お姉ちゃんは0番改め機人長女リリカルハルナA's 作:Y.Sman
前回の投稿からおよそ1年と4か月・・・時間がたつのは早いものです。
・・・ゴメンなさい、遅くなりました!
いやね、頭の中では物語ができあがってるんですよ?
それをね、文章に変換しようとすると偉い時間がかかったんです。
・・・歳かなぁ?
あとゴメンなさい次いでにもう一つお詫びを・・・。
散々待たせておいて今回戦闘は全くありません。
でもストーリー的に必要な所なので平にご容赦をw
そんなこんなで34話、始まります。
Side フェイト
ハルナが目を覚ましたと聞いた瞬間、私は駆け出していた。
三日前の戦いが終わった直後、ハルナがやられたと聞いた瞬間目の前が真っ暗になった。
急いで駆け付ければ彼女が担架で運ばれていくところだった。
グッタリとして動かないハルナ、担架から力なくブラリと垂れた彼女の腕はまるで死んでしまったかのよう・・・。
それを見た私の脳裏に、かつてジュエルシード事件の時に撃たれて大けがを負ったハルナの姿がフラッシュバックする。
気づけば私はアースラの艦内、医務室の前にいた。
あとでなのはから聞いた話ではあの後私は半狂乱になってハルナに縋り付き、クロノ達が無理やり引きはがした後も手術が終わるまでずっと医務室の前から動かなかったらしい。
その後、ドクターから峠は越えたと聞かされ、リンディ提督に促されて部屋に戻ってからのことは覚えていない。
どうやら張りつめていた緊張の糸が切れ、そのまま眠ってしまったようだ。
翌朝目を覚ましたら色々な感情がいっぺんに襲ってきて涙が止まらなず、様子を見に来たアルフやなのはに心配をかけてしまった。
それから三日が立った今、ハルナが目を覚ましたのを知った私はいてもたってもいられなかった。
無事を喜ぶべきか、それとも心配させたことを怒るべきか・・・。
嬉しいはずなのに腹立たしい・・・こんな感情初めてだ、私は自分が思っている以上にハルナのことが大切らしい。
「あっ!まってフェイトちゃん!」
私がそんなことを考えながら医務室へ向かっていると後ろからなのはに引き留められる。
「医務室に行く前にこっちだよ。着いて来て!」
そういわれなのはに着いていたのは食堂・・・正確にはその奥にある調理場だった。
「はい一丁あがり!持ってって!」
「終わったお皿置いときますね!」
「班長!冷蔵庫に卵残ってません!」
「食糧庫からもってこい!」
そこはまるで戦場のようでした。
いや、本当の戦場なんて行ったことはないけれどそんな比喩表現がふさわしい忙しさでした。
「はい、フェイトちゃんこれ持って!行くよ!」
そう言ってなのはから料理が山のように盛られたお皿を渡されます。
私がそれを受け取るとまた走り出すなのは。
「待ってなのは!一体どういうことなの!?」
困惑しながら質問するとなのはは走りながら答えてくれた。
曰く、戦闘機人であるハルナは自身の代謝を早め、怪我の回復を早めることができるらしい。
しかしそれは非常に体力を消費するらしく、それらを補うべく沢山の栄養やカロリーが必要でそのため大量の食事を摂る必要があるらしいんだけど・・・。
ハルナが規格外なのはよく知っているけれどまさかそんな漫画みたいなことがあるわけ・・・。
「バクバク!むしゃむしゃ、ゴクン・・・バリバリ、もぐもぐ・・・うぐっ!?グビグビ・・・ぷはぁっ、バクンっ!むぐむぐ・・・」
・・・うん、そんなことあった。
Side Out
機人長女リリカルハルナA's
第34話「カフェオレ氷はセブンのアイスの王様なの(異論は認める)」
どうも、ガツガツ・・・ハルナ・モグモグ・・・スカリエッティでふ・・・ゴクン。
え?食うか喋るかどっちかにしろ?
・・・ムシャムシャ。
んぐ?何?食うのをやめろ?
なんだよー、どっちかにしろって言うから食う方を選択したのに・・・。
全く、わがままだなあ・・・わかりましたよ。
んで?なんでしたっけ?
ああ、そうそう。どうも、ハルナ・スカリエッティです。
檜山仮面(仮)にやられてから三日、手術も無事終わった私は傷を癒す為にスタミナを補給してるところです。
前回(17話「カロリーメイトはフルーツ味が一番(作者の偏見)なの」を参照)の大食いシーンでドラゴンボールを連想したコメントがあったので今回はそっちでやってみました。
今もこうして右手で持ったお箸でラーメンをズルズルすすりながら左手で山のように盛られた肉まんの一つを掴んでバクバクと咀嚼します。
「ハルナちゃん、よく噛まないとだめだよ?」
流れるように料理を胃に詰め込んでいく私をなのはが窘めます、はーい。
そんな隣で唖然とした顔で私を見ているフェイト・・・。
フェイトもお腹すいてるんでしょうか?
