お姉ちゃんは0番改め機人長女リリカルハルナA's   作:Y.Sman

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あけましておめでとうございます。
年末年始の休みでようやく筆が乗って投稿できましたw
ちなみに今回オリキャラが登場しますが今後本編で活躍するかは未定です!(ヲイw)
それでは本編どうぞ、今年もよろしくお願いします。


第31話「一人でどうにもできないときは素直に他の人を頼りましょう・・・なの!」

Side なのは

「わぁっ・・・!」

「すごいいい眺め・・・あっ、あそこ見て!私の家っ!」

「ほんとだ・・・!」

いま私たちは海鳴のとある高層マンションにいます。

無事退院した私とフェイトちゃんはあの後、管理局の偉い人でクロノ君やリンディさんの知り合いのギル・グレアム提督とお話ししました。

グレアム提督は私と同じ地球出身でイギリスの人らしいです。

なんでも子供の時に管理局の魔導師さんを助けたことがきっかけで入局したそうで、私とユーノ君に事情が少し似ています。

そうして楽しくお話ししていた所でクロノ君が闇の書という名前を出した途端グレアム提督の雰囲気が変わりました。

どこか張りつめた・・・ピリピリとした緊張感がグレアム提督から感じられました。

闇の書・・・大昔に作られたロストロギアでグレアム提督やクロノ君のお父さん、そしてハルナちゃんとかかわりがある魔法の本らしいです。

クロノ君の話ではこの事件をアースラチームが担当することが決まったそうです。

同時に私とフェイトちゃん、そしてハルナちゃんも捜査に参加するとのこと。

最後に部屋を出る前にグレアム提督はクロノ君に「あまり熱くなるなよ」と話していました。

でもその表情は何かを思い詰めているような・・・そんな風に見えたのは私の見間違いだったのでしょうか?

本局での出来事を思い出しているとふとお部屋の呼び鈴がなりました、誰か来たみたいです。

「「こんにちはー!」」

「アリサちゃん!すずかちゃん!」

「いらっしゃい、二人とも」

やって来たのはアリサちゃんとすずかちゃんでした。

「こんにちは、フェイトちゃん」

「実際に会うのは初めましてよね」

「うん、なんだか変な感じだね・・・」

お互いビデオレターでやり取りしていたから初めてという感じがしません。

「あれ?そういえばハルナちゃんは?」

暫くお話ししているとすずかちゃんがハルナちゃんがいないことに気付きます。

あの事件から二日・・・本局の病院にお見舞いに来て以来、ハルナちゃんの姿を見ていません。

どうしたんだろう?もしかしてハルナちゃんの身に何かあったのかな?

ううん、あんなのでもハルナちゃんはクロノ君とおなじ執務官でとっても凄い魔導師です。

きっと私達の知らない方法で事件の事を調べている・・・そう思いたいですがやっぱりちょっと心配です。

「ハルナちゃんは・・・」

私がそう口を開いたその瞬間、マンションの玄関が勢いよく開かれました。

「ちわ~!三河屋で~す!」

・・・うん、心配したなのはがバカでした。

Side Out

 

機人長女リリカルハルナA's

第31話「一人でどうにもできないときは素直に他の人を頼りましょう・・・なの!」

 

ちわ~、ハルナお姉ちゃんで~す。

作者のやる気が原因でまーた間が開きましたが無事続きが出来ました。

場所は海鳴市にある高層マンションの一室。

ここは今回の事件の捜査本部として急遽購入されたものです。

事件の間、アースラチームのメンバー・・・主に事件の際に現場に向かうフェイトやクロノが生活するためのセーフハウスになります。

・・・ん?フェイトとクロノが生活!?

何てけしからんっ!そんなふしだらな事、お姉ちゃん許しませんからね!

「ハ、ハルナちゃん?その格好は・・・?」

私がいかにしてフェイトと二人でここに住もうか考えているところになのはから声がかかります。

「ふぇ?私の格好がどうかしたの?」

「いや、どうかしたもなにも・・・なんで蕎麦屋さんみたいな格好なのよ・・・?」

そう言って私を指さすアリサ。

彼女の言う通り、今の私は白の割烹着と同色の和帽子という、蕎麦屋さんや料理人みたいな格好です。

「そりゃここに引っ越してくるんだもん、ちゃんとおもてなししないと・・・」

そう言って私は手に持った岡持ちを部屋のテーブルにドンと置きます。

「ハルナちゃん、最近姿を見なかったのってもしかして・・・」

フッフッフ・・・なのはは気づいたようですね。

「さぁ、刮目するがいい!この二日間、駅前の蕎麦屋さんで修行してきたハルナちゃんの渾身の力作・・・」

そう言って私は岡持ちの蓋を開く。

途端に噴き出す蒸気、その中から出てきたのは出来立てアツアツの・・・

「三河屋のスペシャルカツ丼っ!」

「蕎麦をだせぇぇぇっ!」

カツ丼を出した瞬間アリサから猛烈なツッコミが飛んできました。

Side Out

 

