「...それで?今から何処へ行くんだ?」
「............」
マスターとなる魔術師に尋ねても返答は無い。
(相変わらずガン無視ですか....全く、魔術師ってのは皆こうなのか?)
魔術師という存在の態度の悪さに、もはや怒りを通り越して呆れさえ感じるようになってしまったメリス。
しかし、今は自分の願いを叶える為に仕方なくこの男に付き合うとしよう。そう思って後に続くのだった。
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「ここだな。」
メリス達はトゥリファスという街に辿り着き、そこの丘の上に建てられている教会の前まで来ていた。
(?....なんだ....この嫌な感じは...?)
教会の中から何か異質なモノを感じ取ったメリス。
「マスター、此処はヤバい....引き返すぞ。」
メリスがデムライトにそう話し掛けるも、
「.........」
デムライトはひたすらメリスを無視し、教会の扉を潜った。
(アイツ....この嫌な感じが分からないのか?...それとも逆に利用してやろうと考えているのか?)
だがそれは、生前メリスが遭遇した男 マーニアに似た考え方の元、行動しているのだとメリスは理解する。
(此処で待っていても仕方ない....入るか。)
後を追い掛けようとして霊体化しようとしたが、
(...あれ?)
なろうとしても出来ない。
(どういうことだ?)
聖杯に尋ねると、メリスはまだ生きている状態でサーヴァントとなった為、霊体になることが出来ないのだと伝えられた。
(成る程....なら、正体がバレないように配慮するしかないか。)
自分の正体が露見すれば、先ず間違いなく対策を取られるだろうからと考え、付けていた仮面を取れないように取り付け、フードを深く被ってから教会の中に入っていった。
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中へ入ると、そこには神父が一人。
(神父....いや、この感じは....成る程。)
メリスは先程感じた嫌なモノの正体に気付いて納得した。
「初めまして。シロウ・コトミネです。今回、聖杯大戦の監督役を務めさせて戴きます。」
「デムライト・ペンテルだ。」
互いに挨拶を交わし終えるとシロウの隣には黒いドレスを身に纏った女性が佇んでいた。
「我は"赤"のアサシン。宜しく頼むぞ、デムライトとやら。」
メリスはアサシンから甘い香りと独特の雰囲気から嫌なモノを感じた。
(成る程、やはりあの独特の嫌な感じはコイツからしていたのか...。)
シロウはメリスをじっと見ていたが、
「おや......」
「どうしました?」
「いえ、何でもありません。」
シロウの態度に不穏なモノを感じたメリスであったが、デムライトがメリスを紹介しようとした時、
「此方は...」
「赤のバーサーカーだ....それでいいだろう。」
デムライトの言葉を遮り、メリス自身が自ら名乗りを上げた。...クラス名でだが。
「ふむ....まぁいいだろう。」
赤のアサシンは少々不満げではあるが納得したのかそれだけを口にした。
「さて、早速ですが現状の報告です。ユグドミレニア一族は、既に六騎のサーヴァントを保有しています。セイバー、アーチャー、ランサー、ライダー、バーサーカー、キャスター......唯一、アサシンだけが合流を果たせてないようです。」
「真名が分かっているサーヴァントは?」
シロウの報告にメリスは質問を問いかける。
「現時点では残念ながら一人も掴んでおりません。まぁ、直接戦った訳ではないので当然と言えば当然ですが。六騎のステータス程度なら、既に確認できています。」
シロウが懐から書類を取り出してデムライトに見せる。
メリスはデムライトの後ろから資料を閲覧し、敵となるサーヴァントのクラス、見た目、ステータス情報を一度見て、直ぐに覚えた。
(現状、相手取るならセイバー、ランサーが厄介だな...例え、奇襲を掛けても勝てる可能性は限りなく低い。)
メリスの予想はかなり当たっている。セイバークラスはサーヴァントの中でも最優とまで言われるほど、他のクラスのサーヴァントと比較してステータス値が高くなっている。一方、ランサーのステータスはセイバー程ではないがかなり高い。聖杯曰く、知名度補正というものらしい。対してメリスのステータスはセイバー、ランサーの比べればかなりの差がある。
(ランサーがルーマニア地で知名度補正を受けている....なら、真名は....!)