「ん?どしたの?フェイトも食べる?」
そう尋ねるとフェイトはぶんぶんと首を横に振ります。
「まったく、君じゃないんだフェイトがそんな食い意地をはるわけないだろう?」
空いたお皿を回収しながらぼやくクロノ。
失敬な!そんなこと・・・!
いや、あるな。
フェイトは小食です。
人並みには食べるんですけれども人造魔導士や戦闘機人の食欲を思えばそれくらいおやつみたいなもんです。
あれだけのご飯の量でよくあんなにギュンギュン動き回れるもんだと感心を通り越して心配になりますよ。
「さて、なのはとフェイトも来たことですしこのまま事件に関する情報を再度共有しておきましょう」
回収したお皿をわきに積み上げたクロノがリンディさんにそう進言する。
おいおい、私ご飯中なんですけど?
「君は食べながら出いいからそのまま聞いてろ。こっちは一刻も早く捜査に復帰してもらいたいんだから」
むぅ・・・足引っ張ってる身としてはそう言われると言い返せません。
私が頷くとエイミィが端末を操作して資料を投影します。
「現在私たちが追っているのは、古いロストロギア『闇の書』・・・古代ベルカの時代から四人の守護騎士と共に様々な主の元を渡ってきたと言われている魔導書。ただ・・・」
そう言ったところでリンディさんが難しそうな顔で続ける。
「少し不可解な点があってね・・・私たちの知っている情報とあの騎士たちの様子が一致しないの」
リンディさんの言葉にクロノが頷く。
「ええ、どうも腑に落ちません。彼らがまるで自分の意志で闇の書の完成を目指しているように見えました」
「え?それって何かおかしいの?」
私のお皿から油淋鶏をつまみ食いしながら訪ねるアルフ。
いや、別に怒りはしないけど・・・君狼だよね?
それ、ネギ入ってるけど食べて大丈夫なん?
え?使い魔だから平気?そうですか・・・。
「闇の書もジュエルシードみたいにスッゴイ力があるんだろ?だったらその力が欲しい人のためにあの子たちが頑張るってのもおかしな話じゃないと思うんだけど・・・?」
アルフの質問にリンディさんとクロノは一度顔を見合ってから答えます。
「それなんだけど闇の書の力はジュエルシード以上にコントロールできないんだ」
「過去に観測された事例でもその力は純粋な破壊にしか使われなかったわ」
まぁ、闇の書は暴走状態ですからね、曲がりなりにも願いをかなえられるジュエルシードと違って制御不能です。
「そしてもう一つ、彼らの性質だ。彼らは人間でも使い魔でもない・・・闇の書が作り出した疑似人格、主の命令で行動するプログラム・・・それが闇の書の守護騎士の正体だ」
クロノの説明を聞いていたフェイトたちが驚愕します。
そりゃそうでしょう、これまで切った張ったのやり取りをしていた相手が人間じゃないなんて言われたら驚きますよ。
ただ、フェイトは驚き以外に何か感じたのかその顔には困惑の感情が浮かんでいます。
「あの、人間でも使い魔でもないってつまり・・・私みたいな・・・」
「それは違うわ!」
フェイトが言いかけたところでリンディさんがそれを否定します。
「フェイトさんは生まれが少し特殊なだけ・・・ちゃんと命をもって生み出された人間よ」
「検査の結果でもそう出ただろう?変なことを言うんじゃない」
PT事件の後、フェイトは父さんの所で本格的な検査を受けました。
人造魔導士の身体の具合はピンキリです。
ただでさえ禁忌とされている技術の為まともに研究なんてされてる訳がありません。
必然的に研究の過程で生み出された人造魔導士たちは殆どが身体に何らかの障害を持っていました。
中には生命活動に支障を来すような致命的な者までおり、そういった人たちの保護後のケアや社会復帰も父さんの仕事の一つとなっています。
なんせ人造魔導士研究では右に出る者がいませんからね。
そんなわけでフェイトが今後も普通に生きていけるか検査をしたわけです。
結果は花丸、超健康優良児でした。
フェイトは普通の人と何ら変わりない・・・可愛くて優しくて可愛い女の子、それが私たちの出した答えです。
ん?可愛いを二回言ったって?
フェイトは何回可愛いって言ってもいいんです!