Side フェイト

「何でカツ丼なのよ!?引っ越しなんだから引っ越し蕎麦でしょうそこは!?モグモグ・・・てか無駄に美味しいのが何か腹立つ!」

「結局食べるんだ・・・」

ハルナと合流した私達はあの後、なのはの家族が経営する喫茶店翠屋に場所を移した。

リンディ提督はなのはの家族に引っ越しの挨拶に向かい、私達はテラス席を囲んで談笑する。

先ほどのハルナの奇行に文句を言いながらも出されたカツ丼を口に運ぶアリサ。

・・・うん、何でわざわざ翠屋に来て食べるのかは聞かないでおこう。

「まぁまぁアリサちゃん・・・それはそれとして、ユーノ君も久しぶりっ!」

「う、うん・・・」

すずかはその隣でアリサを宥めながら久しぶりの再会を果たしたユーノを抱き上げる。

非常時の護衛もかねてフェレットモードなことが不服なのかどこか釈然としないユーノ・・・。

なんと言うかアリサもすずかもユーノの事を人じゃなくて喋るフェレットとして見てるきらいがあるし・・・。

うん、後で元気づけてあげよう。

「んぐ・・・ごくん。そういえばアルフも随分小っちゃくなったわね」

「フフンッ、可愛いだろう?」

カツ丼を平らげたアリサがアルフに声をかける。

彼女の言う通り、狼形態のアルフは以前よりもずっと小さい・・・子犬の様な姿になっていた。

何でも魔力消耗を抑えるためにユーノに協力してもらって子犬モードに変身できるようにしたとか・・・。

実際得意げに胸を張るアルフ(子犬モード)は可愛い・・・。

・・・うん、その件も含めてユーノにはあとで何か奢ってあげよう、そうしよう。

そんな二人を微笑まし気に見つめるなのはとハルナ、でも・・・。

「ハルナ、どうかしたの?」

「うぇっ!?」

私が声をかけると驚き、次いでバツが悪そうに視線を逸らす。

「さっきから元気なさそうだよ?」

今日のハルナはどこか様子がおかしい。

なのはとアリサは気づいてないみたいだけど僅かなりともハルナと付き合いの長い私にはわかった。

「うん、私もそう思う。ハルナちゃん、何か悩み事?」

すずかもハルナの様子に気付いたらしい。

どの様におかしいのかと聞かれると説明しづらいけれど、なんとなく元気がない。

さっきカツ丼を持って司令部にやって来た時もなんだか無理やり元気そうに振舞っている感じだった。

「ナ、ナンノコトカナー?オネエチャンワカラナイナー・・・」

「ハルナちゃん、喋り方が片言になってるよ?」

なのはの指摘にとうとうハルナは黙り込んでしまう。

何か言いづらいなのかな?

