第一話 始まりの物語
バビロニア王朝時代。とある草原にて、二人の青年が殴り合いをしていた。一方は地面に付きそうなほど長い緑髪をした美少年。もう一方は、金髪で少し長い髪をした青年。
双方はまるで、不良が河川敷で殴り合いをするように喧嘩を続けていた。
そして二人がクロスカウンターを決めようとしたその時、
「止めろ馬鹿共!」
ガン、ゴン、と二人の頭を殴り付け喧嘩を止めた青年。
「何をする、
「痛いよ、
二人が頭を抑えながら青年の名を呼ぶ。
「喧しい!お前らなぁ....会うたびに喧嘩するのを止めろよなぁ、
メリスと呼ばれた青年が愛称で呼んだ二人。金髪の青年がかの有名な
「それで?...今回の喧嘩の理由は何だ?...お前らのことだからどうせ下らないことだろうがな。」ハァ
メリスはため息を吐きながら二人に聞いた。
「そうだよ聞いてよメリス!ギルが僕のリンゴ食べちゃったんだよ。後で食べようと思って残しておいたのに...」
するとギルガメッシュ(以降ギル)は、
「ふん。残しておく方が悪い。あれでは
と悪びれもせず、自分のしたことは何も悪くないと肯定した。
「そうやってギルは何時も何時も僕の食べ物横取りするじゃないか!」
「たわけ!横取りではない。我は貰ってやってるのだむしろ感謝してほしいくらいだ。」
「な!.....そうやってギルは、何時も自分は何も悪くないって言って!」
「本当のことだろうが!」
そう言い合ってまた喧嘩が始まろうとした時、
「だから止めろって言ってるだろ馬鹿共!」
ガン、ゴンとまた二人の頭を殴って喧嘩を止める。
「お前ら子供か!食べ物の取り合いするとか......子供か!」
メリスは二人の子供のような喧嘩に対してツッコミを入れ、喧嘩を止める。
「取り敢えずエルキ、ほら。」
メリスはそう言ってエルキドゥ(以降エルキ)に何かを投げる。
「おっと、何これ.....ってリンゴだ!」
「さっき採ってきた。取り敢えずはそれで我慢しろ。」
「うん!ありがとうメリス!」
エルキは嬉しそうに笑ってリンゴを受けとると喜んで食べ始めた。
(ちくしょう、可愛いな。)
メリスはエルキの笑顔を見てそんな感想を心に留める。
「それで、メリスは何のようで此処に来たの?」
ふと、メリスにそう訪ねるエルキ。するとメリスは思い出したかのように答える。
「そうそう、ギル。お前、仕事サボってきただろ?シドゥリさんが困ってたぞ。」
するとギルは顔を反らして冷や汗を垂れ流していた。
「し、知らん。」
「そっぽ向いても駄目だ。半分は俺が終わらせたんだからあと半分今日までにやってもらえばいいからさ。」
メリスはギルの襟を掴むとズルズルと引きずって連れていく。
「ほら、行くぞ!仕事だ仕事!」
「い、嫌だぁぁぁぁぁあ!!」
ギルは引きずられながら悲鳴を上げて嫌がるがメリスはそんな事はお構い無しと引きずっていく。
──────────
「王よ。次の報告ですが、」
その後ギルは祭司長のシドゥリと側近のメリスに挟まれて部下達の報告を聞き、それに対して解決案を出して次々に仕事を終わらせていった。
そして夕方になる頃、
「終わった....。」
本日の仕事が、全て片付きギルは一段落ついていた。
「それでは、私はこれで。後はお任せします。メリス殿。」
「ええ。お休みくださいシドゥリさん。」
祭司長のシドゥリがその場を後にし、玉座の間にはギルとメリスの二人しか居なくなってしまった。....正確には、警備兵が二人以上いるのだが。
「.....メリスの鬼。」
ふと、ギルがメリスに対して悪態をつく。
「なんとでも言え。俺はお前に仕事をして貰う為なら鬼にでも悪魔にでもなってやる。」
メリスはギルにそう返した。
(やれやれ、今日もギルの奴は仕事をサボったな。....まぁ、
実はこのメリスという青年、この時代の人間ではない。
元は現代の時代を生きる青年でその時の職業は医者。それも医療業界では名の知れた人物だった。
そんなある日、目を覚ますと自分の身体が子供になっており周りの風景も辺り一面が草原と化していた。おまけに自分の名前も思い出せない。有るのはメリスという新しい名前とその場所がどういった場所かという情報のみ。
最初の内は混乱していたが次第に慣れ、現在ではウルク市の王ギルガメッシュの側近兼友人としてその時代を生きている。
(まぁ、馴れればこの生活も悪くないな。)
メリスが物思いに耽っていると、
「...ス、....リス....メリス!」
「はっ!」
いつの間にギルに話し掛けられていたのか分からなかったが慌ててギルの方に振り向く。