「うん・・・ごめんなさい」
リンディさん達に窘められシュンとなるフェイト・・・。
普段ならそんな可愛い妹にテンション爆上がりなところですが今回はそんな気にはなれません。
「ハルナちゃん?どうしたの?」
それに気づいたのか、最初になのはが聞いてきました。
「うぇ?」
「確かに変だな・・・普段なら真っ先に君が反論するだろうに」
「そ、ソウカナー?オネエチャンイツモドオリダヨー?」
なのはに続いてクロノも怪訝な顔で聞いてくるのを頑張ってごまかします。
言えない・・・八神家の実情を知った結果シグナム達をただのプログラムとして見れなくなったなんて口が裂けても言えません。
何とかごまかした後、改めて闇の書と守護騎士について説明が行われます。
彼女たちが闇の書のプログラムであること、これまでの事件で意思疎通は行われたが感情は確認されなかったこと・・・。
「でもあの帽子の子・・・ヴィータちゃんは怒ったり悲しんだりしてました」
「うん、シグナムと話したけれど彼女からもはっきり人格を感じました。主の為、仲間の為になすべきことがあるって」
「主の為、か・・・」
フェイトの言葉にクロノは何かを感じたようです。
感情の無かった守護騎士達にそこまで言わしめる主、はやてがどんな人間なのか気になるんでしょう。
「まぁ、その辺りは捜査員からの情報を待ちましょう」
「そうですね、転移頻度から見て主がこの近辺にいるのは確実ですし・・・案外守護騎士より先に主の方が捕まるかもしれません」
わぁお・・・私が寝てるあいっだにはやてが海鳴在住なことまでバレてます。
ヤバいです、これ以上この話題を続けてたら本当にはやての逃げ場がなくなりそうです。
「あ!そう言えば私を足蹴にしたあの檜山仮面(仮)の事は分かった?」
なのでこういう時は話題を変えましょう!
「いや、今のところは何も・・・ていうか何だその檜山仮面(仮)っていうのは?」
「何って・・・どう聞いたってあの声は某勇者王だったじゃん!」
「・・・またアニメの話か」
なんだよその「君に聞いた僕が馬鹿だった」的な顔は!?
「君に聞いた僕が馬鹿だった」
ホントに言うやつがあるかー!バカっていう方が馬鹿なんだぞ!バーカバーカ!
「いいかフェイト、こういう大人になるのだけは避けるんだぞ?」
「う、うん・・・?」
それはどういう意味だ!?
全く失礼なやつめ、なんだよこんな大人って・・・こちとら立派な16歳児だぞ!?
まぁ、何はともあれ話題をそらすことは出来たみたいです。
そのあとは進展があり次第連絡するから出撃以外は普段通りに生活してほしいとなのはとフェイトに言い渡して解散となりました。
さて、それじゃあ私もこの後はフリーですし軽くリハビリがてら模擬戦でも・・・。
「ああ、そうそう・・・ハルナさん、悪いけれど当面現場担当から外れてもらうわね」
・・・はい?
リンディさんの突然の宣告に私の目が文字通り点になります。
「捜査に復帰してほしいとは言ったが現場に出て戦えとは一言も言ってないぞ」
「ゴメンなさいね、上からの指示なの・・・」
そんな私にクロノは悪びれることなく、リンディさんは申し訳なさそうに説明を始めます。
私が檜山仮面(仮)にやられた後、本局ではそれはもう大騒ぎになりました。
おじいちゃんズが暴走するわ、どこから聞きつけたのか半狂乱になったクイントさんが安否確認のために乗り込んでくるわで次元航行部隊と遺失物管理部は大混乱に陥り、一時的に機能不全になったほどです。
結果上は議論の末、当面の間私を現場から外し安全な後方に回すことにしたそうです。
ぐぬぬ・・・正直に言えば現場に出てシグナム達の蒐集をこっそり手伝いながら最後はいい感じに追い払う体で逃がしてお茶を濁したいところなんですが・・・。
自分の勤労意欲の低さは自覚しています、この状態で現場に出るなんて言ったら絶対クロノあたりが疑うでしょう。
「分かりました、なら私は一度ミッドに戻って闇の書の情報を集めます」
ドゥーエ経由で聖王協会に協力をお願いしましたし、一度先方に顔を出しておくのが筋でしょう。
それにミッドなら妹たちに会えますし・・・(ここ重要!)。
その後、同じく情報収集の為にユーノが本局の無限書庫に派遣されることが決まりました。
クロノの話では助っ人も用意するようです。
多分グレアム提督の使い魔・・・リーゼ姉妹当たりでしょうか?
実際優秀ですし闇の書が相手なら提督も彼女たちを貸してくれるでしょう。
しかし何でしょうね?
リーゼ姉妹の話が出たところで何か腑に落ちない感じがしました。
何というか・・・彼女らとは最近どこかであったような・・・?
あ、そういえば暫く現場を離れるってはやてにも伝えないと!