ハルナは執務官だ、職務柄話すことのできない秘密だっていくつもある。

今回の悩みはそんな部外にの情報なのかもしれない。

でも・・・。

「言い辛い事なのかもしれない。でも、辛いなら言って欲しい。ハルナの力になりたいんだ・・・」

「フェイト・・・」

あの日・・・絶望に心砕かれた時、私を支え、もう一度立ち上がる力をハルナがくれた。

アルフやクロノやユーノ・・・そしてなのはも私を助けてくれたが、あの時真っ先に私に手を差し伸べてくれたのは間違いなくハルナだ。

母さんから投げかけられた拒絶の言葉に真っ向から啖呵を切り、訂正させようと庭園に乗り込んでいったハルナに私の心は救われた。

だから誓ったんだ・・・もしハルナが辛い目に遭っていたら、今度は私がハルナを助けるって・・・。

私の言葉にハルナ躊躇いがちに口を開きます。

「いやね、追ってた守護騎士達・・・あいつらの手掛かりが完全に途絶ちゃったからさ・・・」

話してくれたのは闇の書の守護騎士、ヴォルケンリッターの事だった。

あの戦いの後、エイミィたちの追跡から逃れた彼女たちは今も尚、その足取りが追えていない。

私やなのはがやられたことにハルナが強い責任を感じているのは知っている。

ハルナが言うには彼女自身も独自に足取りを追っているらしいが全く手掛かりもつかめていないとのことだ。

「だから少し焦っててさ・・・向こうの動き待ちなのがじれったくてさ・・・」

だから溜ったフラストレーションをさっきの様にはしゃいで無理やり発散していたらしい。

ハルナの説明は一応筋が通っている。

でも何か釈然としない・・・まるでまだ何か隠しているような・・・。

もっと踏み込んで聞くべきだろうか・・・考えるが答えが出ない。

思い悩んでいる所に大きめの箱を抱えたアレックスが私たちに声をかけてきたのは丁度その時だった。

Side Out

 

あっぶねぇ・・・。

危うくフェイトの熱のこもった説得でゲロっちまうところでした。

「おー!よく来たマーカー!待ってたよ!」

「アレックスです」

あれ?そうだっけ?

ほら、オスカとマーカーって偶にどっちがどっちか分からなくなるじゃん?

ブライトさんはよく見分け着くよね、さすがはガンダムシリーズ屈指の指揮官だよ。

・・・いや、分かってる。分かってるよ。

皆は気づいていると思うけどフェイト達に嘘をつきました。

あれからはやて達と話し合いましたが結局答えは見つかず、とりあえず解決策が見つかるまで闇の書の浸食を抑制するだけの魔力蒐集を継続することで落ち着きました。

え?現状維持?問題の先送りだろって?

と!に!か!く!

ヴォルケンズが闇の書を抑えている間に私が何とかする!これがお姉ちゃんの決定です!異議申し立ては認めません!

当然管理局はこんな事許さないでしょう、なので私が独断でやらねばなりません、フェイト達は巻き込めません。

だからみんなには嘘をつかなきゃいけないんですが・・・やっぱり良心が痛い。

何だよ?お前に良心なんてあるのかって?あるに決まってるでしょう!ケンカ売ってんのかコノヤロウ!買うぞ100割引きで!

そんな訳でうまく話しに割り込んでくれて助かりました。

ありがとねオスカ!

「アレックスです」

コイツ!?私の心の声を・・・!?

「えっと、それでどうしたんですか?」

「ああ、フェイトちゃんに渡すものがあってね・・・」

そう言って抱えていた箱をフェイトに渡すランディ。

「・・・もうツッコミませんからね?」

え~?張り合いがないなぁ・・・。

私のボケをスルーしやがったアレックスをジト目で睨んでいる横でフェイトは渡された箱を開けます。

「あっ!」

「どうしたの・・・わぁっ!」

箱を開けたフェイト達から驚き混じりの歓声が上がります。

白のジャケットとスカートに赤のリボンタイ・・・。

それはなのは達が通っている私立聖祥大附属小学校の制服でした。

「あの、これって・・・!?」

「リンディさんから贈り物だって」

困惑するフェイトに笑顔で返すアレックス。

つまり、そういうことですね・・・。

嬉し恥ずかしな顔でフェイトはリンディさんのところに向かう。

それを温かい目で見送る私・・・。

「ハルナさん?なんですそのニタニタとした締まらない顔は?」

「何だとぉ!?」

気色悪いとは失礼な!これは未来の世界からやって来た青狸型ロボットを起源とする由緒正しき温かい目なんだぞ!(平成版)

「いや、控えめに言って気味悪いですからやめてください」

その日の夜、私は少し泣きました・・・。

 