「な、何だ?ギル....ではなく、王よ。」
メリスは慌てていたのでギルをつい何時もの愛称で呼んでしまったが慌てて訂正する。
「はぁ、....ギルでいい。....メリス。お前疲れてるんじゃないのか?」
「え?...そ、そうか?」
そんな事は無いが、と答えるメリス。だが、メリスの顔は明らかに体調が悪そうな土気色をしていた。
「お前ももう休め。....それと、お前は明日、休暇を取らせる。」
「え!?」
不味い。....そんな事になればまたギルが仕事をサボってしまう。
そんな事を考えてしまうメリス。それが表情に出ていたのかギルはメリスを少し睨んで答える。
「今お前が何を考えているのか分かるぞ。....大方、我が仕事をサボらないか心配なんだろう。」
「!....何故分かった?」
「阿呆。幾らなんでも今のは顔に出ておったぞ。....何も我はサボリたくてお前に休暇を言い渡したのではない。いつまでもお前にばかり頼っていてはいけないと思っただけだ。」
ギルはそう言うと顔を反らした。それを聞いたメリスは、
「ギル.....お前.....成長したなぁ」(泣)
号泣していた。まるで我が子の成長を喜ぶ親のように。
「な、何故泣く?」(引)
「いや、まさかお前が人に気を使えるようになるなんて大きな一歩を踏み出したんだなぁと思うとつい感動して....」
「お前は我の親か!」
メリスの反応につい突っ込んでしまうギル。
「いやなに、お前の親御さんから"ギルを宜しく"と頼まれてるからな。」
メリスの発言にギルは驚く。
(え?....なにそれ、我知らないぞ。)
どうやらギルは初耳だったらしく軽くショックを受けていた。
「でもまぁ、これなら大丈夫だな。....それじゃギル、明日はお言葉に甘えさせて貰うよ。」
メリスはそう言い残して自宅へと向かう。
そしてメリスが去った後、残されたギルは...
「全く、我も甘くなったな。」
そう呟いて夜空を見上げる。どうやら今夜は満月らしい。
(メリスのお陰で....我は少しずつ成長してるのか。)
ギルは夜空を見上げてそんな事を考えた。
──────────
翌日。ウルク市郊外のある一軒家にて
「うううう。」
メリスが呻き声を上げながら寝込んでいた。どうやら昨日から体調を崩してしまったらしい。
「.........」
そんなメリスを看病する一人の女性。
名をラヌスという。
茶色い長髪にほんのり明るい紫の瞳を持つ、とても良くできた娘だ。
そんな彼女はメリスのギル以外の幼なじみでもあった。
そんなある時、ラヌスはメリスに命を救われた。それからというものラヌスはメリスに対して好意を寄せ、愛でたくして二人は結ばれたのである。
ある日、二人の結婚をどこで聞き付けたか知らないが結婚してからの翌日、エルキが結婚祝いにと果物(大量)を、翌日ギルからも祝いの品としてラピスラズリのイヤリングをラヌス用にと送られてきたのである。
エルキならまだ分かるが流石に自分達の街を納める一国の王からの品となると恐縮してしまうのだが、
「ギルから贈り物だ。」
「あら、何かしら?」
「イヤリングだとさ、ラヌス用に。」
「そう?なら、付けさせて貰おうかしら...ねぇメリス。」
「あ、やっぱり俺なのね。」
「当たり前じゃない。....それに、あなただから付けて欲しいのよ。メリス。」
「ラヌス....!」
と、こんな感じで二人は王様そっちの気でイチャイチャしまくっていた。
そして現在。ラヌスはメリスから教わった現代でも最新の看病の方法でメリスを看病していた。
「早く良くなってね。メリス。」
ラヌスは苦しそうに呻くメリスを慈しむような目で見守る。
───────────
一方の王様はというと、
「王よ。次の報告です。」
シドゥリ祭司長がギルに対して何時ものように報告を行っていた。
「な.......何だこの仕事量は。」
何時もよりも多い報告の数に対して既に
「仕方ありません。何時もはメリス殿が王の仕事量の半分以上を担っていたのですからそのメリス殿が居なくなればこうなるのは必然です。」
シドゥリはキッパリとギルに対してそう答える。
「な、ならメリスを呼んでくれ!....あいつが居れば、」
ギルは昨日自分が言った事など忘れたと言わんばかりにメリスを呼ぶようにシドゥリに伝える。この発言をメリスが聞いていたらきっと、"昨日の感動を返せ"と言ってくるだろう。
「御言葉ですが王よ。今現在メリス殿は体調を崩して寝込んでおります。」
「な!?」
まさかあのメリスが、あの滅多な事では体調を崩さないあのメリスが?