でも大丈夫かなぁ・・・?
ヴォルケンズの皆、確かに強いんだけど前にシグナム捕まったしなぁ、心配っだなぁ・・・。
ここは一応保険もかけておきましょう。
でもその前にまずは栄養補給が先です。
そう決意した私はアルフに狙われていた北京ダック(丸焼き)を寸でのところで掴み、かぶりつきました。
何だよアルフ?そんな物欲しそうに目睨んでも・・・あげません!(バクバク!)
ちなみにアルフは数日口を聞いてくれませんでしたが後日バ〇キンのワッパーをおごってあげたら機嫌が直りました。
(Side ヴィータ)
「ちっくしょう・・・!」
痛む体で手にしたアイゼンを引きずりながら砂丘を進む。
ここは地球から少し離れたところにある管理外世界・・・。
前にハルナからもらった資料でそこそこ強力な魔法生物が生息している場所だ。
確かに強さはそこそこだった。
でっかいムカデみたいな魔法生物の表皮は固く、アイゼンの攻撃がなかなか通らない。
逆にこいつの牙と表皮は鋭くアタシの騎士甲冑すら切り裂いてくる。
おまけにデカいわりにすばしっこいときた。
それでも本来ならあたしとアイゼンの敵じゃなかったんだが・・・。
「ハルナのヤロー・・・数が多すぎんだろ・・・!」
あいつのよこした資料には「当該地域に複数生息」って書かれてたけど、ウジャウジャいるじゃねぇか!複数ってレベルじゃねぇぞ!
そんなわけでバカでかムカデの大群と大立ち回りをする羽目になっちまった。
おかげでかなりページは稼げたけど、代わりにはやてに作ってもらった騎士甲冑がグチャボロだ。
まぁ、そっちは魔力で治せるからいいけどこんな傷だらけで帰ったらはやては絶対心配するだろうなぁ・・・。
そんなことを考えながら歩いていたらボロボロになっていた靴紐が切れてアタシは頭から砂に突っ込む。
「いっ・・・」
痛い・・・そう口から出そうになったのを思い切り飲み込む。
「・・・たくねぇ!」
闇の書に蝕まれているはやてはもっと痛いんだ、もっと苦しいんだ。
「それに比べたら・・・こんなのちっとも痛くねえ・・・!」
もうはやてが苦しむのは嫌なんだ・・・!
「はやてが死んじゃうのは・・・嫌なんだ!」
「同感だな、家族が苦しむ姿は見ていて辛い」
突然背後から声が聞こえる。
「えっ?」
アタシが振り返るより先にアタシのすぐ横を閃光が走った。
気づけば地中から姿を現したクソでかムカデがバラバラになっていた。
そしてそのそばに人影・・・。
「誰だテメェ!?」
アタシはアイゼンを構えて警戒する。
最初はこないだの仮面の男かと思ったが違った。
性別はおっぱい付いてるから多分女だろう
背はかなり高い・・・正確な数字は分かんねえけどシグナムより高いんじゃないか?
それでいて鍛えているのか体つきは結構筋肉質だ。
おかげで長身なのにヒョロい感じはしない。
服装が黒のタンクトップとカーゴパンツなのも相まってどこか格闘家のように見える。
そんな女は頭にモ〇バーガーの紙袋をかぶった姿で言い放った。
「私は通りすがりの格闘家・・・グラップラー〇スだ!」
あぁ、それを聞いた瞬間アタシは理解した・・・こいつ絶対ハルナの関係者だ。
「暇を持て余していたところで姉上に頼まれてな・・・加勢に来た次第だ!」
「オマエ、今通りすがりって言ってたよな?速攻で設定ぶち壊してんじゃねえよ・・・」
目の前の変人・・・グラップラーモ〇が名乗った直後、アタシは一気に脱力した。さっきまでのまじめな雰囲気を返せ!
心の中でそう突っ込んでいるとアタシ等の近くの砂丘から再びクソでかムカデが姿を現した。
「新手か、いいだろう。今日の夕飯は私が当番だからな、妹たちが腹を空かせる前に終わらせてもらう・・・ライドインパルス!」
グラップラーモ〇がそう叫んだ瞬間、彼女は光のような速さでバカでかムカデに突っ込んでいきそいつをぶつ切りにしてしまった。
「嘘だろ・・・?」
こいつ滅茶苦茶強いぞ!