Side シグナム

夜、主はやてがお休みになったのを確認した我らはこれまで通り蒐集に出かけた。

「ハルナちゃんの話だとこっちに捜査本部が置かれたらしいし・・・これから管理局も本格的に動き出すわ」

「これまでの様にはいかない、か・・・やはり少し遠出する必要があるな」

主の友人でもあるあの執務官・・・ハルナ・スカリエッティの協力を取り付けたとはいえ、主の様態が悪化していっているのは変わりがない。

彼女が解決策を見つけるまで、呪いの進行を抑えるために蒐集は続けることとなった。

とは言え魔法の無い世界・・・しかも管理局も警戒している現状、この世界での収集は限界がある。

なるべく離れた世界で蒐集する必要があるな。

「今何ページだっけ?」

「ちょっと待って、えっと・・・340ページね」

ヴィータの問いにシャマルは闇の書のページをめくって確認する。

「かなり集まったな・・・」

「この間の白い子・・・なのはちゃんでかなり稼いだわ」

高町なのは・・・スカリエッティから教えられた先日襲撃した白い魔導師。

スカリエッティとテスタロッサの親友。

さらに主はやての友人の月村嬢の友人でもある少女・・・。

「彼女にも謝罪せねばな・・・」

主の為とはいえ、何も知らない彼女を襲った事は決して許されるものでは無い。

この罪は我らの全てで償うつもりだ。

「・・・だが、それは主の御身をお救いしてからだ」

ザフィーラの言う通りだ。

まずは主を闇の書・・・否、暴走した夜天の書の呪いから解放するのが先決。

全てはその後だ。

「とにかく!もう半分まで埋まってるんだな?なら下手に完成しないように気を付けないと・・・」

ヴィータの言葉に私達は頷く。

スカリエッティの言葉が真実なら夜天の書はページが埋まった瞬間、主を食い殺し呪いをまき散らす。

夜天の書が主を蝕まぬように、されど完成しないよう慎重にページを埋めねばならない・・・。

何とも面倒な話だが、やらねばならん。

我等が主・・・八神はやてのために!

「行くぞ」

「おう!」「ええ」「うむ」

騎士甲冑を纏った私達は決意を新たに夜天の空へと飛翔した。

Side Out

 

「はい、オッケー。以上はないよ」

「うん、ダンケダンケ」

アレックスの心ない一言に一晩枕を濡らした翌日、私は父さんのラボに居ました。

とはいっても本局やミッドに戻ったわけではありません。

リンディさんが現地司令部として海鳴市のマンションを購入したのと同じ日、私達スカ家も海鳴にお家を買いました。

この海鳴市、文字通り海に面した風光明媚であり、気候も穏やか。

なにより都内へのアクセスも容易と来ました。

つまり秋葉や有明にも行きやすいという3話辺りで話してた引っ越し先として正に理想の立地な訳です!

そんな訳で局員としての給料やら父さんの発明品の特許料やらでため込んでいた貯金をはたいてなのはやフェイトの家の近所の空き家を購入しました。

ミッドの家と似た木造平屋の武家屋敷・・・。

何でもすずかの実家と並ぶ大地主のお屋敷だったらしいのですがご先代が亡くなってから家を引き継いだ跡取り息子は都内に住んでおり、以来ずっと空き家だったとか。

そこにバブル崩壊のあおりを受けて維持できなくなり手放してしまってから買い取りてもおらず、私達が見た時は幽霊か妖怪でも住んでるんじゃないかと思うレベルの状態でした。

それを私や父さん、ウーノ達年長組とガジェットドローンであっという間にリフォームしました。

ちなみにご近所さんたちはガジェットを見て驚いていましたがすずかの家のお手伝いロボだと言ったら納得してくれました。

・・・月村家驚異のメカニズムは海鳴では周知の事実の様です。

そんなスカ家海鳴市別邸、交換した畳の匂いに包まれたお茶の間・・・ではなくその大深度地下に建設された秘密の研究室に私と父さんはいます。

先日シグナムとやり合ったので身体の検査が目的です。

ISこそ使っていませんが本気のガチンコバトルでしたからね。

なのはの治療や捜査本部の設置やらで後回しにしてましたが漸く身体のチェックが出来ました。

「さて・・・身体には異常はなかったが、心の方は何か抱えているみたいだね?」

「ギクッ・・・!?」

フェイトやすずかといい父さんといい・・・なんでみんな私が書く仕事してるの分かるんですか!?

「ハルナは顔に出やすいからねえ、付き合いの長い人間ならすぐに気づくよ。きっとリンディ提督やクロノ執務官も感づいてはいるんじゃないかな?」

マジですか?

完璧に隠し通しているつもりだったのに・・・駄々洩れだったとは!!

「それで?皆に黙っていると言う事は何かしらの厄介ごとなのだろう?」

そこまで感づかれるとは・・・。

「どうだい?ここに次元世界随一の天才がいるんだが・・・相談してはどうかな?」

確かに父さんなら力になってくれるでしょう。

実際私一人だと八方ふさがりのどん詰まり状態・・・もう誰かに助けてもらいたくて仕方ありませんでした。

でも父さんの言う通り、今回の一件はかなりヤバいです。

管理局にバレたらクビ・・・最悪またお尋ね者になってしまうかもしれません。

そんな厄介ごとに家族を巻き込むなんて・・・。

「・・・ハルナ。皆を巻き込みたくないというのは分かったよ。だがね、私達は家族だろう?ならもう少し頼って、巻き込んでくれてもいいんじゃないかな?」

うぅ・・・父さん、その言い方はズルいです!

