ウマ娘プリティーダービー 短編集   作:ピーナ

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いつか後書きで書いたような書いてないような気がする、連載の物をお試し版としてあげてみます。感想やご意見を頂けたらなと思います。


お試し投稿 日曜日は騒がしく

   ウマ娘

 

 

それは異世界から受け継いだ輝かしい名前と競争能力をもつ存在。彼女たちのレースの結果は、運命はまだ誰も知らない。

 

 

 

アメリカ合衆国はケンタッキー州。世界最大のウマ娘生誕地である同地には世界中のウマ娘のトレーナーが次の原石を探しにやって来る。そんな場所の広大なトレーニング施設の片隅で一人ぼっちのウマ娘がいた。白色が混ざってしまっている長い黒髪に同年代のウマ娘に比べて小柄で痩せ型の体、チャームポイントのはずの長い脚も外側に見れば分かるほど反ってしまっている所謂X脚という、見た目にも競争能力的にも欠点だらけの体に、幼い頃に合った大病と一時期動けなくなるほどの大事故にあう不運もあり、避けられていた。

 

「州立の学校には学科は通ったけど面接で落とされたし、スカウトも無いし……デビューできれば良い線行くと思うんだけどなぁ」

 

トレーニング後のケアをしながら彼女は自分にそう言い聞かせる。実際、ここら辺のウマ娘達との模擬レースでは負けた事は無い。それでも何も音沙汰の無いのは見た目が理由なのだろう。

普通ならあきらめていたのかもしれないが、彼女自身の強い意志と、彼女を認めた最高の親友が居たから、今もあきらめずにいられるのだ。

 

「エス、お客さんだよ」

 

そう言って、現れた麦わら帽子にチェックのシャツとデニム生地のオーバーオールといかにも農夫といった格好をした老年の男性。ここら辺一帯の顔役であり、ウマ娘達からは「じっちゃん」と呼ばれ、慕われている。

 

「ワタシにお客? スカウトか、じっちゃん!」

 

飛び起きる「エス」と呼ばれた少女。

 

「まずは、話を聞いてみなさい。お客さんは休憩所に居るよ」

「分かった! あんがとな、じっちゃん」

 

目的地に向かって一直線に走り出す、エス。

 

「ウィークポイントを持ちながらもあれだけの走り……あの子も運が無いなあ」

 

エスの後姿を見ながら、彼が呟いた言葉はテキサスの風に消えていった。

 

 

 

エスが向かったところに居たのはスーツ姿の男性。しかも、ここ数年でこの辺りでも見るようになったアジア系の顔立ちだった。

 

「おじさん、日本人? あっ、ワタシ日本語分かるよ。敬語? は良く分からないけど」

 

向かい合って座り、話始める二人。

ウマ娘の国際交流が活発になって来た昨今、彼女達の間では他国の言葉を学ぶことがトレンドになっている。発祥の地であるヨーロッパ、最大の市場のアメリカは英語で何とかなるのだが、今最も注目されている日本だとやはり日本語の方が良いからだ。

 

「おじさんって……まあ、良い。日本語が分かるなら日本語で話させてもらう」

 

男性は持っていたカバンから書類を取り出し、本題を切り出した。

 

「日本のトレセン学園に来ないか?」

「それはスカウトって事?」

「ああ。今、我らがトレセン学園では育成機関の時代からの国際交流の一環として留学生のスカウトを活発化させている。とはいう物の、デビュー前の娘のスカウトは初めてなんだが」

「へえ~。アメリカの学園に見学に行ったけど、100パーセントアメリカのウマ娘だったよ」

「日本の歴史は浅いからな。海外からの影響を与えて国内のレースレベルを上げるのが目的だ。ウイニングライブはお国柄が出るから、そこが問題なんだが」

 

レースは国によって結構差がある。足場が悪く、自然を生かした深い芝コースが主でスタミナとスピードが求められるヨーロッパ、土のコースがメインでスピードとコーナリングの上手さ、根性が試されるアメリカ、人の手で綺麗に整備された芝と砂の両方が走り、スピードと瞬発力が大切な日本。

ウマ娘達にも得意なレースが当然出てくる。国際交流が行われるようになってから、国内でそこそこでも海外で大活躍出来る娘が現れたりしている。

 

「ワタシは日本のライブ、好きだよ? 確かにアメリカやヨーロッパとは違うけど、それぞれにそれぞれの良さがあると思うし。で、日本の留学の話だけど、もちろん受けるよ!」

「即決かよ……良いのか?」

「良いよ。だって、アメリカの学校は全部落ちたし。走れるならどこにでも行くよ」

「全部落ちたって……見た目のせいか?」

「そ。ちびで貧相、子供の頃のショックとこの辺の娘達に馬鹿にされ続けたストレスで白髪交じりの髪。見た目が低くてレース的にもかなりのX脚っていう爆弾を抱えている子を取ろうと思わないよ」

 

自虐的にそういったものの、エスの目には火が付いている。

 

「けどさ、ワタシは誰にも負けないように練習してきたつもりだし、近い年代の子には負けた事は無い。歌だってダンスだってちゃんと勉強してる。それを発揮できるなら世界のどこにだって行ってやる!」

「OKだ。俺は日野静也。お前のトレーナーになる」

「ワタシはサンデーサイレンス! 皆からエスって呼ばれてるよ! よろしくね、トレーナー!」

 

 

 

これは小さな少女が大きな夢をかなえるために走り続ける物語。とはいうものの……

 

「日本か~。美味しい物多いんだよね? 色々食べたいな~。お菓子とか」

「美味い店なら紹介するぞ。お菓子は……同級生や先輩に聞けばいいんじゃないか?」

 

今はまだ一歩目を踏み出してすらいない。彼女の運命は……異世界の私達でも分からない。




という訳で問答無用の名馬、サンデーサイレンスを主役としたもしものお話を考えていました。


サンデーサイレンス

「日曜日は静かなよりも騒がしい方が良いよ、だって私が盛り上げるんだから」

アメリカから日本に留学する事になったウマ娘。
整った容姿と傑出したレース能力を持っているが、かなりのX脚と不幸体質で初等教育時代からいじめに近い目に逢っており、そのストレスで長い黒髪に白いものが混じっている。
脚の問題でアメリカのトレセン学園に入学できなかった所をトレーナーにスカウトされ日本に来日することを決意する。


日野静也

サンデーサイレンス及び自作のオリジナルウマ娘所属チームのチーム・シリウスを率いるトレーナー。大学時代にヨーロッパとアメリカに1年ずつ留学していた事もあり、海外ウマ娘のスカウトも兼ねている。
名前の由来はサンデーサイレンス(『日』野『静』也)から。




何話か書けたら独立させると思います。
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