発言内容からしてハルナの妹っぽいから心配してたけど、案外頼もしいじゃねーか。
「ふっふっふ・・・驚いたか?驚いただろう?何せ私は姉妹の中でも最速だからな、姉上と母上以外で私に勝てる者など存在し・・・」
そこまで言ったところで地中から現れた新手のクソでかムカデにグラップラーモ〇は頭から飲み込まれてしまった。
「あ・・・」
「バカヤローーーーーー!!」
前言撤回・・・やっぱりこいつダメだ。
ギャグ漫画みたいな喰われ方をしたグラップラー〇スを目の当たりにしたアタシは慌ててアイゼンを構えるとクソでかムカデに突撃した。
Side Out
・・・何だろう?トーレの身に何かあったような気がする。
最近は妹たちも手がかからなくなり、付きっきりで育児をする必要がなくなって以来暇を持て余して筋トレばっかりしていたトーレにヴォルケンズの手伝いをお願いしたら二つ返事で了承してくれました。
おそらく強そうな魔法生物や違法魔導士と戦えるのがうれしいのか、ウッキウキでヴィータのいる管理外世界に向かったはずでしたが・・・。
いや、トーレはうちの姉妹の中でも上位の実力者、加えてしっかり者の部類に入るし大丈夫なはずです。多分、きっと、メイビー。
「ハルナちゃんどうしたの?」
「いや、何でもない。ちょっと無性にモ〇が食べたくなっただけだよ」
「オマエな・・・アースラであれだけ暴食の限りを尽くしてまだ食べるのか・・・?」
私は今クロノ、エイミィ、ユーノと共に本局に来ています。
「アハハ・・・それで、闇の書について調査すればいいんだよね?」
「ああ、これから会う二人はそう言ったことで顔が利くからな・・・」
無限書庫での情報収集で助っ人となる人物をユーノに紹介するためにです。
そしてオフィスや会議室が集まりエリアのとある一室の前にたどり着くと先頭のクロノが扉を開けました。
「リーゼ、居るか?クロノだ」
その声に部屋でくつろいでいた二人の女の子が振り向きます。
管理局の正規の制服とは違う改造制服を着た、同じ顔立ちの猫耳少女・・・。
「おぉ!クロ助~!」
そんな属性山盛りガールの片割れがクロノを見るなり彼に飛びついてきます。
「うわぁっ!?」
そのままソファーの向こうに押し倒されるクロノ・・・。
「やっ、やめろ放せぇ~!」
「何だとぉ?師匠に向かって大した口の利き方だなぁ~?」
「ちょっ!?おまっ、どこをさわってる・・・ひゃぁんっ!?」
何やらチュッチュという擬音とともにハートマークが飛んでいますがいったいナニをしてるんでしょうかねぇ~?
「・・・変態」
「誤解だぁ!」
私にツッコミを入れる余裕があるみたいなので助ける必要はなさそうです。
それからひとしきりクロノを堪能した猫耳少女の片割れ・・・リーゼロッテはツヤツヤの顔をほころばせながら戻ってきた。
「ふぃ~、ご馳走様♪」
「リーゼロッテは相変わらずだねぇ」
「我が双子ながら計り知れんところはあるな・・・」
そんなリーゼロッテをみてエイミィともう一人の猫耳・・・リーゼアリアは苦笑する。
リーゼロッテとリーゼアリア・・・彼女たちはグレアム提督の使い魔でかつて士官候補生だったクロノに魔法と近接戦闘を教えたいわばお師匠様です。
確かロッテが近接戦でアリアが魔法の先生・・・いや、逆だったか?
とにかく二人はクロノが頭の上がらない数少ない人物なのです。
そんな二人ですが何やらユーノに興味津々です、特にロッテの方。
あれですかね?素体がヌコな使い魔だからフェレットになれるユーノに捕食者としての本能がくすぐられるのでしょうか?
「それで?闇の書の捜査への協力だよね?」
「父様から話は聞いてるよ」
「話が早くて助かる。そこにいるユーノが無限書庫で闇の書の情報を集めるのに協力してもらいたいんだ」
事前にグレアム提督が二人に説明してくれていたおかげでとんとん拍子に話が進みます。
「いや~、助かるよ。それじゃあはい、これ前金の報酬ね」
そう言って私は持ってきていたアタッシュケースを開けて見せます。
中には植物を乾燥粉砕したであろう、真空パックされた茶色い粉末が・・・。
「おぉ!?」
「こ、これは・・・!?」
ケースいっぱいに詰まった茶色い粉に喰いつくリーゼ姉妹。
「おい待て、なんだその見るからにヤバそうな品は?事と次第によっては君を逮捕しなきゃならんのだが・・・?」
二人とは反対に底冷えするような声でSU2を構え私に向けてくるクロノ。
「失敬な!マタタビ粉だよ」
しかもただのマタタビじゃありません。
佐賀県産の無農薬栽培された純度100%天然マタタビです。
「どうでもいいわ!というか何だその紛らわしい梱包は!?」
なんですか?私が二人に怪しい薬でも横流ししようとしてると思ったんですか?