「・・・実は」

父さんに説得された私ははやての事と闇の書の呪いの事を説明します。

全て話し終える頃には父さんの顔はすんげーめんどくさそうな顔になっていました。

「ハルナぇ・・・何で君はそう、アレなんだ?」

そんな顔で言わないで欲しいです、私だって困ってるんですから。

仲良くなった子がラスボス・・・しかも敵対しなきゃ生きられない系のラスボスとか・・・私はマンガの主人公じゃないんだぞ!

「はぁぁ・・・要するにそのはやて君を闇の書の呪いから救いたい、そう言う事だね?」

そう確認する父さんに私はコクリと頷きます。

「事情は分かった。とはいえ、デバイス・・・しかも古代ベルカのロストロギア級が相手となるとさすがに父さんでも門外漢だ。だからここは専門家を頼ろう」

「専門家?」

ロストロギア級をのデバイスを弄れるデバイスマイスターなんていましたっけ?

「闇の書は古代ベルカの遺産だ。ならベルカ人をたよればいい」

「・・・もしかして聖王教会?」

聖王教会・・・。

古代ベルカ人の子孫を中心にゼーゲブレヒト王朝最後の聖王、オリヴィエ・ゼーゲブレヒトを信仰する宗教団体です。

それだけあって、古代ベルカに関する資料、遺物を相当数所有、管理しています。

「確かにあそこなら夜天の書に関する資料もあるだろうけど・・・資料請求に時間がかかり過ぎるよ。審査の過程で局にもバレるだろうし・・・」

私がそう言うと父さんはいつもの悪い笑みを浮かべます。

「その辺は問題ないよ。なんたって教会内に資料を閲覧できる人物が身内にいるじゃないか」

父さんの言葉に私はハッとなります。

「父さん、まさか・・・!」

「ああ、彼女に頼むとしよう」

 

Side ???

ミッドチルダ北部、ベルカ自治領にある聖王教会本部。

その大聖堂の庭に目的の人物はいた。

「ごきげんよう、グラシア司教」

「ああ、シスターフジコ。ごきげんよう」

私が近づいて挨拶するとグラシア司教は笑顔で返してくる。

隣にいるのはグラシア司教の補佐を務めるヌエラ助祭だ。

どうやら週末行われるミサの準備について話し合っていたらしい。

「どうかしたかねシスター?」

「はい、折り入ってご相談したいことがございまして・・・」

私がそう言うと司教たちは顔を見合わせてから聞いてくる。

「あー、私は席を外した方が?」

「いえ、ヌエラ助祭にもご協力いただきたいので・・・」

それを聞いてグラシア司教は辺りを見回してから言った。

「分かった、では私の執務室で話そう。ここでは人目が多い」

そう言われ私は二人に連れられてグラシア司教の執務室に向かった。

 

執務室に着いた私は扉が閉まるのを確認すると部屋の中を調べる。

「・・・大丈夫です。盗聴されていません」

「ふむ・・・盗聴を警戒すると言う事はそれだけ重大な話問う事だね、シスターフジコ・・・いや、スカリエッティ査察官」

グラシア司教の質問に私・・・頷いた。

清楚で可憐、誰からも愛される聖女の様な修道女、シスターフジコことフジコ・ミーネとは世を忍ぶ仮の姿・・・。

その正体は時空管理局三等海尉にして本局査察部潜入査察官、そしてスカリエッティ家三女ドゥーエ・スカリエッティよ!

グラシア司教から教会が保管している聖遺物が流出したとの通報を受けてシスターとして教会内で内偵捜査を開始してから3か月・・・シスター姿が板についてきたと思ったら突然ドクターとハルナ姉さんから手を貸して欲しいと連絡。