聖杯から知名度補正を聞いた瞬間、メリスはランサーの正体に気付いた。
「成る程....。」
デムライトは分かっていないのか、それしか言わなかった。
(今この瞬間ハッキリ分かった....デムライトは使えない...だが、シロウという神父の企みを探る為に懐に飛び込む訳にもいかない。)
コトミネ神父の自分に向けた視線と態度でメリスは核心した。
「ともあれ、デムライトさんのバーサーカー召喚で六騎揃いました。さて、それでは━━━バーサーカーの真名を、教えて戴けませんか?」
(俺の正体を知ってどうする気だ?)
シロウの質問は自分の正体を知ること以外に何かしらの理由があることを悟ったメリスは、
「バーサーカーは...「悪いが、俺の正体を誰にも明かすつもりは無いぞ。」
デムライトの言葉を遮ってシロウの質問に頑なに、NO!と答えた。
「━━━ふむ。理由を教えてもらえませんか?」
「?....何故だ?」
「今回、我々は仲間です。互いの命を預ける以上、真名は明かしておいた方がいいのでは?」
そもそもの話、真名とはサーヴァントの最重要情報であり、その英霊の本当の名前である。迂闊に明かせば、必然的にどんな宝具を保有しているか?どんな弱点があるか?などの事柄が知られてしまうのである。
「それに共同戦線を張る以上、どのような宝具を使用するかは教えて戴けないと。ところがそうすると、ほぼ高確率で真名も看破されるでしょう。同じことですよ。」
シロウの提案は確かに道理に適っている。が、メリスにとってはシロウと━━━そして、アサシンと共同戦線を張るという行為事態が、罠のように感じられた。
(もし、自分がコイツなら、力ずくで俺を味方に付けようとするだろうな。)
メリスはアサシンと対峙した時、自分の事を"我"と言った事からかなり高い地位を持った人物だと目星も付けていた。
(暗殺に特化した王女....いや、女帝か?)
奇妙で、どこか寒々しいといった感覚。メリスが過去に体験しかけた謀略の感覚だ。
明らかに怪しさしか感じないシロウの提案に対してメリスは、
「もちろ...が...!?」
「悪いが、俺は俺なりのやり方がある....好きにやらせてもらうぞ。」
デムライトを気絶させ、個人で戦うと宣言したメリス。
幸いにも、彼のクラスはバーサーカー。他のクラスのサーヴァント相手であれば、太刀打ちが可能だが、逆に言えばそのサーヴァント達が相性としては最悪。つまり、有利であり、不利でもあるクラス。それがバーサーカークラスの強みであり、弱みでもある。
「すると、共同戦線を取るつもりは無いと?」
「
「参りましたね。......確かにその通りですが。」
少し困ったように、シロウは頭を掻いた。
メリスの発言に対し、わずかに目を吊り上げる。表情にはわずかに不快さが滲み出ていた。
「━━━すると、お主は我々の助力が不要だと申すのだな?我々ならば、トゥリファスのあらゆる情報が手に入るぞ。」
「?...何故そんなに
「なっ....言わせておけば....!」
メリスの発言に益々アサシンの目が不愉快そうに吊り上げる。シロウがそっと彼女を静止した。そうしなければ、此処でアサシンとメリスが戦う羽目になっていたであろう。
これ以上喋るのは不味いと思ったメリスは、
「それじゃあ...俺達はこれで、何か緊急の連絡があれば通達してくれ。....それじゃあ、また何処かで...神父様...そして、
「なっ...!?」
デムライトを担いでメリスは教会から出ていく。女帝とアサシンを呼んだ際、彼女が怒りを剥き出しにしたことなど気付く事無く。
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「参ったな。どうやら、"彼"には気付かれていたようです。」
「そのようだな....全く、いけ好かない男だ。だが、シロウ。お前ならば、あのバーサーカーの真名を見抜けるのではないか?」
メリス達が去った後、シロウとアサシンはバーサーカーに勘付かれてしまった。と察していた。アサシンの問い掛けに、シロウは困ったように頭を掻いた。
「いやそれが。どうもあのバーサーカーは真名を秘匿するスキルか宝具を持ち合わせているようでして、真名どころかステータスまで靄がかかったように見えなかったので。」
「不確定要素は早めに潰しておいた方がいいと我は思うぞ。」
「いやいや、止めておきましょう。仲間同士で争うのはまだ早い。」
アサシンの容赦の無い提案をあっさりとシロウは拒絶した。
「ですが、バーサーカーとセイバークラス以外のサーヴァントは此方にある....後はセイバークラスを引き入れることが出来れば...」
神妙な面持ちで何かを考えるコトミネ神父、
その企みとは一体...?