ホント心外です。
私がそんな物渡す訳が・・・。
「アヘェェ~・・・」
「はぁぁ・・・これは上物だわぁ~・・・」
・・・あったかもしれません。
マタタビをキメて某ヤ〇ネコみたいになってるヌコ姉妹をみて中身を間違えたんじゃないかと本気で不安になる私でした。
「そんじゃ後任せた!」
マタタビでヘブン状態になったリーゼ姉妹を医務室に放り込んだでから事後の処理をクロノ達に押し付け・・・任せて私はその足でミッドに向かうことにしました。
向こうに付いたら先ずは聖王協会に向かわないとです。
協力してくれてるグラシア司教に直接お礼を言って調査の進展の方を確認しないと。
後は地上本部の資料にも目を通しておきましょう。
無限書庫ほどじゃありませんがあそこにも過去の闇の書の捜査報告書とかが保管されてますから・・・。
ああ、そうだ。あの檜山仮面(仮)の事も調べないといけませんね、過去の事件で似た人物がいないか探してみましょう。
・・・何でしょう、仕事とは言えやることが多すぎて一瞬たりとも妹たちに会える機会が見つかりません。
「おや?ハルナさんかい?」
便乗させてくれそうなミッド行きの船を探して港をウロウロしていたら聞き覚えのある譲治ボイスが・・・。
「クライドさん!?」
振り向くとそこには先ほど色々押し付けてきたクロノの御父上、クライド・ハラオウン提督がいました。
「お久しぶりです、今お仕事中ですか?」
「ああ、少々会議が長引いてね・・・ハルナさんは?」
そう聞かれた私はミッド行きの船を探していると答えました。
「なら出港まで少し時間があるな、もうすぐ食事時だしよかったら少し話さないか?」
そう言ってクライドさんは港湾区画の一角にある喫茶店を指さします。
局員の福利厚生を目的に作られたお店でミッドでも有名なチェーン店が営業しています。
「いいですね、それじゃあご一緒させていただきます」
積もる話もありますし私はクライドさんにエスコートされながら喫茶店に向かいました。
お店のケーキは有名チェーン店なだけあってなかなかのお味でした。
まぁ緑屋のケーキには負けますが・・・。
「リンディから聞いたんだが、闇の書の捜査をしてるそうだね」
コーヒーカップをソーサーに置きながらクライドさんが聞いてきます。
「・・・やはりその話でしたか」
クライドさんからお誘いを受けた時点で闇の書の事を聞かれるのは予想していた私は頷きます。
「現在守護騎士達は地球とその近隣の世界で活動しているようなのでその地域を重点的に捜索しています」
私の説明にクライドさんは頷きます。
「なるほど、そういえばクロノ達も此方に来ているらしいが目的は無限書庫かい?」
「はい、闇の書関連の資料を探すために・・・リーゼ姉妹にも協力を取り付けました」
「では君も当面はこちらに?」
「いえ、私はミッドに・・・地上本部にも事件の資料は有るのでそちらを」
聖王協会の事は伏せました。
相手がクライドさんとは言え、どこから情報が洩れるか分かりませんからね。
「そうか・・・久しぶりに会えたのに残念だな」
少し寂しそうなクライドさん。
すんません、事件が解決したら必ず埋め合わせします。
その後、お互いに近状報告をしあっているうちにミッド行の船が出る時間になりました。
「すみません、奢ってもらっちゃって・・・」
「構わないよ。しかし、口惜しいな・・・私も捜査に協力できればいいのだが・・・」
そう言ってうつむくクライドさん。
とは言え仕方がない事です。
クライドさんは現在次元航行部隊の司令部付き参謀、ここ(本局)から離れることは出来ません。
「大丈夫ですよ。この事件は私とクロノとリンディさんで解決して見せますから!」
だから私はクライドさんを安心させるべく、精一杯強がって見せます。
「そうだな・・・頼んだよハルナさん」
とは言えクライドさんも私の意図に気づいているのか力なくですが笑ってくれました。
そうしているうちに出向時間が迫っているのか人の流れが慌ただしくなってきました。
流石に時間も押しているのでそろそろ行かないといけません。
「それではクライドさん、これで・・・」
「ああ、気をつけて・・・」
私はクライドさんと握手を交わすと岸壁に向かって歩き出します。
「・・・ハルナさんっ!」
しかしすぐにクライドさんに呼び止められてい舞いました。
「クライドさん?」
何だろうと振り返るとクライドさんは何か思いつめたような顔をしていました。
「・・・もしも、もしもだ。仮に闇の書とその主を暴走から救うことが出来るなら・・・もしそれが世界を危険に晒すことになるとしたら・・・君はどうする?」
その質問は私を仰天させるものでした。
もしかしてクライドさんは闇の書の呪いの事を知っているのでしょうか?