ギルはメリスに対して失礼だが。事実、普段から体調管理をしっかり行っているメリスが体調を崩したのだ。驚いてしまうのも無理はない。
「あの仕事量ですからね。....幾ら体調管理をしっかり行っているメリス殿といえど体調を崩してしまうのは仕方ないことです。....って聞いていますか王よ!」
シドゥリがギルに対してメリスの何時もの業務内容を語る。それに対してギルはというと、
「こうしてはおれん!一刻も早くメリスの見舞いに行かなければ!」
そう言って玉座から立ち上がりメリスの元へと向かう。
それに対してシドゥリは、
「王よ。立派になられて......なんて言うと思いましたか!」
ギルの肩を掴んで即座に玉座に戻す。
「な、何をするシドゥリ!我は親友としてメリスの見舞いに....」
「そのお見舞いなら必要ありません。....今朝、私が王都を代表して行かせて貰いましたので。」
「な、何ィ!?」
「それにメリス殿から言伝てを貰っています。...."ギルが理由を付けてサボろうとしたら玉座に縛り付けてでも仕事をさせろ"....と。」
「メリスゥゥゥゥ!!」
畜生、図られた!これでは仕事をサボる口実がないではないか。
ギルはそう考えた。
「さぁ、仕事の続きをしてもらいますよ。」
シドゥリが器用にも玉座にギルを縛り付けて、次の報告に移らせる。
「お、おのれーーーーー!!!」
この日、ギルの魂の叫びがウルク市郊外にまで響き渡ったという。
──────────
数日後。
「はっ!」
メリスは目を覚まし、辺りの確認をする。
「んうう。」
寝言だろうか、そんな声が足元から聞こえてくる。
「ラヌス....。」
看病疲れで寝てしまったのだろう。彼女はメリスの看病をしている間一睡もしていなかったのだ。
「済まないな、ラヌス。....こんな俺なんかの為に。」
メリスはラヌスが寝ていると思い、彼女の頭を撫でながらそう呟いた。
「そんな事ないよ。メリス。」
「えっ。」
するとラヌスは頭に置かれたメリスの腕を握るとこう答えた。
「私は、あなただから。....メリスだから結婚したんだよ。....だから、自分のことをこんな俺なんかなんて言わないで。ね?」
ラヌスはメリスを諭すようにそう言った。
「ラヌス....有難う。」
メリスは涙を流しながらラヌスに感謝した。
「ところでさ、メリス。」
「うん?」
「そろそろ子供.....欲しくない?」
「え?」
突然そんな事を聞かれてどう答えれば良いのか分からずつい間の抜けた言葉が口から溢れた。
「えーっと、ラヌスさん?....一体どうしてそういった事を今言うのかお聞かせ願えませんかね?」
するとラヌスはモジモジしながら答えた。
「今のメリスの顔を見てたら.....ムラムラしちゃって。」
オイイイイ!いきなり何言ってんのこの娘!
「女性が間違ってもそんな事言うもんじゃ有りません!」
「でも私知ってるんだからね。メリスが押しに弱いの。」
(何で知ってるんだ?)
そう思いつつも逃げようとして後退りするメリス。そしてそれを追い詰めるラヌス。
そしてメリスがベッドの近くの壁に追い詰められると、ラヌスは、
「それじゃ、頂きまーす!」
「それどっちかって言うとこっちの台詞ー!ってちょっと待って、ホント待って!」
「今夜は寝かさないわよ。メリス。」
「い、嫌ーーーー!!!!」
その日、郊外のとある一軒家から男のものと思われる悲鳴が上がったという。そして後日、メリスは腰を痛めて休暇を延長したとそうな。
第二章はどの物語に参加させたい?(どの話でもクラスは確定)
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蒼銀のフラグメンツ
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Fate/apocrypha