お姉ちゃんは0番改め機人長女リリカルハルナA's 作:Y.Sman
今回スカさん以外の原作キャラが登場します。
やっほー、みんなのアイドルハルナちゃんです。
皆は元気にしているかな?
私?私はね・・・
父さんと二人、絶賛逃走中ですw
機人長女リリカルハルナ
第3話「お姉ちゃんは逃走者」
冒頭で述べた通り、私と父さんは、追っ手を撒くべく全力疾走で通路を駆けています。
二人とも両手にカバンやアタッシュケース、背中にはそれぞれリュックと唐草模様の風呂敷を背負ってます。
どれも限界を超えて物を詰め込んだのかはちきれそうな位パンパンに膨らんでおり、さながら漫画の夜逃げのシーンみたいです。
そもそも事の発端は三日ほど前・・・。
この施設、時空管理局上層部・・・と言うか最高評議会の支援を受けているんですが、スポンサーたるノーミソ老人会の方々が研究の成果を発表しろと言って来ました。
此処での研究成果とはもちろん戦闘機人、つまり私です。
想像してみてください。性能テストと称して私に課せられるであろう苦行を・・・。
出力テストと称して精魂尽きるまで行われる魔法行使、耐久テストと称して行われるであろう魔導士たちによる集団リンチ。
あくまで私の想像なので実際にそれが行われるかは分かりませんが、やらされるかも知れない側からしてみればたまった物ではありません。
てなわけで父さんとの家族会議の結果、管理局に施設の場所と活動内容をリークし、強制捜査が行われている隙を突いて脱走しようという結論に至りました。
結果、情報のリークはうまく行き、正義感溢れる管理局の捜査官さん達が研究所に突入してきたまではよかんです。
よかったんですが・・・!
問題は時間です。早すぎたんですよ。
当初の予想では1週間位で来るだろうと思っていた局員達が通報からわずか3日でやってきやがったんです。
「仕事しすぎでしょ管理局!?こんなんだから魔王様がワーカーホリックになっちゃうんだ~!」
局のガサ入れが入ったと知った直後の私らの行動は惚れ惚れする位迅速でした。
部屋に用意していたカバンに当座の生活資金とデバイスや必需品、最悪捕まったときの司法取引に使う研究データや遺伝子サンプルなどを詰め込んで転送ポートに向かいます。
向かったんですが・・・。
「こらぁ~待ちなさ~い!!」
逃走開始から10秒で捜査官に見つかりました。
んで壮絶な追跡劇を演じながら今に至ります。
しっかしこれだけの荷物を背負いながら後先考えずの全力疾走、戦闘機人の私は大丈夫なんですが隣を走る父さんはそろそろ限界っぽいです。
しかも今回は相手が悪すぎます。
「待てっつってんでしょう!?止まりなさぁい!!」
紫がかった青い髪をなびかせながら、履いているローラーブーツで私達を追いかける両手ナックルのおねえさん・・・
どう見てもクイント・ナカジマさんです。本当にありがとうございます。
やばいです、何かもう殆ど詰んだ感じです。
このままクイントさんに御用になって父さんと二人塀に囲まれたお家ENDとか涙を通り越して笑えます。
あ、待てよ・・・もしかしたらクイントさん家の子になってハルナ・ナカジマとして3期参入とかの可能性も・・・
「ゼェ・・・ゼェ・・・ハ、ハルナ。今何かとてもよからぬことを考えてないかい?」
「え、何言ってるのさ?ソンナコトアリマセンヨー?」
「待って!何でそこ半角カタカナなの!?ねぇ何で!?」
意外とまだ余裕そうな父さんとコントを繰り広げている間にクイントさんは私らとの距離をじわじわと詰めて来ました。
どうにかして振り切らないとと考えていた私の目に打開策が飛び込んできました。
「よしっ・・・ぶっとべ必殺!ふり~が~・・・」
私はそれに向けて右腕を・・・
「シュレーク!!」
ぶちかましました。
言ってませんでしたが、私の両腕は肘から先が義手なんです。
どうしてかって?
