

フェイトちゃんに何か渡したいけれど急いできたから何も用意できなかったから。

「思い出にできそうなもの、こんなのしかないけれど・・・」

「うん、じゃあ私も・・・」

そう言ってフェイトちゃんも髪を結んでいた黒いリボンを解いて私に差し出します。

海風を受けてフェイトちゃんの長くてきれいな金髪がサラサラとなびく。

「ありがとう、なのは・・・」

「うん、フェイトちゃん・・・」

リボンを交換し合いながらお別れの言葉を交わします。

「きっと、また・・・」

「うん、きっとまた・・・!」

ううん、ちがう・・・。

これは約束です。

今は離れ離れになるかもしれない、でもいつか必ずまた会おうっていう約束。

私達がそうして約束を交わすと背中にユーノ君が乗る。

どうやらアルフさんが下ろしてくれたみたいです。

「ありがとう、アルフさんもげんきでね」

「ああ、なのはも。ありがとね?」

「それじゃあ僕も」

「うん、クロノ君も元気でね」

「ああ」

アルフさんやクロノ君とも言葉を交わす。

「に゛ゃに゛ょはぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛~~~!!!」

ハルナちゃんとも・・・って、うわぁ・・・。

どれだけ沢山泣いたんでしょうか?

涙と鼻水で顔が何かもうすごいことになってます。

「フェイトは私が守るからっ!絶対なのはに会いに行けるようにするかなねーっ!!」

「う、うん・・・」

ハルナちゃん、今までたくさんお世話になって今もこうしてフェイトちゃんの為に頑張ろうとしてくれてる。

でも、さすがに今は近づき辛いです・・・。

「はいはい、分かったからハルナ、とりあえず涙・・・いやその前に鼻水拭こうか」

そう言ってハルナちゃんを引っ込めるジェイル先生。

普段来ている白衣は何故か脱いで手に・・・うん、何やら謎の粘液でデロデロになった白衣を見て大体わかりました。

「そう言う訳だ、フェイト君の事は私たちに任せてくれたまえ」

「はい、ありがとうございます」

そうしてお別れを言って、いよいよ本当にお別れの時が来てしまいました。

皆の足元に展開される魔法陣・・・。

このままアースラに転送されるんでしょう。

(バイバイ、またね・・・)

次第に魔法陣は光を増していきます。

(クロノ君、アルフさん・・・)

(ジェイル先生、ハ、ハルナちゃん・・・)

って、ハルナちゃん・・・そんな号泣しながらブンブン手を振っていたら・・・ほら、クロノ君とジェイル先生にぶつかってる・・・。

何度もぶたれて遂に我慢できなくなったのかクロノ君とジェイル先生に頭を叩かれるハルナちゃんに苦笑してから私は彼女を見つめます。

(フェイトちゃん・・・)

私が顔を向けるとフェイトちゃんが手を振ってきます。

「・・・っ!」

わたしも手を振り返します。

前にハルナちゃんが言ってました。

これは悲しいお別れじゃない、フェイトちゃんの新しい旅立ちなんだって。

だから笑顔で送り出そう、フェイトちゃんが笑って歩いていけるように。

そうして笑顔で見送っているうちに魔法陣はひと際強い光を放ち、それが収まると皆は転送された様でそこには誰も居ませんでした。

聞こえるのは風と波の音、そして海鳥の鳴き声だけ。

穏やかなその音色はこれまでの大冒険が夢だったのではないかと思わせます。

ううん、夢じゃない。

「なのは?」

「うん、平気・・・」

こうしてユーノ君と出会ったのも、ジュエルシードを巡ってフェイトちゃんとぶつかり合ったのも、そのフェイトちゃんと友達になれたのも。

そして、また会おうって約束したのも。

お別れは少し寂しいけれど、でも大丈夫!

だって・・・。

「きっとまた、会えるからっ」

そう、だって・・・また会えるから!

Side Out

 

Side ???

やぁ、目が覚めたかい?

そんな顔しないででもらいたいなぁ、仮にも私は君の命の恩人だというのに・・・。

全く、苦労したんだよ?管理局の艦に見つからずに君を回収するのは。

まぁいいさ、別に君から感謝の言葉を聞きたいから助けたわけじゃないからね。

あれからどうなったのかだって?

キミも予想はついているんじゃないかな?庭園は崩壊、時空震は沈静化・・・「ジュエルシード事件」はこれにて解決さ。

しかし、君があそこまでボロボロにされたのは予想外だったよ、一体誰にやられたんだい?

何?スカリエッティ?

クククッ・・・そうか、それは実に興味深い。

まさか「無限の欲望」の遺伝子がこの時代で蘇るとは・・・。

とは言えさすがに君はやり過ぎた。

恐らく管理局も警戒しているだろう、当面は大人しくしてもらうよ。

そんな怖い顔をしてもダメなものはダメさ。

君の望みは叶わなかった、それが答えだ。

なら、今何をするべきかは分かるだろう?

・・・結構、では今は休みたまえ。

幸い今回の一件で面白いものが手に入った、少し台本に手を加えれば舞台は一層にぎわうだろう。

その準備も必要だからね、今は雌伏の時さ。

それではよい夢を、ガヤルド・チェンテナリオ・オプトーラ・・・。

Side Out

 

こうしてジュエルシード事件、またの名をプレシア・テスタロッサ事件と呼ばれる地球におけるジュエルシードを巡る一連の事件・・・魔法少女リリカルなのはの第1期に当たる魔法少女達の物語は幕を閉じました。

何やらどこかで陰謀が渦巻いているみたいですが兎にも角にも地球の平和は護られ、何よりフェイトが新たな一歩を踏み出したのです。

今後もいろいろな事件が待ち受けているでしょうがそんな事関係ありません。

父さん、は足を洗ったからいいとして・・・妹達に真っ当な人生を送ってもらうためにもお姉ちゃんの戦いはまだまだ続きます!

行け!リリカルハルナ!戦え!リリカルハルナ!

妹達が幸せになるその日まで!

 




分かってると思いますがあくまでアニメ1期編の最終話です。
物語はちゃんと続きます。
機人長女リリカルハルナA's・・・の前に幕間を何話かお送りする予定ですのでお待ちください。

現在オリキャラの名前を募集してます、詳しくは活動報告をご覧ください。
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