いや、クライドさんもあれからずっと闇の書の事を調べていたはず、防衛プログラムが暴走していること行きついていても不思議はありません。
私はどうこたえるべきか一瞬悩みましたが・・・。
「両方救います」
私ははっきりと答えました。
「闇の書も、その主と守護騎士も、それから世界も全部救います」
「・・・失敗したら世界が滅ぶかもしれない。それでも救うというのか、君は?割り切って闇の書を封印してしまった方が確実だとしても・・・!?」
「はい、両方助けます」
きっとその過程ですごく悩むでしょう。
悩んで悩んで、一人じゃどうしようもなくて父さんやクロノ、なのは達にも相談して、そのうえで悩みまくってそれでもきっと私は両方救うという結論を出すでしょう。
それはあのガヤルド何とかの持つヒーロー願望とかが理由ではありません。
私がはやての友達ではやてが私の友達だから・・・。
そう、これは単なる身内びいきです。
恐らく相手がはやてじゃなかったら、名も顔も知らぬ相手だったなら安直な手段に走っていたでしょう。
でもそれが何だというのでしょう?
私はヒーローでも神様でもありません。
どこにでもいるちょっと妹が好きな女の子です。
・・・嘘です、妹が好きすぎる女の子です。
だから妹達とはやて・・・どちらかを選べと言われたら迷わず妹達を取るでしょう。
そんで後からはやてを選ばなかったことを延々と・・・それこそ一生涯公開しながら生きることでしょう。
でも私はそれでいいと思っています。
身内びいき上等、妹上等!
それを踏まえ、優先順位をつけた上で両方助けます。
え?欲張りだって?
いいんです!
何故なら私はハルナ・スカリエッティ・・・『無限の欲望』、ジェイル・スカリエッティの娘なんですから!
だから・・・。
「たとえ強欲だと言われても、私は両方助けます。闇の書の主も、世界も・・・!」
自信をもってクライドさんにそう言い切りました。
「・・・そうか。強いな、君は・・・」
そう言ってクライドさんは私に微笑む。
その顔はどこか憑き物が落ちたかのように晴れやかに見えました。
「クライドさん・・・?」
その言葉の意味が分からず尋ねようとしていると出向を知らせる放送が・・・。
「って、ヤバいっ!?すいませんクライドさんっ!そういう訳なんでまた今度!」
私は港へ向かって全力ダッシュします。
うおぉぉぉぉぉ!間に合えぇぇぇぇぇぇぇ!!
Sideクライド
その日、彼女に会ったのは全くの偶然だった。
ハルナ・スカリエッティ・・・。
数年前に私が保護し、艦と運命を共にしようとしていた私を救ってくれた少女。
それが今では本局の執務間で息子の先輩とは・・・あの時は予想もしていなかったから驚かされる。
港でウロウロしていたから気になって話しかけてみたらどうやらミッドに行くために船を探していたらしい。
先ほど艦船の出入港スケジュールを確認した時ミッド行の便はまだしばらく先だったのでそれをを伝えた後、私は近くのカフェにハルナさんを誘った。
クロノやリンディの近状も知りたかったし、何より彼女は今闇の書の捜査に当たっている。
かつてあれを追っていた者として私も捜査の現状を知りたかった。
ハルナさんの方も私の意図に気づいてくれたのか、機密に触れない範囲で話してくれた。
聞いた限りだとやはり捜査は難航しているらしい。
現地協力者である魔導士の女の子はリンカーコアを蒐集され、ハルナさん自身も謎の男に襲撃され重傷を負ったとのことだ。
そのため、前線をクロノに任せ療養もかねてミッドでの情報収集にあたるらしい。
それらを聞いた時私が感じたのは口惜しさだった。
私も艦長として・・・あるいは捜査官、一人の魔導士として捜査に参加していれば彼女たちが傷つくことは無かったかもしれない
現在私は次元航行部隊司令部付の参謀、しかも近いうちに艦隊司令として艦隊を一つ任されることが内々に決まっている。
出世して権限が強化されたのはいいが、それに比例して制約も多くなっていく。
もう私が直接事件の捜査に携わることは無いだろう。
その成果現場で戦う彼女達に羨望と同時に罪悪感を禁じ得ない。
彼女達のような若い魔導士達の未来を守る為に力を求めながら実際は彼ら、彼女らを危険な現場に送り込むという矛盾を抱えた現状に忸怩たる思いを抱かなかった日は無い。
胸に滞留する自己嫌悪の念を隠しながら彼女と近状を話し合っているうちに時間が来てしまった。
「大丈夫ですよ。この事件は私とクロノとリンディさんで解決して見せますから!」
別れ際にそう言って見せたハルナさんだが、やはりどこか無理をしているよう見えた。