そのほうがかっこいいからだ!キリッ
ああ、ちなみに左手はロケットパンチじゃなくて機関銃が内臓されてます。
グフのフィンガーバルカンみたいな感じですよ。
ロケットパンチよろしく発射された私の右腕は狙い違わず壁に埋め込まれていた赤い非常スイッチに直撃します。
防護カバーをかち割り中のスイッチを力任せに押し込む私のゲンコツ・・・。
すると重い警報の音と共に天井と床から分厚い防火扉がせり出してきます。
この扉、もし私が暴走した場合にと作られた物で厚さ200ミリとかいう頭のおかしい造りになっています。
もちろんこの間を潜ろうとして失敗しようものならまちがいなくペッタンコです、体から色々な物がはみ出すことでしょう。
故に減速なんて出来ません。最高速度のまま防火扉を走り幅跳びの要領で潜ります。
さらにもう一枚防火扉、これも同様に飛び越えます。
分かりやすく言うならカリオストロの城の序章でルパンと次元がやってた逃走方法です。
危険なのでマネしないでください。最悪の場合リアルに転生とかしちゃう可能性があります。
背後で扉の閉まる音・・・どうやら危機は脱したようです。
スペアの義手を取りつけながら父さん共々ホッと一息、さすがにきついので速度を緩めようとすると・・・
ガァン!
・・・何やら背後から嫌な音が聞こえました。
例えるならそう・・・戦車の装甲に砲弾が命中した感じの音です。
それが2回、3回・・・。
恐る恐る父さんと後ろを振り返ると、扉が・・・厚さ200ミリの扉が変形しています。
ボコボコと泡のような丸いふくらみが次々に打ち込まれ・・・。
大体10回目くらいで扉が吹き飛びました。
もうもうと立ち込める煙、その無効からユラリと人影が現れます。
「ま~た~ん~か~!」
その声を聞いた途端、すぐさま回れ右、全速力で逃走を再開です。
怖い!何かもう滅茶苦茶怖いですよ!?クイントさん!
もうね、目を爛々と赤く光らせて追っかけてくる姿がまさに悪鬼羅刹の如くです。
てか、あの防火扉と言う名の鉄塊をぶち破るとか・・・
あの人本当に人間ですか!?
「あはは・・・彼女の遺伝子を基にした戦闘機人はさぞかし強いんだろうな~」
ええ、強いですよ、ぶっちゃけアニメ3期で主人公できるくらいにはね!
てか現実逃避しないでよ父さん!
あぁ、そんなこと言ってるうちにクイントさんが鬼の形相で迫ってきます。
こうなったら・・・仕方ない!
「あ~ハルナ、私を差し出して助かろうとかはやめてもらえないかな?」
「いや、しないから!せっかく意を決したのに色々台無しじゃん!?」
そして減速、クイントさんに向き直ります。
「父さん、先に行って。転送ポートの準備が出来たら私も直ぐに行くから・・・!」
「待ちたまえ!何を言ってるんだ!?」
立ち止まる父さん、心配してもらってちょっと嬉しいです。
「大丈夫!転送ポートの準備が出来るまで時間を稼ぐだけ、準備できたら直ぐ行くから!」
父さんは一瞬戸惑うものの分かってくれたようで転送室へ走っていきました。
さて、改めてクイントさんと対峙します、正直怖くてちびりそうです・・・。
「投降しなさいお嬢ちゃん、抵抗しても罪が重くなるだけよ」
「私も出来れば戦いたくは無いんですが、こっちにものっぴきならない事情がありますんで・・・」
そう言って私はデバイスを起動する。
足元に青白いベルカ式の魔方陣が輝きます。
「いくよ!マギア・イェーガー!」
『anfang・・・』
首から提げてた羽型のネックレスが光り、私の体が包まれる。
以下変身シーンをご鑑賞(妄想?)ください。
光の中に浮かぶハルナちゃん。
何処からとも無く再生されるカッコいい系のBGM。
着ていた診察衣が光の粒子に変わり消える。
続いて下着も同様に消える。(ブラはまだしておりません)
手に持つネックレスが光り、何処からとも無くいろんなパーツが飛んでくる。
ガシャコンガシャコンと勇者ロボよろしく合体していくパーツたち・・・
全体的に小型化されたM60のような形状になり、最後にマガジンがくっつく。
薬室内にカートリッジを装填。
グリップを握ると展開される騎士甲冑。
灰色をした軍服調のアンダーウェア。
そこかしこに装着されるメカメカしいパーツ
大き目のコートを袖を通さずマントのように羽織り。
背中に現れる、Wガンダムの翼っぽい形状の浮遊パーツ。
これまた大き目の制帽を頭に乗っける。
最後にイェーガーを構えて決めポーズ(ビシッ)
以上、機人長女リリカルハルナの変身シーンでした。
騎士甲冑を展開した私は、イェーガーの銃口をクイントさんに向けます。
「・・・今すぐデバイスを下ろしなさい。そうすれば公務執行妨害は無かったことにしてあげる」
拳を構えるクイントさん、目がマジです、平静を装ってますが今すぐ逃げ出したいです。
そのまま数秒緊迫したままお互いにらみ合いが続きます。
チャンスは一度・・・私は頭の中でタイミングを計ります。
そしてカウントがゼロに達した瞬間私はイェーガーの引き金を引きました。
銃口から撃ち出された魔力弾は狙い違わず超音速で目標に命中します。
そう、逃走経路たる転送ポート目指して全力疾走してくるここの研究員の顔面に・・・
「ぶべらっ!?」
魔力弾(もちろん非殺傷)がクリティカルヒットした研究員さん、事態が飲み込めずフリーズするクイントさん。そう、今が絶好のチャンス!