しかもその内容がとんでもないものだった。

「はい、先日闇の書が見つかりました」

私がそう伝えると二人の表情がこわばる。

当然だ、古代ベルカの生み出した最悪の魔導書・・・それが再び復活したんだからベルカ人の末裔である教会関係者が冷静でいられるわけがない。

「あれが・・・また活動を再開したのかね?」

「はい。既に管理局は現地に部隊を派遣、闇の書の捜索を開始しています。ついてはその件でお二人にご協力をお願いしたいのです」

「・・・事情は分かった。しかし何故君から?事が事だ、通例なら本局から正式に協力要請が来るはずでは無いかね?」

さすがは若くして司教にまで上り詰めただけありグラシア司教は鋭い。

「仰る通り、これは私の・・・私の姉からの個人的なお願いです」

「君の姉・・・スカリエッティ執務官かね?」

ハルナ姉さんは執務官であると同時に教会から騎士号を授与されている。

故に姉と聞いて司教はすぐに相手がハルナ姉さんだと気付いたようだ。

「はい、故に事は他言むようにお願いします」

その言葉にグラシア司教は暫し黙考したのち答えた。

「・・・わかった、協力しよう。我々聖王教会にとっても闇の書は他人事では無いからね」

「ありがとうございます、グラシア司教」

そう言ってくれた事に私は秘かに胸をなでおろしていた。

いやー、正直なところ断られたらどうしようって内心ハラハラだったわw

「では詳しい話を聞かせてくれないか?管理局にも内密と言う事は何か事情があるのだろう?」

「はい、じつは・・・」

私が事情を説明し始めるとグラシア司教とヌエラ助祭の顔が次第に曇っていく。

二人とも善良な人間、かつとても責任感のある人柄だ。

自分たちの先祖が生み出したロストロギアが多くの犠牲を生み、そして今一人の少女の命を蝕んでいると知り、自責の念に捕らわれているのだろう。

「なるほど、つまり主の少女・・・八神はやてさんを救いたいと・・・」

「はい。管理局に知られれば局内にいる過去の被害者、及びその関係者からの敵意や憎悪に彼女が曝される。それを防ぐためにもお二人のお力添えを賜りたく・・・」

説明を終えると聞いていたグラシア司教たちは一度顔を見合わせた後頷いた。

「事情は分かりました、協力しましょう」

「あ、ありがとうございます・・・!」

その言葉に私の顔はほころんだ。

半分は演技だが残り半分はまぎれもなく喜びと感謝の念からだ。

潜入・諜報担当の私は姉さんやトーレの様に前に出て戦うことが出来ない。

口に出したことは無いが、いざという時姉妹を守れない自身の非力さに逐次たる思いを抱いたのは一度や二度ではない。

だからせめて、自分の力になれる分野で姉さんやドクターの力になりたいと思った。

そう、今がその時だ。

あざとかろうが何だろうが知ったこっちゃない。

グラシア司教たちには悪いが、とにかく教会側から協力を引き出して姉さん達の助けにさせてもらうわ!

「先ほども言ったが闇の書については我々聖王教会も他人事ではいられないからね。なにより・・・娘と同じくらいの少女の命がかかっているのだからね。必要があったら何でも言ってくれ」

・・・よし、言質は取った。

これで最大の関門は突破できた。

後はいかに早く成果を出すか・・・闇の書の呪いの進捗状況もある、ここからは時間との勝負だ。

「・・・ところで査察官。別件で一つ確認したいことがあるのだが・・・」

「はい、何でしょう?」

「最近シスターたちの間に広まっているいかがわしい本・・・あれの出所が君だと聞いたのだが本当かね?」

・・・ん?

「実はね、うちの娘がね・・・君から借りたという本にえらくご執心でね。その・・・人の趣味趣向をとやかく言う気は無いがああいうものを大々的に配るのは・・・」

「ゲイ術です」

「・・・なんだって?」

「あれはゲイ術です。いかがわしくなんてありません」

私はキッパリと言い放った。

大多数の人には理解できないかもしれない。

でも!あれは間違いなく美しく、そして尊いもの!

いかがわしいなんて一言で切り捨るなんて聖王陛下が許そうともこの私が許さない!

「え?でも・・・」

「ゲイ術です」

「男性同士の・・・」

「ゲイ術です」

「・・・・・・

「ゲイ術です」

「芸術・・・なのかい?」

「はい!ゲイ術です!」

「・・・そ、そうか」

うん、グラシア司教も分かってくれたみたい。

やっぱり言葉は偉大ね、真摯に語り合えば人は分かり合えるんだわ・・・。

え?ヌエラ助祭が釈然としない顔をしてる?

それはいけないわね、ゲイ術の素晴らしさをもっと知って貰わないと!

とりあえず娘さんがシスター見習いだったわね、手始めに彼女に布教しましょうか・・・。

Side Out

 




聖王教会の腐敗は深刻な様子w
ちなみに10年後、騎士カリムからウ=ス異本を勧められたはやてから後日痛烈なドロップキックをかまされるハルナお姉ちゃんでしたw
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