「・・・ハルナさんっ!」
踵を返し港に向かおうとしている彼女を私は気づけば呼び止めていた。
「・・・もしも、もしもだ。仮に闇の書とその主を暴走から救うことが出来るなら・・・もしそれが世界を危険に晒すことになるとしたら・・・君はどうする?」
先日、『ある人物』から彼女に関する情報がもたらされた。
曰く、ハルナ・スカリエッティは闇の書の主と秘密裏に接触しており、主を闇の書の呪いから救おうと指揮系統から逸脱した活動を取っていると・・・。
半信半疑であったが、今回彼女と言葉を交わしてそれが事実であると確信した。
確かに彼女は問題行動こそあるが根っこの部分は模範的な局員だ、情報の管理に関しては特に気を使っている。
同時に信頼を置いた者に対しては素直に胸襟を開く子だ。
自慢ではないが私は彼女から信頼を勝ち取ていると自負している。
普段なら私が頼めばもう少し踏み込んだ情報も教えてくれたはずだ。
だが今回は当たり障りのない情報を選んで私に話していた。
まるで何かを隠しているかのように・・・。
彼女は優しい子だ。
私利私欲ではなく闇の書の主を救いたいという言う善意から行動しているのだろう。
だがそれが成功する保証はない。
むしろ失敗して世界が危機に陥る可能性の方が高いだろう。
ゆえにどうしても聞かねばならなかった。
闇の書の主と世界、守るべきはどちらなのか。
世界を守ると言うのならば彼女にこそ対闇の書用に準備していた切り札・・・デュランダルを託そうと思う。
だが、もし闇の書の主を取るならば、私は管理局の人間としての使命を全うしなければならない・・・。
しかし・・・。
「両方救います」
私の予想とは裏腹に、彼女は少し考えてからそう答えた。
「闇の書も、その主と守護騎士も、それから世界も全部救います」
その声には一片の迷いも感じられなかった。
「・・・失敗したら世界が滅ぶかもしれない。それでも救うというのか、君は?割り切って闇の書を封印してしまった方が確実だとしても・・・!?」
信じられず、私は思わず聞き返してしまった。
「はい、両方助けます」
しかしハルナさんの答えは変わらない。
何故彼女がそこまで固い決意を決めているのか、それは私には分からない。
だが・・・。
「たとえ強欲だと言われても、私は両方助けます。闇の書の主も、世界も・・・!」
彼女の言にはそれが実現可能だと思わせるだけの力があった。
「・・・そうか。強いな、君は・・・」
そう返す私の口元には笑みが浮かんでいた。
「クライドさん・・・?」
それが気になったのかハルナさんは声をかけるが・・・
『港湾管理部より通達。本局発、ミッド行連絡船14号便は定刻通り出港する。港湾作業員は出入港手順に従い各セクションの最終確認を実行されたし。繰り返す・・・』
そこでハルナさんが乗る予定の船の出港を知らせる放送が流れると彼女のかをからサッと血の気が引いて行く。
「って、ヤバいっ!?すいませんクライドさんっ!そういう訳なんでまた今度!」
言うや否やハルナさんは踵を返し、全力疾走で港の方へ去って行った。
「やれやれ、せわしないのは相変わらずだな・・・」
嵐のように姿を消した少女に私は苦笑する。
同時に自分の胸がとても晴れやかなことに気づいた。
先ほどの彼女の言葉・・・両方助けるという決意のこもった言葉は私に衝撃を与えるのと同時に私の心を覆っていた黒い霧を晴らしてくれたようだ。
そうだ、確かに彼女の言うとおりだ。
どちらか一つを選ばなければならない・・・そんな決まりはどこにもないのだ。
そもそも、何故私は切り捨てることを前提に調査を行っていたのか?
何か得体のしれない大きな力に操られていた様な不気味な感覚・・・。
それに対して不安は残るが不思議と恐れは感じなかった。
ハルナさんの言葉に力をもらったからだろうか?
これが若さから来るエネルギー名のだとしたら私も年を取ったということか・・・。
「・・・いいや、まだいけるさ」
私だって体はともかく心はまだ若いつもりだ。
だから小難しいことを考えるのはやめよう、彼女のように。
なにはともあれ自分の身に何が起こっていたのか調べてみる必要がありそうだ。
先ずはこれまでの活動・・・闇の書の調査内容を遡って調べることから始めよう。
そう決意した私は軽い足取りで自分のオフィスへ向かった。
Side Out
・・・えー、無事に船には乗れましたがギリギリアウトの所に飛び乗ったのでものすごく怒られました。
遅くなったお詫びではありませんがもう一つ、番外編的な物を書いたので続けて投稿します。
更新情報:タイトルページに番外編の章を追加しました。