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「ここまで来れば大丈夫か。」
トゥリファスから数㎞離れた場所にある空き家の中までメリスは警戒しながらたどり着いた。
「よい...しょっと。」
ソファーの上に下ろして、一息つくメリス。
「どういうつもりだ貴様!」
「......」
デムライトはメリスに対して怒りを剥き出しにする。メリスは呆れながらもにこう答えた。
「...あそこで俺が発言しなかったら...あんた、同盟に加わっていただろう。」
「そうだ!それの何が....」
「それが間違ってるんだよ....まだ分からないのか?...アイツらは何かを企んでいた....それも俺達を利用してまで行おうとしていた程だ。」
一息置いてから話を戻す。
「アイツらの目論見がなんなのかはまだ分からない....だが、これだけはハッキリ言える....アイツらとの同盟は間違いなくあんたにとって...有害でしかないことだ。」
「ふざけおって....今から戻って同盟の話を...」
「行かせるかよ。」
メリスは
「なっ....貴...様...」
ドサッとその場に倒れこみ、メリスはベッドまで彼を運び、睡眠薬を投薬する。
「やれやれ、ここまで無能だと怒りを通り越して呆れしかでないな...まぁ、何にせよ...俺のやることはただ一つ。」
願いを叶える。
その為だけにこの『聖杯大戦』に勝利する。ただ、それだけだ。
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メリス達が聖堂教会を訪れる少し前、ミレニア城塞内部にて、
「......ク、ァ......ッ!!」
一人の少年。いや、ホムンクルスが喉に焼け付くような痛みを感じながら、這って移動する。
彼は地下の魔力供給槽から脱出し、この城塞から逃げ出そうとしていた。
目標は達成したものの、最終目標である逃走は未だ達成していない。それどころか『立ち上がる』事さえ、出来ずにいた。
「......?」
不意に、自身の鼓動が弾んだ。
自分以外の存在が傍らにいることに気付く。視線が彼を捉えている。見られている事が感覚で分かる。逃げなければならないと思う。しかし、どうにもできない。恐怖で身が軋む。押し潰されそうな沈黙に、心臓が耐えきれない程の早鐘を打つ、その時━━。
「どうしたのさ、キミ。そんな格好で風邪引くよ?」
投げ掛けられた言葉は、彼を案じた温かなものだった。
反射的に顔を上げ、目を合わせる。
そこには、"黒"のライダーとして召喚されたピンク髪のサーヴァントが此方を一瞥している。
「風邪引くよ?」
そんな言葉を繰り返す。しかし、どんな言葉を返せばいいのか分からない。ただライダーは自分の返答を待っているのだということは彼にも理解できた。
何を言えばいいのだろうか? 何と言えば、適切なのだろうか?
「助け......て。」
聞こえなかったのか、ライダーは顔を近付けて耳をそばだててくる。
彼は自分が気絶する事を理解し、怯えた。ただ歩いただけで、これ程苦しかった筈なのに、まだ生きていたいと......彼自身が心の底から、願った。
赤のバーサーカー 真名:メリス
クラス:バーサーカー
ステータス
筋力:C+ 耐久:C
敏捷:A 魔力:C
幸運:A 宝具:?
第二章はどの物語に参加させたい?(どの話でもクラスは確定)
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蒼銀のフラグメンツ
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Fate/apocrypha