「それじゃあその人のことお願いします!」
彼のことをクイントさんにお任せして私は父さんの元へ飛んでいきます。
「え?あっ・・・ちょ、待ちなさい!」
後ろからクイントさんの声が聞こえてきますが無視です、今は脱出が最優先ですから。
え?薄情?おとりにされた研究員さんが可愛そうだって?いいんです、あの人いつも私の事をなんかいやらしい目で見てましたし、インガオホーです、急いでるからハイクは省略です。
途中いくつもの防火扉を下ろしながら私は転送ポートにたどり着きます。
「おまたせ~!」
「あぁ、こちらももう少しで終わるところだよ」
パネルを色々打ち込んで転送ポートを起動させる父さん。
「そういえば父さん、ここを出た後はどうするの?」
「そうだねぇ~ハルナは何かやりたいことはあるかい?」
そう問われ暫し黙考・・・おぉ!ひらめいた!
「地球で暮らすって言うのはどうかな?」
「地球か・・・確かにいいな。出来れば週一で秋葉原に通えて尚且つ有明にも行きやすい場所が・・・」
父さんと二人で今後の人生計画(ただの妄想)を練っていると・・・
ガァン!!
「っ!!まさか・・・!?」
クイントさん・・・もう研究員をしょっ引いてきたのか!?
破壊音は次第に大きく、近くなり彼女がここに来るのは時間の問題のようです。
「間に合わないか、こうなったら・・・!」
突然身体が中に浮く、と思ったら父さんにも抱きかかえられていました。
「えっ!父さん!?」
転送ポートに乗せられる私、父さんは再び操作盤に戻ります。
「すまないね、ハルナ・・・せめて君だけでも脱出してくれ」
・・・え?
「どうも管理局が妨害しているらしくてね・・・一定質量以上のものは転送できないんだ。だが君一人くらいの質量なら跳ばせる」
父さんはなんと言った?私しか脱出できない・・・?
「一緒に行きたいのは山々なんだが後ろから怖いおねえさんが来ているしね・・・システムをハッキングしている時間が無いんだ・・・」
ならクイントさんを倒せば、厳しいけどやって出来ないことは・・・!
「それこそ駄目だよ。君の手を血で汚すわけにはいかない・・・」
悲しそうに笑う父さん・・・。
「いや・・・。イヤだよそんなの!」
なんでそんな顔してるのさ、父さんは『無限の欲望』なんでしょ!?もっと不敵に、いつもみたいに顔芸でもしてみせてよ!
私はいま悔しい気持ちで一杯でした。
自分がもっと強かったら、クイントさん相手でも互角以上にやりあえるのに、それ以前に管理局に通報することなく独力で脱出だって可能なはず・・・
「さすがに殺されることは無い筈だよ、最高評議会のお三方にとっても私はまだ必要だろうしね・・・」
まぁ、当分は軟禁生活かな・・・なんて笑っていますが嘘だ、父さんは間違いなく死を覚悟している!
分かっているのだろうか?自分が非合法な手段で生み出された違法研究者だということを、事態の露見を恐れた最高評議会が父さんを生かしておくとはとても思えない。
ここに残るということは間違いなく死を意味しているのに・・・。
「本当に・・・また会えるよね・・・?」
そう聞いてしまった。
叶わないと分かっていても聞かずにはいられなかった。
「ああ、約束だ。」
ガシャアァァァン!!
直後、一際大きな破砕音が響きました。どうやら最後の隔壁が破られた様です。
「それじゃあ始めるよ。元気でいなさい、ハルナ・・・」
「サヨナラは言わないよ、父さん。まだ妹の顔も見てないんだからね」
「もちろんだよ。またいずれ・・・」
実行キーが押され、転送が開始されます。
「うん。またね・・・」
そして父さんを取り押さえようと突入してきたクイントさんと、最後まで私に微笑みかける父さんを最後に私の視界は光に包まれました。
ハルナちゃんのバリアジャケットのデザインはジャーマンな国の将校制服です。
なのにデバイスの形状はM60です。
スタローンやシュワちゃんも御用達の素敵な分隊支援火器、ミリタリーショップで電動ガンを衝動買いしたのはいい思い出w