あらすじ
1998年11月1日、競馬ファンが「沈黙の日曜日」と呼ぶ第118回天皇賞(秋)の主役にして悲劇の名馬となったサイレンススズカ。
異世界で同じ名前のウマ娘がその運命を逃れたとしたら?
第7話「約束」をニコ動でリピートして、あのレースのもしもを考えてみました。
プロローグ 11月1日
秋の天皇賞を数日後に控えたある日。
「スズカ、今日から練習禁止な」
スピカの練習前の準備体操中にトレーナーがサイレンススズカに突然そう言い渡した。
「ど、どうしてですか?」
「いや、温泉まで走らせたのは、期間の開けれる他の奴等と違って秋に何走もするお前にやらせたのはミスだと思ってな。毎日王冠からの間も短かったわけだし、本番までゆっくり休め」
「「「「「お前が悪いんじゃねえか!」」」」」
と、ゴールドシップ、ウオッカ、ダイワスカーレット、トウカイテイオー、メジロマックイーンの強烈な蹴りがトレーナーに入る。スペシャルウィークは苦笑いだ。
「……分かりました。でも、皆の練習の手伝いは良いですよね?」
「ああ。だけど、絶対走るなよ」
『1000メートルの走破タイムは……57秒4! なんというタイムでしょうか!』
天皇賞・秋。サイレンススズカが前半1000メートルで叩き出したタイムは玉砕覚悟の逃げ馬が出すような狂気のタイムだった。しかしそれでも心身ともに充実だった彼女にとっては余力を残してのタイムだ。
そして、第三コーナーに差し掛かった時、
(左足に違和感!? でも、走れないわけじゃない!)
違和感を感じた物のそのままレースを続行するスズカ。
『第4コーナーを回って、府中の526メートルの直線に入った! 依然、先頭はサイレンススズカ! 2番手にはエルコンドルパサーだが、未だ30メートルほどの差!』
(残しておいた差し足はギリギリまで使わない。ここからは我慢比べ!)
『残り400メートル! 坂を上る! 後続がどんどん迫ってきた! サイレンススズカ、このまま逃げ切れるか! それとも後続が飲み込むのか!』
3週間前は聞こえなかった足音が聞こえる。
(レース前に逃がさないと言ったあの子かしら? けど!)
『坂を登り切ったサイレンススズカ! 二番手にエルコンドルパサー! すぐ後ろにヒシアマゾン! 差がどんどん……いや、縮まらない! ラスト200メートルでサイレンススズカ再加速! 後続をじりじりと引き離し……今、ゴール! 二着にエルコンドルパサー、三着がヒシアマゾン! そして、タイムが1分58秒丁度! レコードタイムでの決着となりました!』
(やった……先頭のままゴール出来た)
気を抜いたからなのか、力の抜けた左足から倒れていくスズカ。しかし、
「スズカさん!」
真っ先に駆け込んできたスペシャルウィークが彼女を支える。
「足、大丈夫ですか?」
しかも、スズカの異変に気付いていたようだ。
「スぺちゃん、どうして……」
「万全のスズカさんならもっと速いと思ってましたから! あっ、おめでとうございます! スズカさん!」
「ありがとう、スぺちゃん」
笑顔のスペシャルウィークと微笑むスズカに近付いていく、他のスピカのメンバー。
「スズカ、さっきのスぺの話は本当か?」
「はい……少し痛みがあります。走れないほどでは無いですが……」
「そうか……。まずは、よく頑張った! が、次走以降は白紙に戻す。まずは治す事だけを考えろ!」
「はい」
次走に予定していたジャパンカップもアメリカ留学も白紙になったがそれでもスズカの顔は明るかった。
「意外と落ち込んでいないな?」
「そうですね。留学できない悔しさもありますけど、スピカの皆と居れる嬉しさが大きいです。皆とならきっともっと速くなれると思いますから」
「スズカさん……」
スズカの言葉を聞いて、スペシャルウィークをはじめ、チームの皆の目には光るものがあった。
「よーし!」
ゴールドシップがスズカを肩車する。
「スズカの足の代わりに私がなって、ウイニングランだ!」
「「俺も(私も)やる!」」
「よっしゃ、騎馬作んぞ!」
三人の騎馬に乗ってスズカはホームスタンドのファンの前に戻っていく。大歓声で彼女を称えるファンの前に。
こうして11月1日、1枠1番から走ったサイレンススズカは誰よりも速くゴールし、もう一つ1を増やし、歓喜の日曜日としたのだった。
これから、彼女がどのような道を選ぶのだろうか? どのような道を選んでも、そばに皆がいる限り、彼女は戦闘で走り続けるのだろう。
アニメを見て、スズカの故障の原因は温泉へ行ったことだろうと思います。
現状の番組表なら菊花賞→天皇賞は一週間。そりゃ、怪我するだろ。+その年7走目は多いかなあ。
さて、この先ですが、この作品を読んでくれた方にレース選択を手伝って貰おうと思います。詳しくは活動報告の『スズカの次走』を上げておくので参加していただけると嬉しいです。